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駒学園の追走St.3−1
日時: 2017/12/25 03:42
名前: さくら

駒学園の追走〜禁断の世界の一欠けら St03.血統なる決闘#1 〜Duel become pedigree

目次
序 章>>1  05章>>6
01章>>2  06章>>7
02章>>3  07章>>8
03章>>4  08章>>9
04章>>5  09章>>10
10章>>11  11章>>12
メンテ

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Re: 駒学園の追走St.3−1 ( No.3 )
日時: 2014/12/09 07:56
名前: さくら

2章


4ターン目
「1枚引きます・・・」

 桜花がデッキからカードを引く。先ほどの伏せカードも含めて、
6枚の手札を顧みてその中から一枚を抜き出す。

「私は手札から、六武院を発動します!」

六武院
フィールド魔法
「六武衆」と名のついたモンスターが召喚・特殊召喚される度に、
このカードに武士道カウンターを1つ置く。
相手フィールド上に表側表示で存在するモンスターの攻撃力は、
このカードに乗っている武士道カウンターの数×100ポイントダウンする。

 桜花の背後に立つ巨大な城門。その城門の奥には巨大な城が見える。

「私はさらに、手札から真六武衆‐カゲキを攻撃表示で召喚します!」

 桜花の場に、四本の刀を携えた武士が現れる。武士はその刀を両手、
そして背中に背負った義手に持たせ、それらを掲げて高らかに咆えた。

真六武衆‐カゲキ
☆3 風
攻 200
守2000
戦士族効果:このカードが召喚に成功した時、手札からレベル4以下の
「六武衆」と名のついたモンスター1体を特殊召喚する事ができる。
自分フィールド上に「真六武衆−カゲキ」以外の
「六武衆」と名のついたモンスターが表側表示で存在する限り、
このカードの攻撃力は1500ポイントアップする。

「カゲキの召喚に成功した時、手札かられべる4以下の六武衆と名の付いた
もんすたぁを1枚場に出すことができる。さらに、六武院にかうんたあが
一つ乗ります!」

六武院:武士道カウンター0→1

「私は、カゲキの効果でザンジを攻撃表示で特殊召喚します!
さらに、その効果でカゲキは、攻撃力が1500上がります!」

 黄金色の鎧に偃月刀に似た槍を持った侍がカゲキの傍らに現れる。
それと同時に、六武院のカウンターが一つ増える。

六武衆‐ザンジ
☆4 光
攻1800
守1300
戦士族効果:自分フィールド上に「六武衆−ザンジ」以外の
「六武衆」と名のついたモンスターが存在する場合、
このカードが攻撃したモンスターをダメージステップ終了時に破壊する。
また、フィールド上に表側表示で存在するこのカードが破壊される場合、
代わりにこのカード以外の自分フィールド上に表側表示で存在する
「六武衆」と名のついたモンスター1体を破壊できる。

六武院:武士道カウンター1→2
真六武衆‐カゲキ攻 200+1500=1700

「そして、私は手札から真六武衆‐キザンを攻撃表示で特殊召喚します!」

 黒い長い髪をなびかせながら、黒い甲冑を着こんだ武士がさっそうと現れる。
腰にはいた日本刀を抜刀し構える姿が凛々しく、その眼光がサラサの
フィールドのウロボロスたちを見据えていた。

真六武衆‐キザン
☆4 地
攻1800
守 500
戦士族効果:自分フィールド上に「真六武衆−キザン」以外の
「六武衆」と名のついたモンスターが表側表示で存在する場合、
このカードは手札から特殊召喚する事ができる。
自分フィールド上にこのカード以外の「六武衆」と名のついた
モンスターが表側表示で2体以上存在する場合、
このカードの攻撃力・守備力は300ポイントアップする。

「この札は、自分の場に六武衆が2体以上存在するとき、
攻撃力と守備力が300上がります!」

真六武衆‐キザン攻1800+300=2100
        守 500+300= 800
六武院:武士道カウンター2→3

「一気に、3体・・・やっぱり展開力じゃ、六武衆も
アンデットに引けを取らないわね」

「おまけに今は六武院の効果で、300ポイントのダウン・・・。
そして、レベル4の六武衆が2体、つまり」

  雷華と朝倉の言葉を聞いてサラサの額に一粒の汗が流れる。
同じレベルのモンスターが2体、最低ラインのボーダーはそろっている。
つまり・・・。

「私は、キザンとカゲキでえくしいず召喚を行います!」

 二人の武士が武器を重ねる。閃光を纏い一つに交わる。

「いでよ、六武の影、戦場を駆ける黒き鎧武者、
六武衆の影‐紫炎!」

六武衆の影‐紫炎
ランク4 地
攻2500
守 400
戦士族エクシーズ・効果:「六武衆」と名のついたレベル4モンスター×2
1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除き、
自分フィールド上の攻撃力2000未満の「六武衆」と名のついたモンスター1体を選択して発動できる。
選択したモンスターの元々の攻撃力はエンドフェイズ時まで2000になる。
この効果は相手ターンでも発動できる。

武士道カウンター3→4

「これにより、4つのかうんたあが乗ったことにより、
相手のもんすたあの攻撃力が400下がります!」

ヴェルズ・ウロボロス攻2750−400=2350
ゾンビ・マスター  攻1800−400=1400

「紫炎の効果を発動!素材一つを取り除き、
攻撃力2000未満の六武衆1体のもともとの攻撃力を
この番の終わりまで、2000にします!」

「ってことは、さらに1500上がって・・・3500!?」

 サラサが思わずそう声を上げる。
それを聞いた桜花は微笑交じりによくできました、といった。

真六武衆‐カゲキ攻 200→2000+1500=3500

「では、カゲキでうろぼろすを攻撃します!」

 カゲキの放った二重の斬撃が上段から迫り、ヴェルズ・ウロボロスの
首をたたききり、その胴に痛烈な一撃を叩き込んだ!
 方向を上げながら後ろに吹き飛ばされたウロボロスは、その切り傷に
更に鋭い突きを穿たれ、そのまま切っ先をねじ込まれて絶命した。

ヴェルズ・ウロボロス攻2350×→墓地
真六武衆‐カゲキ  攻3500○
サラサLP8000−1150=6950

「っく・・・!」

「さらに、ぞんび・ますたあに紫炎で攻撃します!」

 紫炎が走り、手にした刀で死霊術師を斬りつける!
ゾンビ・マスターがその切っ先を死霊を盾に受け止めるが、死霊の盾は
瞬く間に切り裂かれ、その斬撃がゾンビ・マスターを襲った。

六武衆の影‐紫炎攻2500○
ゾンビ・マスター攻1400×→墓地
サラサLP6950−1100=5850

「・・・っく!!」

「私は手札から、おぉばあれい・りじぇねれぇとを発動!
紫炎の下に、この札を重ねて、素材を一つ確保します!
さらにこの1枚を伏せて、手番を終了します」

オーバーレイ・リジェネレート
魔法
フィールド上に存在するエクシーズモンスター1体を選択して発動できる。
このカードを選択したモンスターの下に重ねてエクシーズ素材とする。

六武衆の影‐紫炎エクシーズ素材:1→2
真六武衆‐カゲキ攻3500→1700
桜花手札残:0

5ターン目
「私のターン・・・ドロー!!」

 ドローカードを顧みてサラサが目を見開く。

「私は手札からトレード・インを発動!手札の
銀河眼の光子竜を墓地へ送り、デッキからカードを2枚ドロー!」

サラサ手札残:1+2=3

「そして、手札から混血の血統を発動!」

混血の血統
儀式魔法
「混血の吸血種族−サラサ・ハーミル」の降臨に必要。
手札からレベルが同じになるようにモンスターカードを生贄に捧げるか、
または墓地から除外しなくてはならない。

「その効果で、私は墓地からゾンビ・マスター2体をゲームから除外し、
混血の吸血種族‐サラサ・ハーミルを儀式召喚!」

 墓地から除外された二つの魂を糧に現れた大型の棺、その棺の中から
現れた色白の女性。肩まである黄金色の髪を揺らしながらゆっくりとフィールドに
舞い降りた。

混血の吸血種族−サラサ・ハーミル
☆8 闇
攻2900
守2000
アンデット族儀式・効果:「混血の血統」にて降臨。
このカードが戦闘によって破壊したモンスターの攻撃力の数値分、このカードの攻撃力はアップする。
このカードが相手によって墓地へ送られた時、エンドフェイズ時に、ライフを1000ポイント払う事で、このカードを攻撃表示で特殊召喚する。

「さらに、手札から死者蘇生を発動!私が墓地から特殊召喚するのは」

死者蘇生
魔法
相手か自分の墓地にあるモンスター1体を選択して、自分フィールド上に特殊召喚する。

 サラサがそういった刹那、彼女の場に赤い十字架を模したような
物体が現れ、雷華と朝倉があっ・・・と、声を漏らした。それを見ただけで、
もう何を特殊召喚する気なのか、一発で見当がついたからである。
 サラサがその十字架状のものをつかんで天高く放り投げる。

「闇に輝く銀河よ、希望の光になりて我が僕に宿れ!光の化身、
ここに降臨!現れろ、銀河眼の光子竜!!」

「やっぱり出た」

「うん、ソリッドヴィジョンだとすぐわかるね、あのカード・・・」

 二人の言葉を聞いてか聞かずか、銀河の輝きをその目に宿したドラゴンは、
大きく咆哮を上げた。

銀河眼の光子竜
☆8 光
攻3000
守2500
ドラゴン族効果:このカードは自分フィールド上に存在する
攻撃力2000以上のモンスター2体をリリースし、
手札から特殊召喚する事ができる。
このカードが相手モンスターと戦闘を行うバトルステップ時、
その相手モンスター1体とこのカードをゲームから除外する事ができる。
この効果で除外したモンスターは、バトルフェイズ終了時にフィールド上に戻る。
この効果でゲームから除外したモンスターがエクシーズモンスターだった場合、
このカードの攻撃力は、そのエクシーズモンスターを
ゲームから除外した時のエクシーズ素材の数×500ポイントアップする。

「まだ!墓地の馬頭鬼の効果発動!!
馬頭鬼をゲームから除外して、墓地のアンデット族モンスター1体を
選択して、特殊召喚する!!出でよ、深遠なる闇の絶望よ!!」

 サラサの影が大きく伸び、その中から現れた巨大な魔物。
その巨体は銀河眼の光子竜をも見下ろすほどに大きく、フィールドが瞬く間に
黒い影に覆われた。

闇より出でし絶望
☆8 闇
攻2800
守3000
アンデット族効果:このカードが相手のカードの効果によって手札またはデッキから墓地に送られた時、
このカードをフィールド上に特殊召喚する。

「ですが、それらはすでに私の場の六武院の影響下にあります。
攻撃力が400下がるのは、現状手痛いのでは?」

 確かに桜花のいうとおりだ。
この状況、銀河眼の光子竜すら、攻撃力が3000から2600まで
落ちてしまっている。効果を使っても、現状では3100ポイント、
わずかに100ポイントでは元が取れるかすら怪しい。

混血の吸血種族‐サラサ・ハーミル攻2900−400=2500
闇より出でし絶望        攻2800−400=2400
銀河眼の光子竜         攻3000−400=2600

「・・・でもま、これだけ消費して3枚もレベル8のモンスターを並べたって
ことは、アレしかないわね」

 まったく、馬鹿の一つ覚えなんだから。と朝倉が溜息。

「私は、3体のレベル8モンスターで・・・オーバーレイ!!」

 三体のモンスターが光の帯となって天に現れた渦の中に消える。
サラサのかざした手に巨大な槍上のものが握られ、投擲されたそれが、
光の帯が消えた渦の中に吸い込まれ、爆発が起こる。

「逆巻く銀河よ、今こそ怒涛の光となりてその姿を現すがいい!!」

 赤黒い巨躯を震わせて、三つ首の龍が咆哮を上げる。

「降臨せよ、わが魂!超銀河眼の光子龍!!」

超銀河眼の光子龍
ランク8 光
攻4500
守3000
ドラゴン族エクシーズ/効果:レベル8モンスター×3
「銀河眼の光子竜」を素材としてこのカードがエクシーズ召喚に成功した時、
このカード以外のフィールド上に表側表示で存在するカードの効果を無効にする。
1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除いて発動できる。
相手フィールド上のエクシーズ素材を全て取り除き、
このターンこのカードの攻撃力は取り除いた数×500ポイントアップする。
さらに、このターンこのカードは取り除いた数まで1度のバトルフェイズ中に攻撃できる。

超銀河眼の光子龍攻4500−400=4100

「超銀河眼の効果、発動!
銀河眼の光子竜を素材としたこのカードは、エクシーズ召喚成功時、
フィールド上に表側表示で存在する、すべてのカード効果を無効にする!
フォトン・ハウリング!!」

「ならばその効果に対して、紫炎の効果を使います!!」

 超銀河眼の光子龍のあげた咆哮が衝撃波となって放たれ、
紫炎とカゲキ、そして六武院の効果を打ち消した。

超銀河眼の光子龍攻4100+ 400=4500
真六武衆‐カゲキ攻3500−1500=2000→ 200

「ならば!!超銀河眼の効果により、
オーバーレイユニットを一つ取り除き、フィールド上のエクシーズモンスターの
ユニットすべてを取り除き、その数×500ポイント攻撃力を上げ、
その数だけ、攻撃宣言を行うことができる!!」

 超銀河眼の光子龍の周囲を回るユニットの一つを、三つ首の一つが噛み砕く。
そしてフィールド上にあるユニットをすべて吸収し、吸収したそれを
力に変えた。

六武衆の影‐紫炎エクシーズ素材:1→0
超銀河眼の光子龍攻4500+500=5000

「超銀河眼の光子龍で、カゲキを攻撃!!」

 超銀河眼の光子龍の放った攻撃がカゲキを襲い、それを躱した刹那に
再び別の首から放たれた一撃がカゲキを飲み込み消し飛ばした。

真六武衆‐カゲキ攻 200×→墓地
超銀河眼の光子龍攻5000○
桜花LP6650−4800=1850

「っぐ・・・」

「まだだよ!さらにもう一回」

「・・・それ、できねぇぞ?」

 サラサの言葉をさえぎって聞こえてきた声。
この場にいなかったはずの男の声に全員が振り返ると、肩に届くかどうか位の
長さの髪をした、鈍色の瞳の少年が立っていた。

「超銀河眼の光子龍の効果、よく読んでみな。多分、
割と勘違いしてるやつ多いけど、攻撃力増やすんじゃなくて、
取り除いた素材の数と同じだけ攻撃できるようになる効果だからな、それ」

「・・・・えーっと『1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除いて発動できる。
相手フィールド上のエクシーズ素材を全て取り除き、
このターンこのカードの攻撃力は取り除いた数×500ポイントアップする。
さらに、このターンこのカードは取り除いた数まで1度のバトルフェイズ中に攻撃できる。』・・・あ、ホントだ」

「な?」

 そういって肩をすくめて見せる少年を顧みて、桜花はあら、と口を開いた。

「ジンさん。・・・お帰りになっていたなら、声をかけてくださってもよかったのに」

「悪い、今帰ってきたんだ。ったく、リリスも人使いが荒くて困るよ」

 そういってため息をついた少年、ジン・エイジェリングは苦笑した。

「そっか、攻撃できないならしょうがないか。ならば私はこれでターンエンドだよ」

サラサ手札残:0枚
超銀河眼の光子龍攻5000−500=4500

「ではここで罠を発動します」

 桜花の言葉にサラサが顔をしかめる。
このタイミングで発動するカードが六武衆に何かあったのだろうか、と。

「私が発動するのは究極・背水の陣!」

究極・背水の陣

ライフポイントを100ポイントになるように払って発動できる。
自分の墓地の「六武衆」と名のついたモンスターを
可能な限り特殊召喚する。(同名カードは1枚まで。
ただし、フィールド上に存在する同名カードは特殊召喚できない。)

「その効果により、私はらいふぽいんとを100になるように支払い、
真六武衆−キザン、ザンジ、シナイ、ミズホを特殊召喚します!」

 桜花のその言葉とともに墓地から黒い鎧、赤い鎧、青い鎧、橙色の鎧の武者が飛び出し、
紫炎の隣に鎮座した。

桜花墓地
真六武衆‐キザン→フィールド
六武衆‐ザンジ→フィールド
真六武衆‐シイナ→フィールド
真六武衆‐ミズホ→フィールド
桜花LP1850−1750=100

6ターン目
「・・・一つ、面白いものをお見せしましょう」

 ターンの開始前に、桜花はそうつぶやいた。

「この世界では決闘において一度だけ、霊力や魔力、
神力などを用いて自らの思い通りに札を引く力が備わります。
勿論、使わないのが普通ですので、使用はないと思いますが、
万が一にも、使用されても驚かないようにここでお見せしておきましょう」

 静かに目を閉じて、右手を持ち上げる。その一瞬で、空気がわななき電流が
走ったかのように全身がしびれた。

「我が戦いとは生涯。強きを求める武士の生きざま、今この
1枚に込める!・・・天衣無縫の一枚を、今我が手に!!」

 大きく腕を振りぬき、居合抜きのような体制になる。
その圧倒的な圧力に全身に震えが走り、朝倉は思わず生唾を飲み込んだ。
そうして、引き抜いたカードを顧みて、桜花がおろ?と目を丸くした。
それを見て全員が桜花に視線を集中させる。

「・・・失敗しちゃいました」

 全員がずっこけた。

「お前な・・・ここ一番の見せ場だろ?決めろよ」

 ジンがそういって頭を押さえている。

「し、失敗なんてあるんだね・・・」

 雷華がそうつぶやいた。

「まぁでも、これでも十分ですよ。
私は手札から六武式三段衝を発動します」

「・・・あー」

六武式三段衝
魔法
自分フィールド上に「六武衆」と名のついたモンスターが表側表示で3体以上存在する場合、
以下の効果から1つを選択して発動する事ができる。
●相手フィールド上に表側表示で存在するモンスターを全て破壊する。
●相手フィールド上に表側表示で存在する魔法・罠カードを全て破壊する。
●相手フィールド上にセットされた魔法・罠カードを全て破壊する。

「私は一番目の効果を使います。・・・あとは直接攻撃をするだけです。
何か発動できる札はありますか?」

「ないね。墓地発動するカードは馬頭鬼だけだし。
負けちゃったかぁ」

 そういいながらヤレヤレと肩をすくめて見せるサラサ。
映像が消えると同時に、朝倉がツツイとサラサに詰め寄った。

「ちょっとあんた、エクストラデッキ見せなさい」

 そういうが早いかサラサのエクストラデッキをかすめ取るとその中を見て
すっ・・・と目を座らせた。

「・・・超銀河眼の光子龍、No10.No30.No20.
超銀河眼の光子龍、ギャラクシーアイズFAは抜け。それから、
なんか出せるわけでもないのにひっそりと入っている金鼠は捨てろ」

「い・や・だ・っ♪」

 そういってすごい笑顔になるサラサ。笑顔だが、えもいえぬ威圧感を
放つ彼女に、雷華はゾクリと身を震わせた。

「じゃあせめて金鼠を捨てて代わりにNo101を入れなさい!
それで勘弁してあげるわ!!」

「ぜぇったいに嫌だ!!

 そういってぶんぶんと首を振るサラサ。
噛みつく朝倉を顧みて、ジンと桜花は顔を見合わせて苦笑を漏らしていた。
メンテ
Re: 駒学園の追走St.3−1 ( No.4 )
日時: 2015/02/23 15:10
名前: さくら

3章

 可奈が目を覚ますと、部屋の空気が冷え切っていた。
何かと思うと、朝倉とサラサがそっぽを向きあっていた。

「・・・何があったんだ、お前等」

「サラサが悪い」

「朝倉さんが悪い」

「・・・正直、あーちゃんが悪い」

 朝倉、雷華、サラサの言葉を聞いて可奈はうんうん、とうなずいた後に
朝倉の肩をポン、とたたいた。

「あやまれ」

「あんなカードデッキに突っ込んで勝てると思ってるサラサが悪いわ。
大体、出せもしない金鼠に重いだけのレベル8素材3体エクシーズ4枚も
ぶち込んでるエクストラデッキなんて、普通組まないわよ」

 しかも、と朝倉は区切ってから続けた。

「融合まで入ってるのよ、あのデッキ。
まぁ、幸いに入ってた融合モンスターはドラゴネクロだったけどね」

 そういってため息交じりに首を左右に振る朝倉。
ああ、そのカードな、と可奈は口を開いた。

「それな、最初は別の融合モンスターが入ってたんだ。ナイトメアを狩る死霊がな」

「・・・なん・・・ですって・・・!?」

「だから私が入れ替えさせた。それに、あのデッキは構築段階で、
レベル8のモンスターをある程度大量展開できるように作ってある。
お前も見てただろ、あいつは1ターンの間に、平均してレベル8のモンスターを
2体は召喚しているはずだ」

 確かにと、朝倉も思う。下級のゾンビ・マスターの展開から、
次のターンには3体のレベル8モンスターを瞬く間に並べていた。
デッキはほとんどそれ用に特化しているということだろう。

「レベル8三体並べた後、むやみに超銀河眼に繋がなければ
絶対に今以上に戦えると思うんだがな」

「だってあの状況じゃ、そうしなきゃ城の効果で攻撃力下がっちゃうんだもん」

 そう口を挟んできたのはサラサ。確かにそうかもしれないがな、と可奈は言った。

「その状況ならさっき聞いたぞ、むしろ私なら銀河眼の光子竜皇から
FAに繋いで城を破壊したな。そのあと、ハーミルで紫炎を攻撃して
更にFAで攻撃力の上がったであろうカゲキを破壊する・・・これでも
いいはずだ」

「むー・・・そうだけどさぁ」

 サラサがそういって口を開いたのと同時に、すっ・・・とふすまが開いて
奥からジンが顔をのぞかせた。

「お前ら、晩飯で来たぞ。早く来いよ、うちは大飯ぐらいが多いからな」

 そうとだけ言って彼はその場から文字通り消えた。それを見た可奈が目を見開く。

「・・・妖怪?いや、いるよな。あのルルやリリカの弟の家だとか
言ってたもんな、あれがそうか」

 そういって、静かに立ち上がると朝倉やサラサたちを連れて
部屋を出る。薄暗い廊下を歩き、燈の漏れている部屋に入ると、中にいた
子供4人と目が合った。

「・・・!」

 扉を開いて立ち止まる可奈。それに続いていた3人が部屋の中をのぞき込む。
それぞれが、中にいる子供と目が合いその場に立ち止る。
 何とも居心地の悪い沈黙が空カンを支配していた中、その中の一人が口を開いた。

「誰?」

 そうしていると、それに続くようにしてほかの子供が次々に口を開く。

「誰だろう?」

「母さんが言ってたお客さんじゃない?」

「あ、そういえば今日からしばらく泊まるとか言ってたっけ?」

「そういやそんなこと言ってたな。あんたら、晩飯に呼ばれたのか?
だったらここじゃないぞ、二つ奥の角を右に曲がったとこに、台所があるから、
そこ行ってみな?」

 その中にいた一人、吊り目の子がぶっきらぼうにそういった。

「あ、ああ・・・そうか。ありがとう」

「気にスンナ。ったく、母さんも詰めが甘いな。食堂くらい教えとけよ」

 そういいながら、ぴしゃりとふすまを閉める。呆然としていた可奈たちだったが、
やがてと誰からともなく、彼女の言っていた台所の方へと歩みを進めていった。

「え、娘たちにあったんですか!?」

 台所まで行って、料理を運ぶ桜花を手伝いながら先ほどのことを
話すと桜花はぎょっと目を見開いた。

「そ、それで・・・あの子たち、何か失礼なことを」

「いや、ここまでの道を教えてくれた。
勝手に部屋の扉を開けてしまったのに、逆に親切にしてくれたよ」

 可奈の言葉を聞いてほっと胸をなでおろす桜花。そのあとの夕食で、
改めて紹介されたところによると、彼女たちは娘、というと少々語弊のある
存在で、実際には二人の魔力と神力を糧にして生まれた精霊なのだという。

「一番手前にいる眼つきのちょっときついのが緋仔(ひこ)。その隣が水仔(みこ)、
地子(ちこ)、風子(ふうこ)。名前で察しはつくと思うが、それぞれ4元素の精霊で、
本来の姿はそれぞれ狐、海象、蛇、鶯だ」

 そういわれて、それぞれが軽く会釈をする。それに会釈を返して食事を
進めていると、その中の一人がおずおずと口を開いた。

「あ・・・あの、さっき風から聞いたんだけど・・・
お母さんとデュエルしてたって、本当?」

「あ。うん。それ私・・・だけど、風から聞くって、どういうこと?」

「えっと・・・私は風から生まれた精霊、だから・・・
風の声を聴けるの。・・・お母さん、強かった?」

「うん、強かった」

「そっかぁ」

 そういって、うれしそうにほほ笑む彼女を見て、サラサ以外は顔を見合わせ苦笑した。
 その後、しばらく彼女たちと雑談をしてから部屋に戻ると、いつの間にやら
布団が4組敷かれており、閨の準備が整っていた。

「・・・さっきまで、全員あそこでご飯食べてたわよね」

「ま、まぁ・・・妖怪に神様だし、子供精霊だったし。
これくらいは普通なの・・・かも」

 朝倉の言葉に雷華がそうつぶやいた。
可奈とサラサはと言えば、何を気にすることがあるといわんばかりに
布団の中をごそごそしている。

「お、これ羽毛だぞ?・・・ありがたいな、私の部屋には
布団が全くないからな」

「というか、タオルケットしかないもんね、可奈の部屋」

『よくそんなもんで寝れるわね、あんたそのうちにうちの屋敷に来なさい。
いいものくれてやるから』

 そんなことを言い合っている3人をしり目に、朝倉は重そうに頭を押さえた。
 翌朝・・・起床した4人を迎えに来たルルに連れられて、
会場になるという場所へとやってきた可奈たち。その場についた可奈は静かに
息をのんだ。
 あたりを見渡せば、そこかしこに上位の悪魔や魔人の類がゴロゴロしているのだ。
モンスの天使くらいで太刀打ちできるのか、いささか不安である。

「―――あーあーあー、マイクテストマイクテスト。
お前ら集まってるな?受け付けは開始直前まで大丈夫だから、
焦んなよ?とりあえず、ルールだけ説明するからあとは
勝手にやってくれ」

 不意に、近くにあったスピーカーのようなものから聞こえてきたしのぶの声。
どうやらどこからか、放送を行っているらしいのだが、その姿が
どこにも見えない。彼女の言葉に従って集まる有象無象。
その中に混じっている可奈たちは、必然的に魔物たちに囲まれる形になった。

「ちょっと雛沢さん、どうするのよこれ?」

「刺激するな、いいな。絶対だぞ」

 悪態をつく朝倉にそう言ってから、放送内容に静かに耳を傾ける。
内容は、桜花やルルから事前に聞いたものの繰り返しのようなもので、
本人も読むのが気怠いのか、ある程度まで呼んだあとは
解らなくなったら招待状を読み返せ、とバッサリ投げ捨てた。
 そして・・・。

「あー、そうそう、それからこの中に・・・まぁ、気づいてると思うが、
人間の世界からも何組か招待してる。この大会の間に、人間との間に起こった
いざこざの解決手段は通常のデュエル、もしくは契約をたがえたデュエルを
行うことによって解決してくれ。後、主催者としてお前らに警告しておく。
仮に、招待した人間がけが、失踪、死亡などの損失、損壊を負った場合、
それに関与したと考えられる魔人、悪魔の一族とその周辺にいる輩は
全て滅ぼす。闇亡界に来た以上、お前たちの射る魔界のルールは通じないものと思え。
以上、説明終了。各参加者はチームごとに受付を済ませて、そこで
籤を引いてくれ。そこに対潜の組み合わせが書いてあるからな。
じゃ、健闘を祈る」

 しのぶの声が途切れるとともに、周囲からはため息が漏れていた。
喝采はない。

「マジかぁ・・・人間襲ったらおれたちまとめて処刑されんのかぁ」

「まぁつってもしのぶさまだからなぁ、多分冗談抜きに
ぬっころしにかかってくるぞ?しかも満面の笑みで超嬉しそうに」

「勘弁してくれよぉ、俺この間人間どもから契約で獲った魂の数が
エーゲ地方で一番になったんだぜぇ?家内にも魔王様もそれがあったから、
この大会に出させてもらえてるってのによぉ」

 なんて声が聞こえてくるものだから、朝倉達は顔が蒼かった。
勿論可奈もである、勝てるわけがない連中から下手したら殺されていた
かも知れないと思うとぞっとしないわけがない。と、いうか・・・。

「・・・社畜って、どこの世界にもいるものなのね」

「ああ、悪魔たちは意外と契約とかそういうのに律儀なのは
そういうルートを踏まないと魔王から罰せられるというのも一つあるからな」

 朝倉の言葉に可奈はそう答えてほほを引っ掻く。その後、やってきたルルと
合流して、先ほどの中にあった受付に向かってそこで対戦ブロックを
照会してもらった。

「・・・2ブロックなのか、もっといるのかと思ったが」

「一週間日程ですからね、一日一回〜2回戦くらいまでが目安に
行われます。なので、2ブロックで丁度いいんですわ」

 まぁ、あなた方の世界のこーしえんとやらのような
感じですわ。あれより、規模は小さいですが。そういっているルルに
連れられてやってきた先では、すでに対戦相手が待っていたのだが。

「おや、まさかここでいきなりはちあうとはのう?」

「・・・ははっ、まぁいずれ当たるとは思ってましたから。
今更ですよ、ねぇ。ゼルタリアさん」

 対戦相手、可奈の同僚の浪漫堂のメンバーを顧みて
可奈は乾いた笑いを浮かべていた。よもやこの場においていきなり
彼女たちと当るとは思っていなかったのである。

「おやおや可奈殿、まさか敵対するべき相手に手を貸すとは。
退魔師としてあるまじきでありますな。・・・まぁ、契約をたがえた
デュエルの結果でありましょうから、それについては言及する
つもりは毛頭ないでありますが」

 そういいながらゼルタリアの後ろにいる、黒い髪、黒いローブ、
黒いズボンの黒づくめの少女が顔を上げる。陶磁器のような白い肌に、
爛々と真っ赤な血の色をした目が光っていた。

「それなりに楽しませてもらうでありますよ?」

 そういって浪漫堂現店長、セリス・アレイに名は低く籠った声で笑っていた。
メンテ
Re: 駒学園の追走St.3−1 ( No.5 )
日時: 2015/09/28 12:14
名前: さくら

4章

「さぁあ!お待ちかねのショウタイムが始まろうとしております!
本会場では、地上世界からの招待客二組の対戦が今!まさに!!
対戦相手の決定を待っております!」

 そんな口やかましい実況をしり目にしながら天を仰いだ4人は、
おろ、と口からこぼした。

「・・・文じゃないか。
あいつ、こんなところでもアルバイトしてたんだな」

「ホントね、確かあの子烏天狗とか言ってたっけ?
ホントだったのね」

 可奈と朝倉がそれぞれに口を開いて言葉を交わす。
そんな二人を顧みることもなく、上空高くでミニスカートをはためかせながら、
烏天狗の少女、烏丸河文はマイクを片手に画面に注目するように促している。
・・・どうやってもスカートの中が見えないのは、きっと彼女が風を操っているからだろう。

「さぁ!出そろいました対戦カード第一試合、
チーム浪漫堂からは、我が闇亡界一の錬金導師にして
我が主!ルル・エイジェリング様作の第一作目の
自立起動絡繰り人形、水蓮燈!」

 その名を呼ばれてフィールドにトン、と軽く着地したのは
背中に巨大な蝙蝠の翼をはやした少女。着ている服に隠れて見えないが、
その下にある関節は、球状の金属で繋がれた、多関節式の人形である。

「そして・・・えーっと、チーム名、登録されてないんですけど、
これどうしたらいんですかね?ルル様?」

 そういいながらこちらに降りてくる文。それを顧みて
朝倉達は顔を見合わせ、さらにルルが口を開く。

「なくてもいいですわ、別にわたくしのチームであるということがわかればいいのですし。
どうしても呼称に困るなら貴方が適当に作っておいてくださいませ」

「はぁ・・・わかりました。
おほん、では気を取り直しまして同じく地上世界からやってきました!
私の潜る駒学園のクラスメイト、その血は片やハースケルト一族の末裔、
地方の芋学園を踏み台に、大吸血鬼に私はなる!!Queen of Rose !サラサ・ゼルトニア!!」

「マテヤコラァッ!?私吸血鬼になる気なんてないっていつも
言ってるでしょ、このガセネタ天狗!!」

『そうよ!!大体Queen Of Rose って私の呼称よ!?
勝手にサラサの呼称しないでちょうだい!!』

 そういって激昂するサラサとカーミラ。しかし文は素知らぬ顔で
マイクを握ったまま上空高くから声を張る。

「さぁ!両選手フィールドに上がってください!
これから始まる腐肉と金属の狂宴に打ち勝つ勝者を決めるために!」

 凛とした声が響き渡り、それと同時にどこからか集まってきた異形の観客たちが
わっと歓声を上げた。どうやら、こちらの世界でもデュエルは大きなエンターテイメントの
一種らしい。とはいえ、この盛り上がりは少々怖いものがあった。

「「デュエル!」」

1ターン目

 先行のランプがともったのは水蓮燈。
手札を5枚ざっと見まわした後に、静かに口元を歪めて、
赤い紅玉のような瞳を捻じ曲げたような笑顔で口を開く。

「私は手札から、ギミック・パペット‐死の木馬を通常召喚するわ!」

 集まった無数の人型の手足が絡み合い、馬のような形に変化する。

ギミック・パペット―死の木馬
☆4 闇
攻1200
守2000
機械族効果:自分のメインフェイズ時に、フィールド上の
「ギミック・パペット」と名のついたモンスター1体を選択して発動できる。
選択したモンスターを破壊する。
この効果はこのカードがフィールド上に表側表示で存在する限り1度しか使用できない。
また、このカードがフィールド上から墓地へ送られた時、
手札から「ギミック・パペット」と名のついたモンスターを2体まで特殊召喚できる。

「私はさらに死の木馬の効果を発動!
フィールド上に存在する、ギミック・パペットモンスター1体を破壊する!
私はその効果で死の木馬を破壊!」

「おおっと!ここで自らのモンスターを破壊!?
そりゃ当然、1ターン目ですから自分のモンスターしかいないわけですが、
この人形、頭おかしいんでしょうか!馬鹿なんでしょうか!
自信満々に自分のモンスター破壊するとか、意味わかってやってるんでしょうか!!」

「解ってやってるに決まってるわよ!!
更に破壊した死の木馬の効果によって、手札からボムエッグと
マグネ・ドールを特殊召喚!」

 関節部分が磁石によって脱着可能な骸骨のような頭部の人形と、
卵から四肢が生えた、金髪の巻き髪の人形が現れる。

ギミック・パペット―マグネ・ドール
☆8 闇
攻1000
守1000
機械族効果:相手フィールド上にモンスターが存在し、
自分フィールド上に存在するモンスターが
「ギミック・パペット」と名のついたモンスターのみの場合、
このカードは手札から特殊召喚できる。

ギミック・パペット―ボム・エッグ×3
☆4 地
攻1600
守1200
機械族効果:自分のメインフェイズ時に
手札から「ギミック・パペット」と名のついたモンスター1体を捨て、
以下の効果から1つを選択して発動できる。
「ギミック・パペット−ボム・エッグ」の効果は1ターンに1度しか使用できない。
●相手ライフに800ポイントダメージを与える。
●このカードのレベルはエンドフェイズ時まで8になる。

「さぁ、いきなり二体のモンスターが展開されたわけで、
ここからギミック・パペットお得意のエクシーズ、と行きたいところですが、
見てくださいこのデク人形!レベルを間違っております!4と8では
エクシーズすらできません!せめて、ほかのレベル8モンスターでも呼べば
良かったものを、馬鹿です、馬鹿がいます!!」

 マイク片手に捲し立てる文を睨み付けながら、
水蓮燈がブチッっと何かが切れた音をさせたのを、サラサは聞いていた。

「・・・ああもう!!最後まで黙ってみてなさいよ、この等辺朴!!
私はさらに、ボムエッグの効果を発動!
手札のギミック・パペット―ネクロドールを墓地へ送り、
このカードのレベルを8にするわ!」

 ボムエッグが胸と思しき場所に手を当てて静かに会釈をする。
これで同じレベルのモンスターが2体そろったことになるが・・・。

「1ターン目で出すとしたらフェルグラ騎士かしら?」

 朝倉の言葉に、ふむ。と可奈は腕を組んでから答えた。

「・・・普通なら、な。水蓮はどちらかというとサラサと同じタイプだ。
勝ちを狙うのは狙うが、安定より浪漫を優先する悪癖がある」

「・・・つまり、ここで呼び出そうとしてるのはフェルグラや
まかり間違ってもヘブンズ・ストリングスとかじゃなくて」

「ああ」

 そこまで可奈が言った瞬間、水蓮燈がさらに、と声を上げた。

「墓地からネクロドールの効果発動!
墓地のギミックパペットモンスターを1体ゲームから除外して、
墓地からネクロドールを蘇生!」

 墓地から引きずり出された黒い棺。その棺のふたが開き、その奥から
顔の半分に包帯を巻いた少女の人形が向くりと起き上がった。

ギミック・パペット―ネクロ・ドール
☆8 闇
攻   0
守   0
機械族効果:このカードが墓地に存在する場合、
このカード以外の自分の墓地の「ギミック・パペット」と名のついた
モンスター1体をゲームから除外して発動できる。
このカードを墓地から特殊召喚する。
「ギミック・パペット−ネクロ・ドール」の効果は1ターンに1度しか使用できない。
また、このカードをエクシーズ召喚の素材とする場合、
「ギミック・パペット」と名のついたモンスターのエクシーズ召喚にしか使用できない。

「私は、この三体のモンスターで・・・オーバーレイ!!
三体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚!」

 天に輝く88の数字、さらにそれに連なるように現れた獅子の頭を持つ
巨大な人型の人形。

「百獣の王の頭を掲げし人形、勝利の運命を我が手に導け!
現れろ、No.88ギミック・パペット‐デステニー・レオ!」

No.88ギミック・パペット‐デステニー・レオ
ランク8 闇
攻3200
守2300
機械族エクシーズ/効果:レベル8モンスター×3
1ターンに1度、自分の魔法&罠カードゾーンにカードが存在しない場合に発動できる。
このカードのエクシーズ素材を1つ取り除き、このカードにデステニーカウンターを1つ置く。
この効果を発動するターン、自分はバトルフェイズを行えない。
このカードにデステニーカウンターが3つ乗った時、このカードのコントローラーはデュエルに勝利する。


「どうあがいてもコイツを最優先するだろうな」

「・・・う、うわぁ」

 それを見た朝倉がああ、コイツもなのかとつぶやいて頭を押さえてみせる。

「私はデステニー・レオの効果を発動!
オーバーレイユニットを一つ取り除き、このカードにカウンターを一つ置くわ!!」

No.88ギミック・パペット―デステニー・レオ:3−1=2
デスてにーカウンター:0→1

「そして私はターンエンドよ!」

水蓮燈手札残:1枚
メンテ
Re: 駒学園の追走St.3−1 ( No.6 )
日時: 2016/02/14 07:27
名前: さくら

5章

「さぁ!さぁ!さぁ!!1ターン目からいきなりのランク8モンスターの
お出ましに、会場どよめいております!
当たり前です!特殊勝利条件もちとはいえ、伏せカードすらない状態で
馬鹿デカいだけのモンスターを晒すプレイング!まるで!全然!観客を
魅了するには程遠いんだよねぇ!!」

「うるさぁあああああああああああいっ!!」

 上空で騒ぎ立てる文に対して、地上で水蓮燈が大声で文句をのたまう。
確かに、一々うるさい。だが、彼女のいうことももっともだと可奈は思う。

「1ターン目から大型モンスター。攻撃宣言を行えないからでこそ、
戦闘を介することなく相手にあと2ターンの重圧をかける。たしかに
悪くないんだが・・・」

「そうね。序盤だと手札に除去も来にくいだろうし、なにより
戦闘破壊なんて当然不可能に近い。序盤からあと2ターン以内で
決着を強いることで相手にプレッシャーをかけること自体はできるわ。
・・・相手が、あのサラサじゃなければね」

 朝倉の言葉に、可奈はそうだな、と苦笑を漏らした。
みれば、サラサはこの状況を受けて何を考えるというよりはもうすでに、
あれをブッ飛ばしてワンキルぶちかます手札があると言いたげな顔だったからだった。

2ターン目
「私のターン、ドロー!あと0ターンか・・・ワクワクしてきたわ」

「・・・は?」

 サラサの言葉に水蓮燈が呟いた。しかしサラサはそれにこたえることなく、
手札を1枚場に出した。

「私は手札から、融合を発動!
手札の闇より出でし絶望と、馬頭鬼で融合召喚よ!」

「・・・その素材はドラゴネクロ!?」

 水蓮燈が目を見開く。
ドラゴネクロの効果は相手モンスターを戦闘破壊させずに、攻撃力を0にする効果。
そして、その数値と同じ数値の攻撃力のトークンを呼ぶというものだ。
ドラゴネクロ自体の攻撃力はデステニー・レオより低いが、
その効果で攻撃力が0になり、ダイレクトアタックに等しいダメージが発生するのだ。

「闇の底より甦りし絶望よ、馬の頭を持つ獄卒の鬼よ!
今ここに一つと交わりて、新たな力と姿をなさん!
融合召喚!二体の亡者の魂が冥界の主を呼びさます!!
冥界の扉を破り現れよ!!冥界龍ドラゴネクロ!!」

冥界龍ドラゴネクロ
☆8 闇
攻3000
守   0
ドラゴン族融合・効果:アンデット族モンスター×2
このカードは融合召喚でのみエクストラデッキから特殊召喚できる。このカードと戦闘を行うモンスターはその戦闘では破壊されない。
また、このカードがモンスターと戦闘を行ったダメージステップ終了時、そのモンスターの攻撃力は0になり、
そのモンスターの元々のレベル・攻撃力を持つ「ダークソウルトークン」(アンデット族・闇・星?・攻?/守0)1体を
自分フィールド上に特殊召喚する。「冥界龍 ドラゴネクロ」は自分フィールド上に1体しか表側表示で存在できない。

「さらに!!墓地の馬頭鬼の効果発動!このカードをゲームから除外し、
墓地のアンデット族モンスター1体を特殊召喚!甦れ・・・闇より出でし絶望よ!!」

 サラサの影が大きく伸びる。その尾田影の中から現れた
巨大な悪魔。その悪魔は丸太のような腕をサラサの前に回し、彼女を
かばうように立ちはだかる。

闇より出でし絶望
☆8 闇
攻2800
守3000
アンデット族効果:このカードが相手のカードの効果によって手札またはデッキから墓地に送られた時、
このカードをフィールド上に特殊召喚する。

「そして手札から、トレード・インを発動!手札の銀河眼の光子竜を墓地へ送り、
デッキから新たにカードを2枚ドローする!!」

トレード・イン
魔法
手札からレベル8モンスター1体を捨てて発動できる。
デッキからカードを2枚ドローする。
サラサ手札:1+2=3

「ラストォ!手札から死者蘇生を発動!!」

死者蘇生
魔法
相手か自分の墓地にあるモンスター1体を選択して、自分フィールド上に特殊召喚する。

 天に上ったアンクから落ちてきた十字架をひっつかんだサラサが、
それを空高く放り投げて叫ぶ。

「闇に輝く銀河よ、希望の光になりて我が僕に宿れ!光の化身、
ここに降臨!現れろ、銀河眼の光子竜!!」

 十字架を中心にして現れた星屑の相貌を光らせる巨竜。
その姿に誰もが唖然と口を開いていた。

銀河眼の光子竜
☆8 光
攻3000
守2500
ドラゴン族効果:このカードは自分フィールド上に存在する
攻撃力2000以上のモンスター2体をリリースし、
手札から特殊召喚する事ができる。
このカードが相手モンスターと戦闘を行うバトルステップ時、
その相手モンスター1体とこのカードをゲームから除外する事ができる。
この効果で除外したモンスターは、バトルフェイズ終了時にフィールド上に戻る。
この効果でゲームから除外したモンスターがエクシーズモンスターだった場合、
このカードの攻撃力は、そのエクシーズモンスターを
ゲームから除外した時のエクシーズ素材の数×500ポイントアップする。

「・・・うっそぉ」

 水蓮燈がそうつぶやいた。サラサはさらに手札を一枚、ディスクに差し込んだ。

「手札から、オーバーレイ・リジェネレートを発動。
この効果で、デステニー・レオの素材を一つ回復させる」

オーバーレイ・リジェネレート
魔法
フィールド上に存在するエクシーズモンスター1体を選択して発動できる。
このカードを選択したモンスターの下に重ねてエクシーズ素材とする。
No.88ギミック・パペット―デステニー・レオ素材2→3

「・・・終わったな」

「ええ、終わったわね」

 そこまでの展開を見ていた可奈が呟いた。それにしてもよくもまぁ、ここまで
ガン回せるものだ。朝倉もそう思いながら彼女の言葉にうなずいた。

「私は!3体のレベル8モンスターでオーバーレイ!!」

 サラサの言葉とともに、閃光へと姿を変えたモンスターたちが
一つに交わり、その姿を巨大な槍へと変える。そのやりを掴んだサラサは、
構えたそれを天高く打ち上げた。

「逆巻く銀河よ、今こそ怒涛の光となりてその姿を現すがいい!!
降臨せよ、わが魂!超銀河眼の光子龍!!」

超銀河眼の光子龍
ランク8 光
攻4500
守3000
ドラゴン族エクシーズ/効果:レベル8モンスター×3
「銀河眼の光子竜」を素材としてこのカードがエクシーズ召喚に成功した時、
このカード以外のフィールド上に表側表示で存在するカードの効果を無効にする。
1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除いて発動できる。
相手フィールド上のエクシーズ素材を全て取り除き、
このターンこのカードの攻撃力は取り除いた数×500ポイントアップする。
さらに、このターンこのカードは取り除いた数まで1度のバトルフェイズ中に攻撃できる。

「出た嗚呼!浪漫カードの代名詞、ギャラクシーでも1枚入るかどうかが怪しい
カード!こんなもん入れるんならプライムフォトン増やせよとか突っ込んじゃだめだぞ!
ちなみにこの展開だと、まともな戦術を与えるなら、
光子龍王を絶望と光子竜でエクシーズ、ドラゴネクロを特攻させて攻撃力を
0にし・・・ちなみにトークンはエクシーズ相手だと出ないぞ!?
その後、光子龍王で攻撃し、効果を発動。ランクの合計×200つまり、
16×200で3200アップの7200ダイレクトということになりますかね?」

 出てきたカードを見てマイクに向かって唾を吐きながら吠える文。
それを聞きながら、そっかー、トークン出来ないんだなぁと思うサラサ。

「超銀河眼の効果発動!銀河眼の光子竜を素材とした時、
このカード以外の表側表示で存在するカードの効果をすべて無効化する!
フォトンハウリング!!」

 超銀河眼の光子龍の方向がデステニー・レオを襲い、その力を無力化する。さらに、
その首の一つが自らのオーバーレイユニットを一つかみ砕いた。

「そして、このカードの効果でオーバーレイユニットを一つ取り除き、
相手フィールド上に存在する、オーバーレイユニットをすべて取り除き、
その枚数×500ポイント、攻撃力を上げて、その数だけ攻撃宣言を行う!!」

「デステニー・レオの素材は3つ。攻撃力1500アップで6000。
その3回攻撃・・・なるほど、伏せカードすら出さなかった段階で、
完全に積んでいたわけですか」

「この感じからすると、どうやら初めから手札には素材となるカードの
大半を握り込んでいたようでありますな。いやはや。可奈殿から聞いていたとは
いえ、何という引きの強さでありましょう。あれをやられては、いかにセリスでも
きついかもしれないでありますな」

 そういいながらふむ、とつぶやく着物の女性、メノアと
長い髪の女性、セリス。浪漫堂サイドからデュエルを
見ていた二人は今逆ワンキルをぶちかまされているチームメイトを見て
・・・特にメノアは重そうに頭を押さえていた。

「バトルフェイズ!超銀河眼の光子龍でデステニー・レオを攻撃!
アルティメット・フォトンストリーム第一打ぁ!!」

 超銀河眼の光子龍の口から吐き出された一撃がデステニー・レオを捉える。
その一撃はデステニー・レオの素体を貫通し、背後にいた水蓮燈を肉薄した。

超銀河眼の光子龍攻6000○
No.88ギミック・パペット―デステニー・レオ攻3200×→墓地
水蓮燈LP8000−2800=5200

「ぐぅうう・・・」

「まだまだぁ!アルティメット・フォトンストリーム第二打ぁ!!」

水蓮燈LP5200−6000=−800

「・・・うっそだぁ」

「デュエル終了ぅうううっ!勝者、サラサ・ゼルとニア・ハースケルト!!
逆ワンキルでございます!1ターンで最高レベルモンスター3体のエクシーズを
やり返し、さらに逆ワンキルを決めて勝利を手にしましたこのダンピーラーに、
皆さま生ぬるい視線と生暖かい拍手をお願いします!」

「何そのうれしくない拍手と視線!?」

 そんなことを口にしながら帰ってくるサラサ。おつかれ、と肩を
たたいてやると、彼女はうれしそうに笑った。

「いやぁ。ここのところ勝てなかったからさ。実際うれしいよね、
特に大会とかだとさ」

「まぁ、そうかもね。・・・さて、次のデュエルは誰が当たるかしら?」

 ランダムだったわよね、決定は。朝倉がそういいながら上空を舞う文を
顧みる。文はその朝倉の視線に気が付いたのか、こちらにウィンクを返しながら
声高らかに次のカードを宣言する。

「さあ!続いての対戦は・・・二枚の籤をドロー!
・・・ドローしたのは雛沢可奈と・・・クレシスの二人!!」

 対戦相手の名前を聞いた可奈は眉をひそめた。厄介な相手と当ったな、と。

「・・・まさか、お前と当るとはな」

 すでにディスクを構えてほかのメンバーの前に出てきているクレシス。
可奈より頭一個分ほどある長身に黒い外套を身にまとっている。

「・・・厄介、だな。お互いに・・・かなりきついデッキになりそうだ」

 そういいながらディスクを起動する可奈。その後、先攻後攻の
ランプがともったのはクレシス。

「「デュエル!!」」

1ターン目
「俺のターン・・・俺は風見幽香を攻撃表示で召喚!」

 クレシスの召喚したモンスター。赤と黒のチェック模様のベストとスカート、
緑色のくせっけと赤い瞳が特徴的な彼女は、日傘の先端を地面につけて
含み笑いを浮かべた。

風見幽香
☆4 地
攻1400
守1200
悪魔族効果:

「カードを2枚伏せて、ターンエンドだ」

クレシス手札残:2枚

2ターン目
「私のターン、ドロー!・・・私は手札から、馬頭鬼を攻撃表示で召喚!」

 可奈の場に地面を破って表れた馬の頭をした鬼。獄卒と呼ばれるそれは、
鼻息荒く手にした斧を振り下ろす。

馬頭鬼
☆4 地
攻1700
守 800
アンデット族効果:墓地に存在するこのカードをゲームから除外する事で、
自分の墓地からアンデット族モンスター1体を特殊召喚する。

「バトルだ!馬頭鬼で風見幽香を攻撃!」

 攻撃宣言を受けた馬頭鬼が手にした斧を幽香めがけてたたきつける!
・・・刹那、彼女の手にした傘が開き、斧の一線を受け止め、そのダメージを
吸収した。

「俺はドレインシールドを発動した。その効果で攻撃を無効化し、
その数値分のライフを回復する」

ドレインシールド

相手モンスター1体の攻撃を無効にし、そのモンスターの攻撃力分の数値だけ自分のライフポイントを回復する。
クレシスLP8000+1700=9700

「そしてこの瞬間、風見幽香の効果発動。
俺がライフを回復したことにより、デッキの一番上からカードを1枚手札に加える。
更に、このカードは俺のライフが相手より多い時、戦闘によって破壊されない」

風見幽香
☆4 地
攻1400
守1200
悪魔族効果:このカードがフィールド上に存在するとき、
このカードのコントローラーはライフポイントを回復するたびに、自分のデッキの1番上のカードを1枚手札に加える。
このカードのコントローラーのライフポイントが相手プレイヤーのライフポイントより多いとき
このカードは戦闘によって破壊されない。
クレシス手札残:2+1=3

「・・・カードを2枚伏せて、ターンエンドだ」
可奈手札残:3枚

「エンドフェイズ、俺は伏せていた神の恵みを発動。
次のターン以降、カードをドローするたびにライフを回復する」

神の恵み
永続罠
自分がカードをドローする度に、自分は500ライフポイント回復する。


「・・・ってことは神の恵みと幽香の効果で無限ループ!?」

 それを見ていたサラサがそう声を荒げる。
ドローフェイズ時に神の恵みでライフが回復すれば、幽香の効果で
デッキからカードを1枚手札に加える。これにより、再びライフが回復
すれば、無限にデッキからカードを手札に加えることができるのではないか、と
彼女は思ったらしい。

「ううん・・・デッキの一番上のカードを手札に「加える」だから、
幽香の効果で神の恵みの効果は発動しないけど・・・」

 実質、ドローフェイズに2ドローするカードであることに変わりはない。

「ライフ回復を行うデッキは手札の消耗が激しい・・・それを考えれば
幽香はいいカードよね」

 朝倉はそう言ってため息をついた。あのカードがいるということは、
おそらく夢幻世界デッキだろう。ということはだ・・・。

(あの悪魔もあのデッキに入っているはず・・・そのことは雛沢さんも
よく知ってるだろうけど、対策はあるの?)

 状況次第で、一方的に虐殺されるというのに・・・朝倉はそう思いながら
二人に目を向けた。
メンテ
Re: 駒学園の追走St.3−1 ( No.7 )
日時: 2016/03/16 05:32
名前: さくら

6章

3ターン目
「俺のターン、ドロー!
この瞬間、神の恵みの効果でライフが回復」

クレシスLP9700+500=10200

「さらに、幽香の効果でデッキの一番上のカードを1枚手札に加える」

「・・・もう前のターンに消費した手札の補充が完了している、か。
相変わらず幽香の効果に隙がない」

 その一連の流れを見て可奈が呟く。回復手段によってLPを確保し、
幽香を戦闘による破壊から守る。そしてそのために消耗した手札を
幽香の効果で常時補充する。隙の少ない動きだ。

「俺は手札から妖魔夜行を発動。
デッキからレベル4以下の闇属性モンスターを手札に加える」

妖魔夜行
魔法
デッキからレベル4以下の闇属性モンスター1体を選択し、
手札に加える。このターン、手札に加えたモンスターおよび、その
同名のモンスターの持つ召喚、反転召喚、特殊召喚された時に
発動する効果は無効化される。

「俺はデッキからエリーを手札に加える。さらに手札から、フィールド魔法、
夢幻館を発動する」

「・・・夢幻館?」

 これまで、クレシスとは幾度かデュエルしたことはあったがそこにいた誰もが
きいたことのないカードだった。

夢幻館
フィールド魔法
このカードがフィールド上に存在する限り、
自分フィールド上の悪魔族モンスターの攻撃力は500ポイントアップする。
1ターンに1度、デッキから悪魔族モンスター3体を選んで裏側表示で相手プレイヤーに公開する。
相手は、その中から1枚を選び、それ以外のカードは表にしてからデッキに戻す。
その後、選択されたカードを手札に加える。

「その効果により、悪魔族モンスターの攻撃力は500ポイントアップ。
これで、幽香の攻撃力は1900まで上がる」

風見幽香攻1400+500=1900

「さらに、手札からエリーを召喚」

 クレシスの場に新たに現れたモンスター。白い圓鍔帽をかぶり、赤いワンピース
に身を包んだ彼女の手には、逆刃の大鎌が握られていた。

エリー
☆4 闇
攻1800
守   0
悪魔族効果:このカードのコントローラーのライフポイントが相手のライフポイントを上回っていた場合、
このカードの攻撃力は500ポイントアップする。このカードが相手のカードの効果によって破壊される時、
手札を1枚捨てることで、その破壊を無効にしターン終了時まで攻撃力を100ポイントアップする。

「エリーは俺のライフが相手より高い場合、攻撃力が500ポイント上がる。
更に、このカードがカード効果によって破壊されるとき、手札を1枚捨てる
事で、破壊を無効にしてターン終了時まで攻撃力を100あげることができる」

エリー攻1800+500+500=2800

「・・・攻撃力、2800だと!?」

「バトルフェイズ、幽香で馬頭鬼を攻撃する」

 可奈の狼狽をよそに、フェイズを進めるクレシス。
幽香のゆったりとした動きとは裏腹な思い一撃が馬頭鬼のボディを捉え、
そのまま打ち上げた顔面めがけて痛烈なストレートが叩き込まれた。

風見幽香攻1900○
馬頭鬼攻1700×→墓地
可奈LP8000−200=7800

「エリーでダイレクトアタックだ」

 モンスターの居なくなったかなの場に一足飛びで踏み込んだエリーが大鎌を振り上げる!
 瞬間、可奈とエリーの間に現れたカードの壁が攻撃を受け止め弾き飛ばした。

「・・・リバースカード、ガードブロックを発動した。相手からのダメージを
無効化し、デッキからカードを1枚ドローする」

ガードブロック

相手ターンの戦闘ダメージ計算時に発動することができる。
その戦闘によって発生する自分への戦闘ダメージは0になり、自分のデッキから
カードを1枚ドローする。
可奈手札残:3+1=4枚

「俺はカードを1枚セットして、ターンエンドだ」
クレシス手札残:2枚

4ターン目
「私のターン、ドロー!」

 ドローカードを顧みる。
現状、あの二枚を突破できる手札はない。あれを突破するにはもう1ターンが
必要か。

「モンスター1体をセットして、ターンを終了する」

可奈手札残:4枚

5ターン目
「俺のターン、ドロー!この瞬間、神の恵みの効果でライフが回復し、
幽香の効果で1枚カードを手札に加える」

クレシスLP10200+500=10700
クレシス手札:3+1=4

「俺は手札からくるみを攻撃表示で召喚する」

 クレシスの場に長い金髪を翻しながら現れた少女。鋭い牙を
見せつけながら笑うその背中には、身の丈と同じくらいの大きな翼があった。

くるみ
☆2 闇
攻1700
守   0
悪魔族効果:このカードは召喚したターンには攻撃することができない。
このカードが戦闘によって相手モンスターを破壊した時、このカードのコントローラーは
ライフポイントをこのカードの攻撃力の半分回復する。

くるみ攻1700+500=2200

「くるみは召喚ターンに攻撃宣言を行うことはできない。
バトルだ。幽香で守備表示モンスターを攻撃する」

風見幽香攻1900○
ピラミッド・タートル守1400×→墓地

「ピラミッド・タートルの効果を発動!
デッキから守備力2000以下のアンデット族モンスター1体を特殊召喚する!
私はデッキからピラミッド・タートルを守備表示で特殊召喚!」

 幽香の薙ぎ払ったピラミッドのような甲羅を背負った巨大な亀。
その亀の甲羅が砕けると、その中から新たに、ピラミッド型の甲羅を
背負ったカメが現れた。

ピラミッド・タートル
☆4 地
攻1200
守1400
アンデット族効果:このカードが戦闘によって墓地に送られた時、
デッキから守備力2000以下のアンデット族モンスター1体をフィールド上に
特殊召喚する事ができる。その後デッキをシャッフルする。

「ほう・・・リクルーターか。何を狙っているかは知らんが、
乗ってやろう。エリーでピラミッド・タートルを攻撃!」

 一足飛びに間合いに飛び込んだエリーが降りぬいた大鎌の一撃が
下段から振り上がってピラミッド・タートルを引き裂いた。

エリー攻2800○
ピラミッド・タートル守1400×→墓地

「ピラミッド・タートルの効果発動!
デッキから地獄の門番―イル・ブラッドを特殊召喚!!」

地獄の門番イル・ブラッド
☆6 闇
攻2100
守 800
アンデット族・デュアル:このカードは墓地またはフィールド上に表側表示で存在する場合、
通常モンスターとして扱う。
フィールド上に表側表示で存在するこのカードを通常召喚扱いとして再度召喚する事で、
このカードは効果モンスター扱いとなり以下の効果を得る。
●1ターンに1度、手札・自分または相手の墓地に存在するアンデット族モンスター1体を
特殊召喚する事ができる。
この効果は1ターンに1度しか使用できない。
このカードがフィールド上から離れた時、この効果で特殊召喚したアンデット族モンスターを
破壊する。

「・・・なるほどな。カードを1枚伏せてターンエンドだ」
クレシス手札残:2枚

5ターン目
「私のターン、ドロー!
私は、イル・ブラッドの効果を発動!このカードを再召喚状態にして、
子のモンスターを効果モンスターとして扱う!そして、イル・ブラッドの
効果発動!手札、または墓地からアンデット族モンスター1体を
特殊召喚する!」

 イル・ブラッドの体を分かつ部分が大きく開く。その奥から同じく囚人
服を着た巨大な死体が現れる。

「手札から、イル・ブラッドを特殊召喚する!そして、この2体で・・・
オーバーレイ!!」

 二体のイル・ブラッドの姿が重なり、一つと交わって姿を変える。

「現れろ、No.39!人が希望を超え、夢を抱くとき、遥かなる彼方に、
新たな未来が現れる!」

 可奈の場に現れたNo39.希望皇ホープの周囲に新たな装甲が追加装備
されていき、新たな姿へと生まれ変わる。

「限界を超え、その手につかめ!No.39希望皇ビヨンド・ザ・ホープ!!」

No.39希望皇ビヨンド・ザ・ホープ
ランク6 光
攻3000
守2500
戦士族エクシーズ・効果:レベル6モンスター×2
このカードはルール上、「希望皇ホープ」と名のついたカードとしても扱う。
このカードがエクシーズ召喚に成功した時、
相手フィールド上の全てのモンスターの攻撃力は0になる。
1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除いて発動できる。
自分フィールド上のエクシーズモンスター1体を選択して除外し、
自分の墓地の「希望皇ホープ」と名のついたモンスター1体を選択して特殊召喚する。
その後、自分は1250ライフポイント回復する。
この効果は相手ターンでも発動できる。

「このカードのエクシーズ召喚成功時、
相手フィールド上に存在するモンスターの攻撃力を0にする!!」

エリー攻2800−2800=0
幽香 攻1900−1900=0
くるみ攻2200−2200=0

「・・・っちぃ!」

「バトルだ!ビヨンドでエリーを攻撃!
ホープ剣・ビヨンド・ザ・スラッシュ!!」

エリー攻0×→墓地
No39.希望皇ビヨンド・ザ・ホープ攻3000○
クレシスLP10700−3000=7700

「カードを2枚伏せて、ターンエンドだ!」
可奈手札残:3枚

6ターン目
「俺のターン、ドロー!
神の恵みの効果でライフを回復。そして幽香の効果で1枚を手札に加える」

クレシスLP7700+500=8200
クレシス手札残:3+1=4

「俺は手札から幽香を攻撃表示で召喚!」

「・・・幽香だと?」

 クレシスの場に新たに現れた二体目の幽香。一体目とは異なる長く
伸びたくせっ毛を揺らして小首をかしげている。

「そして俺は幽香二体でオーバーレイ!二体のモンスターでオーバーレイ
ネットワークを構築。エクシーズ召喚!」

 二体の幽香が傘を重ね、その二つの姿が先行とともに重なり合う。

「現れろ、ランク4!夢幻の館の守護者・・・眠れる恐怖!」

眠れる恐怖
ランク4 闇
攻   0
守   0
悪魔族エクシーズ・効果:レベル4悪魔族モンスター×2
このカードの攻撃力、守備力はこのカードのコントローラのライフポイントから
相手プレイヤーのライフポイントを引いた値に等しい。
このカードは相手よりライフポイントが2000以上多い場合、魔法・罠カードの効果の対象にならない。
エクシーズ素材を1つ取り除くことで、相手の手札をランダムに1枚選んで墓地に捨てる。その後、自分のライフを
1000ポイント回復する。この効果は1ターンに1度しか発動することはできない。

 日傘を開いた幽香と、その隣に立つエリー。二人の顔には笑みが張り付き、
その薄ら笑いにはひそかな恐怖が眠っていた。

「このカードの攻撃力は相手とのライフポイントの差分の数値が攻撃力
となる。まあ、今はフィールド魔法込みで900ポイントだな」

眠れる恐怖攻/守0+400+500=900

「そして、眠れる恐怖の効果発動!オーバーレイ・ユニットを
一つ取り除き、相手の手札を1枚墓地へ送り、その後ライフを1000
ポイント回復する」

 エリーの振りかざした大鎌がオーバーレイ・ユニットを切り裂き、
その一撃の余波が可奈の手札を一枚吹き飛ばす。

眠れる恐怖素材:2→1
可奈手札残:3−1=2
クレシスLP8200+1000=9200
眠れる恐怖攻/守 900+1000=1900

「くるみを守備表示にしてターンを終了する」

クレシス手札残:3枚

7ターン目
「私のターン、ドロー!」

 カードを引いて場を顧みる。こちらには攻撃力3000のビヨンド。
相手の場には攻撃力1900の眠れる恐怖と守備表示のくるみ。戦闘による破壊は容易だが、
相手の場に伏せカードが2枚・・・。

「・・・アレが攻撃反応系の罠だったら壊滅的なダメージね。ビヨンドを破壊されたら、
次のターン以降、ライフを回復されるたびに打点が上がるうえに、もう一つの
オーバーレイ・ユニットを取り除かれるて手札を1枚捨てさせられてライフを
1000ポイント回復される。少なくとも、1ターンに1500ポイントの
攻撃力上昇を許すことになるわね」

 朝倉の言葉が聞こえて可奈はそうだな、と心中で思った。とはいえ、手札に
伏せカードを除去できるカードもない。むざむざここでターンを終えても、
次のターンに3400に攻撃力が上がるのであれば、ここでたたいておくべきか。

「そう、だな。・・・バトルフェイズ!ビヨンドで、眠れる恐怖を攻撃!!」

「攻撃宣言に対して、俺は伏せカードホーリージャベリンを発動!」

ホーリージャベリン

相手モンスターの攻撃宣言時に発動する事ができる。
その攻撃モンスター1体の攻撃力分だけ自分のライフポイントを回復する。

「っく!!」

「これにより、俺のライフはビヨンドの攻撃力分回復し、
そして、眠れる恐怖チームの攻撃力も3000ポイント上がる!」

クレシスLP9200+3000=12200
眠れる恐怖攻/守1900+3000=4900○
No39.希望皇ビヨンド・ザ・ホープ攻3000×→墓地
可奈LP7800−1900=5900

「この瞬間、眠れる恐怖の効果発動。ダメージにより、ライフ差が
開いたことで、攻撃力がアップする」

眠れる恐怖攻/守4900+1900=6800

「・・・カードを1枚伏せてターンエンドだ!」
可奈手札残:2枚
メンテ
Re: 駒学園の追走St.3−1 ( No.8 )
日時: 2016/10/04 05:53
名前: さくら

7章

8ターン目
「俺のターン、ドロー。そしてライフが回復し、
眠れる恐怖の攻撃力が上がる」

クレシスLP11200+500=11700
眠れる恐怖攻/守6800+500=7300

「そして眠れる恐怖の効果発動!
オーバーレイ・ユニットを一つ取り除き、相手の手札を
1枚墓地へ送り、その後ライフを1000ポイント回復する!」

 エリーの大鎌が、周囲を回るユニットを切り裂き、その衝撃が可奈の手札を
吹き飛ばす。

可奈手札残:2−1=1
クレシスLP11700+1000=12700
眠れる恐怖攻/守7300+1000=8300

「・・・この瞬間、墓地に送られた魔力の供給の効果発動!
このカードがカードの効果によって墓地に送られた時、お互いにデッキから
カードを弐枚ドローする。そしてこのターン、バトルフェイズを行えない!」

魔力の供給
魔法
このカードが墓地へ送られた時、
お互いにデッキからカードを2枚ドローする。
このターン、バトルフェイズを行う事は出来ない

可奈手札残:1+2=3枚
クレシス手札残:7枚
クレシスLP12700+500=13200
眠れる恐怖攻/守8300+500=8800

「ならば俺は、カードを2枚伏せてターンエンドだ」

クレシス手札残:5枚

9ターン目
「私のターン、ドロー!」

 クレシスが眠れる恐怖の効果を使ったことで、相手ターンの
攻撃をしのぐことに成功した可奈。しかし、フィールドは伏せカードが4枚。
クレシスの場には攻撃力が0のくるみ、そして攻守が8300の
眠れる恐怖。そして同じく伏せカードが4枚・・・。
 セットカードの枚数は同じだが、盤面の突破力としては相手に
完全にゲームを掌握されている状態である。

(・・・こちらのライフポイントは5900。
クレシスさんのライフは13200、眠れる恐怖はこちらのライフと相手の
ライフポイントの差の数値で攻撃力と守備力が決定する・・・。そして、
相手のライフがこちらより2000ポイント以上上の場合、魔法、罠カードの効果の
対象にならない・・・)

 しかし効果モンスターの効果の対象にはなる。かなのExデッキには
ダークエンド・ドラゴンがいる。あのカードは攻撃力を下げることで、
相手の場のモンスター1体を墓地へ送る効果を持っている。
破壊を介さないことで、破壊する効果に対して発動するカウンターを
気にしないでいい利点はある、が・・・・。

(伏せカードが闇の幻影であった場合、効果を無効化されて破壊されてしまう
リスクがある。挙句、そうなってしまった場合こちらの伏せカードを全て
駆使しても、大ダメージを負う可能性を否定できない)

 とはいっても、だ。可奈の手札から逆転手を繰り出すには
Exデッキを駆使するしかないというのが現状である。
可奈はそう思いながら墓地のモンスター効果を発動した。

「墓地の馬頭鬼の効果発動!このカードをゲームから除外し、
墓地のアンデット族モンスター1体を特殊召喚する!
私は墓地から、イル・ブラッドを蘇生!!」

 彼女の言葉に従い、墓地からはい出てきた地獄の門番。そして、
その隣に舞い降りた翼をもった鳥人の姿があった。

「さらに私は手札から、霧の谷の戦士を攻撃表示で召喚!」

霧の谷の戦士
☆4 風
攻1700
守 300
鳥獣族・チューナー:このカードが自分フィールド上に表側表示で存在する限り、
このカードとの戦闘で破壊されなかったモンスターは、ダメージステップ終了時に持ち主の手札に戻る。

「・・・レベル6のイル・ブラッドに、レベル4の霧の谷の戦士を
チューニング!495年の時を経て今こそ漆黒の夜空へと羽ばたけ!」

 瞬間、閃光を切り裂き空に舞い上がる一人の少女。骨格のような翼に
クリスタルのような羽根を引っ提げた彼女は、真紅の瞳を爛と輝かせ、
牙をむき出しにして笑った。

「シンクロ召喚!現れろ、破壊の悪魔―フランドール・スカーレット!!」

破壊の悪魔―フランド−ル・スカーレット
☆10 闇
攻2800
守2500
悪魔族シンクロ・効果:チューナー+チューナー以外の闇属性モンスター1体以上
このカードは「吸血鬼」と名の付くモンスターとしても扱う。
このカードが特殊召喚に成功した時、フィールド上のカードを2枚まで破壊する事が出来る。
1ターンに1度、このカード以外の自分フィールド上のモンスター全てを破壊しその攻撃力の合計を
エンドフェイズまでこのカードの攻撃力とする事が出来る。
このカードがフィールドから離れた時、自分と相手は1000ポイントのダメージを受ける。

「フランドールの効果発動!!このカードが特殊召喚に成功した時、
フィールド上のカードを2枚まで破壊することができる!!」

『キュッとして、どかーん!!』

 可奈の効果発動の宣言とともに、くるみと、眠れる恐怖が破壊され、
クレシスの場にモンスターが消え去った。

「さらに、私は墓地の霧の谷の戦士とイル・ブラッドをゲームから除外し、
ダーク・シムルグを特殊召喚する!!」

 可奈の場に巻き起こる漆黒の風。その風を引きちぎるようにして現れた、
一羽の怪鳥。巨大な体を震わせながら、下品な声で哭きさけぶその頭には、
赤黒く穢れた愚者の宝冠が掲げられていた。

ダーク・シムルグ
☆7 闇
攻2700
守1000
鳥獣族効果:このカードの属性は「風」としても扱う。
自分の墓地の闇属性モンスター1体と風属性モンスター1体をゲームから除外する事で、
このカードを手札から特殊召喚する。
手札の闇属性モンスター1体と風属性モンスター1体をゲームから除外する事で、
このカードを自分の墓地から特殊召喚する。
このカードが自分フィールド上に表側表示で存在する限り、相手は
フィールド上にカードをセットする事ができない。

「・・・っく、まさかここまで一気に来るとはな」

 さすがにこれにはクレシスも若干驚いた声を出す。
フィールド上にカードがまるでない状態から、一瞬で攻攻撃力を誇る
二体のモンスターを並べ、さらに伏せカードを全て残している。
こちらにも同じ枚数のカードが伏せられているとはいえ、こちらが
形勢を逆転されたことに変わりはなかった。

「バトルフェイズ!!
フランドールでダイレクトアタック!!」

 フランドールの振り回した爪が一戦してクレシスを切り裂いた!

クレシスLP13200−2800=10400

「・・・この瞬間、俺はリバースカードを発動する!」

クレシスLP10400−3000=7400

「何っ!?」

 クレシスがそう宣言すると同時に、彼の場にふわりと少女が二人
降り立った。一人は青を基調とした半袖のシャツにひざ丈のスカート、
頭にホワイトプリマをかぶり、シャツとスカートの上に白いエプロンドレス
を着用しているメイドと、ピンクの長袖のシャツに、ロングスカート。
シャツの上に赤茶色のベストを羽織る、赤い大きなリボンで髪をまとめた大きな白い翼を持つ少女。
 二人は着地と同時に一人は腕を組み、もう一人は翼を翻して身を隠すようにして、
それぞれ守りの体勢に入った。

「俺が発動したカードは、エンパシー。こいつは、俺が2000ポイント以上の
戦闘ダメージを受けた時にライフを3000ポイント払うことで発動する。
デッキから、名称が異なる、テキストにお互いの名称を持つモンスターカードを
1枚ずつ選び、場に特殊召喚する。俺はその効果で、夢月と幻月を
守備表示で特殊召喚させてもらった」

エンパシー

このカードのコントローラーが、2000ポイント以上の戦闘ダメージを受けた時、
ライフを3000ポイント払う事で発動することができる。
デッキから互いの名称をテキストに含む、名称の異なるモンスターを2体選択して特殊召喚する。
このカードは1ターンに1度しか発動することはできない。

夢月
☆8 闇
攻2000
守2000
悪魔族効果:このカードが通常召喚に成功した時、デッキから「幻月」を1枚選択して守備表示で特殊召喚することができる。
このカードの攻撃力と守備力は自分フィールド上に「幻月」が存在する場合、2倍になる。
このカードが戦闘によって相手モンスターを破壊した場合、破壊したモンスターの攻撃力の半分のダメージを与える。
お互いのターンのエンドフェイズ時、自分フィールド上に「幻月」が存在しない場合、墓地から「幻月」を特殊召喚することができる。
その後、このカードのコントローラーはライフポイントに2000ポイントダメージを受ける。
この効果は1ターンに1度しか使用することはできない。

幻月
☆8 闇
攻2000
守2000
悪魔族効果:このカードが通常召喚に成功した時、デッキから「夢月」を1枚選択して守備表示で特殊召喚することができる。
このカードの攻撃力と守備力は自分フィールド上に「夢月」が存在する場合、2倍になる。
このカードが相手プレイヤーに戦闘ダメージを与えた場合、このカードの攻撃力の数値分、このカードのコントローラーは
ライフポイントを回復する。お互いのターンのエンドフェイズ時、自分フィールド上に「夢月」が存在しない場合、墓地から「夢月」を特殊召喚することができる。
その後、このカードのコントローラーはライフポイントに2000ポイントダメージを受ける。
この効果は1ターンに1度しか使用することはできない。

「夢月、幻月はともに悪魔族。夢幻館の効果で攻撃力と守備力が500ポイント上がる」

夢月攻/守2000+500=2500
幻月攻/守2000+500=2500

「そして、この二体はお互いがフィールド上に存在するとき、
その攻撃力と守備力を2倍にする」

「なっ・・・二倍だと!?」

『うっそ、なにアレ!あんなカードがあるの!?』

 その効果を聞いた可奈と、彼女の場にいたフランドールが声を荒げる。
・・・最も、驚愕を含む可奈のそれとは異なり、
彼女のそれはどちらかというと嬉々としたものだったが。

夢月攻/守2500×2=5000
幻月攻/守2500×2=5000

「・・・ターン、エンド」

可奈手札残:2枚


 フィールド上に君臨した双子の悪魔を顧みて、朝倉たちは生唾を飲んだ。
可奈の場にいるフランドールとダーク・シムルグの攻撃力を軽く上回り、
それだけでなく幻月は攻撃力分のライフゲインの効果を、夢月は破壊した
モンスターの攻撃力の半分の数値のダメージを相手に与える効果を持つ。
 さらに恐るべきはこの二体、どちらか片方でも場に残ればその直後には
墓地から片方を呼び戻す効果を持ことか・・・。

「何よアレ・・・どうやって突破すんのよ!?」

「・・・ブラックホールによる同時破壊を狙うのが一般的だとは思うけど」

 朝倉の言葉に、雷華が静かにそうつぶやく。しかしそれは相手も想定
しているだろう。あれだけの攻撃力を持つモンスターだ。
当然、戦闘による破壊はほとんど心配する必要もない。となれば、
警戒すべきは魔法、罠による除去だろう。

『多分あの伏せカードはほとんどあの二体をサポートするカードでしょうね。
それからおそらくは、ライフを回復して戦線を維持するカードか』

 これまでのカードの傾向を見てそうつぶやくカーミラ。確かにライフを
回復するカードは多く入っていそうだ。神の恵みを含めて埋まっている
魔法、罠ゾーンのカードを顧みながら、サラサは静かに可奈を見つめていた。

10ターン目
「俺のターン、ドロー」

クレシスLP7400+500=7900

「スタンバイフェイズ、リバースカード、魔封じの芳香を発動!」

魔封じの芳香
永続罠
このカードがフィールド上にある限り、魔法カードは一度フィールドにセットし、
次の自分のターンが来るまで使用できない。

 可奈の場に現れた禍々しい形相の巨大な香炉。その香炉から鼻につくあまい
香りが漂っている。

「ダーク・シムルグが存在することで、相手の魔法・罠カードの使用を封じる
コンボか。だが、現状としては遅いんじゃないのか?」

「いいや、ここで羽箒をドローされて使われるくらいなら、
ここで発動して少しでも相手の動きを鈍らせる。それに、ここで新しく
カードを伏せられて状況をこれ以上進められても困る」

 可奈はそうつぶやいてふふんと、笑う。クレシスはそれを見ながら
可奈の場を顧みる。攻撃力2800の破壊の悪魔―フランドール・スカーレット、
ダーク・シムルグ、そして魔封じの芳香に伏せカードが3枚・・・。
 伏せカードのうちの1枚くらいはおそらく攻撃に反応する罠カードだろう。
可奈のデッキとしては、およそプライドの咆哮あたりが妥当なところか。
最も、それだと夢幻月の蘇生効果で発動後がかなりきついと思うのだが。

「まぁ殴ってみればわかるか。俺は夢月で、フランドールを攻撃する!」

「永続罠、強制終了を発動!!その効果で、私はフランドールを墓地へ送り、
このターンのバトルフェイズを終了する!!」

強制終了
永続罠
自分フィールド上に存在するこのカード以外のカード1枚を墓地へ送る事で、
このターンのバトルフェイズを終了する。この効果はバトルフェイズ時にのみ発動する事ができる。

「ほう、わざわざフランドールを墓地へ送ってまでロックを維持するか。
しかし、そこはダムルグでもよかったんじゃないのか?」

「いいや、フランドールにはもう一つの効果がある。それは
フィールドから離れた時にお互いのプレイヤーに1000ポイントの
ダメージを与える効果だ」

 可奈のその言葉とともに、墓地へ送られたフランドールの持つ杖が振り回され、
その一撃が可奈とクレシスをかすめて消えた。

可奈LP5900−1000=4900
クレシスLP7900−1000=6900

「俺はこれでターンエンドだ」

「ならばここで、私はリビングデッドの呼び声を発動する!!」

リビングデッドの呼び声
永続罠
自分の墓地からモンスター1体を選択し、攻撃表示で特殊召喚する。
このカードがフィールド上に存在しなくなった時、そのモンスターを破壊する。
そのモンスターが破壊された時、このカードを破壊する。

「私が蘇生するのは破壊の悪魔―フランドール・スカーレット!!」

 リビングデッドの呼び声にこたえるように、地面から腕が突き出され、
そのまま大地に爪を立てて体を引きずり出してきたフランドール。
その相貌には爛々と赤黒い狂気が宿っていた。

「そしてフランドールの特殊召喚成功時に、相手フィールド上のカードを2枚まで選択して破壊することができる!!」

『きゅっとしてどかーん!ばぁい2!!』

 可奈の言葉と同時に、フランが夢月、幻月の破壊を試みる。
しかし、それを見越していたといわんばかりに、クレシスの場のカードが
翻った。

「俺は伏せていたかわいい悪魔を発動。このカードは、自分フィールド上に
存在する幻月が、破壊されるときに発動することができる罠カードだ。
幻月の破壊を無効化し、相手の場の魔法・罠カードを1枚選択して破壊する」

かわいい悪魔

自分フィールド上に表側表示で存在する「幻月」を破壊する効果が発動したときに発動することができる。
破壊を無効にし、その後、相手フィールド上の魔法、罠カード1枚を破壊する。
また、このカードが墓地の一番上に存在し、「幻月」が自分フィールド上に存在する場合、
自分フィールド上のモンスターの攻撃力を500ポイントアップする。

「さらに伏せカード、メイド幻想を発動!
このカードは自分フィールド上に存在する夢月が破壊されるときに発動し、
夢月の破壊を無効にし、相手の場のモンスターカードを1枚破壊する!」

メイド幻想

自分フィールド上に表側表示で存在する「夢月」を破壊する効果が発動したときに発動することができる。
破壊を無効にし、その後、相手フィールド上のモンスター1体を破壊する。
また、このカードが墓地の一番上に存在し、「夢月」が自分フィールド上に存在する場合、
自分フィールド上のモンスターは戦闘によって破壊されない

「・・・って、ことはメイド幻想の効果から処理されて、
そのあとに、かわいい悪魔の効果が処理される」

「最後にフランドールの効果が処理されて夢月、幻月が破壊される。のが
両方とも無効化されてしまうって感じね」

 サラサの言葉に続けて朝倉が応える。

「破壊を無効化したことで、二枚のカードの効果を発動!
メイド幻想の効果により、フランドールを破壊!」

 夢月の腕に魔力が宿りその一撃がフランの胸倉を抉り取り、そのまま
一瞬でたたき伏せる。

「そして、かわいい悪魔の効果により俺は強制終了を破壊する」

 幻月が、髪を梳くように腕を通す。そこから引き抜いた二本の髪に
力を宿し、槍状に姿を変えたそれが強制終了のカードを貫いた。

破壊の悪魔―フランドール・スカーレット×→墓地
リビングデッドの呼び声×→墓地
強制終了×→墓地

「この瞬間、フランドールの効果で、互いに1000ポイントの
ダメージを受ける!」

「かわいい悪魔は墓地の一番上に存在し、場に幻月が存在するとき
俺の場のモンスターの攻撃力を500ポイントアップする」

可奈LP4900−1000=3900
クレシスLP6900−1000=5900
夢月攻5000+500=5500
幻月攻5000+500=5500
クレシス手札残:6枚

11ターン目
「私のターン、ドロー!・・・私は手札から、ゾンビ・マスターを召喚!!」

 可奈の場に現れた死霊術師。その死霊術師の力に操られた
亡霊たちが、冥府の底からピラミッド・タートルを引きずり出した。

「ゾンビ・マスターの効果発動。手札を1枚墓地へ送り墓地から
アンデット族モンスター1体を選択して特殊召喚する」

ゾンビ・マスター
☆4 闇
攻1800
守   0
アンデット族効果:このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、
手札のモンスターカード1枚を墓地に送る事で、自分または相手の墓地に存在する
レベル4以下のアンデット族モンスター1体を特殊召喚する。
この効果は1ターンに1度しか使用できない。

「そして、この二体のモンスターで、オーバーレイ!!
二体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚!!」

 死霊術師と巨大な亀が交わり、その闇の中から巨大な竜が現れる。
下顎から巨大な牙を伸ばしたそれは天を見上げて大きく吠えた。

「漆黒の闇より愚鈍なる力に抗う反逆の牙!
今ここに降臨せよ!現れろランク4!ダーク・リベリオン・エクシーズドラゴン!!」

ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン
ランク4 闇
攻2500
守2000
ドラゴン族エクシーズ・効果:レベル4モンスター×2
@:このカードのX素材を2つ取り除き、相手フィールド上の表側表示モンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターの攻撃力を半分石、その数値分このカードの攻撃力をアップする。

「・・・ダベリオン?・・・そうか、攻撃力を半減させて
どっちか片方をふっ飛ばしたら次のターンに大きくライフを」

「いいえ、それだけじゃ足りないわ。2500程度のダメージじゃ、
エンドフェイズに夢月か幻月のどっちかが残っていて、ライフが2000
以上あれば墓地から特殊召喚される。しかも、特殊召喚されたモンスターの
効果は後出しの法則で一番最後に処理されて、
元の攻撃力2000+500(夢幻館)+500(かわいい悪魔)×2で
6000とかいう化け物が生まれるわ」

 サラサの言葉に朝倉はそう答える。つまり、両方を同時に吹き飛ばす必要が
あるのだというが・・・。

「私はダークリベリオンの効果を発動!
素材を二つ取り除き、相手の場のモンスター1体の攻撃力を半分にし、
その数値分、このカードの攻撃力を上げる!トリーズン・ディスチャージ!!」

 ダーク・リベリオンの翼の部分が開き、そこに周囲を旋回するユニットが
吸収される。そこから黒い波動のようなものが飛び、その一撃が幻月を
肉薄し、彼女の力を奪う。
 力を奪われた幻月は、苦々しげに顔を歪めながらカクンと膝を折った。

ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン攻2500+2750=5250
幻月攻5500÷2=2750

「さらに伏せていた地砕きを発動!
この効果で私は夢月を破壊する!!」

地砕き
魔法
相手フィールド上の守備力が一番高い表側表示モンスター1体を破壊する。

「このカードは相手フィールド上に存在する、守備力の一番高い
モンスターを破壊する、対象を取らないカード。
相手の場に守備力が同じモンスターがいる場合はこのカードのコントローラーが
その対象を決める!」

 天から振り下ろされた鉄槌が、夢月を打ち据え叩き潰した。

幻月攻2750÷2−500=825
夢月×→墓地

「!・・・また攻撃力が半減した?」

「そうか、あの攻撃力はフィールド魔法とかわいい悪魔、それから
夢月幻月それぞれがもつ攻撃力を倍にする効果があっての数値。
そのうちの片方が破壊されれば当然攻撃力はさらに落ちる・・・」

 そうなれば、二体の攻撃でこのターンでの決着も可能である。
可奈の狙いはこれか。ルルはそう思いながら静かに目を細くする。

「かわいい悪魔は場に幻月が存在し、そのカードが墓地の一番上にあるときにのみ
効果を発動するカード。上にカードがかさなればさらに攻撃力が落ちる。
いい判断だ」

「バトルフェイズ、ダベリオンで幻月を攻撃!
反逆のライトニング・ディスオベイ!!」

 飛翔したダーク・リベリオンがその牙で幻月を貫いたその時、
クレシスの場のカードが翻る。

「俺は速攻魔法、ミラクル・フルーツを発動した!
このカードの効果で、俺はこのカードの発動後に受けたダメージの二倍の
数値のライフをこのターン終了時に回復する!!」

ミラクル・フルーツ
速攻魔法
このカードが発動したターンのエンドフェイズ時に、発動後に受けたダメージの数値の2倍のライフポイントを回復する。

ダークリベリオン・エクシーズ・ドラゴン攻5250○
幻月攻825×→墓地
クレシスLP5900−4425=1425

「だが、エンドフェイズまでもたせはしない!!
ダーク・シムルグでダイレクトアタック!!」

 ダーク・シムルグが飛翔し、上空高くから滑空しその爪でクレシスを
襲う・・・瞬間、クレシスとダーク・シムルグの間に一体の悪魔が現れる。
悪魔は、その胴体についた振り子のような尾を振りその尾で腕と思しき
箇所にある鐘を鳴らしてその音でダーク・シムルグの攻撃を無効化した。

バトル・フェイダー
☆1 闇
攻   0
守   0
悪魔族効果:相手モンスターの直接攻撃宣言時に発動できる。
このカードを特殊召喚し、その後バトルフェイズを終了する。この効果で
特殊召喚したこのカードは、フィールドから離れた場合に除外される。

「・・・バトル・フェイダーだとぉお!?」

「そうだ、俺は手札のバトル・フェイダーを特殊召喚し、
お前のバトルフェイズを終了させる!」

「っく・・・カードを1枚伏せて、ターンエンドだ!!」

可奈手札残:0枚

「メインフェイズ2終了時、俺はリビングデッドの呼び声の効果を発動する。
その効果で、俺は墓地から夢月を特殊召喚する」

 クレシスのフィールドから白い腕が大地を突き破って生えてきて
その下から青を基調にした金髪のメイドが現れ、服についた土塊をはたき
落として、ケホケホと咽び込んでいた。

「そしてエンドフェイズ、ミラクル・フルーツの効果により俺は受けた
ダメージの2倍の数値、ライフを回復する」

クレシスLP1425+8850=9275

「そして、夢月の効果発動。
自分フィールド上にこのカードが存在し、幻月が存在しない場合、
墓地に存在する幻月を一体選択して特殊召喚する」

 夢月が手のひらを地面に向けると、そこに巨大な魔法円が展開し、
その魔法円の中心から薄桃色の長袖のシャツに包まれた腕が伸び
夢月がそれを引き抜くと、つられるようにして幻月が舞い戻った。
そして、その幻月が現れた魔力による衝撃がクレシスを襲う。

「その後、俺は2000ポイントのダメージを受ける。・・・が」

クレシスLP9275−2000=7275
夢月攻(2000+500)×2=5000
幻月攻(2000+500)×2=5000

「ミラクル・フルーツは発動後に受けたダメージすべてを対象とする。
よって、このエンドフェイズ更なるダメージが発生したことにより、
その数値の二倍、ライフを回復する」

クレシスLP7275+4000=11275


「ライフがこのターンだけで12850ポイントも回復してるですって!?
インチキ効果もいい加減にしなさいよ!!」

「確かに、ここまでくるとインチキくさい効果してるよねぇ。
S・H・Ark Knight初めてアニメで見た時も思ったけどここまでじゃなったし」

 朝倉の言葉にサラサはそう答えながらポリポリと顎を引っ掻いた。

「で、でも・・・まだダベリオンの方が攻撃力はうえだし・・・
雛沢さんの方が、まだ盤面的には有利だよね?」

「・・・何とも言いにくいわね」

 雷華の言葉に朝倉がそうつぶやいた。おそらく、相手もそれは想像しているだろう。


12ターン目
「俺のターン、ドロー!神の恵みの効果でさらにライフを500回復」

クレシスLP11275+500=11775

 手札を顧みながら、可奈のフィールドに目を走らせる。伏せカード1枚に、
攻撃力5250のダーク・リベリオン。さらに、攻撃力2700の
ダーク・シムルグ。狙うなら、シムルグだが・・・。

(可奈の伏せていたあのカード、前のターンに伏せられていたものを、
俺はプライドの咆哮だと呼んでいた。だが、発動したのは強制終了だった。
可奈のデッキは魔封じの芳香を組み込んだデッキの性質上、罠カードと
魔法カードの割合は罠カードの方がやや多い。そして、こちらにこの二体が
いる状態で、伏せるカード・・・いずれにしても、夢月幻月のままでは
少しつらいか?)

 ヘタにかわされて次のターンに大ダメージ、などという事態は避けた方がいいだろう。
単純に考えても、である。

「・・・俺は、場の夢月、幻月でオーバーレイ!!」

「何っ!?」

「攻撃力4000越えのモンスター2体を捨てて・・・
エクシーズ召喚ですって!?」

 可奈と朝倉が狼狽し、周囲もクレシスの行動を見て目を見開く。
通常なら、このまま二体で殴りかかればいいだけの話だ。それを、わざわざ
エクシーズ素材にしてしまう必要はない。

「このモンスターのX素材には攻撃力4000以上の悪魔族モンスターが
2体必要なんだよ。命を狩り獲る天使の翼よ、歯車を揺さぶりすべてを
狂わせロ!エクシーズ召喚、現れろランク8、夢幻の双子悪魔!!」

 クレシスの場にいた夢月と幻月が、それぞれのカードから一か所に移る。
背中合わせになって立っていたようだが、やがてお互いに少し距離を開けて、
しげしげとフィールドを見回した後「口を開いた」。

『ほぉう、今日の相手は誰かと思えば精霊付きのお嬢さんじゃない。
フランちゃん元気?あ、あと令裡とか言う吸血鬼も元気してる?』

『そういえば、さっきチラッと出てきてたわね。フランちゃん。
駄目よ、あの子割と物静かにしてると後が怖いんだから。ちゃんと
発散させてあげないと』

 そんなことを当然のように話す二人。それを見て、流石最高
ランクの精霊だな、と可奈は思う。普通なら、特定の能力のある
者にしか、声を聴かせることはおろか話す姿を見せることもできないはずだが、
この二体はさも当然のようにそれを行っているからだ。

夢幻の双子悪魔攻4000+500=4500

「バトルフェイズ、夢幻の双子悪魔でダーク・シムルグを攻撃!!」

 白い翼をはためかせた幻月と同時に駈け出した夢月。
その夢月が踏み込みからダーク・シムルグの腹部に拳がぶつかる瞬間。
その間に鈍く輝く障壁が現れ、夢月の拳を受け止める!

「リバースカード、オープン!!聖なるバリア―ミラーフォース―!!」

聖なるバリア−ミラー・フォース−

相手モンスターの攻撃宣言時に発動することができる。
相手フィールド上の攻撃表示モンスターをすべて破壊する。

「この効果で、相手フィールド上の攻撃表示モンスターをすべて破壊する!!」

『あっまいわぁああ!!』

 夢月の声が響く。夢月の周囲を回っていたオーバーレイユニットが消費され、彼女の拳がミラー・フォースをぶち破った。

「夢幻の双子悪魔の効果発動。このカードはオーバーレイ・ユニットを一つ取り除くことで、
このターンのエンドフェイズ時までこのカードは相手のカード効果を
受けない」

「何っ!?」

 さらにそれに続いて幻月が二つ目のユニットに手をかけ、その力を吸収し、
その力を開放して二人同時にダーク・シムルグの腹をそのこぶしでぶち抜いた。

「さらにダメージ計算時に、夢幻の双子悪魔の効果を発動。
このカードのオーバーレイ・ユニットを任意の数取り除き次の相手ターン終了時まで、
このカードの攻撃力を、取り除いた数だけ倍にする。よって」

夢幻の双子悪魔攻4500×2=9000

夢幻の双子悪魔
ランク8 闇
攻4000
守4000
悪魔族エクシーズ・効果:闇属性攻撃力4000以上のレベル8悪魔族モンスター×2
このカードのX召喚は上記のカード以外では行えない。
このカードがフィールド上に存在する場合、名称を「幻月」または「夢月」として扱う。
このカードにX素材がないターンのエンドフェイズ時、
このカードのコントローラーは3000ポイントのダメージを受ける。
その後、墓地から闇属性レベル8悪魔族モンスター2枚を選択し、このカードの下に重ねてX素材とする。
@このカードのX素材を一つ取り除いて発動する。このターンのエンドフェイズまで、このカードの攻撃力を2倍する。
また、このカードが守備表示モンスターを攻撃した時、攻撃力が守備力を上回っていれば、
その数値の差分のダメージを相手プレイヤーに与える。
AこのカードX素材を一つ取り除いて発動する。このターンのエンドフェイズ時までこのカードは
相手のカードの効果を受けない。

夢幻の双子悪魔攻9000○
ダーク・シムルグ攻2700×→墓地
可奈LP3900−6300=−2400


「きぃまりましたぁああああああああああっ!!
勝者クレシス!夢幻の双子悪魔は強かったぁ!」

 文の声が響き、可奈はヤレヤレとため息をついて踵を返した。

「可奈」

 その可奈に後ろからクレシスが声をかける。そのあと、デッキに
手をかけるとそこから4枚のカードを可奈に投げ渡した。

「ッ・・・これは」

「持っていけ。ここから先の戦いそいつらがいないと少し厳しいだろう」

 手渡されたカード4枚を見て、可奈はあきれたようにクレシスを見た。

「ちょっと待て、こいつ等渡されてもライフコストで私が死ぬ」

「いいじゃないか、お前のデッキの最大火力はダベリオンくらいだろう。
そうとなれば、こいつ等はいてもいいと思うが?」

「・・・考えてみます」

 可奈はそう言ってクレシスに背を向けるとそのままルルたちのもとに
戻っていく。

「雛沢さん?何のカードを渡されたの」

 そう聞いてくる朝倉に、可奈はため息交じりに手渡された4枚を見せた。
そこには、先ほど可奈に止めを刺したカードを含む、一式がおいてあった。

「え、えー・・・」

「確かに強力なモンスターだが、今のままの私のデッキだとコストが重すぎる」

 そういいながら深くため息をついた可奈を、後ろにいた令裡とフランドール、
そして・・・夢月と幻月の二人がケタケタと笑っていた。
メンテ
Re: 駒学園の追走St.3−1 ( No.9 )
日時: 2016/10/15 05:59
名前: さくら

8章

「さぁあ!盛り上がってまいりました第一回戦、今のところ
状況的には1勝1敗同士といった状態です!」

 上空で騒ぐ文をしり目に、可奈はすまんな。と朝倉達にわびた。
何言ってるのよ、と言って朝倉が肩をたたく。

「あなたのデッキパワーで勝てるデッキじゃないでしょ?
今は、もらったカードの組み合わせでものんびり考えてなさい」

 朝倉がそういった瞬間、上空の文がマイク片手に叫ぶ。

「それでは次のカードは・・・!!朝倉景子VSメノミリア・フィレル!!
ちなみに私は試合中はうるさいという理由でしのぶさまに怒られた
ので、試合ちゅだけは静かにしますがそれ以外では騒ぎ立てます!」

 そういいながらマイクを片手に騒ぐ彼女をしり目に、朝倉はデッキを見ていた。

「・・・」

 手にしているのは、最近作った作ったピーピングパーミを中心に
したデッキ。以前、リリカと戦った際に使用していたデッキだ。そして、
もう一つあるのはかつて作ったデッキで、そのデッキはあるカードが
使えなくなって以来、使うことのなかったデッキだった。

「そうね、たまにはあなたも暴れたいわよね」

「・・・朝倉?」

 そうぼやく彼女に可奈はキョトンと声をかけるが、朝倉は小さく笑って
デュエル場の方へと歩き出した。そこには、麻木色の着物を身にまとった、
おっとりとした雰囲気の女性が立っていた。

「まさか、貴方と戦うことになるなんてね」

「大会という場ですから、対戦相手に選ばれればそういうこともあると思います」

 さあ、始めましょう。彼女の言葉に朝倉はディスクに普段使っているデッキケースの
隣にあるケースからデッキを取り出してディスクにセットする。

「それでは、両者構えて・・・デュエル開始ぃいいいっ!!」

「「デュエル!」」

1ターン目
「私のターン、モンスター1体を守備表示でセット、
カードを3枚伏せてターンエンド!」

朝倉手札残:1枚

2ターン目
「ドローします。・・・朝倉さんのデッキはたしか、ピーピングパーミに
なっていたはず・・・つまり、伏せられているカードはカウンターとみるべきか」

 手札を顧みて、その中から一枚を抜き出し場に出す。

「私は手札から、竜の渓谷を発動」

 メノアの言葉と同時に、周りの景色が変わる。二人が立つ場所を囲うように
地面がせり上がり大きながけに囲まれ、その頭上を巨大な翼をもった
ドラゴンが飛び交っていた。

竜の渓谷
フィールド魔法
(1):1ターンに1度、自分メインフェイズに手札を1枚捨て、
以下の効果から1つを選択して発動できる。
●デッキからレベル4以下の
「ドラグニティ」モンスター1体を手札に加える。
●デッキからドラゴン族モンスター1体を墓地へ送る。

「私は手札のカーボネドンを墓地へ送り、デッキからダイヤモンド・ドラゴンを墓地へ送ります」

メノア手札:5−1=4
デッキ:ダイヤモンド・ドラゴン→墓地

「カーボネドンの効果を発動します。
このカードを墓地から除外し、デッキからレベル7以下のドラゴン族
モンスター1体を守備表示で特殊召喚します。
・・・デッキから、ダイヤモンド・ドラゴンを特殊召喚」

カーボネドン
☆3 地
攻 800
守 600
恐竜族効果:カーボネドンのAの効果は1ターンに1度しか使用できない。
@:このカードが炎属性モンスターと戦闘を行うダメージ計算時に発動する。このカードの攻撃力は
そのダメージ計算時のみ1000ポイントアップする。
A:自分メインフェイズに墓地のこのカードをゲームから除外して発動できる。
手札・デッキからレベル7以下のドラゴン族の通常モンスター1体を守備表示で特殊召喚する。

 地面を突き破って白銀の輝きを放つドラゴンが現れた。

ダイヤモンド・ドラゴン
☆7 光
攻2100
守2800
ドラゴン族

(・・・ここまでで発動がない。魔法、モンスター効果に対して発動する
カウンター罠はそれなりの数あるはず。となると)

 手札を顧みて、その中にある1枚をディスクに差し込む。

「・・・私は手札から復活の福音を発動」

復活の福音
魔法
(1):自分の墓地のレベル7・8のドラゴン族モンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターを特殊召喚する。
(2):自分フィールドのドラゴン族モンスターが戦闘・効果で破壊される場合、
代わりに墓地のこのカードを除外できる。

「ッ!・・・っち、リバースカード、死のデッキ破壊ウイルスを発動!!」

死のデッキ破壊ウイルス

自分フィールド上の攻撃力1000以下の闇属性モンスター1体を生け贄に捧げる。
相手のフィールド上モンスターと手札を全て確認し、攻撃力1500以上のモンスターを破壊する。
その後、相手はデッキから攻撃力1500以上のモンスターを3体まで選んで破壊できる。
このカードの発動後、次のターンの終了時まで相手が受けるすべてのダメージは0になる。

朝倉フィールド
裏守備モンスター→墓地

 朝倉の宣言と同時に、彼女の場に存在するモンスターを触媒にして
ウイルスが周囲に蔓延する。

「やはり、嘗て使っていたウイルスデッキですか。最近死のデッキ破壊ウイルスが
制限緩和、さらには解除されたあたりでそうではないかとは思っていました。
何しろそのデッキは、私があなたと初めて作ったデッキですからね」

 メノアの言葉に、可奈以外が目を丸くした。あの朝倉のことだから、
デッキも自分で作ったのであって誰かと一緒に作ったとは思わなかったからだ。

「・・・そうね、死デッキが禁止カードになった時に崩すべきかどうか悩んだ
んだけど・・・思い入れのあるデッキだったからね、崩せなかったわ」

「思い入れのあるデッキとはそういうもの。私も最初に組んで以来、
このデッキをずっと使い続けていますからね。故に、このデッキを使うからには
負ける気はありません。速攻魔法、非常食を発動します」

非常食
速攻魔法
このカードを除く自分フィールド上の魔法または罠カードを墓地へ送る。
墓地へ送ったカード1枚につき、自分は1000ライフポイント回復する。

「この効果で復活の福音を墓地へ送り、
1000ポイントのライフを回復します。

メノアLP8000+1000=9000

「そして、死のデッキ破壊ウイルスの効果で、手札と場の攻撃力1500以上の
モンスターカードをすべて破壊してもらうわ」

「フィールド上のドラゴン族モンスターが破壊されるとき墓地の
復活の福音を除外して破壊を無効にします」

メノア墓地:復活の福音→除外

「でもデッキと手札のカードまでは守れない!」

「手札は3枚。レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴンを破壊します」

メノア手札
異次元からの埋葬
レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン×→墓地
宝石竜の祝福

「さらにデッキからモンスターを3体墓地へ送ります」

メノアデッキ
ダイヤモンド・ドラゴン→墓地
ダイヤモンドの白銀龍→墓地
オリハルコン・ベビー・ドラゴン→墓地

「そして福音の効果により墓地からレベル7・8のドラゴン族モンスターを
1体特殊召喚します。墓地からダイヤモンド・ドラゴンを特殊召喚」

 メノアの言葉により破壊を免れたダイヤモンド・ドラゴンの隣に
もう一体のダイヤモンド・ドラゴンが現れ猛々しく咆哮する。

「死のデッキ破壊ウイルスの効果で墓地に送った情報連結体の効果を発動。
このカードが墓地へ送られた時、フィールド上に同盟のモンスター1体を
特殊召喚する」

朝倉デッキ
情報連結体→フィールド

情報連結体
☆2 闇
攻   0
守1000
機械族効果:このカードが墓地へ送られた時、デッキから同名モンスター1体を特殊召喚する。
このカードがフィールド上に存在する限り、相手は手札を公開し続けなければならない。

「そして、このカードがフィールド上に存在する限り、
相手は手札を公開し続けなければならない!」

「手札は二枚、変わらずです」

 メノアの言葉に朝倉は頷いて見せると、彼女はでは、と一呼吸おいてから続けた。

「ダイヤモンド・ドラゴンで情報連結体を攻撃!」

 ダイヤモンド・ドラゴンの口から吐き出された炎が情報連結体を飲み込み
焼き払う。その焼け跡から再び情報連結体が現れる。

「破壊されたこのカードの効果で、デッキから同盟モンスターを特殊召喚するわ」

「・・・墓地に送られることをキーにして場にモンスターを残し続け、
相手の手札を開示させ、それによって適したウイルス、モンスターカードを使って
相手の手札とデッキを壊滅させて自身の大型モンスターで相手を殴り倒す。
様々なリリースに対応する連結体を採用したのは私とデッキを作った後の
ようですね。・・・ならば、私はダイヤモンド・ドラゴン2体で、
オーバーレイ!!」

 二体のドラゴンがその姿を変えて、まじりあう。

「二体のモンスターでオーバレイネットワークを構築。
エクシーズ召喚!現れろ、No.11ビッグ・アイ!」

 メノアの場に現れた一体のモンスター。巨大な三角錐の形をしたそれに
付属するリングには11の数字が刻まれていた。

No.11ビッグ・アイ
ランク7 闇
攻2600
守2000
魔法使い族エクシーズ・効果:レベル7モンスター×2
1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除き、相手フィールド上のモンスター1体を選択して発動できる。
選択したモンスターのコントロールを得る。この効果を発動するターン、このカードは攻撃できない。

「ビッグ・アイの効果を発動!素材を一つ取り除いて
相手の場のモンスター1体のコントロールを得るテンプテーション・アイ!」

「リバースカード、オープン!ナイトメア・デーモンズ」

 朝倉の場にいた情報連結体の姿が消え、
メノアの場にひょろりと背の高い悪魔が3体召喚された。

ナイトメア・デーモンズ

自分フィールド上のモンスター1体をリリースして発動できる。
相手フィールド上に「ナイトメア・デーモン・トークン」
(悪魔族・闇・星6・攻/守2000)3体を攻撃表示で特殊召喚する。
「ナイトメア・デーモン・トークン」が破壊された時、
このトークンのコントローラーは1体につき800ポイントダメージを受ける。

「この効果によって、対象を失ったビッグ・アイの効果は不発に終わる!
そしてダブルトラップ!!相手の場にモンスターが特殊召喚されたことにより、
激流葬を発動!!」

激流葬

モンスターが召喚・反転召喚・特殊召喚された時に発動可能。
フィールド上のモンスターをすべて破壊する。

「フィールド上ののモンスターを全て、破壊する!!
そして破壊したナイトメア・デーモン・トークンは破壊された時、
トークンのコントローラーに800ポイントのダメージを与える!」

メノアフィールド
No11.ビッグ・アイ×→墓地
ナイトメア・デーモン・トークン×
ナイトメア・デーモン・トークン×
ナイトメア・デーモン・トークン×

「カードを2枚セットして、ターンを終了します」
メノア手札残:0枚


「すっごいことしてるね、っていうか朝倉さんのデッキってこんなのだったの?」

 サラサは雷華にそう聞いた。雷華はうん、とうなずいてから答える・

「あーちゃんが初めてデッキを作った時は闇属性デッキというか、ミーネウイルス
だったの。その時にデッキ構築を手伝ってくれたのが、メノアさん。
私はゼルタリアさんと一緒に雷族を作ってて、そのあとで
あの情報シリーズが出てきて、それを組み込んで闇属性のモンスターを
入れてたんだけど」

 死のデッキ破壊ウイルスが禁止カードとなってしまってから、
朝倉はそれを抜いて別のカードを入れて使っていたが、先日のカーミラとの
戦いから、ピーピングの新しい戦術を模索し、あのパーミッションデッキに
至ったらしいのだが。

「この間の制限改定でウイルスがエラッタされて制限に
先日には制限解除。効果こそ若干違っているが今のあのデッキは
朝倉の全盛期のデッキとほぼ同じ構築のデッキということになる」

 雷華の言葉に可奈はそう続けた。
それを聞いてフーンとサラサは言ってフィールドに目を向けた。


3ターン目
「私のターン、ドロー!・・・ボチヤミサンタイ」

「!」

 朝倉の言葉にサラサはゾクリと身を震わせた。朝倉に限った話では
ないが、あの言葉がなにを意味するのか、知らないものは少ないだろう。
 朝倉の影が長く伸びる。その中から現れた、漆黒の鎧をまとった
ドラゴンは、天に向かって高らかに吼えた。

「ダーク・アームド・ドラゴンを攻撃表示で特殊召喚!!」

ダーク・アームド・ドラゴン
☆7 闇
攻2800
守1000
ドラゴン族効果:このカードは通常召喚できない。
墓地に存在する闇属性モンスターが3体の場合のみ、特殊召喚することができる。
自分の墓地に存在する闇属性モンスター1体をゲームから除外することで、
フィールド上のカード1枚を破壊することができる。

「ダムドの効果発動!墓地の情報連結体をゲームから除外し、
フィールド上のカードを1枚選択して、破壊する!
私は、伏せているカードを選択!」

「ではその効果にチェーンして、宝石竜の祝福を発動」

宝石竜の祝福

自分の墓地の、名前に「サファイア」「ルビー」「エメラルド」「ダイヤモンド」の
いずれかを含むモンスター3体をゲームから除外する。その後、以下の効果から一つ選び、発動する。
●自分はライフポイントを3000回復する。
●自分はカードを2枚ドローする。

「墓地のダイヤモンド・ドラゴン3体をゲームから除外し、デッキからカードを2枚ドローします!」

メノア手札残:0+2=2枚

「私はダムドの効果を使って竜の渓谷を破壊してターンエンド!」

竜の渓谷×→墓地
朝倉手札残:1枚

「ではエンドフェイズ、異次元からの埋葬を発動。
除外されたダイヤモンド・ドラゴンを3枚墓地へ戻します」

異次元からの埋葬
速攻魔法
ゲームから除外されているモンスターカードを3枚まで選択し、
そのカードを墓地に戻す。

メノア除外
ダイヤモンド・ドラゴン→墓地
ダイヤモンド・ドラゴン→墓地
ダイヤモンド・ドラゴン→墓地

4ターン目
「ドローします。手札から黙する死者を発動」

黙する使者
魔法
自分の墓地に存在する通常モンスター1体を選択して発動する。
選択したモンスターを表側守備表示で特殊召喚する。
この効果で特殊召喚したモンスターは
フィールド上に表側表示で存在する限り攻撃する事ができない。

 メノアの発動した黙する死者の効果により、場に再びダイヤモンド・ドラゴン
が特殊召喚される。

「さらに、ダイヤの売買を発動。場のダイヤモンド・ドラゴンを生贄に捧げ、
デッキからカードを3枚ドローします」

ダイヤの売買
魔法
自分のフィールド上に存在する「ダイヤモンド・ドラゴン」を一体墓地へ送る。
その後デッキから3枚のカードをドローする。

メノアフィールド
ダイヤモンド・ドラゴン→墓地
メノア手札残:1+3=4

「な、なんかすごい勢いで手札回収してるんだけど」

 メノアの手札回収を見ながらサラサがそうつぶやいた。
可奈はそれを見ながらそうだな、と一言言ってから答えた。

「おそらくメノアさんは、言葉通りに朝倉のデッキを読んでいたんだろう。
あそこでライフを回復しなかったのはこのターンに動く青写真ができていたんだろうな」

「うーん、お互いにお互いの手の内を読みあいながらやってるってこと?」

「まぁ、そんなところだろうな」

 しかもお互いにお互いのデッキ内容をある程度把握したうえでの
読みあいだ。すさまじい差し合いになるぞ、と可奈は続けていった。

「そして私は手札から復活の福音を発動し、墓地のダイヤモンド・ドラゴンを
特殊召喚します」

 三度現れた金剛石の龍はいい加減にしてくれと言いたげに
甲高く咆哮を上げる。それを聞きながら朝倉は思慮に走る。
フィールドにはダイヤモンド・ドラゴンのみ。
ダーク・アームド・ドラゴンの効果と攻撃で、一応破壊は可能だが・・・。

(相手の手札は3枚。おそらくまだ・・・)

「私は場のダイヤモンド・ドラゴンを生贄に捧げ」

 メノアの場のダイヤモンド・ドラゴンが吠える。
その身を包む金剛不壊の身体が魔力を纏い、その魔力を吸収して
その姿を変える。

「深淵の底に沈み、失われた都の幻影の金属纏いし龍。
出でよ、オリハルコン・ドラゴン」

オリハルコン・ドラゴン
☆9 光
攻4000
守3500
ドラゴン族効果:このカードは通常召喚できない。
自分フィールド上の「ダイヤモンド・ドラゴン」1体を生贄にささげた場合のみ特殊召喚できる。

 全身に更なる重量の金属の鎧をまとった龍は、地に前足をつき
唸るようなその声が大地を戦慄かせ、大気を震わせる。

「攻撃力、4000!?」

 その攻撃力に朝倉が声を荒げる。おまけに復活の福音によって
破壊耐性まで付与している。

「オリハルコン・ドラゴンでダムドを攻撃します」

 ダーク・アームド・ドラゴンに突進したオリハルコン・ドラゴン。
その攻撃をかわしたダーク・アームド・ドラゴンが横から反撃するが、その
屈強な肉体に跳ね返され、さらに自身の二倍近い太さのある尾に叩き伏せられた。

オリハルコン・ドラゴン  攻4000○
ダーク・アームド・ドラゴン攻2800×→墓地
朝倉LP8000−1200=6800

「私はカードを1枚伏せてターンエンドです」

メノア手札残:1枚

5ターン目
「私のターン、ドロー!」

 引いたカードを見て朝倉は内心舌打ちをした。今のカードでは
あの頑強なドラゴンを倒すことはできない。

「モンスターを守備表示でセットして、ターンを終了するわ」
朝倉手札残:1枚

6ターン目
「ドローします。私は墓地のダイヤモンドの白銀龍をゲームから除外し」

 メノアの墓地から一枚のカードが取り除かれ、代わりに場に一体のドラゴンが現れる。
そのドラゴンの額にはきらびやかなダイヤモンドの一本角が生えていた。

「ダイヤモンドの一角竜を特殊召喚します」

ダイヤモンドの一角竜
☆6 光
攻????
守2000
ドラゴン族効果:このカードは通常召喚できない。
墓地の「ダイヤモンド」と名の付くモンスター1体を除外した場合のみ特殊召喚できる。
このカードの元々の攻撃力は、このカードの特殊召喚の際に除外したモンスターの攻撃力に500ポイント足した数値になる。

「このカードの攻撃力は特殊召喚時に除外したダイヤモンドモンスターの
攻撃力に500ポイントを足した数字になります。今、私が除外したのは
ダイヤモンドの白銀龍。このカードの攻撃力は3500。よって、
攻撃力は4000になります」

ダイヤモンドの一角竜攻3500+500=4000

「一角竜で守備表示モンスターを攻撃します」

 一角竜が裏守備モンスターを、金剛石の角で貫く。貫かれた
モンスターは巨大なトマトだった。

「キラー・トマトの効果発動!
このカードが戦闘によって破壊された時、デッキから攻撃力1500以下の
闇属性モンスターを攻撃表示で特殊召喚する!」

キラー・トマト
☆4 闇
攻1400
守1000
植物族効果:このカードが戦闘によって墓地へ送られた時、
デッキから攻撃力1500以下の闇属性モンスター1体を自分のフィールド上に
表側攻撃表示で特殊召喚する事ができる。

ダイヤモンドの一角竜攻4000○
キラー・トマト守1000×→墓地

「デッキからキラー・トマトを特殊召喚!」

「ではオリハルコン・ドラゴンでキラー・トマトを攻撃します」

 特殊召喚されたキラー・トマトに、オリハルコン・ドラゴンは
まるで意にも介していないかのように尻尾による一撃で叩き潰し、その
衝撃が朝倉を襲う。

オリハルコン・ドラゴン攻4000○
キラー・トマト攻1400×→墓地
朝倉LP6800−2600=4200

「っく・・・破壊されたキラー・トマトの効果で、デッキから情報破壊プログラムを特殊召喚!」

情報破壊プログラム
☆4 闇
攻1200
守1000
機械族効果:1ターンに1度、相手のフィールド上の魔法・罠カードを全て表にする。
その後、その中から1枚を選んで破壊することが出来る。
このカードは、そのターン攻撃宣言を行えない。

「・・・私はこれでターンエンドです。
さぁ、朝倉さん?我が金剛にして不壊のドラゴン・・・
見事攻略してごらんなさい?」

 メノアの言葉とともに、二体のドラゴンが朝倉を見下ろして牙をむいた・・・。
メンテ
Re: 駒学園の追走St.3−1 ( No.10 )
日時: 2017/02/19 05:56
名前: さくら

9章

7ターン目
「私のターン、ドロー!
私は情報破壊プログラムの効果を発動!」

「では伏せカード、オリハルコン・ランスを発動します」

 メノアの宣言と同時に、彼女の場のオリハルコン・ドラゴンが
吠えると同時に尻尾を地面に叩きつける。その尻尾に生えている巨大な
金属の塊が情報破壊プログラムを打ち抜いた。

「フィールド上の、オリハルコン・ドラゴン以外の
カードを任意の数選んで破壊し、その枚数×200ポイントのダメージを
相手プレイヤーに与えます」

オリハルコン・ランス
速攻魔法
自分フィールド上に「オリハルコン・ドラゴン」が存在する時のみ発動する事が出来る。
フィールド上の「オリハルコン・ドラゴン」以外のカードを任意の枚数破壊する。
その後、破壊したカード1枚につき200ポイントのダメージを相手ライフに与える。

朝倉LP4200−200=4000

「そう来るだろうと思っていたわ、墓地のダムド、情報連結体、キラートマト2体、情報破壊プログラムをデッキに戻し、貪欲な壺を発動!
デッキからカードを2枚ドローするわ!」

朝倉墓地
キラー・トマト→デッキ
キラー・トマト→デッキ
ダーク・アームド・ドラゴン→デッキ
情報連結体→デッキ
情報破壊プログラム→デッキ
朝倉手札残:1+2=3

「私は手札から、パワー・ボンドを発動!」

「!・・・なるほど、そう来ますか」

 朝倉の発動したカードを見てメノアはそうつぶやいた。
彼女のデッキにはサイバー・ドラゴンが入っていたはずだ。当然、
フル投入されているだろう。その組み合わせで出てくる最大火力は
サイバー・エンド・ドラゴンだろうか。しかし朝倉の手札は2枚。
サイバー・エンドはサイバー・ドラゴンの3体融合。故に出てくる可能性が
高いのは、サイバー・ツイン・ドラゴンの方だろうか。

「私は手札のサイバー・ドラゴン・ドライ2体を融合!
出でよ、キメラテック・ランページ・ドラゴン!!」

 朝倉の場に現れた高炉の中からサイバー・ドラゴン・ドライ、
ツヴァイの首が2本生えた機械竜が現れた。三つ首の龍は相手の場の
オリハルコン・ドラゴンと一角竜をその無機質な瞳に映し出す。

キメラテック・ランページ・ドラゴン
☆5 闇
攻2100
守1600
機械族・融合効果:「サイバー・ドラゴン」モンスター×2体以上
このカードの融合召喚は上記のカードでしか行えない。
(1):このカードが融合召喚に成功した時、このカードの融合素材としたモンスターの数まで
フィールドの魔法・罠カードを対象として発動できる。そのカードを破壊する。
(2):1ターンに1度、自分メインフェイズに発動できる。
デッキから機械族・光属性モンスターを2体まで墓地へ送る。
このターン、このカードは通常の攻撃に加えて、この効果で墓地へ送ったモンスターの数まで
1度のバトルフェイズ中に攻撃できる。

「パワー・ボンドの効果によって特殊召喚されたモンスターの
攻撃力は2倍になる。よって攻撃力は4200!そして、
このカードの効果により、デッキから超電磁タートルと
情報修正ワクチンを墓地へ送ることで、このターンこのカードは
墓地に送ったカードの枚数だけ、通常の攻撃に加えて
攻撃を行うことができる!!」

 朝倉の言葉に、メノアはふむ。と考えるしぐさを見せる。
それを見ていたサラサがどういうこと、と言いたげに可奈を顧みる。

「・・・キメラテック・ランページ・ドラゴンはサイバー・ドラゴン
モンスター2体を最低ラインとし、素材となったモンスターの数だけ、
相手の場の魔法・罠カードを破壊する効果と、もう一つの効果がある。
それが、さっき朝倉が使っていたデッキから光属性の機械族モンスターを
墓地に送り、その数だけ攻撃回数を増やす効果だ。キメラテック・オーバー・ドラゴン
とは違って、こいつは相手プレイヤーにも攻撃が可能だし、今回の場合だと、
メノアさんの墓地に復活の福音があるからサイバー・ツインだと1体を倒すのが
関の山となるからな」

 確実に相手の場のモンスターを攻撃で全滅させるにはこいつが持って来いということだ。
可奈の言葉にそうなんだ、とサラサはつぶやいた。

『・・・あなた、もうちょっとカードの効果を覚えた方がいいと思うわ。
超銀河眼の光子竜の効果も間違えて覚えてたし・・・・』

「う、煩いなカーミラっ。貴方だってたまに度忘れしてるじゃない?」

『あなたほどじゃないわ』

 サラサの言葉に、カーミラはそう言って肩をすくめて見せた。

「バトルよ!ランページ・ドラゴンでダイヤモンドの一角竜を攻撃!
エヴォリューション・レザルト・トリニティ!!」

 ランページ・ドラゴンの頭の一つが開き、その口から吐き出された
光線がダイヤモンドの一角竜を打ち抜く!

ダイヤモンドの一角竜攻4000×→墓地
キメラテック・ランページ・ドラゴン攻4200○
メノアLP9000−200=8800

「二発眼ぇ!!」

 朝倉の言葉とともに二本目の首が起動し、その口から放たれた光線が、
オリハルコン・ドラゴンを打ち抜いた。

オリハルコン・ドラゴン攻4000×
キメラテック・ランページ・ドラゴン攻4200○
メノアLP8800−200=8600
メノア墓地:復活の福音→除外

「私は墓地の復活の福音を除外し、破壊を無効にします」

「でも三発目は止められないわ!ランページ・ドラゴン!!」

 朝倉の宣言等同時に三本目の首が吐き出した光線が、今度こそ、オリハルコン・ドラゴンの
装甲を打ち抜き、完全に吹き飛ばした。

オリハルコン・ドラゴン攻4000×→墓地
キメラテック・ランページ・ドラゴン攻4200○
メノアLP8600−200=8400

「ターン終了時、パワー・ボンドのリスクで私はランページ・ドラゴンの攻撃力、
2100ポイントのダメージを受ける」

「・・・ですが、貴方の墓地には情報修正ワクチンがある。
その効果は効果ダメージ、戦闘によるダメージをそれぞれデュエル中に1度、
無効にする効果ですね」

「そう!ダメージが発生した瞬間、その効果によって発生するダメージを
無効化し、その後、無効にした数値分、ライフを回復する!」

情報修正ワクチン
☆1 光
攻 100
守 100
機械族効果:このカードの@Aの効果はこの効果は、それぞれデュエル中に1回しか発動できない。
@このカードが墓地に存在するとき、カードの効果によってダメージを受けた時に
発動する。発生したダメージを無効にし、その数値分ライフポイントを回復する。
Aこのカードが墓地に存在する場合、相手モンスターの攻撃宣言時に発動できる。
このカードのコントローラーのデッキの一番上のカードを墓地へ送る。
相手モンスターの攻撃宣言を無効にする。

朝倉LP4000+2100=6100
朝倉手札残:0枚


『超電磁タートルに、情報修正ワクチン・・・まさに鉄壁と呼ぶに
ふさわしい布陣ね。・・・でも、相手もただではすませてくれないでしょうけど』

「ああ、それにまだメノアさんはデッキの切り札も、エースモンスターすら、
出てきていないからな」

 可奈の言葉に朝倉以外の全員が耳を疑った。あれだけの火力を持つ
モンスターすらも前座だというのか・・・。

「・・・」

 可奈の言葉を肯定するかのように、朝倉のほほに、一筋汗が伝った。

8ターン目
「私のターン。・・・私は手札から、沼地の魔神王を墓地へ送り、
デッキから融合を手札に加えます」

メノア手札残:2−1+1=2
沼地の魔神王→墓地
融合→手札

沼地の魔神王
☆3 水
攻 500
守1100
水族効果:このカードは癒合モンスターカードにカード名が記された融合素材モンスター1体の代わりにできる。
その際、他の融合素材モンスターは正規の者でなければならない。
自分メインフェイズにこのカードを手札から墓地へ捨てて発動できる。
デッキから「融合」1枚を手札に加える。

 メノアの加えたカードを顧みて、サラサはキョトンとした。
彼女の手札は2枚。そのうちの一枚が先程加えた融合、もう一枚が何かだが・・・。

「・・・あれ?仮に蘇生魔法があったとしても、沼地を墓地に送ったら
融合素材たりないし、融合に意味はないんじゃ」

「・・・お前、あのデッキがドラゴン族デッキだということを忘れているんじゃないのか?」

 あ、そうだった。サラサがそういった瞬間、メノアの手札が翻る。

「私は手札から竜の鏡を発動。
墓地の沼地の魔神王を究極金剛石龍として扱い、融合召喚」

 場に現れた鏡を砕き、その奥から現れた三つ首のダイヤモンド・ドラゴン。
その身にオリハルコンの鎧を纏い更なる輝きを放つ。

「金剛石の龍よ、失われし都の魔石を纏い、真の究極の力を
現せ。真・究極金剛石龍」

真・究極金剛石龍
☆12 闇
攻5000
守4500
ドラゴン族融合/効果:「究極金剛石龍」+「オリハルコン・ドラゴン」または、
「ダイヤモンド・ドラゴン」×3+「オリハルコン・ドラゴン」
このカードは、融合召喚でしか特殊召喚できない。このカードは1度のバトルフェイズ中に
3回攻撃する事が出来る。 このカードが守備表示モンスターを攻撃したとき、
このカードの攻撃力が守備力を上回っていたなら、その数値の差分ダメージを相手に与える。
このカードの攻撃力は墓地に存在する「ダイヤモンド」「オリハルコン」と
名のつくモンスター1体に付き、500ポイントアップする。

「このカードの攻撃力は墓地に存在するダイヤモンド、オリハルコン
モンスター1枚につき、攻撃力が500ポイントアップします。
そして、守備表示モンスターを攻撃した時、貫通ダメージを与え、
1ターンに3回の攻撃が可能となります」

真・究極金剛石龍攻5000+500×5=7500

「なっ・・・攻撃力7500で3回連続攻撃可能な貫通効果持ちのモンスターですって!?」

『うっそなにあれ!?素の状態で出してすら少なく見積もっても墓地に5枚は
指定のモンスターをためて攻撃力を底上げできて、挙句の果てに貫通連続
攻撃まで・・・しかも出しやすさが薔薇殺しのカーミラの被じゃないとか
どういう冗談よ』

「・・・行っただろ、まだ切り札もエースモンスターすらも、場には出ていないと」

 可奈の言葉に全員が絶句している最中、メノアの凛とした声が響いた。

「バトルです、真・究極金剛石龍でランページ・ドラゴンを攻撃します」

「ッ・・・情報修正ワクチンの効果を発動!!
一度のデュエル中に1度、デッキトップのカードを墓地へ送り、相手の
攻撃宣言を無効にする!!」

 朝倉がデッキからカードを墓地へ送ると同時に展開した
幾何学模様の電磁波の壁が真・究極金剛石龍の攻撃を受け止め、霧散した。

「・・・ですが、まだあと2回の攻撃が残っていますよ?」

 それを見たメノアがそうつぶやくが、朝倉はまさか、と頭を振った。

「バトルフェイズは終了しているわ」

「・・・ああ、魔力の供給を墓地へ送れたのですね。
悪運が強い」

魔力の供給
魔法
このカードが墓地へ送られた時、
お互いにデッキからカードを2枚ドローする。
このターン、バトルフェイズを行う事は出来ない

「このカードが墓地へ送られた時、お互いにデッキからカードを2枚ドローする。
そしてそのターン、バトルフェイズを行うことはできない。
よって、これ以上の攻撃を行うことは不可能!」

朝倉手札残:0→2枚
メノア手札残:1+2=3枚

「ならば私はカードを2枚伏せてターンを終了とします」

メノア手札残:1枚
メンテ
Re: 駒学園の追走St.3−1 ( No.11 )
日時: 2017/12/25 03:41
名前: さくら

10章

9ターン目

「私のターン・・・」

 デッキトップのカードを顧みながら朝倉は思う。
相手の場には三回連続攻撃が可能な貫通持ちの攻撃力7500の
化け物が一匹。伏せカードが2枚。
現時点であれを倒せるとすればキメラテック・オーバー・ドラゴン、
もしくはダムドの除去能力くらいだろうか。死のデッキ破壊ウイルスが
手札にこそあるが、現在素材となるモンスターはいない。
 手札の一枚に天よりの宝札が見えた。互いの手札を6枚になるように
ドローさせるカードであるが、現状では相手に更なる構成の手段を
用意させる可能性の方が高いか。手札が不足しているのは事実だが。

「ドロー!・・・あら」

 ドローカードを見た朝倉は再び思慮に走る。

(メノアさんのデッキの残りはあと26枚・・・このカードを使って、
私の手札にある天よりの宝札で21枚、次のターンで20枚、
私のデッキにあるウイルスカードはあと4枚。そのうち魔デッキと
闇デッキは多分、あんまり刺さってないかしら・・・?)

 そうは思うものの、影のデッキ破壊ウイルスはこのデッキには入れていない。
大概は攻撃力1500を超えるモンスターの方が多い、というのも一つ理由ではあるが、
今回はそっちを優先して入れておくべきだったかもしれないなと、朝倉は
思いながら手札を1枚ディスクに差し込んだ。

「・・・私は手札から、クリティウスの牙を発動するわ!」

「ク、クリティウスだと!?」

 朝倉の発動したカードに、可奈は思わず声を荒げる。対するメノアは、
それを聞いて一瞬顔をしかめたが、まぁ入っているとは思っていたと
言いたげにため息をついた。

クリティウスの牙
魔法
このカードのカード名はルール上「伝説の竜 クリティウス」としても扱う。
「クリティウスの牙」は1ターンに1枚しか発動できない。
(1):「クリティウスの牙」の効果でのみ特殊召喚できる融合モンスターカードに記された罠カード1枚を自分の手札・フィールドから墓地へ送る(そのカードがフィールドにセットされている場合、めくって確認する)。
その後、その融合モンスター1体をエクストラデッキから特殊召喚する。

「このカードの効果により、私は手札の死のデッキ破壊ウイルスを素材とし、
デス・ウイルス・ドラゴンを融合召喚するわ!」

 朝倉の場に現れた黒いドラゴン。そのドラゴンは、死のデッキ破壊ウイルス
のカードを取り込むと、その身を赤紫色のずんぐりとした巨躯へと変える。

デス・ウイルス・ドラゴン
☆4 闇
攻1900
守1500
ドラゴン族融合・効果:このカードは「クリティウスの牙」の効果で
自分の手札・フィールドの「死のデッキ破壊ウイルス」を墓地へ送った場合のみ特殊召喚できる。
(1):このカードが特殊召喚に成功した場合に発動する。
相手フィールドのモンスター、相手の手札、
相手ターンで数えて3ターンの間に相手がドローしたカードを全て確認し、
その内の攻撃力1500以上のモンスターを全て破壊する。

「デス・ウイルス・ドラゴンの効果発動!
このカードの特殊召喚成功時、相手フィールド上と手札、そして
相手ターンで数えて3ターンの間にドローした攻撃力1500
以上のモンスターカードをすべて破壊する!
よって、真・究極金剛石龍を破壊!」

 デス・ウイルス・ドラゴンの吐き出したブレスによって、
細菌感染を越した真・究極金剛石龍は、白亜に輝くその身を
黒く穢され、やがて朽ち果てるようにして崩れ去った。

真・究極金剛石龍×→墓地

「私の手札に残された1枚はご存知の通り、融合。よって破壊はされません」

「さらに私は手札から天よりの宝札を発動!
互いのプレイヤーはデッキからカードを6枚になるようにドローする!」

 朝倉の発動したカードにメノアはなるほど、とつぶやいた。


「天よりの宝札のデメリットを最小限に抑えに来ましたか」

天よりの宝札
魔法
互いのプレイヤーは手札が6枚になるようにデッキからカードをドローする。

朝倉手札残:0→6
メノア手札残:1→6

「デス・ウイルス・ドラゴンのモンスター効果により、
相手が3ターンの間にドローしたカードを全て確認し、その中にある
攻撃力1500以上のモンスターカードをすべて破壊するわ!!」

 朝倉の言葉とともに、メノアがドローしたカードを盤面において行く。
それとともに、フィールドに5枚のカードが展開された。

メノア手札
金剛石の亜種竜攻2100×→墓地
オリハルコン・ベビー・ドラゴン攻1500×→墓地
霊廟の守護者攻   0○
レッド・ダイヤモンドドラゴン攻1700×→墓地
カード・アドバンス○
メノア手札残6−3=3

オリハルコン・ベビー・ドラゴン
☆4 光
攻1500
守2200
ドラゴン族効果:このカードは特殊召喚できない。
このカードは反転召喚でしか召喚する事は出来ない。
このカードを対象に発動した魔法カードの効果を無効にし破壊する。

レッド・ダイヤモンドドラゴン
☆4 地
攻1700
守3000
ドラゴン族効果:このカードは、通常召喚できない。
墓地の「ダイヤモンド」と名の付くモンスターをゲームから取り除く事でのみ特殊召喚できる。
また、手札1枚を墓地に捨てる事で、自分の墓地の罠カード1枚をゲームから除外して発動条件を無視して発動する。
この効果は1ターンに1度しか使用できない。

霊廟の守護者
☆4 闇
攻   0
守2100
ドラゴン族効果:「霊廟の守護者」の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):ドラゴン族モンスターをアドバンス召喚する場合、このカードは2体分のリリースにできる。
(2):このカードが手札・墓地に存在し、「霊廟の守護者」以外のフィールドの表側表示の
ドラゴン族モンスターが効果で墓地へ送られた場合、または戦闘で破壊され墓地へ送られた場合に
発動できる。このカードを特殊召喚する。さらに墓地へ送られたモンスターが
通常モンスターだった場合、自分の墓地のドラゴン族通常モンスター1体を選んで手札に加える事ができる。

「・・・先に天よりの宝札を使わなくてよかったわ」

 朝倉はそうつぶやいて静かに胸をなでおろした。
しかし、それを見ながらメノアは静かに告げる。

「私は破壊された金剛石の亜種竜の効果を発動します。
このカードが戦闘、またはカードの効果によって破壊された時
デッキから新たなダイヤモンドまたはオリハルコンと名の付く
モンスターを1枚選択し、手札に加えます。
デス・ウイルス・ドラゴンの効果はドローには対応しますが、
加える効果には対応してませんよね?」

「・・・っち!」

金剛石の亜種竜
☆7 光
攻2100
守2800
ドラゴン族効果:このカードの名前はフィールド上または墓地に存在する場合、「ダイヤモンド・ドラゴン」として扱う。
(1):このカードは通常召喚できない。墓地または手札に存在する
「ダイヤモンド・ドラゴン」1体をデッキに戻すことで手札から特殊召喚
することができる。
(2):このカードが戦闘、またはカードの効果で破壊された時に発動することができる。
デッキから「ダイヤモンド」モンスター1体を選択し、手札に加える。

「その効果により、私はデッキからダイヤモンド・プリンセス〜メノミリア・フィレル〜を手札に加えます」

メノア手札残:3+1=4

 くわえられたカードを見て朝倉は眼を見開いた。同時に、
可奈もそのカードを見て眉間にしわを寄せた。その様子をしり目に見ていた
カーミラはなるほど、あれがと思う。

(アレがおそらく、可奈のいっていた切り札ね・・・
この状況で加えるくらいだし、どんな効果のカードかは知らないけれども
次のターンが回った瞬間に、下手したら終わるわね)

「ならば・・・ランページ・ドラゴンの効果を発動!
デッキのサイバー・ドラゴン2体を墓地へ送り、このターンの連続攻撃を
可能とする!!」

 朝倉がデッキから2枚のカードを墓地へ送り、
ランページ・ドラゴンの本体からさらに二本の首が生える。
さらに朝倉は手札を1枚翻す。

「さらに私はデス・ウイルス・ドラゴンを生贄に捧げ、
サイバー・ドラゴンを攻撃表示で通常召喚!」

 デス・ウイルス・ドラゴンを糧とし、その身を破って内側から
金属の身体を持つ機械竜が姿を現した。

サイバー・ドラゴン
☆5 光
攻2100
守1600
機械族効果:相手フィールド上にモンスターが存在し、
自分フィールド上にモンスターが存在しない時、このカードを特殊召喚することができる。

「バトル!サイバー・ドラゴンでダイレクトアタック!!」

 サイバー・ドラゴンの口が開き、そこにエネルギーがたまっていく。
そのエネルギーが、破壊光線となってメノアを襲う。

「・・・セットされている、金剛龍の咆哮を発動します。
相手の攻撃モンスターをデッキの一番上に戻します」

金剛龍の咆哮

相手の攻撃宣言時に発動可能。その攻撃モンスターをデッキの1番上に戻す。
その後、ライフを1500支払うことで自分のデッキ・手札・墓地、除外ゾーンから
「ダイヤモンド・ドラゴン」を1体特殊召喚することができる。

 メノアの場で発動した罠カードから金剛石龍の首が生え、その咆哮が
サイバー・ドラゴンを吹き飛ばした。

サイバー・ドラゴン→デッキトップ

「さらに、ライフを1500ポイント払い、墓地からダイヤモンド・ドラゴンを特殊召喚します」

メノアLP8400−1500=6900

 メノアの場に現れたダイヤモンド・ドラゴンが守りの耐性にはいる。
守備力2800は決して低い数字ではない。だが・・・。

「ランページ・ドラゴンの攻撃!エヴォリューション・ランページ・バースト、アイン!!」

キメラテック・ランページ・ドラゴン攻4200○
ダイヤモンド・ドラゴン守2800×→墓地

「この瞬間、手札の霊廟の守護者の効果を発動。自分フィールド上の
ドラゴン族モンスターが破壊された時、手札、墓地からこのカードを特殊召喚します」

 メノアの場に、白髭をたくわえた竜人が現れる。

霊廟の守護者
☆4 闇
攻   0
守2100
ドラゴン族効果:「霊廟の守護者」の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):ドラゴン族モンスターをアドバンス召喚する場合、このカードは2体分のリリースにできる。
(2):このカードが手札・墓地に存在し、「霊廟の守護者」以外のフィールドの表側表示の
ドラゴン族モンスターが効果で墓地へ送られた場合、または戦闘で破壊され墓地へ送られた場合に
発動できる。このカードを特殊召喚する。さらに墓地へ送られたモンスターが
通常モンスターだった場合、自分の墓地のドラゴン族通常モンスター1体を選んで手札に加える事ができる。

「まだよ!あと2回、ランページ・ドラゴンの攻撃が残っているわ!
エヴォリューション・ランページ・バースト、ツヴァイ!」

 二本目の首から放たれた光線が、霊廟の守護者を打ち抜いた。

霊廟の守護者守2100×→墓地
キメラテック・ランページ・ドラゴン攻4200○

「ラストォ!エヴォリューション・ランページ・バースト、
ドライ!!」

 最後の首から放たれた攻撃がメノアに直撃した。

メノアLP6900−4200=2700

「さらに手札から速攻魔法、融合解除を発動!
ランページ・ドラゴンの融合を解除して、素材となったモンスター2体を
特殊召喚する!出でよ、サイバー・ドラゴン・ドライ!」

 ランページ・ドラゴンが二つに分かれ、その中に組み込まれていた
サイバー・ドラゴンによく似た機械竜が二体その姿を現した。

サイバー・ドラゴン・ドライ
☆4 光
攻1800
守 800
機械族効果:このカードが召喚に成功した時、
自分フィールド上の全ての「サイバー・ドラゴン」のレベルを5にできる。
この効果を発動するターン、自分は機械族以外のモンスターを特殊召喚できない。
また、このカードが除外された場合、
自分フィールド上の「サイバー・ドラゴン」1体を選択して発動できる。
選択したモンスターはこのターン、戦闘及びカードの効果では破壊されない。
このカードのカード名は、フィールド上・墓地に存在する限り「サイバー・ドラゴン」として扱う。

「特殊召喚されたこの2体には、追加攻撃が可能!エヴォリューション・
ドライ・バースト!!」

 二体の機械竜が同時に口を開きその口から光弾を吐き出した。

「・・・リバースカード、オープン。
リビングデッドの呼び声」

リビングデッドの呼び声
永続罠
自分の墓地からモンスター1体を選択し、
攻撃表示で特殊召喚する。このカードがフィールド上に存在しなくなった時、
そのモンスターを破壊する。そのモンスターが破壊された時、このカードを破壊する

「その効果により、私は墓地からダイヤモンド・ドラゴンを
攻撃表示で特召喚します」

 メノアの墓地から現れた金剛石の竜が現れ、
その雄叫びがサイバー・ドラゴン・ドライの攻撃を吹き飛ばした。

「・・・メイン2、私は、場の二体のドライで、オーバーレイ!」

 朝倉の言葉とともにまじりあった二体の機械竜。
激しい閃光の後には漆黒の鎧を纏う覇王の姿があった。

「現れろ、No.80!猛りし魂に憑りつく、呪縛の鎧!
狂装覇王ラプソディ・イン・バーサーク!」

No.80狂装覇王ラプソディ・イン・バーサーク
ランク4 闇
攻   0
守1200
悪魔族エクシーズ/効果:レベル4モンスター×2
自分のメインフェイズ時、自分フィールド上のこのモンスターを、
攻撃力1200ポイントアップの装備カード扱いとして自分フィールド上のエクシーズモンスターに装備できる。
また、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除いて発動できる。
相手の墓地のカード1枚を選択してゲームから除外する。
「No.80 狂装覇王ラプソディ・イン・バーサーク」のこの効果は1ターンに2度まで使用できる。

「ラプソディ・イン・バーサークの効果発動!
エクシーズ素材を取り除き、相手の墓地にあるカードを1枚選択して
ゲームから除外する!一ターンに二度使えるこの効果で、私は
真・究極金剛石龍とレッド・ダイヤモンドドラゴンをゲームから除外するわ!」

 ラプソディ・イン・バーサークの周囲のオーバーレイユニットをその拳が打ち抜き、
そのままの勢いで地面に振り下ろされた一撃がフィールドを砕く。そして、その
裂けた割れ目から二枚のカードが取り除かれる。

メノア墓地
レッド・ダイヤモンドドラゴン→除外
真・究極金剛石龍→除外

「カードを2枚セットして、ターンエンド!」
朝倉手札残:2枚


「・・・最大火力を落としに行ったか」

「え?なにどういうこと?」

 朝倉の除外したカードを見ながら可奈がそうつぶやく。
そんな彼女を顧みながら、サラサは首をかしげていた。そういえば。
サラサはあまりメノアとのデュエルをしていなかったな、と可奈は思う。

「・・・今除外された二体のモンスターの除外によって、
メノアさんが次のターンに呼ぼうとしているであろうモンスターの攻撃力を
7500ポイント下げることに成功した、ということさ」

『・・・7500ポイント、ってことはあのダイヤモンド・プリンセスってカードは、
守備力の合計を攻撃力に変換できる、ってことね』

 可奈の言葉を聞いたカーミラはそうつぶやく。名称からして、対象になる
モンスターはダイヤモンドと名の付くカードなのだろう。
墓地に落ちているカードの中では、今のところあの二枚が最大守備力と
いうことか。

「最も、朝倉のデッキの最大火力でもってしても今の状態ではほぼ勝ちは見えないといったところなんだがな」

「・・・確かに、そうだね。
今墓地にいる対象モンスターの守備力の合計は17600。あーちゃんの
墓地にいる機械族モンスターは6枚。次のターンのドローカードはサイバー・ドラゴンで確定してる。
手札2枚がオバロだったとして、次のターンをしのぐには超電磁タートル
の効果を使わないと無理だから、実質、6×800で4800。仮に
リミッター解除があったとしても」

『攻撃力は9600程度。融合の贄、ネクロフィリア・フュージョンから
マリーチを選んで1枚増やしても5600でリミッター解除で11200どまり。
まぁ、そもそもリミ解があったなら、このターンでダイヤモンド・ドラゴンを破壊して
止めを刺していただろうから、絶望的ね』

 雷華の言葉に続けて、カーミラはそう言って被りを振った。
メンテ
Re: 駒学園の追走St.3−1 ( No.12 )
日時: 2017/12/25 03:49
名前: さくら

11章

10ターン目
「私のターン、ドロー」

「デス・ウイルス・ドラゴンの効果は、フィールドを離れても継続される!
よって、ドローカードを確認するわ!」

メノアドローカード:金剛石の幼竜

金剛石の幼竜
☆4 光
攻1300
守1500
ドラゴン族効果:このカードが戦闘によって破壊された場合、
レベルの合計が7以上になるように自分の墓地のモンスターをゲームから除外する事ができる。
「ダイヤモンド・ドラゴン」1体を手札・デッキ・墓地から特殊召喚する。

「攻撃力1300。よってそのまま手札に加えます。
そして私は場のダイヤモンド・ドラゴンを生贄に捧げ」

 ダイヤモンド・ドラゴンの身体が内側から砕け散る。その砕け散った
ダイヤモンドの破片の中に金剛石の錫杖を手にした白い翼の天使が舞い降りる。

「いでよ、金剛石の姫君、ダイヤモンド・プリンセス〜メノミリア・フェレル〜」

ダイヤモンド・プリンセス〜メノミリア・フェレル〜
☆10 光
攻????
守????
天使族効果:自分の場のダイヤモンド・ドラゴンを生贄にしたときのみ特殊召喚できる。
特殊召喚に成功したとき墓地の「ダイヤモンド」「オリハルコン」と名のつくモンスターを全て除外する。
除外したモンスターの守備力の合計がこのカードの攻守になる。
このカードが場にあるとき、ライフを1000払うことで相手のカードの発動を無効に出来る。

「このモンスターの特殊召喚時、墓地に存在するダイヤモンド、オリハルコンモンスターをすべてゲームから除外します。
そして、そのモンスターの守備力の合計がこのカードの攻撃力になる」

メノア墓地
オリハルコン・ベビー・ドラゴン→除外
オリハルコン・ベビー・ドラゴン→除外
ダイヤモンドの一角竜→除外
金剛石の亜種竜→除外
ダイヤモンド・ドラゴン→除外
ダイヤモンド・ドラゴン→除外
ダイヤモンド・ドラゴン→除外

ダイヤモンド・プリンセス〜メノミリア・フェレル〜
攻/守:2200+2200+2000+2800+2800+2800+2800=17600

「攻撃力・・・17600ですってぇ!?」

「さあ、バトルフェイズ。ラプソディ・イン・バーサークを攻撃します」

「っち!!リバースカードオープン!次元幽閉!
攻撃宣言を行った、相手モンスターをゲームから除外するわ!!」

 バーサークとフェレルの放った金剛石の槍の間に次元のハザマがあらわれる。
瞬間、フェレルが手にした錫杖に強い光が宿った。

「フェレルのモンスター効果により、
相手プレイヤーがカードの効果を発動した瞬間、1000ポイントのライフを払い、
カードの発動を無効化します」

メノアLP2700−1000=1700
次元幽閉→無効

「発動そのものを、たった1000ポイントのライフで無効化するとは。
なら、超電磁タートルをゲームから除外し、バトルフェイズを終了するわ!!」

「ええ、いいでしょう。バトルフェイズを終了してターンを終了します」

メノア手札残:3枚
デス・ウイルス・ドラゴン→1ターン目

11ターン目
「出させる気はなかったけど、流石に厳しいもんがあったっわね。
私のターンドロー」

 カードをドローし、そのカードを見ながら思慮に走る。ドローカードは
先程デッキトップに戻ったサイバー・ドラゴン。そして・・・。

「さらにモンスター1体を守備表示でセットして、ターン終了よ」

朝倉手札残:2枚

12ターン目
「私のターン、ドロー」

「デス・ウイルス・ドラゴンの効果によって、相手のドローカードを確認するわ!」

メノアドローカード:死者蘇生

「では手札から、死者蘇生を発動します」

死者蘇生
魔法
自分または相手の墓地からモンスター1体を選択して発動できる。選択したモンスターを
自分フィールド上場に特殊召喚する。

「墓地から・・・レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴンを特殊召喚します」

レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン
☆10 闇
攻2800
守2400
ドラゴン族効果:このカードは自分フィールドの表側表示のドラゴン族モンスター1体を除外し、
手札から特殊召喚できる。1ターンに1度、自分メインフェイズに発動できる。
自分の手札・墓地から「レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン」以外の
ドラゴン族モンスター1体を選んで特殊召喚する。

「バトルフェイズ、ダメタでバーサークを攻撃します。
フルダークネス・バースト」

「リバースカード、オープン!聖なるバリア−ミラー・フォース!」

 朝倉の言葉とともに張られたバリアがダークネス・メタル・ドラゴンの
攻撃を受ける。瞬間、バリアに亀裂が生じて砕け散る。

「いいえ、通しません。フェレルの効果を発動し1000ポイントの
ライフを払って発動を無効にします」

メノアLP1700−1000=700
聖なるバリア−ミラー・フォース−×無効

レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン攻2800○
No.80狂装覇王ラプソディ・イン・バーサーク守1200×→墓地

 ダークネスメタルの口から吐き出された黒炎がバーサークを吹き飛ばした瞬間。
朝倉の周囲を黒い粒子が舞い、それとともに彼女の場の伏せカードが
翻る。

「永続罠、完全破壊−ジェノサイド・ウイルス発動!
自分フィールド上の攻撃力500以下のモンスターが戦闘によって破壊された時、
相手のデッキの上から10枚のカードを墓地へ送る!!」

完全破壊−ジェノサイド・ウイルス
永続罠
自分フィールド上に存在する攻撃力500以下の闇属性モンスターが
戦闘で破壊された時に発動する事ができる。
相手のデッキの上から10枚のカードを墓地へ送る。

「・・・なるほど、そう来ましたか」

「ええ、これが通るならメノアさんのデッキは残り8枚まで減るわ」

「しょうがない、ですね。私はこれでターンを終了します」

メノアデッキ:18−10=8
メノア手札残:3枚

13ターン目

「私のターン・・・ドロー!このカードなら」

 朝倉は伏せカードのないメノアの場を顧みながら手札を一枚、ディスクにセットした。

「私は手札から死体融合術−ネクロフィリア・フュージョン−を発動するわ」

死体融合術−ネクロフィアリア・フュージョン−
魔法
自分の手札、フィールド上または墓地から、
融合モンスターカードによって決められたモンスターをゲームから除外し、
融合モンスター1体を融合デッキから特殊召喚する。
(この特殊召喚は融合召喚扱いとする)

「そして私は、墓地のサイバー・ドラゴン・ドライと二体のサイバー・ドラゴンを
除外して・・・サイバー・エンド・ドラゴンを融合召喚するわ!!」

 三体の機械竜が姿を合わせ、一体の巨大な三つ首の竜に姿を変える。

サイバー・エンド・ドラゴン
☆10 光
攻4000
守2800
機械族融合・効果:「サイバー・ドラゴン」+「サイバー・ドラゴン」+「サイバー・ドラゴン」
このモンスターの融合召喚は、上記のカードでしか行えない。このカードが守備表示モンスターを攻撃した時、
このカードの攻撃力が守備表示モンスターの守備力を越えていれば、
その数値だけ相手ライフに戦闘ダメージを与える。

「・・・ライフは残り700、伏せカードはない。
これは、負けましたね」

 そうつぶやいてため息交じりに微笑を浮かべるメノア。それをみて、
爛と目を見開いた朝倉が攻撃を宣言した。

「バトルフェイズ、サイバー・エンド・ドラゴンで、レダメを攻撃!!
エターナル・エヴォリューション・バーストォ!!」

サイバー・エンド・ドラゴン攻4000○
レッドアイズ・ダークネス・メタル・ドラゴン攻2800×→墓地
メノアLP700−1200=−500

「・・・お見事です。その諦めの悪さ、ゆめゆめ忘れることのないようにしてくださいね」

 メノアがそういってニコリと朝倉に微笑むと同時に、
文の五月蠅い声が響いて朝倉の勝利を告げた。

「ヤバかったわ、ジェノサイド・ウイルスとミラフォを引けなかったら、
あのまま押し切られていた。確率的には引けたかもしれないけど、運もよかったわ」

 可奈たちの元に戻ってきた朝倉は、そうつぶやいて肩をすくめた。
そして朝倉は、可奈を顧みて、にやりといやらしい笑みを浮かべていった。

「貸し一つ、だからね?」

「・・・次にお前が負ければ棚上げにして忘れてやるさ」

 可奈はそう言って、朝倉に拳を向けると彼女はそれに自身も握った拳を
軽くぶつけて答えるて両手を広げて一息ついた。

「さぁ!二勝一敗の状態になったここで、次の勝負に勝った方が
この一回戦の勝者となります!・・・という訳で・・・次のカードはぁ!」

 上空の文が投げた2枚のカード、そのカードが翻る空中に映し出された
のは雷華とゼルタリアの二人だった。

「続きまして、対戦カードは紫陽花雷華VSゼルタリアの二人に
決まりましたーっ!お互いが既知の存在ということもあり、互いにデッキ
レシピや戦術はあらかた覚えてるか?」

「・・・覚えてないよ」

「まったくじゃのう。そんなことが出来るのは朝倉くらいじゃろう。
それに、わしは今までわし自身のデッキは使っておらんからのう?」

 そういいながらディスクにデッキをセットするゼルタリア。
それを聞いた雷華も、朝倉も皆が目を丸く見開いていた。

「え、今までのデュエルで一回も自分のデッキを使ってない?!」

「ああ、普段はあの人、試供品のデッキやストラクチャーデッキ、
酷い時はストレージから適当に40枚引き抜いた紙束で戦ってたからな」

「・・・言われてみれば、あの人相手に情報戦して
ボッコボコにされたような気がするわ・・・」

 可奈の言葉を聞いて朝倉は頭を押さえて左右に首を振った。

「今回は正真正銘のわし、ゼルタリアのデッキじゃ。
紫陽花、全力で掛かってくるがよいよ」

「・・・はい、私の今持てる全力で、御相手させてもらいます!」

 二人同時にディスクを起動してカードを5枚引き抜き、構える。

「「デュエル!!」」
メンテ

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