Re: 駒学園の追走St.3−1 ( No.5 )
日時: 2015/09/28 12:14
名前: さくら

4章

「さぁあ!お待ちかねのショウタイムが始まろうとしております!
本会場では、地上世界からの招待客二組の対戦が今!まさに!!
対戦相手の決定を待っております!」

 そんな口やかましい実況をしり目にしながら天を仰いだ4人は、
おろ、と口からこぼした。

「・・・文じゃないか。
あいつ、こんなところでもアルバイトしてたんだな」

「ホントね、確かあの子烏天狗とか言ってたっけ?
ホントだったのね」

 可奈と朝倉がそれぞれに口を開いて言葉を交わす。
そんな二人を顧みることもなく、上空高くでミニスカートをはためかせながら、
烏天狗の少女、烏丸河文はマイクを片手に画面に注目するように促している。
・・・どうやってもスカートの中が見えないのは、きっと彼女が風を操っているからだろう。

「さぁ!出そろいました対戦カード第一試合、
チーム浪漫堂からは、我が闇亡界一の錬金導師にして
我が主!ルル・エイジェリング様作の第一作目の
自立起動絡繰り人形、水蓮燈!」

 その名を呼ばれてフィールドにトン、と軽く着地したのは
背中に巨大な蝙蝠の翼をはやした少女。着ている服に隠れて見えないが、
その下にある関節は、球状の金属で繋がれた、多関節式の人形である。

「そして・・・えーっと、チーム名、登録されてないんですけど、
これどうしたらいんですかね?ルル様?」

 そういいながらこちらに降りてくる文。それを顧みて
朝倉達は顔を見合わせ、さらにルルが口を開く。

「なくてもいいですわ、別にわたくしのチームであるということがわかればいいのですし。
どうしても呼称に困るなら貴方が適当に作っておいてくださいませ」

「はぁ・・・わかりました。
おほん、では気を取り直しまして同じく地上世界からやってきました!
私の潜る駒学園のクラスメイト、その血は片やハースケルト一族の末裔、
地方の芋学園を踏み台に、大吸血鬼に私はなる!!Queen of Rose !サラサ・ゼルトニア!!」

「マテヤコラァッ!?私吸血鬼になる気なんてないっていつも
言ってるでしょ、このガセネタ天狗!!」

『そうよ!!大体Queen Of Rose って私の呼称よ!?
勝手にサラサの呼称しないでちょうだい!!』

 そういって激昂するサラサとカーミラ。しかし文は素知らぬ顔で
マイクを握ったまま上空高くから声を張る。

「さぁ!両選手フィールドに上がってください!
これから始まる腐肉と金属の狂宴に打ち勝つ勝者を決めるために!」

 凛とした声が響き渡り、それと同時にどこからか集まってきた異形の観客たちが
わっと歓声を上げた。どうやら、こちらの世界でもデュエルは大きなエンターテイメントの
一種らしい。とはいえ、この盛り上がりは少々怖いものがあった。

「「デュエル!」」

1ターン目

 先行のランプがともったのは水蓮燈。
手札を5枚ざっと見まわした後に、静かに口元を歪めて、
赤い紅玉のような瞳を捻じ曲げたような笑顔で口を開く。

「私は手札から、ギミック・パペット‐死の木馬を通常召喚するわ!」

 集まった無数の人型の手足が絡み合い、馬のような形に変化する。

ギミック・パペット―死の木馬
☆4 闇
攻1200
守2000
機械族効果:自分のメインフェイズ時に、フィールド上の
「ギミック・パペット」と名のついたモンスター1体を選択して発動できる。
選択したモンスターを破壊する。
この効果はこのカードがフィールド上に表側表示で存在する限り1度しか使用できない。
また、このカードがフィールド上から墓地へ送られた時、
手札から「ギミック・パペット」と名のついたモンスターを2体まで特殊召喚できる。

「私はさらに死の木馬の効果を発動!
フィールド上に存在する、ギミック・パペットモンスター1体を破壊する!
私はその効果で死の木馬を破壊!」

「おおっと!ここで自らのモンスターを破壊!?
そりゃ当然、1ターン目ですから自分のモンスターしかいないわけですが、
この人形、頭おかしいんでしょうか!馬鹿なんでしょうか!
自信満々に自分のモンスター破壊するとか、意味わかってやってるんでしょうか!!」

「解ってやってるに決まってるわよ!!
更に破壊した死の木馬の効果によって、手札からボムエッグと
マグネ・ドールを特殊召喚!」

 関節部分が磁石によって脱着可能な骸骨のような頭部の人形と、
卵から四肢が生えた、金髪の巻き髪の人形が現れる。

ギミック・パペット―マグネ・ドール
☆8 闇
攻1000
守1000
機械族効果:相手フィールド上にモンスターが存在し、
自分フィールド上に存在するモンスターが
「ギミック・パペット」と名のついたモンスターのみの場合、
このカードは手札から特殊召喚できる。

ギミック・パペット―ボム・エッグ×3
☆4 地
攻1600
守1200
機械族効果:自分のメインフェイズ時に
手札から「ギミック・パペット」と名のついたモンスター1体を捨て、
以下の効果から1つを選択して発動できる。
「ギミック・パペット−ボム・エッグ」の効果は1ターンに1度しか使用できない。
●相手ライフに800ポイントダメージを与える。
●このカードのレベルはエンドフェイズ時まで8になる。

「さぁ、いきなり二体のモンスターが展開されたわけで、
ここからギミック・パペットお得意のエクシーズ、と行きたいところですが、
見てくださいこのデク人形!レベルを間違っております!4と8では
エクシーズすらできません!せめて、ほかのレベル8モンスターでも呼べば
良かったものを、馬鹿です、馬鹿がいます!!」

 マイク片手に捲し立てる文を睨み付けながら、
水蓮燈がブチッっと何かが切れた音をさせたのを、サラサは聞いていた。

「・・・ああもう!!最後まで黙ってみてなさいよ、この等辺朴!!
私はさらに、ボムエッグの効果を発動!
手札のギミック・パペット―ネクロドールを墓地へ送り、
このカードのレベルを8にするわ!」

 ボムエッグが胸と思しき場所に手を当てて静かに会釈をする。
これで同じレベルのモンスターが2体そろったことになるが・・・。

「1ターン目で出すとしたらフェルグラ騎士かしら?」

 朝倉の言葉に、ふむ。と可奈は腕を組んでから答えた。

「・・・普通なら、な。水蓮はどちらかというとサラサと同じタイプだ。
勝ちを狙うのは狙うが、安定より浪漫を優先する悪癖がある」

「・・・つまり、ここで呼び出そうとしてるのはフェルグラや
まかり間違ってもヘブンズ・ストリングスとかじゃなくて」

「ああ」

 そこまで可奈が言った瞬間、水蓮燈がさらに、と声を上げた。

「墓地からネクロドールの効果発動!
墓地のギミックパペットモンスターを1体ゲームから除外して、
墓地からネクロドールを蘇生!」

 墓地から引きずり出された黒い棺。その棺のふたが開き、その奥から
顔の半分に包帯を巻いた少女の人形が向くりと起き上がった。

ギミック・パペット―ネクロ・ドール
☆8 闇
攻   0
守   0
機械族効果:このカードが墓地に存在する場合、
このカード以外の自分の墓地の「ギミック・パペット」と名のついた
モンスター1体をゲームから除外して発動できる。
このカードを墓地から特殊召喚する。
「ギミック・パペット−ネクロ・ドール」の効果は1ターンに1度しか使用できない。
また、このカードをエクシーズ召喚の素材とする場合、
「ギミック・パペット」と名のついたモンスターのエクシーズ召喚にしか使用できない。

「私は、この三体のモンスターで・・・オーバーレイ!!
三体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚!」

 天に輝く88の数字、さらにそれに連なるように現れた獅子の頭を持つ
巨大な人型の人形。

「百獣の王の頭を掲げし人形、勝利の運命を我が手に導け!
現れろ、No.88ギミック・パペット‐デステニー・レオ!」

No.88ギミック・パペット‐デステニー・レオ
ランク8 闇
攻3200
守2300
機械族エクシーズ/効果:レベル8モンスター×3
1ターンに1度、自分の魔法&罠カードゾーンにカードが存在しない場合に発動できる。
このカードのエクシーズ素材を1つ取り除き、このカードにデステニーカウンターを1つ置く。
この効果を発動するターン、自分はバトルフェイズを行えない。
このカードにデステニーカウンターが3つ乗った時、このカードのコントローラーはデュエルに勝利する。


「どうあがいてもコイツを最優先するだろうな」

「・・・う、うわぁ」

 それを見た朝倉がああ、コイツもなのかとつぶやいて頭を押さえてみせる。

「私はデステニー・レオの効果を発動!
オーバーレイユニットを一つ取り除き、このカードにカウンターを一つ置くわ!!」

No.88ギミック・パペット―デステニー・レオ:3−1=2
デスてにーカウンター:0→1

「そして私はターンエンドよ!」

水蓮燈手札残:1枚