Re: 駒学園の追走St.3−1 ( No.11 )
日時: 2017/12/25 03:41
名前: さくら

10章

9ターン目

「私のターン・・・」

 デッキトップのカードを顧みながら朝倉は思う。
相手の場には三回連続攻撃が可能な貫通持ちの攻撃力7500の
化け物が一匹。伏せカードが2枚。
現時点であれを倒せるとすればキメラテック・オーバー・ドラゴン、
もしくはダムドの除去能力くらいだろうか。死のデッキ破壊ウイルスが
手札にこそあるが、現在素材となるモンスターはいない。
 手札の一枚に天よりの宝札が見えた。互いの手札を6枚になるように
ドローさせるカードであるが、現状では相手に更なる構成の手段を
用意させる可能性の方が高いか。手札が不足しているのは事実だが。

「ドロー!・・・あら」

 ドローカードを見た朝倉は再び思慮に走る。

(メノアさんのデッキの残りはあと26枚・・・このカードを使って、
私の手札にある天よりの宝札で21枚、次のターンで20枚、
私のデッキにあるウイルスカードはあと4枚。そのうち魔デッキと
闇デッキは多分、あんまり刺さってないかしら・・・?)

 そうは思うものの、影のデッキ破壊ウイルスはこのデッキには入れていない。
大概は攻撃力1500を超えるモンスターの方が多い、というのも一つ理由ではあるが、
今回はそっちを優先して入れておくべきだったかもしれないなと、朝倉は
思いながら手札を1枚ディスクに差し込んだ。

「・・・私は手札から、クリティウスの牙を発動するわ!」

「ク、クリティウスだと!?」

 朝倉の発動したカードに、可奈は思わず声を荒げる。対するメノアは、
それを聞いて一瞬顔をしかめたが、まぁ入っているとは思っていたと
言いたげにため息をついた。

クリティウスの牙
魔法
このカードのカード名はルール上「伝説の竜 クリティウス」としても扱う。
「クリティウスの牙」は1ターンに1枚しか発動できない。
(1):「クリティウスの牙」の効果でのみ特殊召喚できる融合モンスターカードに記された罠カード1枚を自分の手札・フィールドから墓地へ送る(そのカードがフィールドにセットされている場合、めくって確認する)。
その後、その融合モンスター1体をエクストラデッキから特殊召喚する。

「このカードの効果により、私は手札の死のデッキ破壊ウイルスを素材とし、
デス・ウイルス・ドラゴンを融合召喚するわ!」

 朝倉の場に現れた黒いドラゴン。そのドラゴンは、死のデッキ破壊ウイルス
のカードを取り込むと、その身を赤紫色のずんぐりとした巨躯へと変える。

デス・ウイルス・ドラゴン
☆4 闇
攻1900
守1500
ドラゴン族融合・効果:このカードは「クリティウスの牙」の効果で
自分の手札・フィールドの「死のデッキ破壊ウイルス」を墓地へ送った場合のみ特殊召喚できる。
(1):このカードが特殊召喚に成功した場合に発動する。
相手フィールドのモンスター、相手の手札、
相手ターンで数えて3ターンの間に相手がドローしたカードを全て確認し、
その内の攻撃力1500以上のモンスターを全て破壊する。

「デス・ウイルス・ドラゴンの効果発動!
このカードの特殊召喚成功時、相手フィールド上と手札、そして
相手ターンで数えて3ターンの間にドローした攻撃力1500
以上のモンスターカードをすべて破壊する!
よって、真・究極金剛石龍を破壊!」

 デス・ウイルス・ドラゴンの吐き出したブレスによって、
細菌感染を越した真・究極金剛石龍は、白亜に輝くその身を
黒く穢され、やがて朽ち果てるようにして崩れ去った。

真・究極金剛石龍×→墓地

「私の手札に残された1枚はご存知の通り、融合。よって破壊はされません」

「さらに私は手札から天よりの宝札を発動!
互いのプレイヤーはデッキからカードを6枚になるようにドローする!」

 朝倉の発動したカードにメノアはなるほど、とつぶやいた。


「天よりの宝札のデメリットを最小限に抑えに来ましたか」

天よりの宝札
魔法
互いのプレイヤーは手札が6枚になるようにデッキからカードをドローする。

朝倉手札残:0→6
メノア手札残:1→6

「デス・ウイルス・ドラゴンのモンスター効果により、
相手が3ターンの間にドローしたカードを全て確認し、その中にある
攻撃力1500以上のモンスターカードをすべて破壊するわ!!」

 朝倉の言葉とともに、メノアがドローしたカードを盤面において行く。
それとともに、フィールドに5枚のカードが展開された。

メノア手札
金剛石の亜種竜攻2100×→墓地
オリハルコン・ベビー・ドラゴン攻1500×→墓地
霊廟の守護者攻   0○
レッド・ダイヤモンドドラゴン攻1700×→墓地
カード・アドバンス○
メノア手札残6−3=3

オリハルコン・ベビー・ドラゴン
☆4 光
攻1500
守2200
ドラゴン族効果:このカードは特殊召喚できない。
このカードは反転召喚でしか召喚する事は出来ない。
このカードを対象に発動した魔法カードの効果を無効にし破壊する。

レッド・ダイヤモンドドラゴン
☆4 地
攻1700
守3000
ドラゴン族効果:このカードは、通常召喚できない。
墓地の「ダイヤモンド」と名の付くモンスターをゲームから取り除く事でのみ特殊召喚できる。
また、手札1枚を墓地に捨てる事で、自分の墓地の罠カード1枚をゲームから除外して発動条件を無視して発動する。
この効果は1ターンに1度しか使用できない。

霊廟の守護者
☆4 闇
攻   0
守2100
ドラゴン族効果:「霊廟の守護者」の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):ドラゴン族モンスターをアドバンス召喚する場合、このカードは2体分のリリースにできる。
(2):このカードが手札・墓地に存在し、「霊廟の守護者」以外のフィールドの表側表示の
ドラゴン族モンスターが効果で墓地へ送られた場合、または戦闘で破壊され墓地へ送られた場合に
発動できる。このカードを特殊召喚する。さらに墓地へ送られたモンスターが
通常モンスターだった場合、自分の墓地のドラゴン族通常モンスター1体を選んで手札に加える事ができる。

「・・・先に天よりの宝札を使わなくてよかったわ」

 朝倉はそうつぶやいて静かに胸をなでおろした。
しかし、それを見ながらメノアは静かに告げる。

「私は破壊された金剛石の亜種竜の効果を発動します。
このカードが戦闘、またはカードの効果によって破壊された時
デッキから新たなダイヤモンドまたはオリハルコンと名の付く
モンスターを1枚選択し、手札に加えます。
デス・ウイルス・ドラゴンの効果はドローには対応しますが、
加える効果には対応してませんよね?」

「・・・っち!」

金剛石の亜種竜
☆7 光
攻2100
守2800
ドラゴン族効果:このカードの名前はフィールド上または墓地に存在する場合、「ダイヤモンド・ドラゴン」として扱う。
(1):このカードは通常召喚できない。墓地または手札に存在する
「ダイヤモンド・ドラゴン」1体をデッキに戻すことで手札から特殊召喚
することができる。
(2):このカードが戦闘、またはカードの効果で破壊された時に発動することができる。
デッキから「ダイヤモンド」モンスター1体を選択し、手札に加える。

「その効果により、私はデッキからダイヤモンド・プリンセス〜メノミリア・フィレル〜を手札に加えます」

メノア手札残:3+1=4

 くわえられたカードを見て朝倉は眼を見開いた。同時に、
可奈もそのカードを見て眉間にしわを寄せた。その様子をしり目に見ていた
カーミラはなるほど、あれがと思う。

(アレがおそらく、可奈のいっていた切り札ね・・・
この状況で加えるくらいだし、どんな効果のカードかは知らないけれども
次のターンが回った瞬間に、下手したら終わるわね)

「ならば・・・ランページ・ドラゴンの効果を発動!
デッキのサイバー・ドラゴン2体を墓地へ送り、このターンの連続攻撃を
可能とする!!」

 朝倉がデッキから2枚のカードを墓地へ送り、
ランページ・ドラゴンの本体からさらに二本の首が生える。
さらに朝倉は手札を1枚翻す。

「さらに私はデス・ウイルス・ドラゴンを生贄に捧げ、
サイバー・ドラゴンを攻撃表示で通常召喚!」

 デス・ウイルス・ドラゴンを糧とし、その身を破って内側から
金属の身体を持つ機械竜が姿を現した。

サイバー・ドラゴン
☆5 光
攻2100
守1600
機械族効果:相手フィールド上にモンスターが存在し、
自分フィールド上にモンスターが存在しない時、このカードを特殊召喚することができる。

「バトル!サイバー・ドラゴンでダイレクトアタック!!」

 サイバー・ドラゴンの口が開き、そこにエネルギーがたまっていく。
そのエネルギーが、破壊光線となってメノアを襲う。

「・・・セットされている、金剛龍の咆哮を発動します。
相手の攻撃モンスターをデッキの一番上に戻します」

金剛龍の咆哮

相手の攻撃宣言時に発動可能。その攻撃モンスターをデッキの1番上に戻す。
その後、ライフを1500支払うことで自分のデッキ・手札・墓地、除外ゾーンから
「ダイヤモンド・ドラゴン」を1体特殊召喚することができる。

 メノアの場で発動した罠カードから金剛石龍の首が生え、その咆哮が
サイバー・ドラゴンを吹き飛ばした。

サイバー・ドラゴン→デッキトップ

「さらに、ライフを1500ポイント払い、墓地からダイヤモンド・ドラゴンを特殊召喚します」

メノアLP8400−1500=6900

 メノアの場に現れたダイヤモンド・ドラゴンが守りの耐性にはいる。
守備力2800は決して低い数字ではない。だが・・・。

「ランページ・ドラゴンの攻撃!エヴォリューション・ランページ・バースト、アイン!!」

キメラテック・ランページ・ドラゴン攻4200○
ダイヤモンド・ドラゴン守2800×→墓地

「この瞬間、手札の霊廟の守護者の効果を発動。自分フィールド上の
ドラゴン族モンスターが破壊された時、手札、墓地からこのカードを特殊召喚します」

 メノアの場に、白髭をたくわえた竜人が現れる。

霊廟の守護者
☆4 闇
攻   0
守2100
ドラゴン族効果:「霊廟の守護者」の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):ドラゴン族モンスターをアドバンス召喚する場合、このカードは2体分のリリースにできる。
(2):このカードが手札・墓地に存在し、「霊廟の守護者」以外のフィールドの表側表示の
ドラゴン族モンスターが効果で墓地へ送られた場合、または戦闘で破壊され墓地へ送られた場合に
発動できる。このカードを特殊召喚する。さらに墓地へ送られたモンスターが
通常モンスターだった場合、自分の墓地のドラゴン族通常モンスター1体を選んで手札に加える事ができる。

「まだよ!あと2回、ランページ・ドラゴンの攻撃が残っているわ!
エヴォリューション・ランページ・バースト、ツヴァイ!」

 二本目の首から放たれた光線が、霊廟の守護者を打ち抜いた。

霊廟の守護者守2100×→墓地
キメラテック・ランページ・ドラゴン攻4200○

「ラストォ!エヴォリューション・ランページ・バースト、
ドライ!!」

 最後の首から放たれた攻撃がメノアに直撃した。

メノアLP6900−4200=2700

「さらに手札から速攻魔法、融合解除を発動!
ランページ・ドラゴンの融合を解除して、素材となったモンスター2体を
特殊召喚する!出でよ、サイバー・ドラゴン・ドライ!」

 ランページ・ドラゴンが二つに分かれ、その中に組み込まれていた
サイバー・ドラゴンによく似た機械竜が二体その姿を現した。

サイバー・ドラゴン・ドライ
☆4 光
攻1800
守 800
機械族効果:このカードが召喚に成功した時、
自分フィールド上の全ての「サイバー・ドラゴン」のレベルを5にできる。
この効果を発動するターン、自分は機械族以外のモンスターを特殊召喚できない。
また、このカードが除外された場合、
自分フィールド上の「サイバー・ドラゴン」1体を選択して発動できる。
選択したモンスターはこのターン、戦闘及びカードの効果では破壊されない。
このカードのカード名は、フィールド上・墓地に存在する限り「サイバー・ドラゴン」として扱う。

「特殊召喚されたこの2体には、追加攻撃が可能!エヴォリューション・
ドライ・バースト!!」

 二体の機械竜が同時に口を開きその口から光弾を吐き出した。

「・・・リバースカード、オープン。
リビングデッドの呼び声」

リビングデッドの呼び声
永続罠
自分の墓地からモンスター1体を選択し、
攻撃表示で特殊召喚する。このカードがフィールド上に存在しなくなった時、
そのモンスターを破壊する。そのモンスターが破壊された時、このカードを破壊する

「その効果により、私は墓地からダイヤモンド・ドラゴンを
攻撃表示で特召喚します」

 メノアの墓地から現れた金剛石の竜が現れ、
その雄叫びがサイバー・ドラゴン・ドライの攻撃を吹き飛ばした。

「・・・メイン2、私は、場の二体のドライで、オーバーレイ!」

 朝倉の言葉とともにまじりあった二体の機械竜。
激しい閃光の後には漆黒の鎧を纏う覇王の姿があった。

「現れろ、No.80!猛りし魂に憑りつく、呪縛の鎧!
狂装覇王ラプソディ・イン・バーサーク!」

No.80狂装覇王ラプソディ・イン・バーサーク
ランク4 闇
攻   0
守1200
悪魔族エクシーズ/効果:レベル4モンスター×2
自分のメインフェイズ時、自分フィールド上のこのモンスターを、
攻撃力1200ポイントアップの装備カード扱いとして自分フィールド上のエクシーズモンスターに装備できる。
また、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除いて発動できる。
相手の墓地のカード1枚を選択してゲームから除外する。
「No.80 狂装覇王ラプソディ・イン・バーサーク」のこの効果は1ターンに2度まで使用できる。

「ラプソディ・イン・バーサークの効果発動!
エクシーズ素材を取り除き、相手の墓地にあるカードを1枚選択して
ゲームから除外する!一ターンに二度使えるこの効果で、私は
真・究極金剛石龍とレッド・ダイヤモンドドラゴンをゲームから除外するわ!」

 ラプソディ・イン・バーサークの周囲のオーバーレイユニットをその拳が打ち抜き、
そのままの勢いで地面に振り下ろされた一撃がフィールドを砕く。そして、その
裂けた割れ目から二枚のカードが取り除かれる。

メノア墓地
レッド・ダイヤモンドドラゴン→除外
真・究極金剛石龍→除外

「カードを2枚セットして、ターンエンド!」
朝倉手札残:2枚


「・・・最大火力を落としに行ったか」

「え?なにどういうこと?」

 朝倉の除外したカードを見ながら可奈がそうつぶやく。
そんな彼女を顧みながら、サラサは首をかしげていた。そういえば。
サラサはあまりメノアとのデュエルをしていなかったな、と可奈は思う。

「・・・今除外された二体のモンスターの除外によって、
メノアさんが次のターンに呼ぼうとしているであろうモンスターの攻撃力を
7500ポイント下げることに成功した、ということさ」

『・・・7500ポイント、ってことはあのダイヤモンド・プリンセスってカードは、
守備力の合計を攻撃力に変換できる、ってことね』

 可奈の言葉を聞いたカーミラはそうつぶやく。名称からして、対象になる
モンスターはダイヤモンドと名の付くカードなのだろう。
墓地に落ちているカードの中では、今のところあの二枚が最大守備力と
いうことか。

「最も、朝倉のデッキの最大火力でもってしても今の状態ではほぼ勝ちは見えないといったところなんだがな」

「・・・確かに、そうだね。
今墓地にいる対象モンスターの守備力の合計は17600。あーちゃんの
墓地にいる機械族モンスターは6枚。次のターンのドローカードはサイバー・ドラゴンで確定してる。
手札2枚がオバロだったとして、次のターンをしのぐには超電磁タートル
の効果を使わないと無理だから、実質、6×800で4800。仮に
リミッター解除があったとしても」

『攻撃力は9600程度。融合の贄、ネクロフィリア・フュージョンから
マリーチを選んで1枚増やしても5600でリミッター解除で11200どまり。
まぁ、そもそもリミ解があったなら、このターンでダイヤモンド・ドラゴンを破壊して
止めを刺していただろうから、絶望的ね』

 雷華の言葉に続けて、カーミラはそう言って被りを振った。