Re: 駒学園の追走St.3−1 ( No.6 )
日時: 2016/02/14 07:27
名前: さくら

5章

「さぁ!さぁ!さぁ!!1ターン目からいきなりのランク8モンスターの
お出ましに、会場どよめいております!
当たり前です!特殊勝利条件もちとはいえ、伏せカードすらない状態で
馬鹿デカいだけのモンスターを晒すプレイング!まるで!全然!観客を
魅了するには程遠いんだよねぇ!!」

「うるさぁあああああああああああいっ!!」

 上空で騒ぎ立てる文に対して、地上で水蓮燈が大声で文句をのたまう。
確かに、一々うるさい。だが、彼女のいうことももっともだと可奈は思う。

「1ターン目から大型モンスター。攻撃宣言を行えないからでこそ、
戦闘を介することなく相手にあと2ターンの重圧をかける。たしかに
悪くないんだが・・・」

「そうね。序盤だと手札に除去も来にくいだろうし、なにより
戦闘破壊なんて当然不可能に近い。序盤からあと2ターン以内で
決着を強いることで相手にプレッシャーをかけること自体はできるわ。
・・・相手が、あのサラサじゃなければね」

 朝倉の言葉に、可奈はそうだな、と苦笑を漏らした。
みれば、サラサはこの状況を受けて何を考えるというよりはもうすでに、
あれをブッ飛ばしてワンキルぶちかます手札があると言いたげな顔だったからだった。

2ターン目
「私のターン、ドロー!あと0ターンか・・・ワクワクしてきたわ」

「・・・は?」

 サラサの言葉に水蓮燈が呟いた。しかしサラサはそれにこたえることなく、
手札を1枚場に出した。

「私は手札から、融合を発動!
手札の闇より出でし絶望と、馬頭鬼で融合召喚よ!」

「・・・その素材はドラゴネクロ!?」

 水蓮燈が目を見開く。
ドラゴネクロの効果は相手モンスターを戦闘破壊させずに、攻撃力を0にする効果。
そして、その数値と同じ数値の攻撃力のトークンを呼ぶというものだ。
ドラゴネクロ自体の攻撃力はデステニー・レオより低いが、
その効果で攻撃力が0になり、ダイレクトアタックに等しいダメージが発生するのだ。

「闇の底より甦りし絶望よ、馬の頭を持つ獄卒の鬼よ!
今ここに一つと交わりて、新たな力と姿をなさん!
融合召喚!二体の亡者の魂が冥界の主を呼びさます!!
冥界の扉を破り現れよ!!冥界龍ドラゴネクロ!!」

冥界龍ドラゴネクロ
☆8 闇
攻3000
守   0
ドラゴン族融合・効果:アンデット族モンスター×2
このカードは融合召喚でのみエクストラデッキから特殊召喚できる。このカードと戦闘を行うモンスターはその戦闘では破壊されない。
また、このカードがモンスターと戦闘を行ったダメージステップ終了時、そのモンスターの攻撃力は0になり、
そのモンスターの元々のレベル・攻撃力を持つ「ダークソウルトークン」(アンデット族・闇・星?・攻?/守0)1体を
自分フィールド上に特殊召喚する。「冥界龍 ドラゴネクロ」は自分フィールド上に1体しか表側表示で存在できない。

「さらに!!墓地の馬頭鬼の効果発動!このカードをゲームから除外し、
墓地のアンデット族モンスター1体を特殊召喚!甦れ・・・闇より出でし絶望よ!!」

 サラサの影が大きく伸びる。その尾田影の中から現れた
巨大な悪魔。その悪魔は丸太のような腕をサラサの前に回し、彼女を
かばうように立ちはだかる。

闇より出でし絶望
☆8 闇
攻2800
守3000
アンデット族効果:このカードが相手のカードの効果によって手札またはデッキから墓地に送られた時、
このカードをフィールド上に特殊召喚する。

「そして手札から、トレード・インを発動!手札の銀河眼の光子竜を墓地へ送り、
デッキから新たにカードを2枚ドローする!!」

トレード・イン
魔法
手札からレベル8モンスター1体を捨てて発動できる。
デッキからカードを2枚ドローする。
サラサ手札:1+2=3

「ラストォ!手札から死者蘇生を発動!!」

死者蘇生
魔法
相手か自分の墓地にあるモンスター1体を選択して、自分フィールド上に特殊召喚する。

 天に上ったアンクから落ちてきた十字架をひっつかんだサラサが、
それを空高く放り投げて叫ぶ。

「闇に輝く銀河よ、希望の光になりて我が僕に宿れ!光の化身、
ここに降臨!現れろ、銀河眼の光子竜!!」

 十字架を中心にして現れた星屑の相貌を光らせる巨竜。
その姿に誰もが唖然と口を開いていた。

銀河眼の光子竜
☆8 光
攻3000
守2500
ドラゴン族効果:このカードは自分フィールド上に存在する
攻撃力2000以上のモンスター2体をリリースし、
手札から特殊召喚する事ができる。
このカードが相手モンスターと戦闘を行うバトルステップ時、
その相手モンスター1体とこのカードをゲームから除外する事ができる。
この効果で除外したモンスターは、バトルフェイズ終了時にフィールド上に戻る。
この効果でゲームから除外したモンスターがエクシーズモンスターだった場合、
このカードの攻撃力は、そのエクシーズモンスターを
ゲームから除外した時のエクシーズ素材の数×500ポイントアップする。

「・・・うっそぉ」

 水蓮燈がそうつぶやいた。サラサはさらに手札を一枚、ディスクに差し込んだ。

「手札から、オーバーレイ・リジェネレートを発動。
この効果で、デステニー・レオの素材を一つ回復させる」

オーバーレイ・リジェネレート
魔法
フィールド上に存在するエクシーズモンスター1体を選択して発動できる。
このカードを選択したモンスターの下に重ねてエクシーズ素材とする。
No.88ギミック・パペット―デステニー・レオ素材2→3

「・・・終わったな」

「ええ、終わったわね」

 そこまでの展開を見ていた可奈が呟いた。それにしてもよくもまぁ、ここまで
ガン回せるものだ。朝倉もそう思いながら彼女の言葉にうなずいた。

「私は!3体のレベル8モンスターでオーバーレイ!!」

 サラサの言葉とともに、閃光へと姿を変えたモンスターたちが
一つに交わり、その姿を巨大な槍へと変える。そのやりを掴んだサラサは、
構えたそれを天高く打ち上げた。

「逆巻く銀河よ、今こそ怒涛の光となりてその姿を現すがいい!!
降臨せよ、わが魂!超銀河眼の光子龍!!」

超銀河眼の光子龍
ランク8 光
攻4500
守3000
ドラゴン族エクシーズ/効果:レベル8モンスター×3
「銀河眼の光子竜」を素材としてこのカードがエクシーズ召喚に成功した時、
このカード以外のフィールド上に表側表示で存在するカードの効果を無効にする。
1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除いて発動できる。
相手フィールド上のエクシーズ素材を全て取り除き、
このターンこのカードの攻撃力は取り除いた数×500ポイントアップする。
さらに、このターンこのカードは取り除いた数まで1度のバトルフェイズ中に攻撃できる。

「出た嗚呼!浪漫カードの代名詞、ギャラクシーでも1枚入るかどうかが怪しい
カード!こんなもん入れるんならプライムフォトン増やせよとか突っ込んじゃだめだぞ!
ちなみにこの展開だと、まともな戦術を与えるなら、
光子龍王を絶望と光子竜でエクシーズ、ドラゴネクロを特攻させて攻撃力を
0にし・・・ちなみにトークンはエクシーズ相手だと出ないぞ!?
その後、光子龍王で攻撃し、効果を発動。ランクの合計×200つまり、
16×200で3200アップの7200ダイレクトということになりますかね?」

 出てきたカードを見てマイクに向かって唾を吐きながら吠える文。
それを聞きながら、そっかー、トークン出来ないんだなぁと思うサラサ。

「超銀河眼の効果発動!銀河眼の光子竜を素材とした時、
このカード以外の表側表示で存在するカードの効果をすべて無効化する!
フォトンハウリング!!」

 超銀河眼の光子龍の方向がデステニー・レオを襲い、その力を無力化する。さらに、
その首の一つが自らのオーバーレイユニットを一つかみ砕いた。

「そして、このカードの効果でオーバーレイユニットを一つ取り除き、
相手フィールド上に存在する、オーバーレイユニットをすべて取り除き、
その枚数×500ポイント、攻撃力を上げて、その数だけ攻撃宣言を行う!!」

「デステニー・レオの素材は3つ。攻撃力1500アップで6000。
その3回攻撃・・・なるほど、伏せカードすら出さなかった段階で、
完全に積んでいたわけですか」

「この感じからすると、どうやら初めから手札には素材となるカードの
大半を握り込んでいたようでありますな。いやはや。可奈殿から聞いていたとは
いえ、何という引きの強さでありましょう。あれをやられては、いかにセリスでも
きついかもしれないでありますな」

 そういいながらふむ、とつぶやく着物の女性、メノアと
長い髪の女性、セリス。浪漫堂サイドからデュエルを
見ていた二人は今逆ワンキルをぶちかまされているチームメイトを見て
・・・特にメノアは重そうに頭を押さえていた。

「バトルフェイズ!超銀河眼の光子龍でデステニー・レオを攻撃!
アルティメット・フォトンストリーム第一打ぁ!!」

 超銀河眼の光子龍の口から吐き出された一撃がデステニー・レオを捉える。
その一撃はデステニー・レオの素体を貫通し、背後にいた水蓮燈を肉薄した。

超銀河眼の光子龍攻6000○
No.88ギミック・パペット―デステニー・レオ攻3200×→墓地
水蓮燈LP8000−2800=5200

「ぐぅうう・・・」

「まだまだぁ!アルティメット・フォトンストリーム第二打ぁ!!」

水蓮燈LP5200−6000=−800

「・・・うっそだぁ」

「デュエル終了ぅうううっ!勝者、サラサ・ゼルとニア・ハースケルト!!
逆ワンキルでございます!1ターンで最高レベルモンスター3体のエクシーズを
やり返し、さらに逆ワンキルを決めて勝利を手にしましたこのダンピーラーに、
皆さま生ぬるい視線と生暖かい拍手をお願いします!」

「何そのうれしくない拍手と視線!?」

 そんなことを口にしながら帰ってくるサラサ。おつかれ、と肩を
たたいてやると、彼女はうれしそうに笑った。

「いやぁ。ここのところ勝てなかったからさ。実際うれしいよね、
特に大会とかだとさ」

「まぁ、そうかもね。・・・さて、次のデュエルは誰が当たるかしら?」

 ランダムだったわよね、決定は。朝倉がそういいながら上空を舞う文を
顧みる。文はその朝倉の視線に気が付いたのか、こちらにウィンクを返しながら
声高らかに次のカードを宣言する。

「さあ!続いての対戦は・・・二枚の籤をドロー!
・・・ドローしたのは雛沢可奈と・・・クレシスの二人!!」

 対戦相手の名前を聞いた可奈は眉をひそめた。厄介な相手と当ったな、と。

「・・・まさか、お前と当るとはな」

 すでにディスクを構えてほかのメンバーの前に出てきているクレシス。
可奈より頭一個分ほどある長身に黒い外套を身にまとっている。

「・・・厄介、だな。お互いに・・・かなりきついデッキになりそうだ」

 そういいながらディスクを起動する可奈。その後、先攻後攻の
ランプがともったのはクレシス。

「「デュエル!!」」

1ターン目
「俺のターン・・・俺は風見幽香を攻撃表示で召喚!」

 クレシスの召喚したモンスター。赤と黒のチェック模様のベストとスカート、
緑色のくせっけと赤い瞳が特徴的な彼女は、日傘の先端を地面につけて
含み笑いを浮かべた。

風見幽香
☆4 地
攻1400
守1200
悪魔族効果:

「カードを2枚伏せて、ターンエンドだ」

クレシス手札残:2枚

2ターン目
「私のターン、ドロー!・・・私は手札から、馬頭鬼を攻撃表示で召喚!」

 可奈の場に地面を破って表れた馬の頭をした鬼。獄卒と呼ばれるそれは、
鼻息荒く手にした斧を振り下ろす。

馬頭鬼
☆4 地
攻1700
守 800
アンデット族効果:墓地に存在するこのカードをゲームから除外する事で、
自分の墓地からアンデット族モンスター1体を特殊召喚する。

「バトルだ!馬頭鬼で風見幽香を攻撃!」

 攻撃宣言を受けた馬頭鬼が手にした斧を幽香めがけてたたきつける!
・・・刹那、彼女の手にした傘が開き、斧の一線を受け止め、そのダメージを
吸収した。

「俺はドレインシールドを発動した。その効果で攻撃を無効化し、
その数値分のライフを回復する」

ドレインシールド

相手モンスター1体の攻撃を無効にし、そのモンスターの攻撃力分の数値だけ自分のライフポイントを回復する。
クレシスLP8000+1700=9700

「そしてこの瞬間、風見幽香の効果発動。
俺がライフを回復したことにより、デッキの一番上からカードを1枚手札に加える。
更に、このカードは俺のライフが相手より多い時、戦闘によって破壊されない」

風見幽香
☆4 地
攻1400
守1200
悪魔族効果:このカードがフィールド上に存在するとき、
このカードのコントローラーはライフポイントを回復するたびに、自分のデッキの1番上のカードを1枚手札に加える。
このカードのコントローラーのライフポイントが相手プレイヤーのライフポイントより多いとき
このカードは戦闘によって破壊されない。
クレシス手札残:2+1=3

「・・・カードを2枚伏せて、ターンエンドだ」
可奈手札残:3枚

「エンドフェイズ、俺は伏せていた神の恵みを発動。
次のターン以降、カードをドローするたびにライフを回復する」

神の恵み
永続罠
自分がカードをドローする度に、自分は500ライフポイント回復する。


「・・・ってことは神の恵みと幽香の効果で無限ループ!?」

 それを見ていたサラサがそう声を荒げる。
ドローフェイズ時に神の恵みでライフが回復すれば、幽香の効果で
デッキからカードを1枚手札に加える。これにより、再びライフが回復
すれば、無限にデッキからカードを手札に加えることができるのではないか、と
彼女は思ったらしい。

「ううん・・・デッキの一番上のカードを手札に「加える」だから、
幽香の効果で神の恵みの効果は発動しないけど・・・」

 実質、ドローフェイズに2ドローするカードであることに変わりはない。

「ライフ回復を行うデッキは手札の消耗が激しい・・・それを考えれば
幽香はいいカードよね」

 朝倉はそう言ってため息をついた。あのカードがいるということは、
おそらく夢幻世界デッキだろう。ということはだ・・・。

(あの悪魔もあのデッキに入っているはず・・・そのことは雛沢さんも
よく知ってるだろうけど、対策はあるの?)

 状況次第で、一方的に虐殺されるというのに・・・朝倉はそう思いながら
二人に目を向けた。