[1] 投稿者:ZETTON 投稿日時:2022/1/1 13:45 (Sat) No.291
新年の恒例行事、ゲンドウとの「最後のカズノコ争奪戦」にまたしても敗北したシンジ。雪辱を誓うも室内に
降り注ぐ暖かな日差しについつい微睡んでいた所へ訪ねてきたのは晴れ着姿のレイ。
「みんなで初詣でに行こうと思って・・・・」
様々な要因により幸か不幸か(!?)レイと二人で初詣に出かけたシンジだったが、途中あまり人混みに
帯が解けてしまったレイの着付けに立ち寄ったゲンドウの紹介の写真館で「どうせだから」と写真を撮ることになった二人。
色々あったけど、楽しかった今日一日。
そんな時間はすぐに過ぎ去ってしまう。
[2] 投稿者:ZETTON 投稿日時:2022/1/1 13:49 (Sat) No.292
綾波の家のシルエットが視界に入った時。ようやく着いたと言う気持ちよりも残念な気もちの方が大きかったのを否定は出来ない。
階段を上って二階に上がり、綾波の部屋まで到着してしまった。
綾波は財布の中から鍵を取り出し、鍵穴に差し込むと時計周りにまわして鍵を開け、ノブを回して扉を開く。
「じゃあ今日は本当にありがとう。破魔矢も買ってもらったし、楽しかったわ。」
「そう言ってくれて良かった。写真の方は僕が取りに行ってくるから休み明けに渡すよ。」
「お願いね。ホントはお茶でもご馳走するべきなんでしょうけど、振り袖今日中に返さなきゃいけないしね。」
「いや、いいんだよ。それより気を付けてよ。」
「分かってるって。じゃ、また今度。」
そう言って綾波は扉を閉めようとする。
(言わなきゃ!)
「あ、綾波!」
今まで言うタイミングを掴めずに、ずるずると先延ばしにしてきた事が僕にはあった。扉が閉まりかけた所で僕は声を出す事が出来た。
[3] 投稿者:ZETTON 投稿日時:2022/1/1 13:49 (Sat) No.293
再び一メートルほどに開く扉。
(一つだけ確かめなきゃ。)
そう思いはするが口が動かない。
固まってしまった僕を不思議そうな瞳で見つめる綾波。
「あ、あの・・・」
だが、僕の口から出てきたのは目的とは違う言葉だった。
「あ、綾波、晴れ着、きれいだったよ。」
僕の笑いは引きつっていたと思う。
(結局また逃げちゃったな・・・)
言った瞬間そう後悔したが、口から出た言葉は改まらない。
「え?あ、そう。ありがとう。最後に言ってくれたね。嬉しいわ。それだけ?」
「うん・・・」
「そ。じゃあまたね。」
今度は完全に扉が閉まってしまった。
(情けない・・・)
その扉を見つめながら、僕は自分が改めて情けなくなった。
昼間の写真館での綾波の言葉「専用のアルバム」「取り引き状況」。
これを聞いた時は心臓を鷲掴みにされた気分を初めて味わった。
ケンスケから綾波のいろいろな写真を―\友人特価で―\譲ってもらい、隠しアルバムを作っていた事がばれていたのかと思った。
こうやって普段通りに話している所から見ると、どうやら綾波得意のブラフらしいんだけど、火のない所に煙は立たない。部分的にばれている可能\性はある。
自信過剰かもしれないけど、知った上ではっきりするのを待っているのか、それとも言わない限り気にしない主義なのか、それとも単に気が付いていないのか。
このままにしていては、残りの冬休みはもんもんとしたものになるだろう。どうやって話を切り出そうかと思っていた。
結局切り出せなくて、最後にはほとんど選択肢はなくなっていた。
だから僕は今日最後のチャンスに聞いておきたかった。
「好きな人いる?」
と。
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[4] 投稿者:ZETTON 投稿日時:2022/1/1 13:50 (Sat) No.294
「クリスマスものは沢山あるけど、お正月物って?_」で思い出した一本。
作者はHALさん。
@isaoさんの「R.E.I」が初出だったと思いますが「Last Travel」「明日の一歩前」に連なるリナレイものの一本ですね。
本作ではこのあと、お約束のアスカにバレての一悶着があっての大団円となります。
友達以上になりたい男の子と女の子のある種中学生らしいというか実に微笑ましいやりとりと少しのすれ違いが、なんとも
暖かな気持ちにさせてくれる一本だと思います。
当時、リナレイものは「あんなのレイじゃない」と否定する方も有る程度いらしたのですが、そんな中、本編レイ至上主義者の
私はなぜかリナレイ物は大好きで、好んで読んでいたのを覚えています。
「レイが笑ってる」
それが嬉しくて、それだけがただとにかく嬉しくて。
本作は、今でも@isaoさんの「R.E.I」読めると思いますし、また「綾展」にも置かれていた筈です。
またリナレイだとXXXsさんとA.S.A.Iさんも名手だったかと思います。
こちらもまだ綾展とA.S.A.IさんはオリジナルHPで読めると思いますのでこの機会に是非。