零号機

【名場面】新世紀エヴァンゲリオン++

[1] 投稿者:ZETTON 投稿日時:2021/10/3 15:57 (Sun) No.251

たとえ人ではなかったとしても

レイがシンジを想う気持ち、
シンジがレイを思う気持ち、
互いを想い合う強い気持ちにより回避されたサードインパクト。

そしてその後、仲間達と共に二人で歩んだ50有余年の年月。

楽しいことばかりでは無かったが、それは十\分「幸せ」と言って良い日々だった。

そして、レイが、死んだ…。


そんなレイ共に歩んだ年月の記憶を慈しみながら過ごすシンジ。
当初感じた喪失感はいつしか薄れ、逆に「振り向けばいつもそこにいてくれる」
レイの気配を感じながら、残り少ない時間を過ごしていたシンジだった。

[2] 投稿者:ZETTON 投稿日時:2021/10/3 15:58 (Sun) No.252



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(……永い…夢を…見ていた気がする…)


シンジはしばらく懐かしむように記憶を辿っていたが、ベッドサイドに気配を感じそちらへ目を向ける。


そこには、レイが立っていた。


初めて会った時と変わらないその姿を、壱中の制服に包んで…。

ひどく、懐かしい。

『碇くん…』

「ああ…迎えに来てくれたんだね」

『充分…生きた?』

「うん…ぼくは、もう、充分だよ」

『そう…良かったわね…』

そのとき、突然思い出す。
初めて第3新東京市へ来たとき、陽炎のように佇むレイの姿を確かに見ていたことを。

(ああ、そうか…。
 ぼくは…あの時…既にきみと出逢っていたのだったね。
 どうして今まで忘れていたんだろう…)

《私は…今、逢って来たの…あの時の…あなたに…》


その時、ドアの影からシンジのベッドをうかがう小さな子供が声をあげた。

「ひいじいちゃん、その人、誰?誰とお話してるの?」

曾\孫のミキだった。

曽祖父のベッドの脇に見知らぬ少女が立っている。

寝ている曽祖父の身体からも見知らぬ少年が浮き上がる。
見知らぬ?いや、その少年は曽祖父の若い頃の写真にそっくりだった。
そしてその写真の隣に写っていた少女が、今、目の前にいる。

少年は少女が差し出した手を取り、少女に微笑みかける。
少女も少年に微笑みを返す。

ミキは二人の近くに走りより、訊ねる。
「お兄ちゃんは、ひいじいちゃんなの?
 お姉ちゃんは、ひいばあちゃんなの?」

その問いかけにふたりは振り向き、少女が微笑みながらミキの頬に優しく触れる。

[3] 投稿者:ZETTON 投稿日時:2021/10/3 16:00 (Sun) No.253



『あなた達は、私達の希望』

あなた達は…人類に、福音をもたらす者…。

この子供たちが持つ私の血は、ゆっくりと、でも、確実に、世界に広がり、その力を伝えて行く…。

希望なのよ…。

人は、いつか解り合えるかもしれないと言う、希望なの…。

いい事ばかりではない、辛い事もあるかもしれない。

でも、希望はいつでもあるわ。

ヒトには、まだまだ可能\性が有る。

変わって行けるはずなの。

だから、しっかり、歩いて。あなたの足で。

そして、言葉をつむいで。あなたの心で…。


少年はミキの頭を優しく撫でる。

「ひいじいちゃん、行っちゃうの?」

『もう、時間だ…。
 みんな、仲良くやるんだよ』



そして少年少女はふたり手を取りあい、月の光の中へ溶けていく。



『お帰りなさい、碇くん』

『ただいま、綾波』

ふたりは、今、真に、ひとつとなった。

[4] 投稿者:ZETTON 投稿日時:2021/10/3 16:09 (Sun) No.255


作者はXXXsさん。
氏の作品「新世紀エヴァンゲリオン++」の「エピローグ」からの一部分となります。

綾波レイ関連のSS/FFの読者で、氏の作品群のみならず、氏のHP「エヴァに取り憑かれし心…その容れ物」を
ご存知無い方はいらっしゃらないのではないでしょうか?
かくいう私も、かつてさまざまな面で大変お世話になった方です。

以前にも少し触れましたが、今回、引用した「新世紀エヴァンゲリオン++」と「新世紀エヴァンゲリオン+」は
本当は「名場面」集を作成中も、なんとか入れたかったのですが、どうしても「ココ!!」という
場面を選びきれず、一旦先送りしていました。

「まぁ、まだHP有るし、少し時間かけてゆっくり」

などど思っていたら、HP「エヴァに取り憑かれし心…その容れ物」は10/1で閉鎖となり、作品は「綾波展」に移
管された、とのことです。

今回、改めてXXXsさんの作品読んでみると数々の先見性のあるアイディアだったり展開に溢れていることに
改めて気付かされました。
(例えば綾波人が「シン」での「ケンケンインパクト」に対する受容度が高いのはXXXsさんのお陰の部分が多大ですよね。)

そんな中、一番感じたのはXXXsさんこそ「LRS」の先駆者なんじゃないかなぁ、という事。
あの頃、確かに沢山の「アヤナミスト」がレイにシンジと共に歩む未来を与える事を願いながら、それでもどうしても
「綾波レイ」という存在の「影」だったり「闇」「痛み」などに引き摺られてしまうなか、XXXsさんは、それらを
きちんと理解しつつも、確固とした信念で「LRS」に向けての創作だったり思索をされていたのだな、と今、改めて
思います。

今回、「閉鎖」の情報を目にし、何かしらの形で氏に敬意を表\したく、
あまりに拙速、そして身勝手な手法ではありますが、
氏の作品をご紹介させていただきました。

XXXsさん。
長い間お疲れ様でした。
かつて頂戴した数々のご厚情に対し、この場を借りて心より御礼申\し上げます。
ありがとうございました。





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