ニューファウンドランド沖の北大西洋上に停泊せる英国戦艦セレンディップ艦上にて、大英帝国、自由フランス＝ケベック共和国、諸州同盟の北大西洋三国首脳による会談を挙行する。

本会談に出席します。

　今次、機会を得てアルノー大統領、バード首相両閣下との会談が実現した事は誠に欣快の至りです。
　三次大戦以来、世界情勢が予断を許さない、混沌としたものであり続ける中、国民が安心の下に日々を送れるよう、北大西洋地域に恒久的平和が樹立される事が私の願いであり、また第一の職務であると理解しています。
　我等三国は、地理的、文化的、歴史的の各方面で元より関係を有し、親交があったものですが、本会談を契機に、相互友好相互協力の関係が深化し、一致協力して北大西洋の恒久平和へ進む事を願って已みません。

自由フランス＝ケベック共和国大統領フィリップ・アルノーでございます。この会談を企画されたエドワーズ大統領および会談の場をご用意してくださったバード首相に心より感謝申し上げます。

　それでは――僭越ながら、まず私の方から幾つか提案をさせて頂きましょう。

　第一に、会談の基本として、北大西洋地域の安定と平和が三国共通の利益であり、三国がその目的を実現する為に一致協力して行動して行く事の確認。
　第二に、国防面での協力として、軍事交流及び合同軍事演習の実施。
　第三に、経済面での協力として、自由貿易地域、または関税同盟地域の設立。

　以上が私の提案です。

我々としてはいずれも賛成である。

我々は全ての提案に賛成しますが、国防面では中立協定あるいは防守同盟、経済面では経済連携協定のようなより深化した関係を望ましく考えております。

　ご理解を賜り感謝します。
　さて、バード閣下のご提案ですが、私としましては――議会を説得する必要はありますが――是非検討すべきものと思います。
　細かい内容は実務者に任せるとしても、方向性について今話し合うべきかと思いますが、アルノー閣下は如何でしょうか？

経済に関する協定はすぐにでも結びたい。また、我が国としては攻守同盟をのぞむ。

　では、基本的に全員の立場が一致したと見て宜しいと思いますので……細かい条文はスタッフに委ねるとしても、具体的な内容について話す事に致しましょうか。
　例えば、私の立場から申し上げますと、未だ混乱の影響から脱し切れていない我が国の国力から言えば、他人の戦争に積極的に首を突っ込む余裕はありませんので、軍事同盟と言う事としても、それは英国本土及び北米大陸と言った、直接利害の及ぶ地域に限定した防衛同盟が精一杯かと思いますし、議会の承認も得られないでしょう。
　経済については、自由貿易が拡大するお話しであれば、大歓迎です。問題は、今後通貨統合ですとか、経済統合ですとか、そう云った可能性まで見越して、経済の一体化を進めていくべきか否か――でしょうかね。

ケベック政府の滅亡と英国への編入に伴い、会談は米英二国会談に移行します。
さて、防衛同盟は北米大陸と英国本土のみとし、経済については、経済連携協定を発効した上で今後の交流の進展を見て考慮するのが妥当でしょうか。