感想用スレその3

[74] 投稿者:『不幸は重なるもの 1』 289◆SqVSQKtY 投稿日:2009/10/12(Mon) 18:41

協力者を探して、昏い街の中を探して回ったフロッシュとカナリアだったが、
結局2時間近く探しても協力者を見つけることは出来なかった。

「誰もいませんねぇ……」

カナリアが眉をハの字にしてぼやく。
そんなカナリアを宥めるようにフロッシュが返す。

「……まあ、仕方ありません。殺し合いが始まって
 それほど時間が経ったわけでもないですしね」

……ちなみに彼女たちが街を探索をしていた間に、鈴音と八蜘蛛、桜が宿屋に侵入していたのだが、
宿屋を比較的初期に探索していたせいで、不運にも彼女たちはそのことに気付くことができなかった。

「……時間も惜しいし、ここの探索は切り上げて先に進みましょう」

フロッシュとカナリアは昏い街の探索を切り上げて、次の目標を目指すことにした。

「どこに行きましょうか?」

カナリアの問いかけに、フロッシュはしばし考えた後に答える。

「そうですね……この古い木造校舎に行ってみましょう。
 ここからは比較的近いですし、廃墟や塔に比べれば役立つ物が
 ある可能性が高い。何もなかったとしても、近くに村があるので、
 次はそちらを目指すこともできます」

こうして、彼女たちは古い木造校舎を目指すこととなった。






「……弓矢と霊力を帯びた札ね。私の物と比べてなかなか充実しているじゃない」

リネルはリョナたろうのデイパックの支給品を回収しながら、自分のものと比べて
随分と内容が充実しているリョナたろうの支給品に軽い怒りを感じていた。

「……さて、これからどうしようかしらね」

リネルは考える。
怒りに我を忘れてエンペラー1を使ってしまったせいで、魔力をかなり消費してしまった。
だからといって自分が他の参加者に負けるとは思わないが、最終的にキング・リョーナと戦うことを
考えると、できるだけベストコンディションを保っておきたいところである。

「……そうね。エンペラー1の効果が切れるまでは、当初の予定通りに他の参加者を探しつつ、
 あの小娘どもを探すとしましょう。支給品の中には回復アイテムも含まれているでしょうし、
 どちらにせよ、それが最善のはず……」

そう、エンペラー1の効果が持続している今こそ動くべきだろう。
他の参加者に負けることは無いにせよ、手こずることくらいはあるかもしれない。
ならば、能力の高まった今のうちにできる限り参加者を屠り、エンペラーTの効果が切れた後に休息を
取ればいいだろう。

「……ふふ……それにちょうど良い物を手に入れたことだしね……」

リネルが手に持つ物は、首輪探知機。
現在彼女の手にあるそれは、リョナたろうが乱暴に地面に投げつけたことにより、スイッチが入った状態と
なっている。

リネルは首輪探知機の画面を見て、スイッチを少し弄っただけでこの道具の用途を理解した。

「これがあれば他の参加者を探すのも楽になる……どうやら、運は私に向いているらしいわね」

酷薄な笑みを浮かべながら、つぶやくリネル。
そんな彼女の耳に、キング・リョーナが告げる放送の声が響いてきた。
その内容を聞き取りながら、オルナが死んだという事実に舌打ちする。

「……随分とあっさり死んでくれるわね。私にあれだけの屈辱を味合わせておきながら……!」

自分の手で嬲り殺しにできなかったこと以上に、自分を返り討ちにした者があっさり死んだということに
リネルは激しい怒りを覚える。

「……まあいいわ。死んだ者になど興味はないし、まだ生き残っている二人を早く探し出すとしましょう。
 ……あら?」

行動を開始しようとしたリネルは、首輪探知機にいつの間にか二つの光点があることに気が付いた。

「ふふ……ちょうどいいわ。この二人で憂さ晴らしといきましょうか」

リネルは光点の反応のある場所に向かって、凄まじい速度で駆けていった。