鉄道「埼群新線」:実現目指す市民の会、署名活動 「関心の高さ示したい」 /埼玉 ◇10万人目標に署名活動−−巨額建設費に自治体反応鈍く 熊谷市を経由して群馬東部と埼玉西部を南北に結ぶ鉄道「埼群新線」の実現を目指す市民の会(木島一也会長)が署名活動を始めた。一昨年、熊谷市内の政財界人が中心になって組織を設立したが、巨額な建設費を前に関係自治体の反応は鈍く、「住民の関心の高さを示して行政を動かしたい」という。熊谷市民の半数にあたる10万人の署名を目指している。 会の構想は、滑川町の東武東上線森林公園駅から新幹線の熊谷駅を経て、群馬県太田市の東武小泉線西小泉駅を結ぶ約30キロの鉄路。83年に廃線となった東武妻沼線(熊谷−妻沼、10・1キロ)の軌道敷跡と、延長予定だった太田市側に緑地として残る予定敷を活用する。太田市などの関係自治体が91年、同様の計画で建設促進期成同盟会をつくった。 しかし、東武鉄道は関心を示さず、県は地元の論議の盛り上がりが先決という立場。期成同盟会は3年前から事実上休眠している。また、熊谷市は県が95年に行った「熊谷以南で1100億円の建設費が必要」という調査結果を引き合いに消極的。議論が前進する兆しはない。 こうした状況から、会は最近、建設費を抑えられる次世代型路面電車(ライトレール)方式を含む構想を浮上させた。ライトレールは軌道敷幅が従来案の半分近くに抑えられる。さらに市街地の既存道路に車両を乗り入れることで、熊谷市内の短距離利用需要を掘り起こし、採算面に寄与できるとアピールする。 木島会長は「旧妻沼線にこだわらず、熊谷駅での乗り換えを軸にした群馬東部と首都圏を結ぶ路線を目指す。夢を見ながら少しずつ実現に近づけたい」という。今秋にも熊谷市と県に署名を提出し、実現可能性を探る調査を行うよう求めていく。
毎日新聞 2007年8月18日 |