ハーレムエンカウンター 第一章 血塗れの聖地 P |
- 日時: 2024/04/29 07:31
- 名前: 陣
- (久しぶりね)
クラリス家の悲劇から十数年後。バーミアに引退したアルネイズ姉様に代わって一座を率いる身となった自分は、久しぶりに戻ったバーミアでビルギッドと再会した。
レナス家の工作で再び山麓朝にクラリス家が転じた事により、バーミアに出戻る事になったからだが、長女のビルギッタだけは手放さなかった。 悲劇の時にはまだ妊娠も判明していなかったビルギッタだが、いかにも生まれながらの蠱惑な小悪魔といった背徳の資質をプンプンと匂わせていた。 クラリス家に残された兄のジザベルに処女を捧げたという噂もさもありなんといった感じだ。
そしてその母たるビルギッドの妖艶ぶりもますます磨きが掛かっていた。年を重ね子を産む度に、その度合いはますます高まるかのようだ。 例えそれが今のような妊婦の姿となっても。 三人目の妊娠が判明したのはバーミアに戻ってからだそうで、時期的にはジュリアーノが死ぬ直前くらいの頃か。ただでさえ初老なのに、この極上の身体を相手し続けたら無理もない。彼女の父のギャンブレー陛下の方が遥かに例外なのだ。
しかし話を聞くに、妙な違和感も覚えた。 そんなに日頃から溺愛していたのなら、もっと前から数多くデキていてもおかしくない。 二番目から何故今になってまた急にデキたのだ。 そういう事もあるというには少し不自然だ。彼女の反応もまた普通ではない。
(イイ年して。よくやるわねえ。アンタも)
(へへ。そうでしょ)
娘と同じような悪戯っぽい顔。これだけは昔と変わらない。
(もしかして)
また別の男との子か。上の二人が義理の息子とのかもしれないみたいに。
(息子…ま、まさか)
そう言えば別れた実の息子も十分な年だ。ヒルクライムの王が幼い娘に手を出してた公然の例もある。実の親子で通じ合う話など決して珍しいわけでもない。 しかしその際にはしっかり避妊魔法を使うはずだ。彼女に出来ないはずがない。
(どうしたの。変な顔して)
あくまで屈託の欠片も無い顔。 まあ確かに。彼女なら全く無いとも言えない。とにかくそういう女なのだから。 もし本当にそうだったとしても。悍ましいより呆れたという気分になるだけだろう。
よくやるわよアンタ。と。
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