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ハーレムエンカウンター 第一章 血塗れの聖地 E
日時: 2023/11/25 22:57
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「よろしくお願いします。御屋形様」

あどけない笑顔と共に、マリオベール家に残された一人の少年。エリン。約束の後半金と汚れ仕事の追加分は、どうやら彼のためにしてくれという事らしい。

ともあれ。新当主としてのセシルの側小姓の第一号としての、彼の新たな生活も始まる。
両親と生き別れたというのに、悲しいとか辛いとかという表情は全く無い。過去にも一人だけで何ヶ月も置かれた事があり、こういう事には慣れっこだという。
そんな屈託の無い彼の存在は、家族を無くしたばかりのセシルをはじめ、関係者の多くを和ませる事となる。
余りの遠慮の無さから、生真面目なキルエリッヒから叱られる事は日常茶飯事ではあるが。

そして改めてマリオベール家としての新たな家政に取り組む事となるセシル。叔母のラプンツェルがしばらく後見役を務め、筆頭家老としてのキルエリッヒの家を中心に、以前と同様の配置をそのまま行う。
実は最初はエレンツォ一家にガーブネス一家の扶持を与え、新たな藩屏とする事も考えていた。だが新参が大きな顔をすべきではないとばかりに消えた彼らの意を組み、直接に関係の無かったエリンを弟も同様とばかりの側に置き、キルエリッヒを新設の親衛隊長にする以外の措置は全く取らなかった。
敢えて言うならもう一つ。ほとんどの家臣たちが様子見を決め込む中、敢えてガーブネス派に旗幟を鮮明にする事で、討たれる事となってしまったレオ。その妹であるレイナもまた側付にした事。
これは単に彼女の家を不問にしただけではない。誰もが一番許せないと思うはずの、レオの家を不問にする事によって、中間の家臣たちの責も問わない事も明確にしたのだ。エリンと同僚にした事は、あるいは彼女の家に婿入りさせるか、あるいは預り分を使って新たな別家を立てさせるかとも噂されている。それをもって罰というかどうかはそれぞれだろうが。

また敢えてもう一つの特筆としては、屋敷近くの大広場にバーミア並の大劇場を作った事。
それは今回において大きな役割を果たし、またそれによって別の場所には行けなくなってしまった「愛と情熱の舞踏団」の専用として作られた物。
最初は色目で見られたりもしたが、今では新たなスターも加入し、娯楽に乏しいこの地方における重要な観光資源にもなっている。
メンテ

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