トップページ > 記事閲覧
ハーレムエンカウンター 第一章 血塗れの聖地 D
日時: 2023/11/25 18:20
名前:

(息子を。頼みます)

事態の始末において残された最後の課題。それはガーブネスの家族をどうするか。
単純な復讐心として、始末する事自体への抵抗は全く無い。政治的に見ても将来の禍根を断つだけの話だ。
だが現在無力な関係者を殺す事自体の風聞は、何時何処の如何なる理由にあっても良い筈は無い。この時代のラルフィントにおいてでも。少なくともしばらくはその汚名による政治的リスクを背負い続ける覚悟が必要となる。

そしてその汚れ仕事を誰が命じ、誰が実行するのか。
普通ならば年長の汚れ役がやる所だろう。だが今回のセシルにそういう役はいない。もしランスロットが生きていれば彼がやる役だ。そしてキルエリッヒの父でもある、家老のバンスロットも進み出ない。
ガーブネスには息子を殺された恨みが確かにある。だがそもそも彼はガーブネス一党を抱えたセリアンの決定に反対しており、今回の件はその懸念が図星になった形。その意味ではセシルに対しても含む所が無くもない。
また暗殺を自ら持ち掛けた夜鴉衆もこういう部分への関与は断る。

ならば自分自身でやるしかない。自ら志願するキルエリッヒを押し留め、ガーブネスの家族を押し込めていた場所に入るセシル。
そこで彼が見た物。それは綺麗に見苦しくなく整えられたガーブネスの家族の遺体の列。
方法は様々だが、どれも間違いなく苦痛や恐怖を一切感じる事なく処理されていた。明らかにこういう事に慣れた手口である。
そして彼らの監視を命じていた傭兵夫婦の姿が無い。明らかに彼らの仕業である。

(エレンツォ! レイン!)

慌てて彼らの姿を探すも何処にもいない。彼らが連れていた一人息子と書置を残して。
メンテ

Page: 1 |

題名 スレッドをトップへソート
名前
E-Mail
URL
パスワード (記事メンテ時に使用)
コメント

   クッキー保存