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ハーレムエンカウンター 第一章 血塗れの聖地 C
日時: 2023/11/25 17:00
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(母さん! セシリー!)

そして遂にその日は来た。巷で評判の「愛と情熱の舞踏団」を迎えて行われた宴の夜。
それまで賓客として家族や郎党と共に領内に在住していた、セシルの大叔父ガーブネスが突如蜂起し、舞踏団に助けられたセシルを除く、セリアン一家を皆殺しにしたのだ。
これは単なる事件ではない。正直言ってセリアンは上に対してだけでなく、家臣たちに対しても決して信望があるタイプではなかった。だからマリオベール家全体の利益として、よりギャンブレーの覚えが目出度いと目される、ガーブネスを当主として仰ぐのに抵抗は少なかった。実際、セシルの家族に殉じた名のある家臣は、筆頭家臣の跡取息子でキルエリッヒの兄であるランスロットくらいの物である。

バーミアでギャンブレーにガーブネスの非道を直訴するセシルだったが、当初は無節操の報いとばかりに相手にされず。但しその後の叔母ラプンツェルの協力も得ての形振り構わぬロビー活動、更にそうしたバーミアでの大甥の活動を気付かぬようなガーブネスに不足を感じたのか、遂にはセシルの仇討に黙認を与える。もちろんあくまで成功すればの話だか。
そしてこの仇討黙認の背景には、セシルの母の実家であるカレル家の存在もまた大きかったと目される。そうした人間を安易に殺してしまった事もまた、ガーブネスに対するギャンブレーの評価を下げさせたと言えなくもない。

そして二度目の運命の日。
ガーブネスにとっては姪となるラプンツェルの臨御を迎え、再び訪れた舞踏団に紛れてのセシルの復讐が始まる。バーミアの錦屋で雇った傭兵たちや夜鴉衆の協力も得て、ガーブネスの家族と直臣へ攻撃を絞り、奇襲は成功。姪の面前で大甥に討たれた、彼が最後に発しようとした一言。それは彼らへの批難か懇願か。それとも自らの甘さへの自嘲だったのか。
そしてこの騒動の間、またしても全く動かなかった家臣一同。前回に続き、この一連の騒動はあくまで領主一族内部の問題でしかないのだ。
ただ一人。敢えてガーブネスに賭けて死んだ、レイナの兄のレオを除いては。
メンテ

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