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ハーレムラウンドアップ 第一章 叔母と甥 E
日時: 2023/11/23 09:54
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「さあ。ドリン。どうした。さっさと脱げ」

一人残され、そのフィオリナの言葉に動揺を隠せないドリン。

「ほ、本当に。今すぐここでですか?」

「当たり前だ! 夜まで待ってたら、コイツがまた逃げかねんだろうが!」

「せ、せめてマルチーノが戻って…」

「ダメだ! 国事は立て込んでるんだ! サッサと脱げ! それとも! お前のコイツへの忠誠とやらは…」

その言葉を聞くや、途端にキッとなって服に手を掛け出すオルドリン。腰の剣を慎重に床に下ろすや、パッパと自らの服を脱ぎ出す。

その光景に。満足気なフィオリナ。複雑なアルテミス。そして何を言って良いか分からないジェラード。

「…」

王太子ジェラード付親衛隊長オルドリン。
生まれこそはここクレオンレーゼ。しかしその父オルドランと母リーリエはジェラードの母にして前王妃であるシルヴィス太后に随伴して、今は亡きメリシャント王国からやって来た。共にシルヴィスが幼い頃からの馴染であり、一時は三角関係だったとの噂もある。
そしてシルヴィスの婚姻を見届けるようにして二人も結婚。その間に産まれたのがオルドリン。ジェラードとは産まれた日も近いが、容貌も良く似ている。これはリーリエがメリシャント最後の王でありシルヴィスの父であるカエサリオの庶子である点が大きいためと見られている。
いわばジェラードとは従姉弟の関係。だが一部で実はジェラードの実の父はオルドランではないかという憶測もある。そうなればこちらも禁忌の異母姉弟。だが先王ジェラルディンはそうした噂を知りつつ、あくまでジェラードを実子と認知。オルドラン一家が共に起伏の激しい王妃と息子の側に仕えるのを許し続けてきた。まさに海より深い恩義と言って良いだろう。
そしてそれ故にこそ悲劇は来た。三年前におけるメリシャント王国の滅亡。実家を立て続けに襲った惨劇の中、完全に錯乱に陥ったシルヴィスは自決を図り、それを止めようとしたジェラルディンを誤って刺殺してしまったのだ。
当然身近で止める事の出来なかった他所者のオルドラン夫妻にクレオンレーゼ中の批難は集中するだろう。それは下手をすれば、娘はおろか王妃腹のジェラードにまで及びかねない。それが火を吹く前に最低の処置を済ませるや、オルドランは見事なまでの自決を遂げる。残す妻と娘に主人母子を託して。
メンテ

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