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ハーレムラウンドアップ 第一章 叔母と甥 D
日時: 2023/11/21 08:02
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「ええ!!」

高らかに室内に響く二重唱。一つは完全な驚き。もう一つは恥じらい混じりに良いんですかという感じ。

その意を汲んで大きく顔を上下しながら、満足そうに応えるフィオリナ。

「そうだ。お前たちももう十分大丈夫そうだからな。どうだジェラード。こいつらなら文句あるまい」

「そ、そんな。いくら何でも…」

どう続けて良いか分からないという風情。少なくとも本人たちを前には断り難いといった感じに。

「よし。なら話は早い。早速で済まんがマルチーノ。マルビータに伝えてくれ。今日の同席は昼食からになるとな」

「はい!(ええ!?)」

今度は重なる三重唱。それが終わる前に脱兎のように部屋を飛び出すマルチーノ。

彼女の姉マルビータは、ジェラードの父方の叔母にして、このクレオンレーゼ王国の女王であるジェイングレイの女官長。同時に宰相アスレーの夫人でもあり、どちらかと言えば杓子定規な夫に対し、融通無碍の柔軟派。この国の裏の宰相とも目される実力者である。
ちなみにその間にはこの年一歳になる息子アスコットが生まれており、その前年に女王が亡夫スマイラスとの間に産んだ王女ジルーシアとの婚約が早くも有力視されている。

またジェイングレイにはもう一人、半年前に産まれたばかりの息子ジスカルドがいる。
そう聞けば彼こそが王太子と思えるだろう。だが夫に死なれて二年半後の出生なわけだから、当然に亡夫との子ではない。また誰との子かも公表されておらず、要するに私生の庶子。当然に王子でもなく、継承権も無い。
そもそもジェイングレイの即位自体、不慮の死を遂げた前王ジェラルディンの嫡子であるジェラードが成長するまでの繋ぎであり、再婚も出来ない。ジルーシアの継承順位もあくまでジェラードの系統に継ぐ物と決定されている。
それでも女王の子には違いないわけで、その扱いは政治的にも重要。国内の政治バランスも絡み、独身のままアスレーと愛人関係にあり、先日に伯父バラケルスから大将軍の地位を譲られたばかりの女傑バラーシャの養子となる事が内定している。
それらの現実からして、ジスカルドの父は亡夫の弟でもあるアスレーではないかという噂も大きい。
また産まれた時期の微妙さからして、異父姉であるはずのジルーシアの実父もまたアスレーではないかという噂もある。
そうなればアスレーの嫡子であるアスコットとの縁組は流石に禁忌に触れる異母姉弟婚になりかねない。いやむしろその疑惑を消すための縁組ではないのかとも。

いずれにせよ、それら全ての真相を知る立場にあり、一番の利害関係者であるはずのマルビータが容認している限り、それら全ては一切問題にならない。
それもまた彼女が裏の宰相として何目も置かれる要因なわけである。
メンテ

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