ハーレムフロントライン 第六章 均衡 U F |
- 日時: 2023/11/06 07:28
- 名前: 陣
- 「おい。そろそろ良かろう」
乾杯後の一戦を終え、寛ぎ中の場に響く声。その言葉と共に入ってくる二人のメイド。
「おい。呼んだ覚えは、ああっ!?」
「そうか。お前は初めてか。バラーシャ」
「これはこれは。なんでまたその格好なんですか。フィオリナ様」
「仕方あるまい。あちらの格好では目立ってしまうのでな。しかし便利な物だな」
堂々とした一人の傍に立つ、もう一人。当然に副官のアルテミス。 こちらはまだ慣れていないのかで、初々しいくらいにぎこちない。
「それで何の御用でしょうか」
やっと当然の質問を発するアスレー。
「決まってるだろう。祝いだ。確かに我々はバジルール止まりだったがな。一応の役は果たしたはずだ。祝いに加えても良かろう」
「祝いの席なら明日のはずですが」
「バカモン。明日の席でこのような事をやれというのか」
「と言いますと」
「分からん奴だな。混ぜろと言ってるのだ。我々も。奥方の許可も取ってある」
驚く三人。残る一人はニコリ。
「何故?」
「いや。ジェラードの奴がな。まもなくの初床の儀の相手に私を指名したのだ。私以外は絶対に嫌だとゴネてな。だがあいにくと私には経験が無い。だからそれまでにお前に教えてもらおうというのだ」
「はあ」
甥と叔母。まあ初床の儀の相手に近い身内をというのは良くある話だ。それに姉妹と言ってもシルヴィス太后とフィオリナは母も違う。それくらいの関係は夫婦でもザラにある。 太后は絶対に許さないだろうが、旧メリシャント王室内部の和解策としても悪くない。
「しかし。なら何で自分が」
「ここで私が知ってる男がお前しかいないからだ。アルテナスがいればアイツに頼んだだろうがな。そうそう」
傍の副官に目をやるフィオリナ。
「だからついでにコイツの面倒も頼む。まあ長い事じゃない。あんな酷い男しか知らないのでは気の毒というだけだ」
無言で頭を下げるアルテミス。それに思い切り溜め息を吐くアスレー。
「やれやれ」
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