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ハーレムフロントライン 第六章 均衡 U A
日時: 2023/11/03 09:35
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「調停?」

合同会議の後。別室で三人だけの協議に入る三人。フィオリナ。バラーシャ。そしてクリアランスからやって来たアスレー。

「はい。クリアランスの代表会議で、シャクティ殿が提唱を」

それを聞いてニヤリと笑うバラーシャ。

「で。フィリックスがそれに当たるというわけか」

「はい。一万ほどの兵を率いて」

「狙いは明らかだな」

それ以上はわざわざ口にするまでもない。
西国同盟の軍を万単位で率いて戦場に向かう事で、フィリックスが名目ではなく、実質的な西国のリーダーであるという形を取りたいのだ。
引いてはそれは同盟内部におけるイシュタールの主導性、更にはそのイシュタール内部におけるフィリックス派の主導性を確立する第一歩にもなるだろう。

「それにしても。良く考えた物だな。参戦ではなく調停とは」

感心して見せるフィオリナ。それに相槌を打つバラーシャ。

「間違いなくシャクティの考えだな。あのタイプはそう言うアイディアだけはやたらに出るという類だ」

「参謀の理想ですか」

いささか羨望なアスレー。

「だが参謀長ではないな。それはむしろガブリエラみたいなタイプだ」

それも分かる。参謀は立案が仕事だが、参謀長はそのどれが正しいかを精査するのが仕事だ。シャクティに比べて才気は劣るだろうが、より決定的なのはガブリエラだ。シャクティでなく、彼女をこの合同軍の参謀長にしたのは決して派閥バランスなだけではない。

「しかしどうする。世間的にはドモスが一敗地に塗れたとかで、一気に止めを刺すべきだとかいうんじゃないか。下手をすればそれに水を差したとかなりかねんぞ」

政治的な懸念を口にするバラーシャ。こういう頭も働く所が、大将軍の器と期待される所でもある。

「それを確認するために来ました。フィオリナ殿下。可能ですか。それが」

即座に頭を横に振るフィオリナ。

「無理だ」
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