ハーレムフロントライン 第六章 均衡 R |
- 日時: 2023/10/30 18:21
- 名前: 陣
- 「しかし意外だな」
いささか当惑げなフィオリナ。
「アーダーンがお前ととは。てっきりジャシンダが相手だと思ってたが。そう言えばジャシンダはどうした。やはりシルヴィアと一緒に」
「いえ。こちらに来る前に聞いた噂によると、その前に離れて今はドモスでリンダの軍団に加わってるとか」
「なに。アイツ。シルヴィアがどうなったか知ってるのか?」
「おそらく。しかしそれ以上にアーダーンへの怨みが大きいのでしょう。そのためなら悪魔とでも手を組みかねないかも」
「だろうな。クィンクェではアイツの弟まで殺された。そのためなら何だってやるだろう」
悲痛な顔を浮かべるアルテミス。
「申し訳ありません。私があの男の始末を出来ていれば。何度も機会を窺いましたが。私の腕では無理でした」
「いや。無駄死にせず、こうして私の元に来てくれたのが何より嬉しい。アーダーンは私の家族の仇でもある。気持ちは同じだ」
「殿下…」
「しかしここに来た以上は、アーダーンへの怨みは置いてくれ。奴がメリシャントの反ドモスを標榜する以上、奴に手を出すのは、ここに迷惑を掛ける事になる。奴の始末はジャシンダに期待するしかない」
「はい。下手に手を出したらジャシンダに殺されますしね」
苦笑を交わし合う二人。
「そういう事だ。だからお前にはアルテナスの代わりに私の副官となって貰う。そういう事だな。アスレー」
振り返ってアスレーを見上げるフィオリナ。
「はい。そのために今はバジルール砦で、メリシャントの志願者から殿下の直属兵団を編成中です」
「手回しが良いな。だが分かってるだろうが。クィンクェの件に関わった輩を入れるわけにはいかんぞ。例えどれだけ腕の立つ者でもだ」
「は。そのような者は最初から難民としての受け入れを断っています。どうかご心配なく」
「よし。ではまずは調練からだな。仕事に掛かるぞ。アルテミス」
「は!」
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