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ハーレムフロントライン 第六章 均衡 P
日時: 2023/10/28 19:45
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「もうしわけありません…」

しばしのスッタモンダの末。やっと落ち着くアルテミス。

「なにせシルヴィア様の事を聞いてから、フィオリナ様がとにかく心配だった物で…」

さもありなん。あの事を聞いているなら、先程の反応も当然だろう。むしろこちらの配慮が足らなかった。それこそ殺されても文句は言えない。

メリシャント王族最後の悲劇。ドモスに人質中のシルヴィア王女の脱出未遂。そして娼妓落とし。
一体ドモスの副都カーリングで何があったかは情報が錯綜しており、真相は不明。
確実なのは、ドモスがもはやシルヴィアを傀儡としても必要とせず、メリシャントの完全併合に乗り出したという事である。

あのシルヴィス太后の凶行についても、本人の言動や周囲の証言を聞くに、ただでさえ不安定になってた上に、同母妹の顛末を聞いて錯乱状態に陥った太后が発作的に刃物を手に。それを止めようとした夫のジェラルディン前王と揉み合っている内に、心臓を刺してしまったという物らしい。
ならば何故その場に前王がいたのか。それは前王自身がその最悪の凶報を伝えたかららしい。御子息のジェラード殿下と同じく、前王には善良だが配慮に欠ける所があった。おそらく御本人としては善意のつもりで、妻がそこまで絶望するとは想像出来なかったのだろう。

善意は必ずしも良い結果をもたらすとは限らない。これもまた一つの好例というべきか。

(ダリシン王国だったらどうだったかな)

イシュタールを挟んでクレオンレーゼと反対側の南方に位置するダリシン王国。
そこの国王一家も我がクレオンレーゼと似たような家族構成。国外のイシュタールから嫁いだ気性の激しい王妃クシャナと間に生まれた王太子カプランがいる。
一番の違いは、そちらの国王カスピアンはまだ年も若くて側室も多く、性格もなかなかに食えないと聞く。
おそらく良くも悪くもジェラルディン陛下のような軽率な真似はしないだろう。

(あるいは自殺をわざと見過ごすかな。いや。まさか)
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