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ハーレムフロントライン 第六章 均衡 M
日時: 2023/10/22 16:01
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「クレオンレーゼ王国女王! ジェイングレイ陛下! バンザーイ!!」

式場全体に轟く大歓声と共に、一気に動き出す西国全体。

予期せぬ不幸の結果であるが、最前線クレオンレーゼでの白銀に輝く美しき女王の誕生。それは間近に迫り来るドモスと二重王国の一大決戦を前に、西国全体の団結と士気を高める大きな効果をもたらした。

二重王国がメリシャント地方に大軍を移動させ始めたのを受け、それまでインフェルミナ地方にいたドモスの主力軍も移動を開始。

聞く所に寄れば、インフェルミナ最後の国王を仕留めたのは、ネフティスでの調略活動でも活躍した、あのヒルクルスだったらしい。それもまた西国に対するプレッシャーの一つとなっていたのは言うまでもない。

賓客たちに続いて、各国から続々と集まりつつある援軍。
隣接のイシュタールとシェルファニールの三千ずつをはじめ、どの国も千以上の軍を派遣。
以前から入って来ている分も含め、いまや二万にも迫る大軍がグレオンレーゼの最前線バジルール砦の周囲に犇きつつあった。

首都クリアランスにも各国の代表による合同本部が置かれ、その事務総長も兼ねた、宰相代理のアスレーは前にも増して東奔西走の日々。

そして今はバジルール砦。ここの責任者として、戴冠式にも出られなかったバラーシャが出迎える。

「これはこれは。御苦労な事だな」

「兄上が生きていたら。首都は任せて、ここに常駐出来たんだがな。やむを得ん」

「フフ。あのスマイラスでも、これだけの事業を仕切った事は無いんだ。これを切り抜けられたら、まさに我が国史上最大の大宰相だな」

「他人事みたいに言うな。切り抜けられるかどうかは、そっち次第もある。ここを頼んだぞ」

「当然だ。で。どうするんだ?」

何をと聞き返すまでもない。集結しつつある軍勢全体を統括する、総大将の人選だ。

「イシュタールから横槍が入ってるそうだな。クリスティンを任命しろとか」

いま西国の中でも最大の物資と人員を惜しみなく提供しているイシュタール。それは自国防衛のためだが、同時に発言権強化の意味合いもあるのは言うまでもない。
だが対外的な実戦の指揮と経験で一番の不足と不安があるのも、また間違いなくイシュタール。

「まあ確かにクリスティンはいい奴だ。だが部下も含めて生命を預けられるかとなると話は別だぞ」

そっちについてはまだ自分の方が上だという口調。それに対し。

「腹案はある」
メンテ

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