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ハーレムフロントライン 第六章 均衡 J
日時: 2023/10/19 04:45
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「いい加減にしろ! ジェラード!!」

突如として控えの間に響き渡る、まさに雷が落ちたかのような音。
心から度肝を抜かれた一同の先に居たのは、宰相代理の後ろに屹立する一人のメイド。
そこに向かって憤激と怒声が爆発する直前。またしても炸裂する第二撃。

「馬鹿者!! よく見ろ! 忘れたか!?」

その一言と共に、床に叩き付けられる帽子。まるで獅子の鬣のように大きく靡く黄金の髪!

「叔母上!?」

真っ先に反応するジェラード。
間違いない。そこに居るのは二年前、両親と共にクィンクェを訪れた時に自分を出迎え、馬に乗せたり、剣の相手もしてくれた、美しくかつ強き憧れの叔母。メリシャント王女フィオリナ。
そして自分が精通を覚えた、紛れも無き初恋の相手。その時の姿を思い出しながら、今日まで何度自涜を繰り返してきた事か。

フラフラと立ち上がり、それ以外は目に入らないとばかりに、黄金の髪のメイドに歩み寄って行くジェラード。

「ジェラード様! その方は!」

慌てて止めようとする近習たち。それを子供と思えぬ力で突き飛ばし、いきなり走り出すや、その引き締まった胸に目掛けて一気に飛び付く。

「叔母上ー!!」

いささか驚きながらも、甥をしっかりと受け止めるフィオリナ。その胸の中で滂沱の涙を流し、激しく嗚咽すら始めるジェラード。

「い、生きておられたのですね。は、母上から、叔母上も殺されたとばかり…」
メンテ

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