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ハーレムフロントライン 第五章 惨劇 O
日時: 2023/10/09 11:08
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「どういうことだ! それは!?」

翌朝の早々、クリアランスのスマイラスから届いた急報。たまたまそちらに居たカエソニアから届けられた物だが、慌てて自分自身の口を塞ぐ。

(シルヴィス王妃が…ジェラルディン陛下を…刺した!?)

事が事だけに詳しい情報は口頭や文書では伝えられない。すぐクリアランスに戻って来いというスマイラスからの急報。

慌ててバラーシャだけに事態を伝えると、急いでクリアランスにまた戻る。


自邸にも寄らず、そのまま王宮の兄の居場所に直行する。

そこには兄だけでなく、その妻でもあるジェイングレイ王女、そして国王夫妻の息子であるジェラードまで居る。

「陛下は!?」

それに対し悲痛気に頭を振るジェイングレイ。彼女の手元には甥になるジェラードが不安気にしがみ付いている。

「どういう事だ?」

兄の宰相を問い詰めるアスレー。それに対し別室に案内するスマイラス。

「王妃様は?」

「完全に錯乱状態で常軌を逸している。今は幽閉中だ」

「何があったんだ?」

「御二方の間で何があったかは分からん。だが御一族の不幸があってから、王妃様の情緒が著しく不安定になっていたのは確かだ。主殺しのアーダーンを殺してくれと大声で喚きまくるのは自分も聞いた。しかも」

「しかも?」

「イシュタール経由で二重王国から通告が来た。アーダーンは反ドモスだからこちらから手を出すなという事だ」

「なんだと!? やつらは自分たちがあの件の共犯だと認めるのか!?」

「仕方あるまい。メリシャントでの正面対決を控え、今の二重王国は反ドモス勢力を糾合するので躍起だ。ドモスに臣従したメリシャント王家などより、アーダーン一派を立てるのが優先する。セリューンとてそのリスクは百も承知だろう」

「こちらの悲劇も承知だと有り難いがな。で。どうする。おかげさまでこちらも王を失った。早くジェラード様を立てないと」

顔を顰めるスマイラス。

「そう簡単に行くか。確かにジェラード様は陛下の王太子だ。だが国王弑逆のシルヴィス様の息子でもある。いま立てるのは国内だけでなくメリシャントや二重王国に対しても色々と拙い」

「ならばどうする? 他に候補は…まさか!」

「そうだ。こうなればジェイングレイしかいない」
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