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ハーレムフロントライン 第五章 惨劇 N
日時: 2023/10/08 21:44
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「あーははは! 傑作だな! それは!」

思い切り腹を抱えて転がり回るバラーシャ。それに対し思い切り顔を顰めるアスレー。

(やっぱり言うんじゃなかったかな。こいつには)

何度目かの往復で、今はバジルール砦。相変わらずメリシャントからの難民の流入は収まっていない模様。

やっと片方の笑いが収まってから表情を戻す両者。

「難民の話によると、カルナップがクィンクエから撤退したらしいぞ」

「なるほど。これ以上の責任は持てないわけか」

大虐殺後のクインクエの治安は相当に悪いままらしい。それによる住民間の報復合戦は後を絶たず、占領軍のはずのカルナップも遂に投げ出したらしい。

惨禍を免れた市内の豪商たちも、支店を構えていたサラマンカに本店の機能を移し、傭兵団のほとんども新たなスポンサーに付いて移動。

いまやクィンクエはほとんどゴーストタウンの有様らしい。

「ま。王族の呪いって奴かな」

「別に王族に限ったわけでもないだろうがな」

器に酒を注ぎ合い、改めて額を寄せ合う二人。

「で。これからどうするつもりなんだ。クリアランスは?」

「生き残ったメリシャントの王族で継承順位の一番高いのは、ここの王妃のシルヴィス様だ。取り敢えずは名義的にも王妃様をメリシャント女王にという声が高いな」

「あのヒステリー女が? ますます最悪だろうが。で。結局はこのクレオンレーゼがメリシャントまで管理するのか?」

「それはどうだか。メリシャントはクレオンレーゼの倍以上だぞ。とても一国だけでは無理だ。どうしても西国全体あるいは二重王国のバックアップが要る」

「いまだオルシーニを嫌ってる連中もいるだろうがな。それも。あくまでドモスが手を出さない前提でだが。やはり人質のシルヴィアを押し立ててくるか?」

「普通ならそうくるだろうが。なんせドモスだからな。メリシャントを王国として再生するより、むしろそのまま併呑する方を選ぶかも」

「そんなの西国、いや二重王国が許すと思うか?」

「許すわけないだろう。そんな事すれば隣接するオルシーニが危険になる。そうなれば幾ら他の地域を従えていても意味は無い」

「そうなると。やはり例の件が二重王国の差し金というのはありえないか」

「前よりも条件が悪くなってるという意味ではな」
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