ハーレムフロントライン 第五章 惨劇 J |
- 日時: 2023/08/20 08:06
- 名前: 陣
- 「で。二重王国からは何と?」
フィオリナを伴い、首都クリアランスに戻ってきたアスレー。
早速スマイラスの元に出向くが、既に詳報は各方面から伝えられている。
「遠からずメリシャントへの『救援』を行う。その際の『支援』を宜しくという事だ」
「派兵に参加しろとまでは言ってないわけか」
「ああ。あるいはイシュタールあたりとの調整の結果かな。とにかく当面はドモスの味方にならなければ良いというところだろう」
「で。王家を弑逆したアーダーン一味に関しては?」
「説明が無い。一応は反ドモス勢力だから無下にも出来んが、今回の狼藉非道を支持するわけにも行かないという苦肉の表現だろう」
「噂のように。二重王国の煽動があった可能性は?」
「セリューンは策士だが、ここまで奇を衒ったやり方をしても意味は無い。やはりこの間の戦の後遺症と見るのが普通だろう」
アスレーとしても異論は無い。
前の戦ではメリシャント側にも相当な犠牲が生じている。今回のアーダーン派の決起は、それにおいて多くの犠牲を生じた者や遺族による物が大きく、それが暴走状態に陥った結果と見るべきだろう。
「あと流石に耳が早いな。もしフィオリナ王女がこちらに来るようだったなら保護を頼むともある」
「あちらとしては自分側に取り込みたかったが、先を越されたという感じか。で。どうするんだ?」
「メリシャント王国嫡流の生き残りは今やシルヴィス王妃のみだ。王妃様の承諾無しに勝手な真似は出来んな。フィオリナ王女の処遇にしても」
「ドモスに人質のシルヴィア王女はどうなる?」
「おそらくドモスとしては彼女を立てて侵攻してくるだろう。非情だが、こうなっては見捨てるしかない」
「…」
それもまたアスレーに異論は無かった。
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