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ハーレムフロントライン 第四章 外交 J
日時: 2023/03/15 22:16
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「よお」

目の前で太々しく手を振る相手に、ワナワナと顔と身を震わすアスレー。

ゲーブル城に動きがあるという報に、屋敷に戻る間もなくバジルール砦にトンボ帰りして見れば、いかにも人を食った感じで砦の前に来ている男。

(ヒルクルス…)

どの面下げやがってとばかりに、憤怒を必死に押し殺しつつ、砦の前に出て行く。

当然。互いに一人でない。相手にはグレイセンをはじめとする数人。
こちらもバラーシャをはじめ数人。クリスティンにガブリエラ、そしてシャクティといったイシュタール側の面子もいる。

もちろん。互いに密談だの密約だのといった余計な疑惑を避けるためなのは言うまでもない。

「何の用だ」

「御挨拶だな。こちらこそ挨拶だよ」

「なに?」

「この度の和睦をもって、ここでの俺の仕事も終わった。リンダ閣下から別方面での新しい仕事を命じられてな。後任の挨拶も兼ねて、一応寄っておこうと思ってな」

「後任?」

「ああ。紹介しよう。この度の戦功で、将の位を授けられた。フェンリッヒ将軍だ」

その言葉の終わらぬ前に、相手方の列がサッと割れ、その奥から進み出る一人の少年。

その野生とも凶器とも言えそうな鋭利な雰囲気に気圧される西国側。

(こ、これが餓狼のドモスの将軍…)

戦場での異常な突進を改めて思い出すアスレー。ドッとばかりに吹き出す冷や汗。

(じ、冗談じゃない。ここでこいつがその気になれば、ここの連中など一瞬で皆殺しだ…)
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