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ハーレムフロントライン 第四章 外交 I
日時: 2023/03/14 08:05
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「シルヴィア王女が!?」

兄宰相からの呼び出しで、バジルール砦から王都クリアランスに戻ったアスレー。
そのまま王宮に直行し、その用向きを聞く。

「ああ。クィンクェから知らせが来た」

難しい顔で弟に説明するスマイラス。
最前線のバジルールではなく、ニーデンベルグを経て海上経由で来た知らせだという。

「同母姉のシルヴィス王妃様宛の連絡らしい。おかげでいま王妃様は半狂乱だそうだ」

ヒルクルスの存在に遮られ、こちらからは見え難くなっていたが、その背後ではメリシャントとドモスの政治交渉が着実に進んでいたらしい。

その結果、メリシャントはほとんど無防備状態のクィンクェの保持を認められる代わりに、シルヴィア王女をはじめ有力貴族の子女をドモスに差し出す形で手を打ったという。

「要するに。ナウシアカと同じにですか」

「まあそういう事だ」

先年にドモスに屈服した北方のナウシアカ王国は、軍事的にドモスにある程度の打撃を与える事によって、何とか四分六の態勢での講和に持ち込み、国体護持に成功。その代わりに若干の領土とオクタヴィア王女をはじめとする人質集団の提供を呑まされている。

「確かあちらでの王女の処遇は、あくまであちらの第一王女の御学友という物でしたか」

「ああ。だが王妃様としては、そんな事は嘘だ、どうせ野蛮なドモス王の餌食にされるに決まっているという事らしいが」

まあそれが当然の予想と予測だろう。

「で。メリシャントの内情は?」

「もちろんアーダーンら反ドモス派が猛反対したらしい。例のフィオリナ王女も含めてな。しかし結局クィンクェを放棄したくない連中の強引な決議で決まったそうだ」

「しかし。このままでは済まないでしょうな」

「ああ。恐らくな」
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