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ハーレムフロントライン 第四章 外交 H
日時: 2023/03/13 20:02
名前:

「しかし解せない」

改めて首を捻って見せるアスレー。

「あいつは一体何を望んでるんだ?」

「確かに不自然よねえ」

軽く相槌を打つガブリエラ。

「あの子がイシュタールに戻りたいっていうなら、メリシャントに対してやったように、この西国に対しても色々仕掛けるはずよね」

「そういう事だ。実際、奴にはイシュタールから内応を申し出る動きが様々に来てるはずだ。クリームヒルト家でもその動きは掴んでるだろ」

「まあね。下手に突っついても切りが無いからしばらく泳がせろってのがルイーズの意見らしいけど」

「あまり気を持たせると、考え直す奴も出てくるだろう。あいつは何を考えてるんだ」

「まあドモスの都合もあるんでしょうけど」

そこでようやく発言するシャクティ。

「なるほど。ドモスの都合ですか」

「どうした」

「あの方が何を考えてるんじゃなくて。あの方がああしている事で、どういう事になってるか考えてみましょう。当然ですが、私たちは余りにも西国の人間としてあの方を考えていたのではないでしょうか」

「まあそうね」

「だから。今あの方がああしている事でどういう事態が生じているかを考えてみましょう」

「あいつがあそこに腰を据えている事で生じている事。それはまずとにかく西国全体にプレッシャーを与えている事だな」

「そうね。何をどう言われてもイシュタールは西国の中心。そこがどうなるかで周りにも影響が及ぶわ」

「しかしドモスとしてはどうかな。今はまだ西国にまで首を突っ込める段階じゃないだろ」

「そう。まずは何よりも今はメリシャントに対する始末をどう付けるかですわね」

「すると奴の動きはあくまで対メリシャント戦略の一部という事か」

「あの子があそこでああしている事で、西国はプレッシャーに見舞われて、メリシャントに本格援軍するどころじゃないってわけね」

「確実な事はそれが分かったとしても、こちらとしてはどうする事も出来ないって事だな。今の状態ではこちらは守りを固めるのはやっとだ。あいつの首を取りにあそこまで出向くのも出来ない」

「そういうわけです」
メンテ

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