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駒学園の追走st1
日時: 2014/05/14 07:13
名前: さくら

st1.薔薇殺しの麗人 - The Lady of the rose killing -

序 章>>1 07章>>8
01章>>2 08章>>9
02章>>3 09章>>10
03章>>4 10章>>11
04章>>5 11章>>12
05章>>6 12章>>13
06章>>7 あとがき>>14
メンテ

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Re: 駒学園の追走st1 ( No.5 )
日時: 2014/05/23 10:27
名前: さくら

4章

 それから2時間が経って、雷華はデッキの調整やテストが
終わって、一息ついているところだった。
朝倉たちはあれやこれやとカードを物色しているがあまり買う気は
なさそうだ。

「・・・お前さんがた、そろそろいい時間だぞ?
帰ったほうがいいんじゃないか」

 クレシスがそういって苦笑する。それを聞いて、携帯電話を顧みた雷華が
あ、と声を漏らした。

「大変だ、早くスーパー行ってお夕飯の材料買わなくちゃ。
・・・今日ハンバーグでいいかなぁ、みんな好き放題注文つけてくるけど」

 そういいながら、はぁ、とため息をつく雷華。それを聞いた可奈は
キョトンと、彼女に言った。

「・・・なんだ、お前が夕飯を作っているのか?」

 ご両親は健在なのだろう。彼女の言葉に、雷華はうん、うなずいて答えた。

「私の家、両親共働きで中2の妹と下に弟3人いるんだ。
普段は妹が面倒見てくれてるんだけど、食事だけは私が作ることになってるの」

「・・・へぇ」

 それを聞いて、可奈は感心しきったようにそうつぶやいた。

「・・・朝倉は・・・ああ、お前の家はお手伝いさんが作るもんな」

「ええ、うちは家政婦が作るから何も考えてないわ。
・・・サラサは・・・あ、そうか。独り暮らしだから、自分で作るか」

 ふいに話を振られたサラサが、えっと声を漏らす。
どこか明後日のほうを向いていたようだが、いったい何をみていたのか。
彼女はえーっと、とつぶやいてからポリポリと頭をかいて言った。

「ゴメン、聞きこぼしてた。何?」

「夕飯をどうしてるのか、っていう話をね。カーちゃんは自炊、私は
家政婦さん、雛沢さんはどうせ・・・水と乾パンだし」

「・・・悪いな、メノアさんが腕によりをかけて中華料理を作って
くれると今朝いっていた」

「・・・あいつの中華、か・・・胃薬を用意しとくか」

 クレシスがそういいながらごそごそとレジの裏をあさる。
それを顧みてから、サラサは苦笑交じりに言った。

「・・・今日はぁ、一人で外食、かな?たまには、
そういうのもいいかなぁって思ってるんだ」

 そういいながらあははっと笑う。それを聞いて、朝倉と雷華が顔を見合わせた。

「・・・そうかなぁ、みんなで食べるほうがおいしいと思うけど」

「まぁでも、いつもカラカラ明るいサラサが一人で食事したいって
思うこともあるってことじゃない?私、かーちゃんが作ってくれるなら
どこで何人で食べても何でもいいけど」

「あはは、じゃぁそのうち何か作ってあげるね?」

 それを聞いて、朝倉はあらうれしいと言って笑った。
そんなことを話しながら店先まで出て、そこで朝倉と雷華は店から右に、
サラサは左に曲がって帰っていく。

「・・・可奈、サラサを送ってやったらどうだ?
店の後始末は俺だけでもできるからよ」

「・・・わかりました。サラサ」

 クレシスの言葉にそう答えてから、少し駆け足にサラサに追いついた。

「そこまで送るよ。何かと、物騒だしな」

 それを聞いて、サラサはフフフッと笑ってからお願いね、と可奈に言った。
そのあとは、しばらく無言でお互いに歩いていた。こうなると、
別段話すことのない自分が少しもどかしい・・・。

「・・・ねぇ」

 そんなことを思っていると、不意にサラサが口を開いた。

「・・・可奈って、退魔師なんだよね?」

「・・・ああ。お前には話したが、一応まだ見習いだ」

 あまり、気のきいたセリフではないな。可奈はそう思いながら肩をすくめた。

「・・・じゃあね、お願い・・・聞いてもらってもいいかな?」

 そういって少し前に出てから、いたって真剣な表情でこちらを見ている
彼女に、可奈は何事だろうかと息をのむ。

「・・・あのさ、もしも・・・もしも、だよ。
私が、力に溺れて人を襲うようなことがあったら・・・
その時は、私のことを滅してほしい」

「・・・サラサ」

「こんなことね、本当は言いたくないの。
だって、まるで私・・・暴走してるみたいなんだもの。
誰かに、言っておきたかったの。だから」

「・・・それ以上は、言わないでいい。わかった、
約束しよう。もし、お前がお前の力で他社に傷をつけたら
その時は容赦も遠慮もなく、お前を滅する」

 親友として、その約束決してたがえない。
可奈はそう言ってサラサの手を取ってそっと抱き寄せた。

「・・・あまり、不安がるな。
そういう気持ちが蛇を呼び、邪を生むんだ。大丈夫だ、
お前がそんなことになるはずはない。私が、
断言する」

 それとも、私に断言されると不安か?
可奈はそう言って苦笑を漏らす。それを聞いて振る振ると首を振る
サラサに、彼女はそうか、と答えて体を放す。

「・・・だが、願わくば私はお前を滅したくはないな。
そんなことになったら、明日から後悔ばかりしそうだ」

 そういってから、それじゃぁここでと彼女と別れて帰路についた。
サラサのことを振り返り、たまに手を振ってやりながらみえなくなるまで
見送った。
 浪漫堂に帰り、食事にありつき・・・メノアの作る中華料理を
たらふく食べて、幸せな気分で入浴、そのあとで取り敢えずと
珍しく布団を敷いて横になった。

―――暗い、つめたい・・・寒い。
寒い寒い寒い寒い寒い・・・・なのに、喉が渇く
喉が熱い・・・喉が痛い・・・
水に映った顔を見れば、それだけで体が痛む。犬歯が光る。牙が光る
ナイフのように光る。
それを突き立てろと頭に響く。喉が溶ける
頭が溶ける脳が溶ける・・・体が言うこと、聞かなくなりそう。
いやだ・・・いやだ・・・いやだ・・・
――――――たすけて!!

 ・・・また、この夢を見る。
誰かはわからない。だが、時折この夢を介して思考が流れ込んでくる。
この言葉が、誰のものなのかも、可奈にはわからなかった。

―――いたい、くるしい、たすけてたすけて・・・
いつからこんなことをいうようになったのかわからない、
それがいつの時からなのかも思い出せない
でも、今はただそれだけを信じている。誰か、助けて
私、もうこれ以上・・・人を傷つけたく・・・いや・・・いやぁあああ!!

 段々と悲痛めいてくるその声に、答えてやりたいが・・・
結局、それが誰のものなのかも、可奈にはわからなかった。そして、
いつもここで目が覚めるのだ・・・が。

―――たすけて・・・たす・・・け・・て・・・
のどが・・・かわくよ・・・くるしぃょ・・・
たす・・・けてぇ・・・なぁ・・・かぁなぁ・・・
た・・・すけ・・・て・・・
た・・・け・・・て・・・・
・・・・・け・・・て・・・・
・・・・・・・・・て・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・

 ―――がばり、と布団を跳ね除けた。
今日になって初めて、夢の全貌が見えた。助けを求めていた、
誰が、聞き覚えのある声幻聴じゃない夢、夢夢夢夢・・・。

「・・・サラサ?」

 今日、不意にあんなことを言っていたサラサの顔が脳裏をよぎる。
嫌な予感がしてサラサの携帯に電話をかけてみるが、出ない。
この時間だ、寝ているのかもしれないと思ったが、時刻はま23時。
サラサが泊まりに来た時に、寝るのは0時ごろだと言っていたから、
まだ起きているはずだ。

「・・・もしもし、朝倉か?」

 そう思うより早く、手にした携帯電話で朝倉に電話していた。

「サラサに連絡が取れない、いやな夢を見てなどうにもいい気がしない」

『・・・いきなり意味不明なんだけど・・・まぁ、いいわ。
今、カーちゃんと一緒に買い物に出てるからついでに家に帰るまでに
注視してみるから』

「見かけたら、すぐに連絡をくれ。すぐにいく!」

『雛沢さんはどうするのよ?』

「私は・・・サラサの家に行く!何事もなければ、また連絡する」

『・・・明日、何事もなかったらストロベリーカフェで
紅茶おごりなさい?パフェ付きで』

「・・・いいだろう、その覚悟は―――財布の有余的な意味で
すでにできている」

 そういってから電話を切って急いでサラサの家に向かう。
それまでにも何度か携帯にかけてみたが、やはり出ない。
部屋の前に来て、何度かインターホンを鳴らすが出ない。
 ドアノブにそっと手をかけると、開いている。
 心中で親友に謝りながら、可奈は思い切り扉を開いて
部屋のなかに入り込んだ。

「・・・不在、なのか?不用心だな」

 真っ暗な部屋の中で、ここに来るまでに闇に慣れた瞳がひかる。
部屋の全貌を見てぎょっとする。
 壁には爪痕のような傷が走り、床には弁当の殻が散乱していた。
ここ数日は、自炊することも少なくなった、と彼女は言っていたが、
弁当ガラも数日中に食いつくした量ではないのは、可奈から見ても明白。
そのうえ、壁の傷はつい最近のものなのか、ところどころ紅い跡がついている。

「・・・何があったんだ、一体」

 そう思いながら部屋を見回すと、テーブルの上にデッキが無造作に置かれていた。
普段、彼女が使っているデッキだが、デュエルディスクは見当たらない。
何時も、同じ場所に保管していると聞いていただけに、いったいなぜかと思ってしまう。

「!」

 そんなことを思っていた刹那、可奈の携帯が震えた。着信・・・雷華から
だった。

「・・・もしもし?」

『・・・あ、もしもし雛沢さん?紫陽花です』

「ああ、どうした?」

『あの・・・サラサちゃん、見つけました』

 その一言に、本当かと声を荒げた可奈に、雷華は小さく悲鳴を上げた。

「あ、すまない。それで、どこに・・・」

『そ、それが・・・あーちゃんといきなりデュエルし始めて、
なんだか、普段のデッキと全然違うカード使ってるし、ダメージが
現実に体を切り刻んでくるし、あーちゃん、かなり必死で』

「・・・なんだと・・・!?どこだ!どこでデュエルしているんだ!?」

『あああ・・ええっと・・・ね、根岸沢公園』

「わかった、すぐにいく!なんとか引き延ばせ!!」

 根岸公園、ここからだと走ってざっと20分程か。
一端浪漫堂に戻って、クレシスの持っているバイクを(無免許だが)かっぱらう
ほうが早いか。いや、走るほうが早いと判断して、可奈は全力で地を蹴った。
メンテ
Re: 駒学園の追走st1 ( No.6 )
日時: 2014/05/23 10:27
名前: さくら

5章

 可奈から連絡をもらって少し経ってから、朝倉と雷華は異様なものを見た。
路地裏から聞こえた小さな声にならない悲鳴を聞きつけた朝倉が、そこで
視たものは・・・放電するデュエルディスクとそれを見て目を見開いて
壊れた笑みを浮かべた友人の姿だった・・・。

「・・・サラサ?」

「・・・ん〜?あらぁ、今日は運がいいわぁ。こんなに大勢、獲物が
よってくるなんてねぇ!」

 そうつぶやいてからまたからからと笑うその姿は異常。
それを見て朝倉はすっ・・・と雷華の前に手を伸ばし彼女を背中に隠すようにしながら
言った。

「・・・雛沢さんが心配してるわよ?連絡くらいしてあげたら?」

「ひなさわ?誰、それ・・・それよりもさぁ、貴方も私とデュエルしない?」

 後ろの彼女でもいいけど、そういって醜悪な笑みを浮かべる彼女を顧みて、
朝倉はさらに雷華を背中に隠すようにしながら言った。

「・・・別にいいわよ、いつも通りコテンパンにしてやるわ」

「っふふふ・・・さぁ、遊びましょ?
ぶっ壊れるその時まで!」

 そういいながら爛と光る碧の瞳を光らせるサラサに、朝倉は静かに
息をのんだ。異様、あのサラサから、ここまでの異様さを感じたのは
初めてだった。

「そうね・・・でも、場所を変えましょう?
ここじゃ、さすがに私がカードを出すには狭すぎるわ」

 場所を移しましょう、朝倉の言葉に意外なほどあっさりと彼女は同意した。
そして、そこから歩いて数分の場所にある根岸公園へとやってきたのである。

「―――行くわよ」

「ふふふ・・・」

「「デュエル!!」」

 先攻は朝倉のターンから。素早くデッキから6枚のカードを引き、それらを
一瞥してから1枚を場に出す。

「終末の騎士を攻撃表示で召喚」

 全身をアーマーで包み、口元に赤いスカーフを巻いた騎士が現れる。
その騎士が手にしたサーベルを振りかざし、正眼に近い位置に片手で構える。

「このカードは、召喚、反転召喚、特殊召喚成功時にデッキから闇属性の
モンスター1体を墓地へ送ることができる」

終末の騎士
☆4 闇
攻1400
守1000
戦士族効果:このカードが召喚・反転召喚・特殊召喚に成功した時、
自分のデッキから闇属性モンスター1体を選択して墓地に送ることが出来る。

「デッキから、情報寄生プログラムを墓地へ送るわ」

 情報寄生プログラム、こちらのモンスターが相手のモンスターを
破壊した時に効果を発動するカード。雷華の記憶ではそんなカードだ。
そして、墓地に送られる闇属性モンスターは、朝倉のデッキにおける
アレを出す布石にもつながる。

「カードを1枚伏せてターンエンドよ」

朝倉手札残:4枚

「私のターァン、ドロー」

 サラサのターン、カードを引いて小さく嗤う。

「手札から、永続魔法種子弾丸を発動するわ」

「・・・種子弾丸ですって!?」

種子弾丸
遠族魔法
植物族モンスターが召喚・反転召喚・特殊召喚されるたびに、
このカードにプラントカウンターを1つ億(最大5つまで)。
フィールド上に存在するこのカードを墓地へ送ることで、
このカードに乗っているプラントカウンターの数×500ポイントのダメージを
相手ライフに与える。

「・・・植物族のサポートカード・・・?何を考えている?」

「さぁて、なんでしょうか?」

 そう言いながら、キャハハハハッと笑う彼女。アンデット族を中心に
したデッキを使っていたはずだが、何がどうして、こんなカードを・・・。

「さぁらぁにぃ!手札から夜薔薇の騎士を召喚!」

 黒い甲冑を身にまとった小柄な騎士が現れる。
さらに、その騎士が片手をかざすと同時に、すぐ隣に植物の種のような
モンスターが姿を現した。・・・ローンファイア・ブロッサムである。

「効果で、ローンファイア・ブロッサム特殊召喚!
それによって種子弾丸のカウンターが1つのる」

夜薔薇の騎士
☆3 闇
攻1000
守1000
戦士族・チューナー:このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、
相手は植物族モンスターを攻撃対象に選択する事はできない。
このカードが召喚に成功した時、手札からレベル4以下の植物族モンスター1体を
特殊召喚する事ができる。

種子弾丸→カウンター1

「そしてぇ!ロンファの効果発動、こいつを生贄に捧げ、
デッキから植物族モンスター、薔薇の妖精を特殊召喚!
カウンターがまた一つ!」

 ローンファイア・ブロッサムが大きく膨らんで爆ぜる。
その爆ぜた先から現れたのは小さな薔薇の妖精だった・・・。

ローンファイア・ブロッサム→墓地
薔薇の妖精→フィールド

薔薇の妖精
☆3 風
攻 600
守1200
植物族効果:このカードが魔法・罠・効果モンスターの効果によって
自分のデッキから手札に加わった場合、このカードを自分フィールド上に
特殊召喚する事ができる。

種子弾丸→カウンター2

「そして、この二体でシンクロ召喚!」

「・・・レベル6・・・ブリューナクか、それとも大地の騎士か」

 どちらも、片方は強力なバウンスをそしてもう片方が高い攻撃力を
誇るシンクロモンスターの1体である。もっとも、墓地を肥やすという
ことに利点を持つ植物族、ブリューナクが濃厚だろうが。

「闇の棘に潜みし、邪悪なる黒薔薇の狩人よ・・・漆黒の鞭を振りかざし、
その戒めで敵を刻め!」

 その言葉に従い現れた、緑の衣装に薔薇の花を模した装飾の靴を履いた
青年が現れる。

「・・・シンクロ召喚、スプレンディッド・ローズ」

スプレンディッド・ローズ
☆6 風
攻2200
守2000
植物族シンクロ・効果:チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上
1ターンに1度、自分の墓地に存在する植物族モンスター1体をゲームから除外することで、
相手フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体の攻撃力をこのターンのエンドフェイズ時まで半分にする。
また、このカードが攻撃したそのバトルフェイズ中に、自分の墓地に存在する植物族モンスター1体を
ゲームから除外することで、
このカードの攻撃力をエンドフェイズ時まで半分にし、もう1度だけ攻撃することができる

種子弾丸→カウンター3

「・・・カウンターをためることを優先してきた、か」

「さぁ!バトルフェイズよ!!スプレンディッド・ローズで終末の騎士を攻撃」

 振るわれたいばらの鞭が翻り終末の騎士を襲う。
その一撃を切り払うサーベル、しかしその払われたところから再び翻った
それが、終末の騎士を穿つ!!

終末の騎士攻1400×→墓地
スプレンディッド・ローズ攻2200○
朝倉LP8000−800=7200

「ッ!?・・・なに、これ!」

 その一撃が衝撃波となって文字通り、朝倉の体に
傷を穿つ。その傷から一滴だけ、薄皮が剥げて血が落ちる。

「キャハハハハハッ!!ダメージが現実に体を襲うの、愉しいでしょぉ?
気持ちいいでしょぉ?生きてる実感がどんどん湧いて出るでしょぉ?
真っ赤な血が流れるたびに生きてる感じがするでしょぉ?
それがどんどん冷たくなるたびに、ライフが削られるたびに、戦ってる
感じがするでしょぉ?!こんな楽しい愉しい悦楽がほかにあるはずないもん
ねぇ!楽しませてよ愉しませてよたのしませてよ!!
もっともっとさぁ!鮮血をぶちまけて内臓を痛めつけて血反吐をはいて私を
もっと楽しませてよ・・・キャーッハッハッハッハッハッハ!!」

 耳障りな高笑いが無人の公園に響く。
周囲に民家のない場所を選んで正解だったかもしれない。あったら確実に
警察沙汰だ。朝倉は自身の家のことも考えて静かにため息。

「・・・上等じゃないの・・・この、大馬鹿が!!」

「まだ終わりじゃねぇぞ?墓地の薔薇の妖精をゲームから除外!!
それによって、攻撃力を半分にしたスプレンディッド・ローズの
追加攻撃・・・直接攻撃のダメージは格別だよぉ!?」

 その一言と同時に、終末の騎士を穿った棘の鞭がそのままの状態で
三度翻って朝倉を襲う!!
・・・瞬間、そこに現れた赤いスカーフにぼさぼさの長髪を振り乱した
サーベルを手にした騎士が棘の鞭を切り捨てる!!

「!終末の騎士?」

「・・・リビングデッドの呼び声よ・・・その効果で、終末の騎士を
呼びだしたの。騎士は常に、女性をかばうために存在するのよ」

リビングデッドの呼び声
永続罠
自分の墓地からモンスター1体を選択し、
攻撃表示で特殊召喚する。このカードがフィールド上に存在しなくなった時、
そのモンスターを破壊する。そのモンスターが破壊された時、このカードを破壊する。

「攻撃力の半減したソイツで、終末の騎士の突破は無理ね。
さらに効果でデッキから、情報思念体の急進派のカードを墓地に送るわ」

朝倉デッキ
情報思念体の急進派→墓地

「確かに、ネェ・・・ならばカードを1枚伏せてターンエンド!」

サラサ手札残:3枚

「私のターンドロー!・・・終末の騎士を生贄に捧げ、
邪帝ガイウスを召喚!」

 漆黒の闇を纏いし騎士が、その姿を変える。
漆黒の鎧を身にまとい、悪魔のごとき形相の赤い瞳を光らせ
闇のようなマントをなびかせる闇の帝が姿を現す・・・。

邪帝ガイウス
☆6 闇
攻2400
守1000
悪魔族効果:このカードが生贄召喚に成功した時、
フィールド上に存在するカード1枚をゲームから除外する。
除外したカードが闇属性モンスターカードだった場合、
相手ライフに1000ポイントのダメージを与える。

「ガイウスの効果でスプレンディッド・ローズを除外!」

 ガイウスが生み出した夜深に、スプレンディッド・ローズがなすすべもなく
飲み込まれる。

「そのまま追撃よ!ガイウスで直接攻撃!さあ、その身で
貴方の言う極上の痛みとやらを味わうがいいわ!!」

 ガイウスの拳がサラサに迫る!
瞬間、彼女の周囲に突然咲いた花から香る甘い香りがガイウスの戦意をそいだ。

「だーめ、フローラル・シールドを使うよ?ざぁんねんでした」

フローラル・シールド

相手モンスターの攻撃宣言時に発動することができる。
相手モンスター1体の攻撃を無効にし、自分のデッキからカードを1枚ドローする。

サラサ手札残:3+1=4

「・・・っち!!
これでターンを終了するわ」

朝倉手札残:4枚

「ならこっちのターンドロー・・・2400の攻撃力、
これは面倒だとほめてあげたいけど、まぁだまぁだ甘いねぇ!
手札から融合発動!」

融合
魔法
手札またはフィールド上から、融合モンスターカードによって決められたモンスターを墓地へ送り、
その融合モンスター1体を融合デッキから特殊召喚する。

「その効果で、手札の返り咲く薔薇の大輪とブルーローズ・ドラゴンを融合し、
薔薇稙獣−ビオランテを融合召喚!!」

「・・・後で作者には躾が必要ね」

 朝倉がどこかを見ながら不穏なことを呟く中で、目の前で
巨大な口を開いた怪物がこちらを見下ろしていた。

薔薇稙獣−ビオランテ
☆8 地
攻2600
守2000
植物族融合・効果:ドラゴン族モンスター1体×植物族モンスター1体
このカードの融合召喚は、上記のカードでしか行えない。
このカードは手札のカードを1枚墓地に送ることで相手フィールド上に
表側表示で存在するモンスター1体の攻撃力を1ターンに1度だけ0にすることができる。

種子弾丸→カウンター4

「っち・・・また面倒な効果を!」

「まぁだ終わりじゃねぇぞ?・・・なんちって?
手札からブルーローズ・ドラゴンを召喚!」

 サラサのフィールドに現れた、青いバラの花びらのような鬣をもつ
ドラゴンが現れる。その姿を見て、朝倉は静かに歯噛みする。

(・・・ミラー・フォースが使えないですって・・・!?)

ブルーローズ・ドラゴン
☆4 闇
攻1600
守1200
ドラゴン族効果:フィールド上に存在するこのカードが破壊され墓地へ送られた時、
自分の墓地に存在する「ブラック・ローズ・ドラゴン」または植物族モンスター1体を
選択して特殊召喚する事ができる。

「どぉせえ、伏せカードはミラーフォースとかそんなもんでしょぉ?
じゃなかったらとっくに発動してるはずだもんねぇ!」

 そう言いながら声勢と声をあげて笑う。
その姿を見て、朝倉が静かに歯噛み。その朝倉に雷華の声が飛んだ。

「あーちゃん!雛沢さん、こっちにすぐに来るって!
できるだけ時間を稼げって!!」

「・・・滅茶苦茶言うわねあの馬鹿。
・・・パフェや紅茶じゃ済ませないわ、もっと豪奢なものおごらせてやる!!」

 そう意気込む朝倉を尻目に、サラサは小さく嗤いながらビオランテの
効果を発動する。

「ビオランテのモンスター効果、手札のカードを1枚捨てて、
ガイウスの攻撃力を0にするわ!!」

 ビオランテの下腹部より下、真っ赤に高揚する核のある個所から伸びた
触手、その職種の先端が口のようになっていて、そこから吹き付けられた
強酸性の受益がガイウスの装甲を腐らせ、武器となる力を奪い取る。

邪帝ガイウス攻2400−2400=0

「さぁ!踊って頂戴?破滅への舞を!!
ビオランテで邪帝ガイウスを攻撃!!」

薔薇稙獣−ビオランテ攻2600○
邪帝ガイウス攻0×→墓地
朝倉LP7200−2600=4600

「っぐぅ・・・この・・・程度!!」

「まぁだまぁだいくよ?ブルーローズ・ドラゴンで
ダイレクトアタック!!」

 青いバラの龍が吐いた炎が朝倉の体を焼き焦がし、
服や靴などに、うっすらと焦げ目をつけてあたりを焼く。

朝倉LP4600−1600=3000

「ぐううううう・・・」

 凄まじい衝撃と、痛み。全身に熱した刃を押し付けられたような
筆舌しがたい痛みが走る。体から力が抜け落ちそうになるのを踏みとどまって、
朝倉はぎろりとサラサを睨み付ける。

「・・・なぁに?まだそんな眼ぇする余裕あるの?
以外と打たれ強いんだねぇ・・・あっははははは・・・」

「・・・言いたいことはそれだけ?」

 笑うサラサを見もせずに、朝倉がそうつぶやく。
その朝倉の眼が大きく見開かれ、それを見た雷華が思わず身震いする。
朝倉の口は笑っていない、目も笑っていない。完全にブッチギレている。

「・・・雛沢さんが来るまで時間稼ぐつもりでいたし、
なんだったら別に負けてもいいかなぁ、とか思ってたけどもう堪忍袋の
緒が切れたわ。・・・絶対に地面にひれ伏させて靴底舐めさせてやる」

 そういいながら、爛々と目を光らせてデッキトップに指をかけ、
引き抜くようにカードを手札に加える。
その一つ一つの行動が、雷華が震えるほどの怖さであった。
メンテ
Re: 駒学園の追走st1 ( No.7 )
日時: 2014/05/23 10:27
名前: さくら

6章

「ドロー・・・手札から成金ゴブリンを使うわ」

成金ゴブリン
魔法
デッキからカードを1枚ドローする。相手は1000ライフポイント回復する。

サラサLP8000+1000=9000
朝倉手札残:4+1=5

「あら、ありがとう?」

「まだよ、手札から未来融合を発動するわ」

未来融合−フューチャー・フュージョン−
永続魔法
自分のデッキから融合モンスターカードによって決められたモンスターを墓地へ送り、
融合デッキから融合モンスター1体を選択する。
発動後2回目の自分スタンバイフェイズに選択した融合モンスターを
自分フィールド上に特殊召喚する(この特殊召喚は融合召喚扱いとする)。
このカードがフィールド上に存在したくなったときそのモンスターを破壊する。
そのモンスターがフィールド上の存在しなくなったとき、このカードを破壊する。

「・・・これだけはしたくなかったんだけどね・・・。
デッキから、10枚のカードを墓地に送り、キメラテック・オーバー・ドラゴン
を2ターン後に融合するわ!!」

情報修正ワクチン→墓地
情報連結体×3→墓地
情報破壊プログラム×2→墓地
情報操作体→墓地
サイバー・ドラゴン×2→墓地
情報思念体の使徒→墓地

「っふふ・・・2ターンも持つのかしら?
それに、召喚してもそいつは破壊されるじゃない」

 サラサの言うとおり、未来融合のカード効果ででた
キメラテック・オーバー・ドラゴンは自らのカード効果で、このカード
以外のカードをすべて墓地へ送らなければならない。
未来融合が墓地へ送られた場合、キメラテック自体も破壊されることになるのだ。

「そぉんなことも知らないでそんなカード使ってるの?それとも、2ターン後までに
カードを引けるとでもいうの?っぷくくくくく・・・まだ20枚近く
デッキにカードがあるというのに、それを引けるわけが・・・」

「黙れ。さらに手札から闇の誘惑を発動するわ」

闇の誘惑
魔法
自分のデッキからカードを2枚ドローし、その後手札の闇属性モンスター1体をゲームから除外する。
手札に闇属性モンスターがない場合、手札を全て墓地へ送る。
朝倉手札残:3−1+2=4

「・・・引いたカードから、クリッターをゲームから除外。
カードを1枚セットして、オーバー・ロードフュージョン発動!」

オーバーロード・フュージョン
魔法
自分のフィールド上または墓地から、融合モンスターカードによって決められたモンスターをゲームから除外し、
闇属性・機械族の融合モンスター1体を融合デッキから特殊召喚する。(この特殊召喚は融合召喚扱いとする)

「墓地から、10体の素材を除外し、
キメラテック・オーバー・ドラゴンを融合召喚するわ」

 朝倉の言葉とともに、地鳴りが起こり、巨大な溶鉱炉が現れる。その溶鉱炉の
様な機械の各部位のシャッターが開き、そこから11本の機械の首が生えてくる。

情報修正ワクチン→除外
情報連結体×3→除外
情報破壊プログラム×2→除外
情報操作体→除外
サイバー・ドラゴン×2→除外
情報思念体の使徒→除外

キメラテック・オーバー・ドラゴン
☆9 闇 
攻????
守????
機械族・融合効果:サイバー・ドラゴン+機械族モンスター1体以上
このモンスターは融合召喚でしか特殊召喚できない。
このカードの融合召喚に成功した時、このカード以外の自分フィールド上のカードを全て墓地へ送る。
このカードの元々の攻撃力と守備力は、融合素材にしたモンスターの数×800ポイントの数値になる。
このカードは融合素材にしたモンスターの数だけモンスターに攻撃する事ができる。

キメラテック・オーバー・ドラゴン
攻????→8000
守????→8000

「その効果で、私の場の伏せカード、そして未来融合、リビデを墓地へ送る」

 朝倉の場のカードが墓地へ送られる。瞬間、突如噴出した鉄砲水が
キメラテック・オーバー・ドラゴンをサラサの場のカードごと薙ぎ払う。

「でもざぁんねん。激流葬発動だよ?」

激流葬

モンスターが召喚・反転召喚・特殊召喚されたときに発動することができる。
フィールド上のモンスターをすべて破壊する。

キメラテック・オーバー・ドラゴン×→墓地
ブルーローズ・ドラゴン×→墓地
薔薇稙獣−ビオランテ×→墓地

「ッ!?」

「こぉの瞬間!墓地の返り咲く薔薇の大輪と、
破壊されたブルーローズ・ドラゴンの効果発動!!返り咲く薔薇の大輪
を特殊召喚!!さぁらに!!薔薇稙獣−ビオランテを特殊召喚!!」

 ぼごっという音とともに現れた巨大な薔薇の花、その隣にもまた
咆哮を上げながら現れた巨大な植物のみを持つ獣の姿が現れる。

薔薇稙獣−ビオランテ→フィールド
返り咲く薔薇の大輪→フィールド

返り咲く薔薇の大輪
☆4 闇
攻1300
守1300
植物族効果:自分フィールド上に存在するレベル5以上の植物族モンスターが破壊された場合、
墓地に存在するこのカードを自分フィールド上に特殊召喚する事ができる。

「そして、種子弾丸のカウンターが5つになる!
これで、こいつを墓地に送れば2500ポイントのダメージを確定できる!
あっはははははははははははははははははははははははははははははは!!

「言いたいことはそれだけよね?ターンを続けさせてもらうわ。手札から、死者蘇生を発動」

 朝倉の言葉とともに、墓地につながる穴が開き、そこからぐにゃり・・・と
歪んだ銀白色のスライムが姿を現す。そのスライム上の生物の周辺を
記号や数字の羅列が取り巻いている・・・。

情報思念体の急進派
☆8 闇
攻2500
守2300
機械族効果:このカードの召喚に成功した時、相手のデッキから、5枚のカードを選択して裏側表示でゲームから除外する。
その2ターン後に、そのカードを表側表示でデッキに加えてシャッフルする。
相手がそのカードを引いた時に、そのカードを墓地に送り、デッキから、カードを1枚ドローさせる。
その後、相手は手札と、場のカードを全て公開した状態でデュエルを行わなければならない

「・・・もっとも、このカードの効果は通常召喚じゃないと発動しないけどね」

「ふぅん、それでどうする気?たかが攻撃力2500程度、
破壊できるのは大輪のみ。そして、私は手札を1枚捨てれば
ビオランテの効果で攻撃力を0にして攻撃の後で、
種子弾丸の効果を使えばあなたの負け☆・・・っくくくくく
ふふふふふ・・・・結局私の勝利に変わりはないのよねぇ!!」

「―――何勘違いしてくれてるのよ?」

 そういった朝倉の周囲の空間がゆがむ。
文字通りぐにゃりと歪んだその奥から、爛と輝く深紅の眼が光る。

「こんなモンスター、所詮前座に過ぎないのよ。
魔法カード、融合発動」

「融合!?」

「手札の億千万の眷属‐視姦魔人マリーチと場の情報思念体の急進派を
融合」

 歪んだ空間の中に二枚のカードが消える。
その刹那、夜間であるにもかかわらず点から淡い光が下りる。その光の中、
舞い降りる白いローブに身を包んだ、白雪のような肌と白い長髪の女性。
その女性の背には翼・・・しかしそれは黒く塗りつぶされ、片翼しかなかった・・・。

「・・・唯一神直径第一使徒‐片翼の堕天使マリーチを融合召喚」

唯一神直系第一使徒−片翼の堕天使マリーチ
☆10 闇
攻????
守????
悪魔族・融合効果:億千万の眷族−視姦魔人マリーチ+情報思念体の急進派
このモンスターの融合は、上記のカードでしか行えない。
このカードの特殊召喚に成功した時、墓地の、「紅眼の覚醒」をゲームから除外する(除外しなかった場合、このカードを破壊する)。
このカードがフィールド上に存在する時、相手のターンのスタンバイフェイズ時に相手は手札と場の裏側カードを全て公開しなければならない。
手札を1枚捨てることで、相手の発動したカードの効果を1ターンに1度だけ、無効にし、破壊することが出来る。
また、相手が魔法・罠・モンスターカードの効果を発動するたびに、相手に1000ポイントのダメージを与える。
このカードの元々の攻撃力と守備力は、融合素材にしたモンスターの攻撃力の合計に、除外ゾーンのモンスターの数×100ポイントの数値になる。

「このカードの攻撃力は融合素材としたモンスター2体の合計と、
除外ゾーンのカード1枚につき100ポイントアップする・・・
よって、その攻撃力、守備力は7100」

「ふぅん、でもちょっと待ち。紅眼の覚醒は墓地にあるの?
あるはずないよねぇ、墓地に送られてるはずがないん・・・・!?」

 そういったサラサの脳裏をかすめる朝倉の行為と行動。
―――その効果で、私の場の伏せカード、そして未来融合を墓地へ送る。

「あの時の伏せカード!!」

「そうよ・・・墓地から、紅眼の覚醒を除外!さぁ、貴方の言う極上の
痛みとやらを、今度はその身にたっぷり叩きつけてやるわ!!
私はマリーチでビオランテを攻撃!」

 マリーチの手にしたカウベルが鳴る。そのベルから放たれた衝撃が
ビオランテに肉薄し、そのまま一気にたたき伏せた。

唯一神直径第一使徒‐片翼の堕天使マリーチ攻7100○
薔薇稙獣−ビオランテ攻2600×→墓地
サラサLP9000−4500=4500

「ぐぅううう・・・・っふふふふふ・・・・いいねぇ、この痛み!!
こんな楽しい勝負は久しぶりだなぁ、本当に楽しいねぇ!!」

「この・・・ド変態が!!ターン終了よ!」

 朝倉がターンを終了したその時、ざりっと砂を蹴るような音がして長い
金髪が闇の中に踊る。息を切らせながら現れた少女、雛沢可奈に朝倉は
爛と光る瞳を向けた。

「・・・あら、雛沢さんじゃない。悪いけど、しとめるわよ」

「・・・ま、待て朝倉。油断するな、未だとどうなるかわからな・・・」

「私のターン」

 そんな、可奈と朝倉のやり取りを尻目にカードを引くサラサ。
その瞬間、マリーチの真紅の眼が光り、その光がサラサの手札を映し出す。

「マリーチの効果発動、相手ターンスタンバイフェイズ、相手の手札と
裏側表示のカードをすべて確認する」

サラサ手札:フラグレンス・ストーム

フラグレンス・ストーム
魔法
フィールド上に表側表示で存在する植物族モンスター1体を破壊し、
自分のデッキからカードを1枚ドローする。
さらに、この効果でドローしたカードが植物族モンスターだった場合、
そのカードをお互いに確認し自分はもう1枚ドローすることができる。

「フラグレンス・ストームを発動」

返り咲く薔薇の大輪×→墓地

「・・・マリーチの効果発動、相手が魔法、罠、効果モンスターの
効果を発動した時、相手に1000ポイントのダメージを与えるわ」

サラサLP4500−1000=3500

「っく・・・デッキから、カード1枚ドロー!・・・ドローカードは
ガード・ヘッジ!植物族モンスターなので、もう一枚ドロー。・・・
魔法カード、死者蘇生を発動!」

サラサLP3500−1000=2500

 サラサの空に描かれた十字架が、墓地から植物のような獣の姿の
怪獣を引きずり出す。

「効果で、薔薇稙獣−ビオランテを攻撃表示で特殊召喚!
そして、ビオランテの効果を発動!手札を1枚墓地に送り・・・
マリーチの攻撃力を0にする!!」

「マリーチの効果でダメージを与えるわ!」

サラサLP2500−1000=1500

 サラサのライフが削られたその時、ビオランテの大きな口が開き
そこから吐き出された大量の強酸性の樹液がマリーチの皮膚をとかし力を
奪い、手段を奪う・・・。

唯一神直径第一使徒‐片翼の堕天使マリーチ攻7100−7100=0

「伏せカードもないし、ライフはたった4300。普通なら耐えれるかも
だけど、ざぁんねん☆種子弾丸がすでに2500ダメージを与えるまでに
膨らんでいるのでしたぁ」

「このっ・・・」

 攻撃力0のマリーチがこちらを顧みる。
億劫な赤目が心底退屈そうにしているのを見て可奈は一瞬目を見開いた。
このカード・・・。

「さぁ!これにて終焉よ?ビオランテでマリーチを攻撃!!」

薔薇稙獣−ビオランテ攻2600○
唯一神直径第一使徒‐片翼の堕天使マリーチ攻0×→墓地
朝倉LP4300−2600=1700


「っぐうう・・・」

「さっきまでの3000ポイント分の痛みもたっぷりと利子つけてくれて
やるわ!カウンターの5つのった種子弾丸を墓地へ送り、
2500ポイントのダメージを与える!!」

 種子弾丸のカードの前に現れた小さな袋がはじけ、弾丸の如く飛び出した
種子が、朝倉の体を打ち据えた。

朝倉LP1700−2500=0

「っぐああ・・・っこんな、こと。ゆだん、しちゃった・・・かしら」

 そういいながら膝を折る彼女を見下ろしながら小さく嗤ったサラサが
腕をかざす。真っ赤な雷のようなそれが、朝倉に向かい飛ぶ!

「さぁ!たっぷりと貰いましょうか・・・あなたの悲鳴をねぇ!?」

 雷が、朝倉に触れる刹那漆黒の翼がそれを弾き、さらにそこに飛び込んだ可奈が
その手に握った杭を投げつける!!
  ホワイトアッシュ
「!白木の杭・・・!!」

 その杭を弾き、それによってできた切り傷が治らないことを見て
サラサは小さくそうつぶやいた。

「・・・それ以上はやめろ、サラサ。
お前が本当に、こんなことをしているとは思いたくないんだ」

「なぁにいきなり出てきて吠えてんの?あんたばかぁ?
私じゃないならだれがこんなことやってるっていうのよ、私自身の
意思でやってるのよ。・・・脆弱な人間を下々に笑いながら、
私たちヴァンパイアが遊んであげてるんだもの・・・そんなもんでしょ?」

「・・・ヴァン・・・パイア、ですって?」

 その言葉を聞いて、朝倉がピクリと身を起こす。どうやら、切り傷ほか外傷はあるが
以外にもほかにダメージは一切なかったらしい。

「・・・違う。彼女はヴァンパイアじゃない。だが、尻尾はつかんだ。
やはり、あれはサラサではないようだ」

「へぇ、何が?」

「サラサは人間のことを脆弱とは言わない、自身のこともヴァンパイアだとは言わない。
そんなことを言うお前は、やはりサラサではない何かだ」

 そういう可奈の言葉を聞いて、彼女はあっははは・・・と笑う。

「それじゃ、私は誰だっていうのさ?あんた、分かってて言ってるの?」

「フフン・・・言わずもがな、だろう?
・・・さぁ、今度は私と遊(おど)ってもらおうか。こんなに月が紅いんだ。
・・・楽しい夜になりそうだ」

 そういいながらデュエルディスクを構える可奈。
そして、サラサとの約束。

「・・・You don't have continue.」

「どっちがだ?」

 そういいながら、サラサが構える。
可奈はそれを聞いてそう答えてからすっ・・・と目を細くしてデッキを
セットした。

「「デュエル」」
メンテ
Re: 駒学園の追走st1 ( No.8 )
日時: 2014/05/23 10:28
名前: さくら

7章

 先攻1ターン目を引いたのは可奈だった。可奈はすっと手札を見る。
さて、と一言つぶやいた後で手札1枚を抜き取りもてあそぶように
場においた。

「モンスター1体を守備表示でセット」

 すぅ・・・と裏側守備表示でカードの映像が浮かび上がる。
さらにその後ろに1枚、カードをおいて、彼女は終了を宣言した。

可奈手札残:4枚

「私のターン、ドロー・・・さーて、あなたはどんな悲鳴を聞かせてくれるのかしら?
ちょっと楽しみね」

 そんなことを言いながら、彼女はすっと1枚のカードを場に伏せる。

「私も、モンスター1体を守備表示で出して、カード1枚セット。
ターンエンドだよ」

サラサ手札残:4枚

 終了の宣言と同時に、可奈の場のカードが翻る。
そこに、醜悪な笑みの装飾が模られた香炉が現れそこから甘い香の匂い
がただよう・・・。

「魔封じの芳香を発動させてもらう」

魔封じの芳香
永続罠
このカードがフィールド上にある限り、魔法カードは一度フィールドにセットし、
次の自分のターンが来るまで使用できない。

 そしてそのままターンを移行して可奈のターン、
デッキからカードを引いてそれをちらりと顧みるとフィールドのカードを墓地に送る。

「私は、冥界の使者を生贄に捧げ・・・ヴァンパイア−令裡を召喚」

 表になった大鎌にフードをかぶった悪魔の姿が消え、
そこに漆黒の長髪を風になびかせ、黒いセーラー服の少女が現れた。
可奈のエースモンスターであるそれは、口元に手を当てて
上品に笑った。

ヴァンパイア−令裡
☆5 闇
攻1900
守1500
アンデット族効果:このカードが戦闘、またはカードの効果によって破壊された時、
手札の「ダーク・バット」1枚を墓地へ送る事で、そのターンのエンドフェイズ時に
このカードを特殊召喚することが出来る。
このカードが戦闘によって、モンスターを破壊し、相手ライフに戦闘ダメージを与えた時、
破壊したモンスターのコントロールを得る。
手札の「ダーク・バット」を墓地に捨てることで、
自分フィールド上のモンスター1体を対象にする破壊効果を無効にする。

「さらに、墓地の冥界の使者の効果を発動。デッキから、
レベル3以下の通常モンスター1体を手札に加える・・・私はデッキから
ダーク・バットを手札に」

冥界の使者
☆4 闇
攻1600
守 600
悪魔族効果:このカードがフィールド上から墓地に送られた時、
お互いに自分のデッキからレベル3以下の通常モンスター1体を選択し、
お互いに確認して手札に加える。その後デッキをシャッフルする。

「私のデッキには通常モンスターは入ってないわ。見る?」

 そういってこちらにデッキを扇状に開いて見せる彼女。ぱっとみて、
通常モンスターがないのは分かったから別にかまわない、と
可奈が言うと、そっか。と彼女は答えてそれを閉じてデッキベースに
戻す。

「ヴァンパイア−令裡で守備表示モンスターを攻撃する」

 すっ・・・と体を蝙蝠に変えた令裡が守備表示のカードの前に現れ、
丈の長いスカートの下から伸びた白い足でそれを蹴りあげる。
 蹴り上げられたカードの下から出てきたのは・・・ジャック・オ・ランタンの
装飾が施されたトマトだった・・・。

ヴァンパイア−令裡攻1900○
キラー・トマト守1000×→墓地

「キラー・トマトの効果発動。デッキから返り咲く薔薇の大輪を特殊召喚」

キラー・トマト
☆4 闇
攻1400
守1000
植物族効果:このカードが戦闘によって墓地へ送られた時、
デッキから攻撃力1500以下の闇属性モンスター1体を自分のフィールド上に
表側攻撃表示で特殊召喚する事ができる。

 地面が膨れ、そこからボコリト薔薇の花が咲いた。その花弁の中央に
目玉のようなものがぎょろりと動く。

返り咲く薔薇の大輪
☆4 闇
攻1300
守1300
植物族効果:自分フィールド上に存在するレベル5以上の植物族モンスターが破壊された場合、
墓地に存在するこのカードを自分フィールド上に特殊召喚する事ができる。

「私はカードをさらに2枚伏せて、ターンを終了する」

「セットカード、アイヴィ・シャックルを発動するね」

 サラサの場のカード1枚が翻る。
そこに、薔薇の弦に絡め取られた兵士のイラストのカードが現れる。

アイヴィ・シャックル
永続罠
このカードがフィールド上に存在する限り、相手フィールド上に
表側表示で存在する全てのモンスターは自分のターンのみ植物族となる。
フィールド上に表側表示で存在するこのカードが相手の効果によって
破壊され墓地へ送られた時、自分のデッキからカードを1枚ドローする。

可奈手札残:3枚

「私のターン、ドロー・・・」

 ドローと同時に伸びた弦が令裡をとらえ、彼女の両腕や手足、胴を
締め上げる。

ヴァンパイア・令裡:アンデット族→植物族

「返り咲く薔薇の大輪を生贄に捧げ、
ローズ・テンタクルスを召喚!」

 返り咲く薔薇の大輪が枯れ落ち、そこから大きな茎が生える。
その茎の上部には巨大な薔薇のつぼみ、そしてその周囲からは数本の
棘の触手が生えていた。

ローズ・テンタクルス
☆6 地
攻2200
守1200
植物族効果:このカードは特殊召喚できない。
自分のバトルフェイズ開始時に相手フィールド上に表側表示で植物族モンスターが存在する場合、
このターンこのカードは通常の攻撃に加えて、
その植物族モンスターの数だけ攻撃する事ができる。
このカードが戦闘によって植物族モンスターを破壊した場合、
相手ライフに300ポイントダメージを与える。

「バトルフェイズ!テンタクルスは開始時の相手の場の植物族モンスター1体
につき、1回の攻撃を増やすことができる!」

「っち・・・そのためのアイヴィ・シャックルか・・・」

 そういえば、朝倉とデュエルしていた時、フラグレンス・ストームも
入っていたな。可奈はそう思いながら流れる汗をぬぐう。

「テンタクルスで、令裡に攻撃なのだわ!ヘイト・ローズウィップ!」

 テンタクルスから伸びた棘が、弦に動きを封じられた令裡を、真っ向からたたき伏せ、
その衝撃が可奈を襲う!

ローズ・テンタクルス攻2200○
ヴァンパイア・令裡攻1900×→墓地
可奈LP8000−300=7700

「さらに効果で300ポイント、ダメージを受けてもらう」

可奈LP7700−300=7400

「っくう・・・さすがに、痛いな。
だが、ヴァンパイア・令裡の効果を発動、こいつは手札の
ダーク・バットを墓地へ送ることで、破壊されたターンのエンドフェイズ
地に、このカードを特殊召喚できる!」

可奈手札残:4−1=3

「でもぉ!まだ此奴の攻撃は残っているのです!
さぁ、ヘイト・ローズウィップ2!」

 振り上げられたいばらの鞭が、今度は可奈を狙って一直線に
空を切る。一瞬、彼女の場のカードが翻り、それが攻撃を受けて
砕け散る・・・。

「!・・・ガードブロック」

「そのとおりだ。こいつの効果で戦闘ダメージを無効にし、
デッキからカードを1枚ドローする」

ガードブロック

相手ターンの戦闘ダメージ計算時に発動することができる。
その戦闘によって発生する自分への戦闘ダメージは0になり、自分のデッキから
カードを1枚ドローする。

可奈手札残;3+1=4

「っち・・・カードを2枚伏せて、ターンエンド!」

ヴァンパイア・令裡→フィールド

サラサ手札残:2枚

「ドローだ。・・・なるほど、な」

「?」

 可奈の言葉に、サラサがきょとんとこちらを顧みる。
可奈はそんな彼女を見て静かに目を捕捉すると伏せていたカードをひるがえす。

「リバースカード、オープン死者蘇生」

死者蘇生
魔法
相手か自分の墓地にあるモンスター一体を、自分のコントロールでフィールド上に特殊召喚する。

「墓地より甦れ・・・冥界の使者よ!」

 可奈の場に、冥界への扉が開き、そこから真っ黒なフードをかぶった
死神のようなモンスターが、再びフィールドに姿を現した。

「そして、手札の霧の谷の戦士を攻撃表示で召喚」

 可奈の場に一陣の風が舞い、背中から高の翼をはやした鳥人がすがたを
あらわす。

霧の谷の戦士
☆4 風
攻1700
守 300
鳥獣族・チューナー:このカードが自分フィールド上に表側表示で存在する限り、
このカードとの戦闘で破壊されなかったモンスターは、ダメージステップ終了時に持ち主の手札に戻る。

「いくぞ!!レベル4、冥界の使者に、レベル4、霧の谷の戦士をチューニング!!
漆黒の闇の終焉に眠りし竜よ・・・天命の光を穿つ時は来た!!」

 フィールド上で、二体のモンスターのレベルが交わる。
その器、暗黒の悪魔にして光闇の終焉。長く伸びた首の先にある頭とは別に
腹部にもまた、大きな口外を持つそれの、4つの瞳がローズ・テンタクルスを睨み付ける。

「シンクロ召喚、終焉の世界より、現世に引導を渡せ!
ダークエンド・ドラゴン!!」

ダークエンド・ドラゴン
☆8 闇
攻2600
守2100
ドラゴン族シンクロ・効果:チューナー+チューナー以外の闇属性モンスター1体以上
1ターンに1度、このカードの攻撃力・守備力を500ポイントダウンし、
相手フィールド上に存在するモンスター1体を墓地へ送る事ができる。

「・・・とても主人公のシンクロ口上だとは思えないわよ?
雛沢さん?」

「うるさい、魔人とのデュエルはノリと勢いと集中力がないと
まともにデュエルできないんだ。・・・お前だって、さっきで嫌というほど
わかっただろ。ともかく、墓地に落ちた冥界の使者の効果で、でっきから
ダーク・バットを手札に加えるぞ」

 朝倉の言葉に、可奈がそう声を荒げると、彼女はまぁ、ねと
気怠そうに答えた。途中からだが、自分でも何故あんな
一手を打ったのかが全く分からないくらいひどい状態
だったのだから・・・今の彼女も、同じ状態なら、
それを覆すために必要なのだろう。可奈の言う、ノリや勢いが。

「へぇ・・・攻撃力2600のシンクロドラゴンか」

「こいつは私のデッキのリベロだそれなりに強いがな。
ダークエンド・ドラゴンの効果発動!
攻撃力、守備力を500ポイント下げてフィールド上に存在する
モンスター1体を墓地へ送る!・・・ローズ・テンタクルスには
消えてもらう」

 ダークエンドの腹部の口が開く。その口から噴き出た闇がまたたくまに
ローズ・テンタクルスを呑み込み、そのまま墓地に葬った。

ダークエンド・ドラゴン攻2600−500=2100
           守2100−500=1600
ローズ・テンタクルス→墓地

「効果による墓地送りだ、返り咲く薔薇の大輪も効果を発動できないだろう」

「っち」

「バトルフェイズ、ダークエンドでダイレクトアタック!」

 ダークエンド・ドラゴンの東部にある口が開き、そこから漆黒の炎が
サラサに迫る。瞬間、甘い香りが立ち込めてサラサの周囲に大量の
花が咲いた。

「フローラル・シールド発動。
相手からの戦闘を無効にして、デッキからカードを1枚ドロー」

フローラル・シールド

相手モンスターの攻撃宣言時に発動することができる。
相手モンスター1体の攻撃を無効にし、自分のデッキからカードを1枚ドローする。

サラサ手札残:2+1=3

「令裡でダイレクト」

「それはライフで受けようかな?」

 ヴァンパイア・令裡の周囲の蝙蝠たちがサラサにたかり、その超音波が
キン・・・と耳鳴りをとがらせて余韻を残した。

サラサLP8000−1900=6100

「私はカードを2枚伏せて、ターンエンドだ」

可奈手札残:2枚


「・・・何よ、このデュエルの緊張感・・・。
この二人、いつもとまるで雰囲気が違う」

 二人のデュエルを見ながら、朝倉は不意にそう思った。
デュエル中に難しい顔して考えるサラサと、それを見ながら次はどうするんだ、と
優雅に笑う可奈。その可奈が、滅多に出さないドラゴンを普通に出し、
サラサのほうもまた、狂ったように笑いながらも最善手を揃えてくる・・・。

(・・・こいつ等、どっちが勝つのかしら)

 朝倉がそんなことを思っている刹那、サラサがすっ・・・とカードを引いた。
メンテ
Re: 駒学園の追走st1 ( No.9 )
日時: 2014/05/23 10:28
名前: さくら

8章

「私のターン、ドロー・・・
伏せカード、手札断札を発動するわ」

「む」

手札断殺
速攻魔法
お互いのプレイヤーは手札を二枚墓地へ送り、デッキからカードを2枚ドローする。

可奈手札残:2−2+2=2
サラサ手札残:4−2+2=4

「これでぇ、貴方の手札のストックは全部墓地に落ちたでしょ?」

「・・・さて、どうだろうな」

 可奈はそう言って小さく嗤ってやる。
それが気に食わないのか、サラサは引いた二枚の中から1枚のカードを
彼女に掲示する。それは、薔薇の花の妖精だった。

「薔薇の妖精は、カード効果によって手札に加えられた場合、
特殊召喚することができる」

薔薇の妖精
☆3 風
攻 600
守1200
植物族効果:このカードが魔法・罠・効果モンスターの効果によって
自分のデッキから手札に加わった場合、このカードを自分フィールド上に
特殊召喚する事ができる。

「そして、この妖精を墓地に送り」

 吹き荒れたバラの花びら、その薔薇の花の奥に舞い降りた
真っ赤なドレスの天使。両刃の剣を持ったそれは、その切っ先を可奈に向ける。

「凛天使クイーン・オブ・ローズを通常召喚」

凛天使クイーン・オブ・ローズ
☆7 地
攻2400
守1300
植物族効果:このカードは植物族モンスター1体をリリースして
表側攻撃表示でアドバンス召喚する事ができる。
自分のスタンバイフェイズ時に1度だけ、フィールド上に表側表示で存在する
攻撃力の一番低いモンスター1体を破壊する。

「・・・風舞、嵐吹き荒れて音なく現る、麗しき影。
外なる、世界のハザマ。瞳光らせる、深紅の傍観者・・・か」

「何それ?辞世の句?」

「・・・いや、こういう歌があったんだ。アレのタイトルも確か、
Queen of roseだったはずだ」

 そんなことを言いながらも、可奈は静かに舌打ちした。とりあえず、だ。

「伏せカード、補充要因を発動する」

補充要員

自分の墓地にモンスターが5体以上存在する場合に発動する事ができる。
自分の墓地に存在する効果モンスター以外の攻撃力1500以下の
モンスターを3体まで選択して手札に加える。

「・・・なぁんだ、攻撃反応系か召喚阻害系のカードだとばかり思ってた
のに、警戒して損したじゃなぁい」

 そういいながら面倒くさそうにするサラサ。まぁ、そこまで思っていながら、
それを無視するように凛天使を出したのはどうなのかと思うが。

「墓地には霧の谷の戦士、冥界の使者、ダーク・バットが3枚だ」

「げぇ・・・本当に2枚ともそれだったの?
バカみたいな事故してるわね、それ」

「うるさい。墓地のダーク・バットを三枚手札に戻す」

可奈手札残:5枚

「っち・・・まぁいいわ。
クイーン・オブ・ローズでダークエンド・ドラゴンを攻撃!
プランク・プリムローズ!」

 ダークエンド・ドラゴンが大きく口を開き、そこから吐き出された
闇色の炎がクイーン・オブ・ローズを焼き払う! 刹那、そこに薔薇の
花弁が舞い上がり炎を押し返して相殺すると、その上段から
両刃の剣が迫り一閃、袈裟懸けに薔薇姫の剣が竜を切り裂いた。

凛天使クイーン・オブ・ローズ攻2400○
ダークエンド・ドラゴン攻2100×→墓地
可奈LP7400−300=7100

「っち・・・」

「まぁだまぁだ!っていいたいとこだけどまぁいいや。カードを2枚伏せて、ターンエンドッ
・・・さぁ、もっともっとあがいて楽しませてよ!一緒に遊びましょうよ!
鮮血をぶちまけるくらい凄まじい攻撃を上げるから、内臓がつぶれて
骨が飛び出るくらいの快感を上げるから!私と一緒に踊りましょう?
・・・貴方が死んでも終わらせないけどねっ!!」

サラサ手札残:0枚

「私のターンだ・・・さて、どうしたものかな」

 カードを引く。魔封じの芳香からの甘い香りが鼻をくすぐるが、
それ以上にきついバラの匂いに目を細める。
 可奈のデッキには基本攻撃力の段階であれに劣るモンスターがおおい。
無論、0ではないが攻撃力的には低い個体が多いのだ。そして、手札には
それを打破できるカードはある。が、それを使うことにどうもためらいを覚えてしまう・・・。
 だが・・・使わなければ、取り戻せない!!

「ボチカゼヤミ1タイ」

「!」

 瞬間、可奈の場に突然吹き荒れた漆黒の風が、香炉と薔薇の香りを駆逐し、
彼女の背後に巨大な黒い影を映し出す。

「墓地のダークエンド・ドラゴンと霧の谷の戦士をゲームから除外し、
・・・漆黒の闇纏い、その疾風ですべて薙ぎ払え!ダーク・シムルグを
特殊召喚する!!」

ダーク・シムルグ
☆7 闇
攻2700
守1000
鳥獣族効果:このカードの属性は「風」としても扱う。
自分の墓地の闇属性モンスター1体と風属性モンスター1体をゲームから除外する事で、
このカードを手札から特殊召喚する。
手札の闇属性モンスター1体と風属性モンスター1体をゲームから除外する事で、
このカードを自分の墓地から特殊召喚する。
このカードが自分フィールド上に表側表示で存在する限り、相手は
フィールド上にカードをセットする事ができない。

「・・・アロマシムルグ・・・ここで完成させるか!」

 それを見た朝倉がそうつぶやく。
サラサの場には2枚の伏せカード、しかしそのカードを除けば身を守れる
カードはない。あの2枚が、魔封じの芳香下で発動するために伏せられた
魔法カードの可能性すらもある。召喚に対して、彼女が発動する
そぶりを見せなかったのもそのせいだろうか。

「ダーク・シムルグで凛天使クイーン・オブ・ローズを攻撃!
テンペスト・ダリア!」

 吹き荒れた風が颯となってほとばしり、その一撃がクイーン・オブ・ローズを
直撃する!

「伏せカード、ハーフシャット発動。
これにより、攻撃力を半分にする代わりにこのターン、クイーン・オブ・ローズを
戦闘による破壊から守る!」

ハーフ・シャット
速攻魔法
フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を選択して発動する。
選択したモンスターはこのターン戦闘では破壊されず、
攻撃力はこのターンのエンドフェイズ時まで半分になる。

凛天使クイーン・オブ・ローズ攻2400÷2=1200×
ダーク・シムルグ攻2700○
サラサLP6100−1500−4600

「っぐうううう・・・つ・・・た・・・いた」

 よろけながら頭を押さえるサラサ。
それを見ていた可奈がふと少し様子がおかしいことに気が付いた。

「サラサ!?」

「あ・・・か・・・な?・・・逃げ、て・・・私・・・
っち・・・ずいぶん奥に押し込んだつもりだったんだけどね、まだ表に
出てこようとするだけの余力があるか・・・面倒な!!」

 途中から、さっきまでの状態に戻ったそれがそういいながら顔をゆがめる。

「どうやら・・・サラサはお前を削れば表に出てくるらしいな。
ならば、もう容赦は必要なさそうだ。・・・令裡!!」

 彼女の言葉と同時、飛び出したセーラー服の吸血鬼が上段から振り下ろされた
凛天使の斬撃をかわし、その剣を足場にしたシャイニング・ウィザードが
凛天使の横っ面を蹴り飛ばす!!

凛天使クイーン・オブ・ローズ攻1200×
ヴァンパイア‐令裡攻1900○
サラサLP4600−700=3900

「カードを2枚伏せ、ターンエンド」

可奈手札残:3枚

「私のターン、ドロー!
クイーン・オブ・ローズの効果発動!フィールド上の、最も攻撃力の
低いモンスター1体を破壊する!」

 凛天使が振り上げた剣に魔力が宿り、その一線が令裡を切り捨てる!!

「令裡の効果発動、手札のダーク・バットを墓地へ送り
このカードをエンドフェイズ時に墓地から特殊召喚する!!」

 切り捨てられた令裡の姿が蝙蝠になって分離、そのうちの数匹が可奈の肩に
留まる。

ヴァンパイア‐令裡×→墓地
可奈手札残:3−1=2

「私は、リバースカード、フレグランス・ストームを発動!
フィールド上の植物族モンスター、ダーク・シムルグを破壊してデッキから
カードを1枚ドロー!」

フレグランス・ストーム
魔法
フィールド上に表側表示で存在する植物族モンスター1体を破壊し、
自分のデッキからカードを1枚ドローする。
さらに、この効果でドローしたカードが植物族モンスターだった場合、
そのカードをお互いに確認し自分はもう1枚ドローすることができる。

 フレグランス・ストームで破壊するカードは、本来植物族でなくてはならない。
しかし、アイヴィ・シャックルの効果によってサラサのターンのみ植物族
となるダーク・シムルグは、相手も含むフィールド上のカードをしている
このカードと組み合わせて、単体除去を可能にする。
 そのためには、令裡を破壊しておかねばならず・・・当然、そのための
クイーン・オブ・ローズだったのだろう。

「ドローカードはイービル・ソーン!よって、さらにデッキからカードを
1枚ドロー!」

 ドローカードを見せた後に、さらに1枚を引いたサラサ。それをみて、
小さく嗤う。

「っくくくく・・・どうやら、フィールドを破棄するのには十分なカードが
そろったみたいねぇ」

 そういいながら不気味な笑顔の彼女がフィールドに出したカードは・・・
上吻が槍の穂先のようになったドラゴン、デブリ・ドラゴンだった。

「私は、デブリ・ドラゴンを攻撃表示で召喚!!
そしてえ、その効果で墓地からガード・ヘッジを特殊召喚!!」

デブリ・ドラゴン
☆4 風
攻1000
守2000
ドラゴン族・チューナー:このカードが召喚に成功した時、
自分の墓地に存在する攻撃力500以下のモンスター1体を攻撃表示で特殊召喚する事ができる。
この効果で特殊召喚した効果モンスターの効果は無効化される。
このカードをシンクロ素材とする場合、ドラゴン族モンスターのシンクロ召喚にしか使用できない。
また、他のシンクロ素材モンスターはレベル4以外のモンスターでなければならない。

 デブリ・ドラゴンが振り上げた小さな腕を振り下ろすと、そこに
方陣が描かれ、その中央に小さな植物の壁が現れる。

「・・・レベル合計は、7・・・来るか」

「レベル3、ガード・ヘッジにレベル4、デブリ・ドラゴンをチューニング!!」

 ガード・ヘッジを取り巻いた4つの星が混ざり合い、その姿が大きく変貌する。

「冷たい炎が世界の全てを包み込む・・・漆黒の花よ、開け!!」

 サラサのフィールドに降り立つドラゴン、そのドラゴンは薔薇の花弁のような
鬣や翼をひるがえし、大きく吠える。

「シンクロ召喚、咲き乱れ食いちぎれ!!ブラック・ローズ・ドラゴン!」

ブラック・ローズ・ドラゴン
☆7 炎
攻2400
守1800
ドラゴン族シンクロ・効果:チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上
このカードがシンクロ召喚に成功した時、
フィールド上に存在するカードを全て破壊する事ができる。
1ターンに1度、自分の墓地に存在する植物族モンスター1体をゲームから除外する事で、
相手フィールド上に存在する守備表示モンスター1体を攻撃表示にし、
このターンのエンドフェイズ時までその攻撃力を0にする。

「シンクロ召喚成功時の効果は使わないわ!バトルフェイズ、
クイーン・オブ・ローズでダイレクトアタック!!」

 地を蹴った天使が手にした剣を振り上げる。
可奈はそれをデュエルディスクを盾に受け止める!!
 ガン、という打撃音と同時に衝撃が走り、大きく後方に飛ばされる。

「っち!!」

可奈LP7100−2400=4700

「リバースカード、オープン!ダメージ・コンデンサー!!」

 可奈の声がこだまする。それを見たサラサがしかめっ面をした。

「む・・・またそんなカードを」

 悪あがきが好きね、サラサはそう言ってため息をついた。

ダメージ・コンデンサー

自分が戦闘ダメージを受けた時、手札を1枚捨てて発動する事ができる。
その時に受けたダメージの数値以下の攻撃力を持つモンスター1体を
デッキから攻撃表示で特殊召喚する。

「手札を1枚捨ててデッキから・・・ゾンビ・マスターを攻撃表示で特殊召喚!!」

 可奈の言葉とともに現れた死霊術師。その周囲に取り巻く邪霊たちは
死者の器を求めて術死の周囲に現れる。

ゾンビ・マスター
☆4 闇
攻1800
守   0
アンデット族効果:このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、
手札のモンスターカード1枚を墓地に送る事で、自分または相手の墓地に存在する
レベル4以下のアンデット族モンスター1体を特殊召喚する。
この効果は1ターンに1度しか使用できない。

「ブラック・ローズで攻撃するわ。焼き払え」

 呆れ半分に彼女はそう言って攻撃を宣言する。
ゾンビ・マスターに操られた死霊たちが牙をむき、ブラック・ローズにおそい
かかるが、そのすべてが漆黒の炎に駆逐されていく・・・。

「ダメステにプライドの咆哮を発動する」

プライドの咆哮

戦闘ダメージ計算時、自分のモンスターの攻撃力が相手モンスターより低い場合、
その攻撃力の差分のライフポイントを払って発動する。
ダメージ計算時のみ、自分のモンスターの攻撃力は
相手モンスターとの攻撃力の差の数値+300ポイントアップする。

「ライフポイントを600支払うことで、
ブラック・ローズ・ドラゴンの攻撃力を上回る!!」

 死霊たちが楯となり、炎を防ぐ。それと同時に、楯となった死霊が
集合して強烈な邪気を放つ死霊の槍と化し、その一撃がブラック・ローズ・ドラゴンを
貫いた!!

ゾンビ・マスター攻1800+600+300=2700○
ブラック・ローズ・ドラゴン攻2400×→墓地
可奈LP4700−600=4100
サラサLP3900−300=3600

「・・・ターンエンド・・・!!」

 サラサの言葉とともに集まった蝙蝠が、可奈の場にヒト型をとる。
その姿が徐々にはっきりして、黒いセーラー服の吸血鬼へと変化した。

可奈墓地:ヴァンパイア‐令裡→フィールド
サラサ手札残:2枚


「・・・ライフが、ほとんど並んだ」

 朝倉が静かに呟き、雷華が小さくつばを飲み込む。
攻防の末に、ライフが削れていくのは必ず。そして、上級モンスターを
並べ、こちらに防ぐ手段がなければその時は一気に片方が優位に立てる。
大概の勝負事はそう言うものである。
 しかし、この期に及んでいえばそれがない。どちらも、ダイレクトアタックを
一発ずつくらいはもらっているにもかかわらず、ライフがほとんど並んでいるのだ。
 あと一発、どちらかが大きな爆弾を落とせば、それが・・・。

「決め手になるかも、ね」

 朝倉は静かにそうつぶやいた。
メンテ
Re: 駒学園の追走st1 ( No.10 )
日時: 2014/05/23 10:29
名前: さくら

9章

「私のターン・・・」

 ドローカードを顧みる。
引いたカードはネクロ・ガードナー、エクシーズするにはレベルが合わず、
シンクロ召喚のためにはチューナーがいなかった。

「・・・2体を守備表示に変更、さらにネクロ・ガードナーを
攻撃表示で召喚して、ターンを終了する」

 可奈の場に現れた、白髪鬼のような鎧武者。その鎧武者は、すっと
立ち上がって令裡やゾンビ・マスターの前に立つ。

ネクロ・ガードナー
☆3 闇
攻 600
守1300
戦士族効果:自分の墓地に存在するこのカードをゲームから除外して発動する。
相手モンスターの攻撃を1度だけ無効にする。


「・・・攻撃表示?」

 それを見た雷華がきょとんとしていたが、そのあとで、あ、そっかと
つぶやいた。

「クイーン・オブ・ローズの効果を逆に利用しよう、っていう魂胆ね。
フィールド上の最も攻撃力の低いモンスターを毎ターン破壊する効果は
確かに強力だけど、その分、こういった風に利用されると墓地に
モンスターをためやすくなる」

 しかし、と朝倉は思う。

(・・・いっそのこと、ネクロ・ガードナーとダーク・バットを
除外して、ダムルグを特殊召喚してくるかと思ったけど・・・?いまいち
雛沢さんの思考が見えないわ)

 朝倉はそう思いながら静かにため息をついた。
むろん、ネクロ・ガードナーは強力なカードだし、ダーク・バットと同じように
ホイホイ除外したくもないのだろうが。

可奈手札残:1枚

「私のターン・・・さぁて、茶番もそろそろ飽きちゃった。
貴方意外と強かったけど、私が遊んでたのもわかってたのかしら?
だとしたらそれは誇っていいこと。私自身、本気になって私を
呼ぶのは久しぶりだもの・・・100年か、それとももっとかわからない
けどね・・・っふふふ・・・」

 そういいながら耳触りの悪い笑い声をあげると同時に、
クイーン・オブ・ローズの振り下ろした両刃の切っ先から放たれた
薄紅色の衝撃波がネクロ・ガードナーをたたき伏せた!

ネクロ・ガードナー×→墓地

 そして、彼女は1枚のカードを場においた。
燃え盛る球根のようなそれは、地面に長く根を伸ばして開花の時を今か今かと待っていた・・・。

「ローンファイア・ブロッサムを攻撃表示で召喚」

ローンファイア・ブロッサム
☆3 炎
攻 500
守1400
植物族効果:自分フィールド上に表側表示で存在する植物族モンスター1体をリリースして発動する。
自分のデッキから植物族モンスター1体を特殊召喚する。
この効果は1ターンに1度しか使用できない。

「このカードを生贄に捧げ、デッキから
魔天使−ローズ・ソーサラーを特殊召喚」

 フィールド上に黒薔薇が舞い散り、そこにクイーン・オブ・ローズと
そっくりな天使が舞い降りる。その背には漆黒の羽を携え、凛天使の
隣に降り立つそれは、うっすらと開いた瞳で可奈を見据えていた。

魔天使ローズ・ソーサラー
☆7 地
攻2400
守1300
植物族効果:このカードは「魔天使ローズ・ソーサラー」以外の自分フィールド上に表側表示で
存在する植物族モンスター1体を手札に戻し、手札から特殊召喚する事ができる。
この方法で特殊召喚したこのカードは、フィールド上から離れた場合ゲームから除外される。

「そして・・・これらカードを2枚生贄に捧げ・・・薔薇殺しのカーミラを特殊召喚!!
これがぁ・・・このデッキ最大の切り札よ!!」

 二体の天使が砕け散り、周囲に真っ赤な血のような花弁が散る。
その花びらの中に現れた漆塗りの棺桶、その棺桶がぎぃ・・・と音を立てて開き、
中から現れたのは一人の女性。
 長い銀髪を振り乱し、陶磁器のような白い肌を、黒いゴシック風の服で包み込み、
ゆっくりと持ち上がった顔には、爛と黄色い相貌が光っていた。

「「これはっ」」

 不意に、可奈の脳裏にそんな声が聞こえてくる。顧みると、フィールド上の
ヴァンパイア‐令裡が口元に手を当ててつっ・・・と伝う汗をそのままに
危機感を覚えた瞳をしていた。

(・・・何か知っているのか?)

「「アレは私と同じ類のカードですわ。おそらく、精霊憑きかと。
それにしても、カーミラの名をかたる精霊とは不届きなと、おもいはしますが、
どうやら、不届きでもないようで。・・・相当な力ですわ、本当にね」」

 そういってからだんまりを決め込んだ自身のカードの精に、可奈は静かに
ため息をついた。

「このカードの攻撃力は、墓地に存在する、薔薇、ローズと名のついたカード1枚につき
1000ポイントアップする・・・墓地にはテンタクルス、薔薇の大輪、
薔薇の妖精、クイーン・オブ・ローズ、ローズ・ソーサラー、ブラック・ローズの6枚、
よって、その攻撃力は・・・」

薔薇殺しのカーミラ攻0+1000×6=6000

「・・・攻撃力、6000だと!?」

「ざぁんねんだけど、攻撃してもダメージ通りそうにないし、
加えてネクガも墓地にいるんじゃどうしょうもないなぁ・・・でも、
効果は使えるものねぇ・・・カーミラの効果発動!」

 薔薇殺しのカーミラが、手をかざすと、そこに一輪の薔薇が現れる。
その薔薇が枯れていき、そこから出た魔力がサラサの身体をいやす。

サラサデッキ:ブルーローズ・ドラゴン→墓地
サラサLP3900+1600=5500

「なっ・・・にぃ!?」

「ライフゲインですって!?おまけに、今墓地にカードを送ったから」

 可奈の声と朝倉の声が重なる。先程墓地に送られたカードによって、
さらにカーミラの攻撃力が1000ポイント上がり、7000ポイントに
上がっている。

「・・・こいつはデッキから1ターンに1度特定のモンスターを墓地へ送ることで、
その攻撃力分のライフを私は回復するのよ・・・もっとも、バトルフェイズは行えないけどね」

「なにこのカード・・・雛沢さん!?」

「っち!!・・・精霊憑きのカードがあるとわかっていれば、端っから
それを狩るつもりでかかったものを!!」

 そういいながら、可奈の眼つきが一瞬で変わる。
先程の驚愕から狼が獲物を見据える目へ。その変貌に朝倉が思わず息をのんだ。

「さぁ!私のターンはこれで終了よ!私を楽しませてくれるんでしょ?
精々あがいて見せなさい。このカーミラの前でねぇ!!」

サラサ手札残:1枚

「私のターンドロー!・・・とにかく、あのカードを如何にかしなくては
勝ち目がない・・・使いたくはないが、しょうがあるまい!!
私は手札から、ゾンビ・キャリアを攻撃表示で召喚」

 可奈の足もとの地面がえぐれ、そこから腐臭を放つそれが現れた。
ぶよぶよに膨れた腕、腐ったからだ、ただれた皮膚・・・その要所、要所に
様々な動物の素体を持つそれが、可奈の目の前にはいずり出てきた。

ゾンビ・キャリア
☆2 闇
攻 400
守 200
アンデット族・チューナー:手札を1枚デッキの一番上に戻して発動する。
墓地に存在するこのカードを自分フィールド上に特殊召喚する。
この効果で特殊召喚されたこのカードは、フィールド上から離れた場合ゲームから除外される。

「お前の十八番を、私も使わせてもらう!
レベル5、ヴァンパイア‐令裡に、レベル2、ゾンビ・キャリアをチューニング!」

―――冷たい炎が世界の全てを包み込む、漆黒の華よ、開け!!

「シンクロ召喚!咲き乱れろ、ブラック・ローズ・ドラゴン!!」

ブラック・ローズ・ドラゴン
☆7 炎
攻2400
守1800
ドラゴン族シンクロ・効果:チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上
このカードがシンクロ召喚に成功した時、
フィールド上に存在するカードを全て破壊する事ができる。
1ターンに1度、自分の墓地に存在する植物族モンスター1体をゲームから除外する事で、
相手フィールド上に存在する守備表示モンスター1体を攻撃表示にし、
このターンのエンドフェイズ時までその攻撃力を0にする。

「ブラック・ローズ・ドラゴンの効果発動!
此奴を破壊して、フィールド上の全てのカードを破壊する!!
全てを無に、闇に帰せ・・・ブラック・ローズガイル!!」

 可奈の言葉とともに、ブラック・ローズ・ドラゴンの咆哮が響く。
舞い上がる漆黒の花びらは刃のように鋭くとがり、その斬撃は瞬く間に
フィールド上のカードをすべて破壊した。

可奈フィールド
ゾンビ・マスター×→墓地
魔封じの芳香×→墓地
ブラック・ローズ・ドラゴン×→墓地

サラサフィールド
薔薇殺しのカーミラ×→墓地

「私は、これでターンを終了す・・・る!?」

 可奈がそういった刹那、再びあの棺がサラサのフィールドに現れ、
その中から、先ほどの白い肌の令嬢が姿を見せた。

「・・・っくくくくく・・・ふふふふふふ・・・・あははは
・・・あははははははははははははは!!!
だめぇだめぇ、そんな攻撃じゃこの子はびくともしないよ?
此奴は破壊されたターンのエンドフェイズ時に墓地のカードを1枚
デッキに戻すことで、墓地から特殊召喚できるのよ?覚えておきなさい」

薔薇殺しのカーミラ
☆9 闇
攻   0
守1000
アンデット族効果:このカードは通常召喚できない。
自分フィールド上のレベル7以上の薔薇、またはローズと名のついたモンスター2体を生贄に
捧げることによって、特殊召喚することができる。
このカードの攻撃力はこのカードのコントローラーの墓地に存在する薔薇、またはローズと名のついたモンスター
1体につき、1000ポイントアップする。
このカードが破壊され墓地に送られたとき墓地に存在する薔薇、またはローズと名のついた
モンスターカードを1枚デッキに戻し、そのターンのエンドフェイズ時に墓地からこのカードを特殊召喚する。
1ターンに1度、デッキから薔薇、またはローズと名のついたモンスター1体を墓地に送ることで、
相手にそのモンスターの攻撃力分このカードのコントローラーはライフポイントを回復する。
この効果を使ったターン、このカードのコントローラーはバトルフェイズを行うことはできない。

「さぁ!私のターンドロー・・・さぁてと、別にデッキからカードを
送る必要はないかなぁ、というか、送りすぎて出すモンスターなくなっても
嫌だしぃ・・・。と、言うわけだからキラー・トマトを攻撃表示で召喚するよ」

 サラサの場に再びハロウィン風の彫り物のされたトマトが現れた。

キラー・トマト
☆4 闇
攻1400
守1000
植物族効果:このカードが戦闘によって墓地へ送られた時、
デッキから攻撃力1500以下の闇属性モンスター1体を自分のフィールド上に
表側攻撃表示で特殊召喚する事ができる。

「キラー・トマトで直接攻撃!」

 ゴロゴロと転がったトマトが、可奈に体当たりをする。
あたりをずらしてどうにか、ダメージを逃がしたが、ライフは大きく削られた。

可奈LP4100−1400=2700

「っく・・・」

「これであなたは次のターンの攻撃を、確実にネクロ・ガードナーで
受けざるを得なくなった!私のターンはこれで終了よ?
精々あがいて頂戴ねぇ・・・・キャハハハハハハハハハッ!!」

サラサ手札残:1枚
メンテ
Re: 駒学園の追走st1 ( No.11 )
日時: 2014/05/23 10:29
名前: さくら

10章

「私のターン!!」

 可奈が勢いよく、カードを引いた。引いたカードを顧みる。
そして、それをそのまま流すように魔法・罠ゾーンに差し込む。

「魔法カード、貪欲な壺を発動!」

貪欲な壷
魔法
自分の墓地からモンスターカードを5枚選択し、
デッキに加えてシャッフルする。
その後、デッキからカードを2枚ドローする。

「墓地から、令裡、ダーク・バット2枚、ブラック・ローズ・ドラゴン、
ダーク・シムルグの5枚をデッキに戻し、新たに2枚ドロー!

ヴァンパイア‐令裡→デッキ
ブラック・ローズ・ドラゴン→Exデッキ
ダーク・バット→デッキ
ダーク・バット→デッキ
ダーク・シムルグ→デッキ

可奈手札残:1+2=3

 引いた2枚のカードを顧みる引いたカードは罠、そしてモンスター。

「私は手札から、ゾンビ・マスターを攻撃表示で召喚!」

 再び現れた、死者を操る術者は可奈が一枚の手札を差し出すと、それを燃やして
新たな死者を墓地から引きずり出してくる・・・。

「手札のダーク・バットを墓地へ送り、墓地のゾンビ・マスターを
攻撃表示で特殊召喚する」

 墓地から這いずり出てきたのは、同じくゾンビ・マスター。
そして、その二体が淡い光に包まれると同時に、フィールド中央に
巨大な渦が形成される・・・。

「私は、この2体でオーバーレイネットワークを構築する!」

 その光の渦が収まり、中から現れた巨大な戦士。
その戦士を中心に、二つのユニットがまるで衛星か何かのように
回っている・・・。

「No39希望皇ホープをエクシーズ召喚!!」

No.39希望皇ホープ
ランク4 光
攻2500
守2000
戦士族エクシーズ・効果:レベル4モンスター×2
自分または相手のモンスターの攻撃宣言時、
このカードのエクシーズ素材を1つ取り除いて発動できる。
そのモンスターの攻撃を無効にする。
このカードがエクシーズ素材の無い状態で攻撃対象に選択された時、
このカードを破壊する。

「希望皇ホープでキラー・トマトを攻撃!」

 ホープのぶん投げたデカい包丁のような太刀が一閃して、キラー・トマトを
切り捨てる。そこから、ふわりと甘い香りが漂い始める・・・。

キラー・トマト攻1400×→墓地
No39希望皇ホープ攻2500○
サラサLP5500−1100=4400

「キラー・トマトの効果発動・・・デッキからキラー・トマト召喚」

 甘い香りにつられるようにして表れた、2体目のトマト転がり出てくる。

「私はカードをさらに1枚伏せて、ターンエンドだ」

可奈手札残:0枚


「・・・雛沢さん」

 それを見た雷華がそうつぶやいた。
彼女はまだあきらめていないようだった。希望皇ホープ、おそらく使い道は
ただの壁だろう。ネクロ・ガードナーだけでは足りない、伏せカードもおそらく
ブラフの類、だからでこそ攻撃を防ぐ肉壁がほしかったのだろう。
このカードなら、少なくとも2回は攻撃を耐えることができるし、
ネクロ・ガードナーもいるから最大で3回まではどうにかなるだろう。
 もっとも、朝倉自身はそこまで甘く見積もっていないようだが。


「私のターンドロー!・・・手札から夜薔薇の騎士を召喚」

 サラサの場に現れた小柄な騎士、騎士がその手を振るうと同時に、場に現れた種上の植物、イービル・ソーンが召喚される。

「このカードの効果で、召喚成功時に植物族モンスター1体を特殊召喚する」

夜薔薇の騎士
☆3 闇
攻1000
守1000
戦士族・チューナー:このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、
相手は植物族モンスターを攻撃対象に選択する事はできない。
このカードが召喚に成功した時、手札からレベル4以下の植物族モンスター1体を
特殊召喚する事ができる。

イービル・ソーン
☆1 闇
攻 100
守 300
植物族効果:このカードをリリースして発動する。
相手ライフに300ポイントダメージを与え、自分のデッキから
「イービル・ソーン」を2体まで表側攻撃表示で特殊召喚する事ができる。
この効果で特殊召喚した「イービル・ソーン」は効果を発動する事ができない。

「イービル・ソーンの効果は使わない。レベル1、イービル・ソーンと
レベル4、キラー・トマトにレベル3、夜薔薇の騎士をチューニング」

 キラー・トマトとイービル・ソーンを中心にして三つの星が交わり、
その姿が変わる。

「黒き刃金の戦士よ、その拳をふるい大地を鳴らせ!!」

 全身をアーマーで包み込んだ一人の男がそこに降り立つ。その姿に、
可奈はすっ・・・と目を細めた。

「シンクロ召喚、ギガンテック・ファイター」

ギガンテック・ファイター
☆8 闇
攻2800
守1000
戦士族シンクロ・効果:チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上
このカードの攻撃力は墓地に存在する戦士族モンスターの数×100ポイントアップする。
このカードが戦闘によって破壊され墓地に送られた時、
墓地に存在する戦士族モンスター1体を選択し自分フィールド上に特殊召喚する事ができる。

「ギガンテック・ファイターは互いの墓地の戦士族モンスター1体につき
攻撃力が100ポイント上がるカード・・・雛沢さんの墓地には
ネクロ・ガードナー、サラサの墓地には夜薔薇の騎士がいる・・・ってことは」

「そう!此奴の攻撃力は3000!!ま、ちょっと低いけどこんなもんでしょ」

 朝倉の言葉を聞いたサラサが笑いながら言った。さらに・・・。

「夜薔薇の騎士が墓地に送られたことによって、薔薇殺しのカーミラの攻撃力もまた
1000ポイント上がり8000へ!!」

 夜薔薇の騎士の魂がカーミラの中へと取り込まれ、カーミラが
新たな力を手に入れる。

「攻撃しなきゃ始まらないからねぇ!バトル、
薔薇殺しのカーミラで希望皇ホープを攻撃!クラウニッシュ・カレンデュラ!!」

 雷鳴が轟き、薔薇の花びらのように赤い雷がホープに迫る!
刹那、ホープが身体をそらすようにして背後の盾を展開し、雷を防ぐ。

「希望皇ホープの効果発動!エクシーズ素材一つを犠牲に、攻撃宣言を
無効化する!」

No39希望皇ホープ:エクシーズ素材2−1=1

「ギガンテック・ファイターでホープを攻撃!
ギガンテック・クラッシュナックル!!」

 振り上げられた拳の一撃が、大地を持砕き散らさんとばかりにホープにたたきつけられる!
 そこに、一体の白髪の鎧武者が飛び込み、その攻撃を受けて消滅する。

「ネクロ・ガードナーの効果発動、此奴をゲームから除外して戦闘を無効にする!」

「っち!!・・・まぁいいわ。これで私はターン終了よ」

サラサ手札残:0枚

「どうせ、そこらへんの守りももうないに等しいんだもの。
次のターン、貴方の負けはほぼ確定的。だったら・・・」

 サラサがそういった刹那、可奈は小さく嗤った。
それははじめは風が吹いたような小さな音だった。しかし、やがてそれは
大きな高笑いへと変貌していく・・・。

「な、何がおかしいの!?状況が理解できずに狂ったか!?」

「・・・いいや、違うさ。このターンで、お前は私を葬らなければならなかったのさ」

「なっ・・・」

 何を言っている、サラサがそう思った刹那、可奈の背後の空間が開き
そこに漆黒の闇が広がる。闇は次元をゆがませると、その奥から
一匹の黒龍が現れる・・・ダークエンド・ドラゴンだった。

「リバースカードオープン、闇次元の解放」

闇次元の開放
永続罠
ゲームから除外されている自分の闇属性モンスター1体を選択して発動し、
自分フィールド上に特殊召喚する。
このカードが破壊された時、そのモンスターを破壊して、
ゲームから除外する。そのモンスターが破壊された時このカードを破壊する。

「このカードの効果により、除外ゾーンのダークエンド・ドラゴンは、
再び私のフィールドに戻る」

「だから・・・何よ!!墓地に何度送られようと、カーミラはその都度
蘇生する。それに、ダークエンドの効果で除去できるのは1体のみ!
どっちに転んでも次のターンで終わりになんてならないわ!!」

「・・・それはどうだろうな?さて、私のターン、ドロー」

 カードを引いた可奈は静かに肩を下ろした。それを見て
サラサはにやりと笑った。

「ほぉら、えらそうなことぶっこいておいて、
結局キーカードは引けなかったんじゃない?ざまぁないわね」

「・・・いいや、ファイナルターンだ・・・ダークエンド・ドラゴン
の効果発動、墓地に送るのは薔薇殺しのカーミラ!」

 ダークエンド・ドラゴンが己の力と引き換えに腹部の口から吐き出した
漆黒の霧が薔薇殺しのカーミラを呑み込み、墓地へと送った・・・。

ダークエンド・ドラゴン攻2600−500=2100
           守1600−500=1100
薔薇殺しのカーミラ×→墓地

「っく・・・墓地のカーミラの効果で墓地のカードを1枚・・・」

「発動はしないぞ」

 カーミラの効果を使おうとしたサラサに、可奈は静かにそう答えた。
それを聞いてサラサが何をというより早く、可奈が言った。

「そのカードは『破壊されて墓地に送られたとき』初めて効果が発動するカードだ。
ダークエンドの効果は、別に破壊して墓地に送るわけではない、ただそのまま
墓地に送る効果だ。・・・つまり、破壊していない以上、薔薇殺しのカーミラ
の自己蘇生能力は使えないということだ!!」

「なっ・・・そんな!!」

「まだ行くぞ、手札を1枚デッキトップに戻し、墓地のゾンビ・キャリアを
特殊召喚!!」

 可奈の手札1枚と引き換えに、墓地から再びあの肉の塊のような
死体が姿を現す。そして・・・。

「私はレベル8、ダークエンド・ドラゴンにレベル2、ゾンビ・キャリアを
チューニング!!」

 翼をはばたかせ飛び上がった闇の龍にゾンビ・キャリアの星が加わり
漆黒が、その2体を包み込む・・・。

「495年の時を経て、今こそ漆黒の夜空へと羽ばたけ!」

 現れたのは少女、金髪のくせっけをちょっと変わった帽子で隠し、
紅いスカートと白いブラウスを着た、背中に奇形の羽をもつ吸血鬼の少女だった・・・。

「シンクロ召喚!現れろ、破壊の悪魔−フランドール・スカーレット!」

破壊の悪魔―フランド−ル・スカーレット
☆10 闇
攻2800
守2500
悪魔族シンクロ・効果:チューナー+チューナー以外の闇属性モンスター1体以上
このカードは「吸血鬼」と名の付くモンスターとしても扱う。
このカードが特殊召喚に成功した時、フィールド上のカードを2枚まで破壊する事が出来る。
1ターンに1度、このカード以外の自分フィールド上のモンスター全てを破壊しその攻撃力の合計を
エンドフェイズまでこのカードの攻撃力とする事が出来る。
このカードがフィールドから離れた時、自分と相手は1000ポイントのダメージを受ける。

「「あらぁ、今日は珍しく私も呼んでくれるのね?
このカード呼ぶこと自体がまれなのにさ」」

 そんなことを言いながら、破壊の悪魔と呼ばれた吸血鬼の少女が
きゃははっと笑う。

「フランの効果を発動する!
此奴は特殊召喚成功時、フィールド上のカードを2枚まで選んで破壊することができる!
ギガンテック・ファイターを破壊!」

「「キュッとして、ドカーン!・・・Grip & break down!ってやつね!」」

 フランドールが左手をきゅっと握る。瞬間、内側から爆ぜるようにして
ギガンテック・ファイターが粉みじんに砕け散る!!

ギガンテック・ファイター×→墓地

「希望皇ホープでダイレクトアタック!!」

 ホープがぶん投げた大剣が、サラサの体を肉薄して手元に帰る。
それを受けて膝を折りかけた彼女に向かって、さらに可奈の声が飛ぶ。

「フランのダイレクト・・」

「まちなよ!これ以上攻撃したら、この体の主だってただじゃ」

 そこまで言って、一度黙ったサラサだったが・・・可奈の眼はそんな
言葉に耳を貸してくれるようなそれではなかった。

「残念だったな、私はお前らのような輩の言葉に耳を貸すほど
お人よしではないのだ。フランドール!」

 可奈の言葉に、一瞬きょとんとした顔でこちらを向いた彼女。
ちいさく小首を傾げる姿は愛らしいがその瞳は今か今かと一撃を
加える時を待ってるように見える。

「「いいの?いいの??」」

「構わないから、やれ!」

 フランドールの姿が消え、その一瞬でサラサの懐に飛び込むと大きく
振りかざした爪で一閃、切り裂いた!!

サラサLP4400−2500−2800=−900
メンテ
Re: 駒学園の追走st1 ( No.12 )
日時: 2014/05/23 10:30
名前: さくら

11章

「ぐううああ・・・おの、れぇ・・・」

 呻くようにそう言いながら、苦々しそうに胸倉をつかんでこちらを睨み付けるサラサ。
それを見ながら、ゆっくりと歩み寄ると、可奈は彼女のデュエルディスクから1枚のカード、
薔薇殺しのカーミラのカードを取り出す。

「お前の依り代はすでに分かっている、今すぐにそこから立ち退け。
さもなくば、このカードは破り捨てる」

「・・・っち、さすがに依り代を質に取られたらこっちも
従うしかないか・・・いいわ、そっちに戻ってあげる」

 彼女がそういうと同時に、サラサがビクンと体を震わせて大きく
目を見開いた。やがて、その目が徐々に閉じていき、そのままクタリと前に倒れる。
 可奈が、それを支え起こして口元に手を当てると、かすかだが吐息がもれていて、
脈も正常なのがわかった。

「・・・取り敢えず、うちに運ぼう。ここからなら、それほど人目にもつかないだろう。
お前らも来い、さすがに・・・事情を聴く権利くらいはあるだろうからな」

 可奈の言葉にうなずいた朝倉と、その彼女を少し支えるようにして、
雷華もまた、彼女たちに続いて浪漫堂に向かう。
根岸公園自体は、浪漫堂とは歩いて15分程度の距離にある。そこから、路地裏などを通れば、
さらに時間を短縮させることも可能だ。3人は人目を避けるようにしながら
裏口に回り込み、そこから浪漫堂の居住区に入って可奈の部屋にサラサを横たえた。

「・・・取り敢えず、これでいいとして」

 可奈はそう言ってから、サラサの持っていた薔薇殺しのカーミラ、
精霊の依り代となっていたカードを机に置くと、そこに数珠と聖水の入った
小瓶を置いて印を切る。・・・単位的な封印を完了して、可奈はくるりと2人に向き直った。

「・・・ねぇ、雛沢さん。あのサラサが言ってたことは本当なの?」

 それと同時に、朝倉が口を開いた。
サラサの言葉、すなわちは彼女がヴァンパイアである、人間ではないということ。
それに対して、可奈は少しためらっていたようだが、静かに首を縦に振った。

「・・・本当だ、彼女は人外・・・その中でも強い魔力を持つ、吸血鬼と
人間のハーフ・・・お前たち風に言えば、ハーフ・ヴァンパイアというやつだ」

「・・・でも、貴方サラサはヴァンパイアじゃないって・・・でも、
彼女はハーフとは言え吸血鬼なんでしょ?意味が解らないわ。
吸血鬼=ヴァンパイア、じゃないの?」

 朝倉の言葉は、広く一般にも染み渡っている定理だ。そのことは、
可奈もよくわかっているのだが、彼女はそれを聞いて少し苦い顔をしてから言った。

「・・・それは違うんだ。本来はヴァンパイア≠吸血鬼、なんだ。
・・・少し、長い話になるが聴くか?」

 彼女の言葉に、朝倉も、雷華もうなずいた。それを顧みて可奈は
ちいさく咳払いをして続ける。

「まず、吸血鬼の産まれた地方はヨーロッパ、とくにトランシルヴァニアが有名だ。
それは、ドラキュラ伯爵の話のベースになった地方だから、というのも
あるが、それはまたの機会においておこう。
そして、ヴァンパイアもまた、同じ地方を中心に表れていた妖怪の類だが、
こいつらは吸血鬼ではなく、元はリビングデッドの一種だったんだ」

「・・・リビングデッド?ってあれよね、いわゆるゾンビとかアンデッドの類」

「ああ。ヴァンパイアもまた人間の血を求め、蝙蝠に変身し太陽の光を嫌い、
ニンニクが苦手で十字架によって苦しみ力を失う。いかにも吸血鬼らしい特性を持つ。
・・・が、ブラムストーカー作のドラキュラ、すなわち吸血鬼を世に知らしめたこの作品や、
アイルランド人作家、シェリダン・レ・ファニュのカーミラには、
これらのうち、讃美歌を嫌うということ、心臓に杭を打たれ、首を落として
焼き払い、その灰を川に流すという殺し方で殺すということ以外は
吸血鬼退治の方法として一切記されていない。・・・つまり、太陽の光は苦手でこそあるが
当たったからと言って灰になるわけでもなく、ニンニクも平気なら十字架も平気だということだ。
これら、一般的な吸血鬼の弱点はすべて・・・すべて、ヴァンパイアの弱点だといってもいいくらいだ」

 可奈はそう言って一息おいた後で、さてと言葉を切ってから続けた。

「ここで、なぜこの二つが同一視されてしまうようになったのか、という点だが
・・・まぁ、これは私の推論だ。ほかに、決定的な理由があるのかもしれないがな。
まず、ヨーロッパ全土における鬼というものは=悪魔であると考えても
差支えないものだ。血を吸う鬼、すなわち、血を求める悪魔が吸血鬼という
存在であるとも考えられる。ドラキュラの語源はドラクル、すなわちドラゴンであり、
ドラゴンもまた、悪魔を指す言葉だといわれている。
そして、だ。過去、陸路を伝って西洋から伝わる書物などは中国大陸を
経由していたのは有名な話だと思う。
そこで、中国語訳された西洋の本が日本に運ばれることも多くあっただろ
うというのもあると思う」

「まぁそうよね、全員が全員、蘭学を学んでた時代じゃないだろうし。
どちらかといえば、中国から入ってくる可能性のほうが高そうだし」

 海路もあるだろうが、これが伝わった当時にそれがあったとは限らない。
書物などは湿気を嫌うため、陸路のほうが確実だっただろうとも、朝倉は思った。

「・・・中国における、鬼について軽く伝えておこう。
中国では、『鬼』というのは、死体に取り付き動かしたり、悪さをしたりする
悪霊や妖怪の類のことを言う。彊尸なんかが、その類としては有名だな。
さて、本題だが・・・もう察しがついただろう」

「・・・えっと、ヨーロッパの人の言う鬼と、中国大陸の文化における
鬼、その二つの意味が混合して中国と交流の深い日本において、
吸血鬼もまた、西洋に存在する死体に取り付く血を求める悪霊として
解釈されてしまった、ってこと?」

 雷華の言葉に、可奈はそうだとうなずいた。

「その後、吸血鬼ドラキュラの小説や映画において、
それら存在が日本に伝わった時にはヴァンパイアの言葉とともに
伝わったことや、映画において脚本の変更などでヴァンパイアと
吸血鬼が完全にイコールで結ばれてしまったということだろう。
・・・と、私は推測している」

「・・・なるほどね。で、大変興味深い話だけど、サラサがヴァンパイアじゃないってことの
説明にはどうつながってくるわけ?」

 朝倉がそういって可奈の膝を枕に寝ているサラサを顧みる。まるで
人形のように、彼女は微動だにせず眠っている。

「・・・吸血鬼たちの一族のなかで有名なのはカーミラと、ドラキュラ伯爵
こと、ヴラド・ツェペシュだが・・・カーミラとは別にもう一個体、
かなり古くから存在する女吸血鬼がいた。この二人は非常に仲のいい吸血鬼
だったそうだが、ある日その吸血鬼はカーミラに言ったそうだ。
『もしも、このまま吸血鬼たちが血を吸い続ければ人間は滅び、世界には
ヴァンパイアがあふれかえることになるだろう。
だから、それを阻止しなければならない』・・・とな。
そして、彼女がとった行動は、人間との間に子をなすことだ。そして、その種族には
人の気高く潔い生き方と、吸血鬼のような高い誇りを持つ一族として、
ダンピール、また女性はダンピーラと呼ばれたそうだ」

「・・・それって、ハーフ・ヴァンパイアのことじゃないの?」

 朝倉の言葉に、可奈は静かにうなずいた後で、言い放った。

「ハーフ・ヴァンパイアというのは、そんなダンピールたちのことを
人間でも、吸血鬼でも、ましてやヴァンパイアでもない半端モノとして
吸血鬼たちが嘲笑って呼んだ・・・いわば、差別用語みたいなものだ。
速い話が・・・あまり、言いたくないがそういう言葉なんだ」

 可奈は苦虫をかみつぶしたような顔をしてそういった。そしてそのあとで、静かに口を開いてつづける。

「・・・ダンピールは吸血鬼を殺すことのできる唯一絶対の種族であると同時に、
どちらでもないがゆえに、死んでしまえばヴァンパイアに成り果てるという・・・
数奇な運命のもとに生まれた種族だ。
だが、成長すれば・・・それこそ、サラサくらいまで成長すれば、吸血鬼を殺す事の出来る、最強の騎士になれる。吸血鬼たちはそれを嫌って、
下等な人間とも下劣なヴァンパイアたちとも、ましてや自身らの同族とも
違うが、危険な因子を持つそれを蔑みながらも恐れていたんだろうな」

 可奈の言葉に、朝倉が静かに息をのんだ。今、可奈の膝を枕に
気絶したまま眠っている彼女が、そんな一族だったことも朝倉は知らなかったのだ。

「・・・まぁ、このカードのことについては、私とサラサでよく話し合って、どうするか決める
ことにするよ。お前たちにも、迷惑をかけたな。すまない」

「いいわ、友人のサラサのためだもの。私が自分でしたことに、
貴方が迷惑を感じる必要はないわ。・・・まぁ、本気でつぶそうとして
潰されかけたのは私の落ち度だけれど」

 朝倉の一言に、彼女はほっと肩を落としてから
二人を顧みて言った。

「・・・そろそろ、寝るといいだろう。布団は押入れだ」

「そう、なら勝手に使わせてもらうわ」

 朝倉はそう言って押入れを開けると、そこから布団を一式引っ張り出して
それを引いて勝手に潜ってしまった。
雷華はそれを見て頭を押さえていたが、可奈に促されるままにその隣で
眠りについた。
 可奈は静かに部屋の明かりを消すと、サラサにタオルケットをかぶせて
自らも目を閉じた。
 どれほどの時間がたったのだろうか、可奈は不意に何かの声を聞いて
目を覚ました。
見ると、彼女が封じていたはずカードのある場所に一人の少女がいた。
 彼女は身の丈ほどもある翼をたたんで、億劫そうにゆれる真紅の瞳で
可奈を顧みていた。

「・・・聞いてる?起きてるんでしょ」

 その言葉に一瞬身構えた可奈だったが、それを見て少女はふっと笑った。

「何警戒してるのよ?あなたの張った結界のおかげで、姿は現せどほかは
何もできやしないわ。安心なさい」

 そういいながらにやりと口もをとゆがめるそれは、犬歯のような牙を見せつけて笑う。
可奈はその姿を見て少し警戒しつつも、そちらを向いて行った。

「・・・お前、本当に精霊なのか?確かに、力の強い精霊はいるが
その結界の中で姿を現せたのはお前が初めてだぞ」

「そう。おほめに扱ったことは光栄だわ。
まぁ、私自体は精霊ではないからね。いわば、カーミラの過去の産物かしら?
貴方の言った通り、カーミラとこの子の血縁の吸血鬼は大親友でね、その吸血鬼
の子供が一人で日本に行くと聞いて、カーミラが使わせたのが私だったというわけ。
そのことは旧知の仲といったところかしら?だからそれほど警戒もされてなかったのよ」

 彼女はそう言ってから、だから、彼女を簡単に操れたとも付け加えた。
可奈はそれを聞いて何故、と追及しようと思ったがその答えは彼女のほうからさらりと答えられた。

「端的に答えるわ。私はカーミラの過去、つまり彼女が過去にダンピールたちを
どちらでもない中途半端からヴァンパイアとして覚醒させる側に立っていた、
ということの象徴の時代の存在なの。まぁ、そういうわけだから私は彼女も
その時代の意思に従ってヴァンパイア化しようとしたんだけど、見事失敗しちゃってね、
面倒だからのっとってやろうとしたんだけど、そうしたらあんたが来たのよ」

 おかげでもくろみは大失敗、吾ながら少々軽率だったと思ってるわ。
反省はしているけど後悔はしていない。彼女はそう付け加えてから
また、底知れぬ笑みを浮かべていた。

「・・・冗談きついな、さすがにそんな存在を私一人で同行できる気がしない。
しかし、薔薇殺しのカーミラというのは、戯曲のミラーカから来てるのか?」

「まぁね。隣に立てば美しく咲き誇る薔薇すらも醜く醜悪に見えるほどの
美しい少女、それが薔薇殺しのカーミラと語られた伝説だからね。
・・・さてと、少し真面目に今後について話すから聞いて頂戴。
まず、サラサのことだけど彼女のことは貴方に一任するわ。そのほうがいいと
一戦交えた私の直観が告げている。私は・・・そうね、カードに入ったまま、
たまに彼女の話し相手をする程度に自粛するわ。これ以上、無駄に制裁されても面倒だし」

 そういって彼女は静かに肩をすくめた。
可奈はそれを聞いてそうかとつぶやいてから彼女に言った。

「何かあった時には、私より付き合いの長いお前のほうが、彼女の
ためになれるかもしれない。その時はお互いに協力しておこう」

「ええ、その時があるなら、ね?」

 そういってほほ笑むと、彼女は可奈を顧みて薄らと目を細めて言った。
速く眠りなさい、と。
 それに伴って、可奈の意識が急速に沈んでいったのを、彼女は薄らとだけ
覚えていた・・・。
メンテ
Re: 駒学園の追走st1 ( No.13 )
日時: 2014/05/23 10:30
名前: さくら

終章

 翌日、可奈たちが目を覚ますと既にサラサが目を覚ましていた。
昨日のことは覚えているのか、ちょこんと正座した彼女は朝倉たちに深々と
頭を下げていた。・・・もっとも、誰もそのことについて言及したりはしなかったが。

「ホント、ごめん。私の問題でみんなに迷惑かけて。それに、
朝倉さんには痛い思いまでさせちゃって」

「・・・もういいわよ、私たち友達でしょ?友達に迷惑かけるのなんて
あたりまえじゃない。私たち誰も、貴方のやらかしたことに対して
別に怒ってないんだから、それでいいのよ」

「ああ、それに一応、私たち以外にはばれてないからな。こっちが
黙秘し続ければ、決して表ざたになることもないさ」

 そういいながら小さく笑うかなと、非常に狡猾極まりない笑みを浮かべる朝倉がいた。

「それに、いざとなったらうちから圧力かけ放題だしね?気にしなさんなってやつよ」

 それを聞いて雷華はふと思った、
ああそういえば彼女の家はそう言うことができる家だったな、と。

「でも、あーちゃん?あんまり・・・滅茶苦茶したらダメだよ」

「大丈夫よ、カーちゃん。かーちゃんにもしものことがあったなら
多少の犠牲はやむを得ないと思うかもしれないけど
私だって分水嶺はわきまえているつもりよ。そんな滅茶苦茶しないって」

 そういいながら雷華を後ろからはぐしてもふもふし始める彼女を見て、
可奈は小さくため息をついてから、サラサに言った。

「あの後、お前の持っていた薔薇殺しのカーミラとも少し話したんだがな、
お前のことをよろしく頼む、と言っていた。無論、彼女の協力を仰ぐときも
遠からず来るかもしれないがな」

「・・・そっか、彼女そんなこと言ってたんだ」

 サラサはそうつぶやいて小さくため息をついた。
そんなに心配しなくてもいいのに、と。
・・・そう思うと同時に、彼女が自身の体をのっとったのも、
自分を心配して警鐘を鳴らす意味もあったのではないかと思うと、
どうにも可奈にもサラサ自身も、彼女を怒ることもできなかった。

「まぁ、彼女なりに考えあっての事だろうと思うんだがな。
あー言った思念的類の考えることは私にはわからん」

 可奈はそう言って静かにため息をついた。もちろん、それを聞いたであろう
彼女のデッキの精霊たちがやんややんやと可奈にたかってきたがそれは完全に無視を決め込んだ。

「・・・でも、よかったよ。二人にも大した怪我なくて。
私、ほかの人にはかなりひどいことしちゃったかもしれないからね。
その・・・昨日のこと以外、あんまり覚えてないんだけどさ」

「・・・覚えてないなら、無理に全部を思い出すことはないさ。
勿論、お前が覚えていることについては、しっかり謝罪をもらったからでこそ、
私はそう思うんだがな」

 可奈はそう言ってクスリと笑った。それを見て、雷華がサラサを顧みてから言った。

「・・・私ね、もしもあのままサラサちゃんが元に戻らなかったら、
もし、あのままだったら、サラサちゃんを許さなかったと思う。でもさ、
結果的にサラサちゃんに戻ったんだもの、だから私は何も言わない。
おかえり、それから・・・ありがとう。ちゃんと謝ってくれて」

「雷華ぁ・・・可奈ぁ」

 そういいながらぼろぼろと涙をこぼす彼女を顧みて、朝倉が苦笑交じりに
彼女のそれをごしごしと・・・少し乱雑にハンカチでぬぐった。

「いい加減泣くのやめなさい?
もう十分謝ってもらったんだもの、私は気にしてないわ」

 そう彼女が言ったのを聞いて、サラサが・・・まだ少しひきつっているが笑う。
薄らと張り付いた笑みの後で、彼女は言った。

「ありがとう、私の最高の友達」

 種族は違うけど、きっとこれ以上ないくらい最高の、ね・・・。
メンテ
Re: 駒学園の追走st1 ( No.14 )
日時: 2014/05/23 10:32
名前: さくら

あ・と・が・き?

はい、始めましての人は初めましてさくらとかなんとかいうものです。
まぁなんつーか、とうとうここまでかきましたよ、ええ(ぇ
ここはあとがきです。キャラ設定やここで書いたネタバレなんかも
ホイホイ書いちゃいます。
楽屋ネタもたくさん使います。だから・・・読むのは最後にしろ。
では、ここから本編

1.妖魔や悪魔たちについて
妖魔や悪魔たちに関しては少々難点のあるやつもいますが、基本的には
オリジナルの解釈をもとにこちらで肉付けしたものが多く存在します。
例えば今回の吸血鬼とヴァンパイアの2種類について。
本編ラストでも可奈が言っているように、本来この二種族は別種の妖怪の類です。
が、表向きそんなこと言ってもチィスウタロか?な妖怪なんだ、
同じでいいじゃねぇかとか言われるだろうし、一般的に浸透してるわけでもないので
一般的に浸透しているものと、本来の形質のものの二つが混同して
世界に存在している、という風になってます。
ややこしいですが、早い話が龍と竜はどちらも同じ中国、東洋の水神を指す言葉で
ドラゴンはドラゴンであるということ。そしてドラゴンとサラマンダーは
別物であるということです。

2.キャラクタ設定集
ここはぱぱっと書いていきましょう。

雛沢可奈
性別    :女
年齢    :17
身長(cm):170.5
体重(kg):056.3
種族:人間/退魔師
メインテーマ:Reach Out To The Truth(ペルソナ4雑魚戦闘BGM)
   攻響組曲 DEVIL 第三楽章 : eXORCiST(青の祓魔師サントラ)
 10年ほど前に火災によって家族を失い、京都の祖父の家で退魔の
心得を習い、16で駒学園のある不知火町に帰ってきた少女。
 精霊と心を通わせ、会話することができる能力を持ち、そこそこ冷静な性格の持ち主。
 元キャラは浦島かな子をベースに、怪物王女のリリアーヌ王女と
東方シリーズの博麗霊夢を超融合してスキルドレインした感じ。

朝倉恵子
性別    :女
年齢    :17
身長(cm):165.5
体重(kg):054.5
種族:人間/やくざの家の跡取り
メインテーマ:狂気沈殿(未来日記OP)
 可奈とは旧知の中、というか過去には犬猿の仲だったが現在は
そうでもない様子。紫陽花雷華が大好きで彼女のためならば
殺人も監禁も拷問もためらわないとんでもない奴。若干ヤンデレ気味。
 元キャラはかなり複雑になりすぎていて正直よくわからん。
方程式は以下のようにしてこのキャラクターが成り立っていると示しているが・・

朝倉涼子(峨妻由乃+言葉+春日野椿)^2+5th(エリート的にね!)

・・・わかるか、つまりそういうキャラだ(ぇ

紫陽花雷華
性別    :女
年齢    :17
身長(cm):155.5
体重(kg):050.3
種族:人間/華道家元の跡取り、紫陽花流裏柔術免許皆伝
メインテーマ:Princess Amagi-ya(P4U天城雪子ステージテーマ)
 古武術道場と華道の家元の跡取り。どちらの腕もかなりのものだが、
彼女の性格は非常に大人しくひかえめで、それらのうち特に格闘のほうは
ほぼ間違いなくふるわれることはない残念特性。
 元ネタキャラは宮崎のどかにTFシリーズの宇佐美彰子(TF1〜3)を
合成してちょっと引っ込み思案を緩めた感じ。そうなる前は非常に憶病で
朝倉の背後にいつも隠れていたという、彼女にとっては美味しいキャラだった。

サラサ・ゼルトニア・ハースケルト
性別    :女
年齢    :17
身長(cm):155.5
体重(kg):050.3
種族:ヴァンピーラー
メインテーマ:ツェペシュの幼き末裔(東方紅魔郷ステージ6道中テーマ)
 トランシルバニア地方出身の吸血鬼と人間のハーフ。
・・・と言っても、彼女自身は18代目であり、その血も限りなく薄い。
 今回の騒動において、日本に赴く際にもらったカードに憑いていた精霊に
肉体を乗っ取られてしまったが、精霊自体は彼女のためを思っての事だったことに
サラサ自身が気が付いているため、特に強く言及したりはしていないらしい。
 元ネタキャラはシンプルイズベスト、とでもいうべきか一人だけで、
スクールランブルシリーズのサラ・アディエマスをベースにして、ほかの部分は
それっぽく改造しただけらしい。らしい。

ちなみにはるか以前の話では朝倉と雷華が第一シリーズのラスボスだったという
不具合から、彼女たちのデッキには可奈に比べて少々高火力なカードが多めに
入っています。

3.次回予告

「ねぇ・・・最近また変な事件怒ったの知ってる?
なんでも、有名な文献を調べていた学者さんが体中の骨を抜かれて変死したんだって・・・」

「ああ、知ってる。部屋中荒らされてて研究資料が根こそぎ処分されてたってやつでしょ?」

――――動き出した、闇

「それとさ、最近妙なんだよね。
なんか新屋台に砂嵐の画面つけてると変な大会のお知らせやってるんだ。
OCGの大会みたいなんだけどさ・・・」

「へえ、どんな?」

「えっとね・・・見てみればわかるよ」


「デュエリストの中のデュエリストたち、出て来い!!」

『かわいい雷華はだれにも渡さん!鋼のガチレズお嬢!!
朝倉景子!』

「な、なんですって!?」

『寂れた日本を踏み台に、大吸血鬼に私はなる!
Queen of Rose !サラサ・ゼルトニア!!』

「ちょっと待てぇ!?」

『いつでもどこでも現れる!ゴシップ記事なら私に任せろ!
最速最低の新聞部部長、烏丸河文!』

「ふざけるのも大概にしてください!?」

『札術と百合の狂い咲き!
戦慄のガチ百合女帝、雛沢可奈!!』

「ンなわけないだろうが!?」

『王子様、私を戦に連れてって!
難攻不落の雷撃姫、紫陽花雷華!!』

「えっ・・・いや・・・えーっと」

 闇の世界に集結したデュエリストたち!
敵も味方も巻き込んで、新たな事件が膜を開ける!
次回駒学園の追走!
St1.『妖猫は闇に踊る』
St2.『血統なる決闘』
デュエルスタンバイ!

「「「「いい加減にしろぉおおおおおおおおおおっ!?」」」

4.閲覧いただいて
ありがとうございました。
次回以降、もしもこう言ったものを書く機会があれば、また
精進を続けていきたいと思います。              さくら
メンテ

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