ハーレムトライアングル 第二章 門外不出の王 D |
- 日時: 2022/06/29 21:00
- 名前: 陣
- 「ええい! やめい!!」
広間に響き渡る大喝の一声。たちどころにそちらに振り向く一同。 最上席から強烈なまでの意思を漲り走らせる一人の男。ラルフィント王国雲山朝国王ギャナック。 その雷威ぶりに心底驚くカルデナス。
(こ、これがついさっきまで、あんなに惚気ていた男か…)
そんな来賓に構わず、その鋭いまでの目の向けられた先は。
「一体何のつもりだ!? アデライト! ここは神聖なる公の場だぞ! それでも王女か!? 恥を知れ!!」
「は、恥…御父様…」
必死で何か言い返そうとしているか、気迫に圧倒されてか声が出ない模様。
「先年の失態の挽回のため、この場での大役を与えたというのに何たる醜態! 自身の立場を弁えておるのか!? この大馬鹿者!!」
「…」
「父上! 申し訳ございません! 私がこの場は!」
「控えよ! ギャルソン!! そもそも近くにいながら何をやってたのだ!? 本来ならお前こそが、この不詳の妹を殴り付けるべきではなかったのか!? それでも王太子と言えるのか!!」
「父上! ならばこれは私の罪です! どうかアデルは!」
「ほう。ならば汝の妹は、我が王太子の立場にも害をもたらそうとした事にもなるな?」
「ち、父上…そんな!」
「ならば尚に許せん!! アデライト!! お前はもはやこのバーミアにとって全くもって有害の不要だ! カルデナス!!」
「は、ハハッ!!」
思わず片膝を付き、拝跪の姿勢を取る。
「誠に迷惑で相済まぬが、ただいまこの時を以て、この不埒者の身柄を汝らの家に預ける!!」
どよめく一同。特に驚くカルデナス。
「へ、陛下…それは…」
「私闘厳禁の法に背いた当然の罰だ!! 煮るも焼くも!! 汝らの好きにするがよい!!」
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