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『凶狼』の休暇
日時: 2023/05/13 18:35
名前: Ryu

※時系列はE.U.時代の話。



E.U.東部の各地を転戦していたゼラート率いる部隊は、一旦E.U.勢力安全圏に退く事となった。

理由はKMF等の機材の大規模メンテ、そしてその間に限っての休暇を部下達に与える為でもある。

そして一同はワルシャワで一時解散し、各々思い思いの方面へとバラけて行った…



(E.U.ドイツ州・ブレーメン ウェンディの実家前)

アレクシア「へ〜、ここがウェンディの実家か〜 静かな住宅街の中にあって、いかにもって感じだね〜」

イロナ「でもウェンディ、家にはずっと帰ってなかったんだよね? 中とか大丈夫なの?」

ウェンディ「大丈夫よ。ハウスクリーニングの業者だけじゃなく…信用できる人にも頼んでいるから」

イロナ「?」

「…あれ、ウェンディちゃんかい!?」

ふと声を掛けられて振り返ると、そこには年配の女性がそこにいた。

ウェンディ「お久しぶりです、おばさん」

「あらあら本当に久しぶりだねぇ、元気そうで良かったよ! そっちの子達は? 後輩かい?」

ウェンディ「まあ、そんな所です」

イロナ「こ、こんばんわ」

アレクシア「…えっと、ウェンディ。こちらの女性はどちら様?」

ウェンディ「私が小さい頃から両親共々懇意にさせて貰っている人よ…それよりここで立ち話するのも何だし、家に入りましょう。おばさんも宜しければ一緒に」

「そう、じゃあお言葉に甘えて…」



(E.U.ポーランド州・某所)

ある工房か何かの中、作業員達がトレーラーとかの整備を行ってるのを背景に、3人の男性が話し合っていた。

「専門の手が入って無いにしては状態は良いが…まあこれぐらいって所だな」(諸々の見積金額を提示)

ハインツ「結構取りますねぇ。まあ妥当な金額とは思いますが」(ざっと目を通した)

ゼラート「構わん。今回も宜しく頼む」

「毎度あり〜 しっかしお前さんの所、随分と大所帯になったんじゃないか?」

ゼラート「あんたと会った頃に比べれば、圧倒的に数は多くなってるさ」

「そうかいそうかい、で? メンテしている間お前さんはどうするつもりだ?」

ゼラート「出来る事も限られているからな…とりあえずコイツと一緒に資金調達に励むさ」

ハインツ「さっさと処分しておきたいブツもあるもので」

「真面目だねぇ。部下達みたいに少しはブラブラしたって罰は当たらんだろう」

ゼラート「あいつらはアレでいいさ」



アサド「はぁ〜中佐に放り出される形で街に出たはいいが、何もやる事ねぇな…」

ジョイド「僕らはクラック(ベルギー)やエルリッヒ(ドイツ)達みたいに国に帰るって選択肢も無いからね…」

「とりあえずもう夜だし…飲みに行くか?」

「そうだな! これから朝を通り越して昼まで飲んでやる〜!」

「お前ホント飲むよなぁ…」

こうして何名かのグループに分かれて、夜の街へ繰り出して行き最後に残ったのはアサドとジョイドの2人だけとなった。

アサド「ま、俺らも飲みに行こうぜ?」

ジョイド「行く当ては?」

アサド「前に行った所があってよ、まあ酒もツマミも美味くてな…とりあえずそこに行ってみようぜ?」



フェンリル生え抜き組で、ここでは触れられなかったメンバーの動向。

ネルゲ…故国のフランスに戻り、伝手のある人間と色々交渉。

ジル、リサ…実家(孤児院)に里帰り(前者はフランス、後者はデンマーク)。

ソフィア…リサに同道する形でデンマークへ。

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Re: 『凶狼』の休暇 ( No.1 )
日時: 2022/08/25 05:07
名前: JIN

やはりアサドとジョイドの元祖兄弟っぷりが良いですね。

他に行く場所が無いのも「兄弟」の条件かって。
Re: 『凶狼』の休暇 ( No.2 )
日時: 2023/05/13 18:35
名前: Ryu

(E.U.ポーランド州・某所)

ゼラート「ふう…」

一通りやる事を終え、工房の片隅で小休憩を取っているゼラート。

ハインツ「こっちも終わりましたよ」

ゼラート「ご苦労、首尾は?」

ハインツ「上々で。ネルゲさんからも連絡ありましたか?」

ゼラート「ああ。あっちはあまり芳しく無いようだが…まあ予想の範囲内か」

ハインツ「我々の勝手知ったる東欧に比べれば、西欧での活動は少しやり辛いでしょうからねぇ」

その後も少し会話を交わし、ハインツは用意された宿へ睡眠を取るべく去って行った。

ゼラート「…俺も休むか」(こちらも用意している宿へと向かった)



アサド「マジかぁ…潰れてやがったぜあの店」

ジョイド「経営が苦しいのとマスターの病気のダブルパンチでは、閉店も仕方ないだろうな…」

アサド「どうするよ? どこかのグループに混ぜて貰うか?」

ジョイド「うーん、まずはカルロ辺りに連絡して」

?「ジョイド? それにアサドもか。こんな所で何をしている?」

ジョイド「…中佐!? こんな所で鉢合わせするなんて」

アサド「それよか聞いてくれよ中佐〜」

アサドは自分達の一連の行動を説明すると、ゼラートは少し考えておもむろに切り出した。

ゼラート「折角だ。俺の知っている店に案内してやる」

アサド「え…マジで?」

ジョイド「一応確認しますが、まさか僕達みたいなオチ(閉店)はないですよね?」

ゼラート「安心しろ。数日前に連絡したが普通にやっているとの事だ」

ジョイド(絶対普通の店じゃないよなぁ。でなければわざわざ旧知と私用で連絡なんて中佐がしないだろうし)

アサド(まあ本当にヤバい所なら連れて行こうとはしねぇだろ。多分)

ゼラート「で、行くのか行かないのか? 強制はしないがな」

アサド「…断る理由なんざねぇな。勿論行くぜ! 中佐の奢りなら尚の事!!」

ジョイド(クラックじゃあるまいに、たかる気満々だ…)



(E.U.ドイツ州・ブレーメン ウェンディの実家)

ウェンディの自宅に入り、彼女や知人のおばさんが作った料理を食べながら色々と話していた。

「そう…貴女はスウェーデンから」

アレクシア「そうなんです〜まあ色々あって今の所属になっちゃったけど、人間関係的にはとても充実してるんです〜可愛い可愛い妹分も出来たし!」(イロナに抱き着きながら)

イロナ「ちょっ、アレクシア…酔ってる……っきゃ! ど、どこ触っているの!?」

ウェンディ「ったく、シアったら」(イロナからアレクシアを引きはがす)



アレクシア「これがウチが誇る我らが隊長なのだ〜!」(携帯端末からゼラートが写った所だけを見せている)

「う〜ん、確かに男前の部類なんだろうけど、何か愛想なさそうだねぇ。大丈夫かいこの人?」

イロナ「そ、そんなことないです! 確かに初見では常に不機嫌そうで『バカは話しかけるな』的なオーラ出してるけど、私達の事をしっかりと考えてくれていて…」

ウェンディ「イロナ、もう少し言葉選びなさい? ね?」



「他にはどんな子がいるのか聞いても?」

アレクシア「えっと〜…この赤メッシュはマイペース極まりないアホ、こっちの眼鏡は見た目通りの委員長気質な眼鏡……この三つ編み巨乳は隊長の愛人、こっちのボーイッシュはイロナとは別の意味で妹的な存在、こっちの…何と言うか安心して見てられる彼女は見た目通りの安心して付き合える彼女で……」

「ちょっと待って、今愛人って言わなかった?」

ウェンディ「…冗談ですから。シア、適当な事を言うのはやめなさい?」

アレクシア「あっ、すみません」(オーラを感じたのか、すぐに謝罪した)

イロナ「というかリサの説明文が何か適当…」

その後も何名かの隊員の写真を(勿論ある程度は配慮した上で)見せながら紹介していくアレクシア。



その後アレクシアとイロナが寝てしまい。後片付けをしながら会話を交わす二人。

「本当にいい子達だねぇ。ウェンディちゃんも含めてまるで姉妹みたいだったよ?」

ウェンディ「…そう、ですね。出会った形はともかく、彼女達だけでなくシアが紹介してくれた人達と結んだ縁…大事にしたいです」

彼女は自分が何で外人部隊に行ったのか、おおよその事情は伝え聞いているだろうに尚も変わらず接してくれる。それが何よりも嬉しかった。

実際外人部隊に所属して間もない頃に里帰りした際、彼女以外は非好意的な視線でひそひそと自分の噂話をしていたのを感じ取ってしまったから。

「ウェンディちゃん。とにかく身体を大事に、元気でいるんだよ? 御両親も娘が手柄を立てる事より、そっちの方が喜ぶハズだから」(彼女の手を握りしめて)

ウェンディ「……はい」
Re: 『凶狼』の休暇 ( No.3 )
日時: 2023/01/28 19:22
名前: JIN

ああ。正直者。

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