ハーレムフロントライン 第四章 外交 B |
- 日時: 2023/03/05 20:16
- 名前: 陣
- 「まだそんな事言ってんのか。あれだけやり合ってまだ脈があるとでも」
思い切り吐き捨てるアスレー。それに構わず話を続けるバラーシャ。
「ウチも含めた西国の連中。ドモスに対する窓口や伝手になりそうなのが他に全く無いらしいからな。今更ながらに商人や傭兵たちとかに大慌てで探らせているようだが芳しくはないらしい。こないだ来た伯父上の使いが知らせてくれた」
「泥縄だな」
「むしろ泥棒の方が慌てて自分のための縄をなってるような物だろうさ。それに」
「それに?」
「こないだのお前の最終突破。あれはお前とヒルクルスの八百長じゃないかという噂もあるらしい」
「どういう事だ」
少なくともヒルクルスが先を見据えてアスレーたちをわざと見逃したのではないかというのだ。 問答無用の徹底交戦を選ぶならともかく、交渉による軟着陸を目指すというなら、話の出来る相手がいるのは有難い。 ならばわざわざアスレーを通したのは、交渉決着を望んでいるのではないのかというのが意見の一つだ。 アスレーたちを見逃した事をヒルクルスが咎められず、むしろ改めて最前線の城を任されてるのも、ドモス自身がその方針である証拠とも。
「そういう事ならそのまま通してくれたら良かったがな。あれでまた相当な犠牲者が出た」
結局は千以下に損害を抑えられたが、その半数は最後に生じた物だ。
「そうもいくまい。他への配慮もある。それにこちらの戦力を削るのも交渉の一つだ」
但しイシュタールの場合はそうはいかない。 他の家や者ならともかく、ヒルクルスの怨みを買ってると誰もが認めるクリームヒルト一族には、ヒルクルスに頼る義理が全く無い。 よって現在のイシュタールでは。むしろ亡きヒルメデスの縁で、ヒルクルスに対して脈があるのでは目されている、グンダル伯爵父娘への求心力が高まりつつあるとも聞く。
「いっそ例の女王陛下を好色のドモス王に献じれば良いだろうに」
「無理だ。国のためだろうが家のためだろうが。あの楽天女王がそんな事を肯んじるか。頭の中に砂糖を詰めてるような。考えたい事しか考えない享楽人間だぞ。そんな事聞かされたら、その場でショック死するか、それとも後先抜きに逃げ出すかが関の山だ」
「面倒だな。なんでそんな奴を女王なんかにしたんだ」
「決まってる。こうなるなんて少しも考えてなかったからさ」
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