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ハーレムフロントライン 第三章 戦場 J
日時: 2023/03/03 20:11
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「ま! マズイ!」

思わず出てしまった一言。目の前の猛痴女にこちらも気を取られてしまったのに気付く。

いつしかエクスター勢に場を明け渡し、更に南方に回り込むヒルクルス本隊。更に突破後に反転し、こちらの背後に攻撃を開始するフェンリッヒ騎馬隊。

気が付けば、こちらが包囲殲滅の危機にある!

(しまった! 全体を意識し過ぎて、各個撃破の可能性を忘れていた!)

それを可能としたのはドモス騎兵の超人的な突破力だが、まさかこれ程の物だったとは!

(く、俺も結局は引き篭もりで、時勢の読めない世間知らずの一人だったって事かよ!)

五十歩百歩。目糞鼻糞とはこの事だと自分に毒付きながら、改めて自分たちの置かれている立場を冷静に考える。

メリシャントの本軍もリンダの本軍と激戦状態にある。良く戦っている方だと思うが、当然にこちらを助ける余裕など無い。
かと言ってこちらが離脱すれば、こちらの敵があちらに向かうだろう。そうなればあちらも一気に崩壊する。そうなれば。

(やむを得ん! クレオンレーゼの貴重な戦力をここで失うわけにはいかない! 援軍など所詮その程度の物だ! 俺の首などいくらでもくれてやる!)

そのための非常権限だけは前もってスマイラスから与えられている。

思い切りカエソニアに向き直るアスレー。

「バラーシャに知らせろ! 撤退開始だ! バジルールに走るぞ!」

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