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ハーレムフロントライン 第三章 戦場 E
日時: 2023/02/28 08:08
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「あれがジャンダークト城か」

後に引かない程度に宴席を済ませ、翌日から行動を開始する一同。

軍の編成は三つ。メリシャントの本軍六千を中心に、傭兵諸団による二千、クレオンレーゼ援軍の二千が続く。

「傭兵どもの指揮は誰が取るんだ」

「最年長である山犬団のケルベロス殿が一応の代表だそうです」

バラーシャの問いに答えるカエソニア。今回の派遣軍にも同行しているが、バラーシャからは気に入らないとばかりの態度を取られている。

「一応か。あまりあてにならんな。側に付いてた女の方がまだマシそうだ」

あのルーゼモニアとかいう女の事か。確かに他の傭兵連中には無い異彩があった。あるいは良くある貴顕の御落胤とでも言ったところだろうか。ケルベロスとは男女と言うより父娘っぽい感じだったが、血の繋がりは無さそうだ。

「どのみち傭兵どもは当てにならんな」

聞いた連中は気を悪くするだろうが、これは間違っていない。傭兵はあくまで数合わせの補助兵力が基本だ。会戦時において主力に置く事はまず絶対に無い。

「援軍だって似たようなもんだろ」

口に気を付けろとばかりに、さりげなく嘴を挟む。自国でもない場所での損失は可能な限りに避けねばならない。
昨夜のベッドの中でも繰り返し念を押してはみたが、熱くなったら何をやるか分かった物ではない。とにかくその種の武勇伝に事欠かない相手なのだ。

(そう言えば。戦場では敵よりも味方との戦いの方が面倒だと言ってたな。あいつは)

視線を改めて前に向ける。目の前の城。そこにあいつもいる。

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