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ハーレムフロントライン 第三章 戦場 D
日時: 2023/02/28 17:13
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「大した物だな」

バラーシャの一言の意味を、正確に理解するアスレー。

メリシャント国王カエリサオの王女シルヴィア。その正室腹の出生で、クレオンレーゼ王妃シルヴィスの同母妹。そしてこの度の出陣の総大将フェルミナの異母妹となる。
しかしまだ少女と言って良い年なのに、こうした宴席での立ち振舞いは実に見事な物。知識の豊富さ。当意即妙の受け答え。熟練のホステスであってもなかなかにこうはいかない。

「天性の才能だな。あれは」

その感想に否はない。まだまだ若いが、既にこういう場を何度も任されているのだろう。
但し正室腹の王女がこのような役を担っているのはどうした物か。同席の異母庶姉は明らかに不愉快そうな顔をしている。
それはともかく。そうした不釣り合いな役を演じさせられている主筋をフォローしながら、この場を運営差配して見えてるのがアーダーン。このような大事な場を任されている所を見ても、将来の有望株なのは間違いない。

「仕事だけでもないな。あれは」

その感想にも依存は無い。王女に向ける、その目には明らかに単純な職務や忠義以上の物がある。
将来へ向けての政治権力的な野心か。それとも純粋精神的な思慕か。そこまではまだまだ未熟なアスレーには読めない。

そしてその光景に、いつしか兄スマイラスとジェイングレイの姿が重なった。

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