ハーレムフロントライン 第三章 戦場 C |
- 日時: 2023/02/27 11:41
- 名前: 陣
- 「どうぞ。こちらです」
合同会議の後、あてがわれたそれぞれの部屋でしばしの休憩。そして御決まりの歓迎の宴の招き。 何とも悠長なと思う所だが、危急なはずの当事者がこれなんだから、まだ余裕があるのだろうと解釈するしかない。
ジャシンダと名乗る女騎士に案内され、替えの軍装を礼服代わりに入場。 会場を軽やかに動き回っている給仕たち。男女問わず煌びやかな装いだが、いずれも実戦経験の持ち主と分かる。
「舐めるなってとこか」
「だな」
心なしか紅潮しているように見えるバラーシャ。つい先程の慌ただしい情事が蘇る。
十年以上前の敗戦以来、メリシャントは戦力の穴埋めに大小様々な傭兵団を積極的に誘致。首都の中にも山犬とか鵲とかいった傭兵団の看板が上がっている。 メリシャントは交易の要路。それに伴う多大な税収によって傭兵団を雇う金に不足は無い。それは同時に無理な対外拡張を行う必要も無いという事でもある。
まただからこそ。十年以上前にオルシーニに強引な侵攻を図り、未だ癒せぬ失策を犯したカエリサオ王が糾弾され続ける所でもある。 それだけに。病床に引き篭もった父の失態を挽回するためにも、彼の子女らは、それこそ身を粉にして国に奉仕しなければならない。
例えば。こんな場合にも。
「ようこそクィンクェへ。カエリサオの娘。シルヴィアです」
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