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ハーレムフロントライン 第三章 戦場 B
日時: 2023/02/27 11:35
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「なんだ。お前から話とは珍しい」

合同会議の後。二人になった機を突いて、バラーシャに直接話を持ち掛けるアスレー。それに対しいささか揶揄めいた調子で返すバラーシャ。

「皮肉は止めろ。こんな時に」

「おいおい。何だ。その口の利き方は。私は総大将だぞ」

「他にもいる時はそうするさ。いいか。馬鹿げた抜け駆けなんか絶対に考えるなよ」

「意外だな。そもそも今回の援軍派遣を主張したのはお前のはずだろう」

「派遣と参戦は次元が違う。自国内でもないのに無理をする事は無い」

そのままジッと黙る両者。やがて。

「お前。怒ってるのか。まだあの時の事」

「当たり前だ」

「私はな。お前に惚れてたんだ」

「なに?」

「武門貴族と言え、大方の連中は既得権にしがみ付く俗物ばかりだ。だかお前は場違いな文官貴族から武官を選び、俗物どもの虐めを受けながらも食い下がった。あれに感じ入ってしまったんだ。そう。お前となら結婚してもいいくらいにな」

「馬鹿言うな。宰相家と大将軍家の縁組なんて。陛下が認めると思うのか」

「そうだな。しかし既成事実というのもあるぞ。お前の兄のスマイラスはジェイングレイと婚約している。いっそジェイングレイから許可を貰えば良い」

バラーシャは兄やジェイングレイ王女と同年で、昔から仲が良い。タメ口なのも不自然ではない。しかし。

「おい。お前まさか。ジェイングレイ様を女王に擁立するとでも言うのか?」

「おかしいか。そもそも一時はジェイングレイが後継者だったんだ。あのメリシャントの小娘に頭の上がらぬジェラルディンなど」

「それ以上は言うな。ここをどこだと思ってる」

「私の口を塞ぎたいなら」

すかさずアスレーに抱き付き、口を合わせるバラーシャ。一瞬驚くも、冷静に受け止めるアスレー。

「…」

やがて口を離すバラーシャ。じっと相手を見つめる。

「あの時とは違うな。随分と女に慣れたようだ。憎い。憎いぞ。お前も。お前の女どもも」

「誰かさんのおかげでな」

「ふふふ。分かった。こちらから仕掛ける真似は絶対せん。だが何か起こるのが分からんのが戦場だ。そのためにも大将と幕僚が良く理解し合っておく必要がある。違うか?」

「…」

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