ハーレムフロントライン 第三章 戦場 A |
- 日時: 2023/02/26 08:43
- 名前: 陣
- 「お前らか。クレオンレーゼの連中というのは」
クィンクェの王宮に通され、メリシャントのカエリサオ国王に拝謁の一同。その後に向こう側の軍首脳との挨拶となる。
その中で中央の席にドカッと座ってこちら側を睥睨するかのような少女。 いささかムッとしたこちらの胸中を察するように、すかさず説明を行うアーダーン。
「カエリサオ陛下の姫君。フィオリナ様です」
名前は聞いている。メリシャント国王の側室からの生まれで、やたら武張った王女がいるらしいと知ってはいたが、これがそれか。
メリシャントの軍首脳はとにかく若いといった印象が強い。 十年以上前、ヴァスラ王国と共にオルシーニ王国に攻め込んだ時、当時少年だったセリューンの策によって大打撃。この際に多くの首脳を失い。数年前のオルシーニと南のサブリナ王国との戦争という好機にも介入出来ず。最終的にオルシーニ・サブリナ二重王国という更なる強大な隣国を抱える事ともなる。 まさに失われた十年。軍事力の再興は未だ十分ではない。しかも国王は十年以上前の敗戦の衝撃から病床に伏せっており、それが国政を不安定にもさせていた。
「まず断っておくが。これはあくまで我がメリシャントの戦だ。御援軍の方々はあくまで後方を固めて頂こう」
あちらとしては当然だろう。国家としての面子もある。 そしてこちらとしても願ってもない。こちらとしても好き好んで損害は出したくない。あくまであちらが戦い易い環境を作りたいだけだ。 数さえあれば相手方も包囲し難い。そこが一番肝心なのだ。
「…」
何か嫌な予感がして、隣の席をチラッと見る。明らかに不満気なこちらの総大将。
(おいおい。いい加減にしてくれよ)
出来ればなるだけ関わりたくないが、どうもそれでは済まされそうにない。
(それにしてもここも女が総大将か。百年前、ラルフィント王国には三王会戦というのがあったらしいが。さしずめ今度は三女会戦ってとこかな)
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