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ハーレムフロントライン 第二章 王宮 H
日時: 2023/02/25 18:07
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「ならば良いでしょう。あの方なら誰よりも適任だ」

思い切り向きを変えて、出て行こうとするアスレー。それに対して。

「待て。どこへ行く」

「話は終わりでしょう。それともまだ何か」

「あるから呼んだんだ。お前も行くんだからな」

「何だって? 本気か?」

「バラーシャ殿自身からの御指名だ。幕僚としてお前を随行したいそうだ。異存があるのか?」

「兄上…」

思い切り兄宰相の顔を睨み付ける弟。彼女との件について知っていると確かめた事はない。だがあの事は下世話な噂にもなっており、聞いていないはずはない。

「どうした。俺の顔に何か付いてるのか」

何か言ってやりたい。だが何を言っていいのか頭が動かない。今までずっと尊敬して来た兄だが、今ここでその自信のグラつくのを感じざるを得ない。

その弟の内心を察しているか否かは不明だが。

「異存は無いようだな。では聞いての通りに」

「え」

驚く間もなく開く扉。そして入ってくる一人の女性。前回会った時よりも遥かに精悍さを増している。

「久しぶりだな。アスレー殿」

何事も無かったような気安い挨拶。それに対しなんとか平静に返す一言。

「ええ。そうですな。バラーシャ殿」

口元に浮かぶ不敵な笑み。心なしか舌舐めずりをしているようにも見える。

「ククク。なかなかイイ男になったようだな。頼もしい限りで結構結構」

あくまで悪びれない図々しいまでの態度。嫌でも高まる生理的なまでの不快感。それに対し何か言い返してやりたい。しかしどうしても口が動かない。

そして。そんな相手の胸中を知ってか知らずか。

「さあ。何をグズグズしてるんだ! すぐ準備に取り掛かるぞ!」

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