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ハーレムフロントライン 第二章 王宮 G
日時: 2023/02/25 15:56
名前:

(バラーシャか…)

改めて内心で苦虫を噛み潰す。

言われて見ればまさに妥当としか思えない人選。
クレオンレーゼ代々に仕える武門貴族の出身にして、今の大将軍バラケルスの姪。また内外の様々な争乱にも参加し、武勲も数知れず。個人的な勇名も高く、隣国イシュタールの女将軍クリスティンと優劣を論じられる程。
今回の派遣が王妃の主導だというのを示すのでも格好。文官一族の出身で、武功も無く、敵への内通すら疑われかねないアスレーなどとは比べ物にならない。

普通なら一番最初に思い付かねばならないはずの名前だが、何故か出てこなかった。
いや何故かではない。その名を忌避するだけの当然の理由があった。

(考えたくない事は考えないか。俺も笑えんな。イシュタールの連中を)

個人的に知らない関係ではない。むしろこれ以上にないくらいに知っている。

二年前。文官家の出身ながら武官を志した自分。武官系の風当たりの強い中、そんな自分の指導役を引き受けてくれたのが他ならぬ彼女。
当時の自分の憧れの一人であったが、あくまで武人としてのそれであり、特に女性を意識した事は無かった。
そしてそれが彼女の女としてのプライドを傷付けたのか、ある日二人だけで稽古をしていた時、いきなり口を奪われた。
なにせいきなりファーストキスを奪われたのて、大きく混乱して逃げだそうとした。それがまた彼女の癇に障ったのか、無理矢理に捕まえられ、稽古場の真ん中に押し倒され、そのまま童貞まで奪われた。

当時の自分としてはトラウマ級の衝撃。それを癒す為にカエソニアが自分の身体を開き、なんとか婚約者を迎える事が出来るまでにしてくれた。

彼女とはそれ以来会っていない。誰かに見られていたのか、互いに居場所を引き離され、今日にまで至っている。

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