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ハーレムフロントライン 第一章 王宮 C
日時: 2023/02/24 21:35
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「あらあら。お邪魔でしたか」

しばしの無言の後、扉が開いて入ってくる人物。

それを見て驚きの声を上げるアスレー。

「ジェイングレイ様!」

目の前に立つ人物。このクレオンレーゼの王女にして、国王ジェラルディンの異母妹ジェイングレイ。

そして。

「あらあらアスレーったら。言ってるでしょ。お姉さん、それかジェーンと言ってって」

アスレーの兄、スマイラスと婚約者。元々以前からの幼馴染であったが、彼の宰相就任と同時に、正式発表の運びとなった。

以前からクレオンレーゼ一の美女の呼び声も高く、隣国イシュタールの現女王グロリアーナと並び称された程。(両者を見比べた放浪の画家によれば、「余計な物」が無ければこちらが勝ちとまで呼ばれた事もある)

ちなみに国王ジェラルディンの生母はイシュタールの王女。イシュタールを挟んで反対側に位置するシェルファニール王国の国王マティアスの父マクシミリアンの妹に当たる。

彼女の生母は国内貴族出身の側室であったが、ジェラルディンの前の王妃には長らく子供が生まれなかった事もあって、一時は彼女がクレオンレーゼの継承権一位だった事もある。
その後、ジェラルディンの側室に王女ジェニファーが生まれた事もあって、その座を譲っていたが、最終的にメリシャント王国から新たに迎えた王妃シルヴィスに待望の王太子ジェラードが誕生。最終的にジェニファーをイシュタール王国の新王太子フィリックスの元に送る事によって継承問題に決着を付ける事になった。
周辺の国々もフィリックスの元に様々な姫君を送っており、ジェニファーがフィリックスの王太子妃に決まったわけではない。だが国王の実娘として出向いているのは、彼女とペルセポネ王国のコーネリアだけであり、格的に行けばこの二人のどちらかという声は高い。

更に言えばフィリックスは王太子とはいえ、亡き父である先王ローゲンハイドから公的な生前認知を受けたわけでなく、慣習上の意味での公的な立場は弱い。
それが彼を御都合主義的に擁立したクリームヒルト一族の体制と共に、国内的な一応の支持を得られているのは、それは先王ローゲンハイドの体制の継続を望む風潮による点が大きい。
しかし血統的な正統性を考えてみれば、むしろ周辺に散った傍系の方が強いとも言えるわけであり、その意味で周辺からの支持の如何が、その立場に掛かっている。特にダリシン王国に嫁いだ叔母クシャナからの支持の意味合いは大きいと言えるだろう。

それはさておき。

「とにかく話は分かった。お前の発案はそれとなく閣議に出してみよう。シルヴィス様の御実家の大事だからな」

宰相兄の応諾に相好を崩す弟。

「ありがとう。兄上」

「その代わりと言っては何だが」

「なんだよ」

「おまえ。家にも寄らずここに来たな。とにかく家に戻って指示を待て。マルビータ嬢もお前の帰りを待ってるぞ」

それを聞いて思わず頭に手を当てるアスレー。

「あちゃー」

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