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ハーレムフロントライン 第二章 王宮 @
日時: 2023/02/23 20:55
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「ご苦労だったな」

クレオンレーゼ王国首都クリアランス。王宮内宰相府一室。

堅苦しい国王への挨拶を終え、宰相府の一室で改めての報告を行うアスレー。
カエソニアからの報告書の提出を受け、表情を崩す目の前の青年。王国宰相スマイラス。アスレーの兄でもある。
半年前に急死した父の後を受け、ようやく喪が明けて新宰相に就任したクレオンレーゼきっての俊才。以前から父の補佐官を務めていた事もあり、公務に支障は全く無い。
この英才の兄がいたため、武官の道を進んだアスレーであるが、不満は全く無い。

あるとすれば。

「あいつがあそこにいると知った上で、俺を送ったのか。兄上?」

先にカエソニアが退出した後。他に誰もいないとどうしてもぞんざいな口調になる弟。兄もまた慣れた物で口元に苦笑を浮かべる。

「噂レベルではな」

「確証が無かったら前もって言わなかった。かよ?」

「まあ。そんなところだ」

思い切り手近の長椅子に身を投げ出すアスレー。

「で。イシュタールからは何か?」

「ああ。王宮府のルイーズ殿から手紙がな。お前は元気かと聞いてきたよ」

「そんなに気になるのか。俺まで」

「あちらはいま恐ろしく過敏になってるらしいからな。あの男と少しでも脈がありそうな所は虱潰しにしないと気が落ち着かないんだろう」

「過敏ねえ。一番らしくもない言葉だな。あの呑気な太平楽どもには」

「だな。仮にジャンダークトに入ったのがただのドモスの将軍だったなら、おそらく全く気にも留めなかっただろうな」

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