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ハーレムフロントライン 第一章 凶報 C
日時: 2023/02/23 05:50
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(もしもあの時…)

繰り言と承知つつ、どうしても反芻せずにはいられない。

(俺を頼ってくれていたら、今頃は良い助言役になれてくれていただろうに。なぜ俺を頼ってくれなかったんだ)

ヒルクルスが脱出途上でクレオンレーゼを通過したのは聞いている。それだけに悔しさも一層に募る。

(駄目だ。イシュタールが引き渡しを要求してきたろう。王も父上も進んで応じたはずだ。そしてあの時の俺にそれに抵抗するだけの力は無い。そうなれば改めて奴を逃がすか、それとも始末をするしかなかったはずだ)

それを思えば、俺の立場を心配してくれたわけか。

(いや。そんな奴ではない。単に俺に自分を保護するような力が無いと見切っただけだ)

思わず漏らす苦笑。

(それにしてもドモスとはな。てっきりディヴァン王国の例に倣って二重王国にでも行くかと思ったが)

オルシーニ・サブリナ二重王国のセリューンは煌星騎士団とかいうらしい直属の特権機関を設けているらしい。あの男なら能力的にも適任だろう。実際に二重王国を通過中に、それとなく誘いを掛けられたという噂も聞く。

(それでいて結局はドモスとはな。二重王国と違って、ドモスが亡命者の後押しをしたなど聞いた事も無い。あいつ。もしかしてイシュタールに戻る気など無いのか?)

しかし奴は戻ってきた。それも特大の黒雲になって。

(それにしても。朱雀神殿を使っての無血開城とはな。宗教の利用など以前の奴はそんな事は一言も言わなかったし似合いもしない。あいつめ。もしかして俺の思いも付かないくらいに大きくなっているというのか?)

そして更にもう一つ。

(それに例え奴が立案したとしても、上が採用しなければ意味が無い。リンダという女。噂ではサディストの偏執狂だという事だが。実はとんでもないタマかもしれんな)

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