ハーレムバスタード外伝 テルモピライの女たち A |
- 日時: 2023/01/22 02:18
- 名前: 陣
- 「ああん! バカバカバカ! マックリィのバカー!」
思い切り悪態をついて果てる少女。思い切り抱きつき、相手の口を奪い合い、最後にグッタリ脱力。 そしてその身体を拭き、介抱する女性と少女。
このテルモピライ家の幼な主人ルキエラ、そしてその異父姉にして当主代行のルシアラと、エルヴィーラ家のジュスチーヌの養女にしてマックリィの正式な側室であるエミリーの三人。 エミリーは、ゴットリープでの教育を受けさせる意味もあって、このテルモピライ家の預かりになっている。
他の二家に対し、この家の立ち位置はかなり独特。 まずこの家の寝所に上がれる女性は、この三人でしかない。 夫人であり亭主であるルキエラが、他の二人以外の同衾を絶対に許さないからで、これはむしろ正常というべきだろう。 本家筋であり、父方としては姉、母方としては姪である、バイバルス家のルキオラの寛容の方が間違いなく桁外れの異常なのだ。 それでも一年の三分の一をほとんど独占しているルキエラに対し、それを嫉妬する連中は多いが、分家筋として本家以上の信望を集めるのは政治的に拙くもあるので、むしろ好都合とも言える。
そして意外な抜け穴もなくは無い。 自分の目の前で他の二人以外の女とイチャイチャされるのは異常なまでに怒り狂うルキエラだが、目の前でなければ寛容というか知って知らぬふりなのだ。 だからさりげなく空き部屋に誘ったりすれば意外と成功するのが多い。だが調子に乗って見つかれば、舐めるなとばかり、ほぼ間違いなく叩き出される。 だから刺激と緊張を求める向きには、むしろテルモピライ家での近習を選ぶ者も多い。またバイバルス家通いでトラブルになったり、それぞれの家に居られなくなった面子を雇用したり差配したりもしている。 いわば一種の二軍というかセーフティーネットというか。そしてそれは母や姉のフォロー役をやってきたルシアラが行う。 その意味でも三家の間のバランスというか役割分担は上手く出来ているのである。
「早く早く。もうすぐ帰っていらっしゃいますわよ。ルキエラ様が」
「あ。ありがとうございます。エミリー様」
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