ハーレムバスタード 第六章 庶子の時代へ U O |
- 日時: 2023/01/07 08:42
- 名前: 陣
- 「どうやら落ち着いたようだな」
辺りの死体を急いで片付けさせながら、クリエートと目を交し合うネメシス。カディアをはじめとする水晶宮の精鋭たちが迅速に働いている。 厳粛な儀式に水を差さないように、あくまでこの事態は極秘に済ませなければならない。 名誉挽回の公表が出来ないのは残念だが、そもそもマックリィの遭難自体が公表されていない以上は仕方がない。
「罪華はあくまで依頼者あっての集団。こいつらに依頼したのは誰かよね」
「ケーニアスに逃げられたのは痛かったな」
「無駄ね。あの様子じゃ、そこまでニルヴァーナから聞かされてないわよ」
「だな」
ともあれ、彼らの心の重荷が幾らかでも軽くなったのは間違いない。
そんな彼らからまた幾らか離れた場所。
「やれやれ助かったよ。ビオラ。流石に総代ともなると僕でもいささか手に余るからね」
「…」
「彼らとは長い事上手くやってきたつもりだったんだけどね。どうも今の総代は僕がお気に召さないらしいよ」
「…」
「さしずめ依頼人はテルモピライを追放されたアルシノエ。あるいはアルバートあたりかな。ふふ。ルドヴィカに教えてやろうかな」
そういった事には興味ないとばかりに。
「…マスター。どうしてこんなところに?」
「御挨拶だね。ビオラ。可愛い弟子の晴れ姿を見に来ちゃいけなかったのかい?」
「…」
「それに。君にもしもの事があったら、君を実の娘のように思ってるマザーたちに僕が殺されるからね」
「マザーたちがマスターを?」
「そんな顔しないでよ。君のマザーたちは本当に君を僕以上に大事に思ってるんだ。彼女たちには僕の子が産めないからね」
「…マスター。一つ質問してもよろしいでしょうか?」
「なんだい。君が質問とは珍しい」
「マスター。マックリィ様を攫ってケダモノどもに放り込んだのは…マスターですか?」
「…どうしてそんな事を?」
「別に。あんな真似が出来るのはマスターくらいかと思っただけです」
「…仮に、もしそうだと言ったらどうする?」
「別に何も。契約前の話なだけです」
「ははは。言ってくれるね。流石はビオラ。君ほどの『子供』は今まで一人もいなかったよ。最高だ」
「…」
「じゃあ。僕も聞いていいかな」
「何を」
「彼とは…まだかな?」
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