ハーレムバスタード 第六章 庶子の時代へ U L |
- 日時: 2023/01/02 20:06
- 名前: 陣
- 「…」
幕の間から挙式の様子を眺めつつ、ドレス姿で楽器を仕舞うビオラ。その優雅な動きに身を見張る伴奏者たち
そしてそれに近付く一人の女性。その女性に驚く一同。
(ゴ、ゴットリープの女帝…)
それに構わず、ビオラに近付くルドヴィカ。
「ふふふ。良かったわよ。ルビオラ」
「…」
「ルメリアの事を思い出すわ。あの子は私に自分の歌や曲を聞いてくれと随分とせがんだ。でも私はそれを聞こうともせず、あの子を邪険に扱った。自分の嫌な部分の塊に見えたのよ。全く。酷い母親よね」
「済んだことです。それにもし私の母が本当に貴女の娘であったとしても。私としては直接関係ありません」
「そうね。でも私としてはあなたを本当の孫と思いたい。それは許してくれるわね」
「御自由に。私はただマックリィ様の傍に居る事が出来ればそれで良いだけですので」
それを聞き咎めるルドヴィカ。
「もしマックリィがあなたに離れろと言ったらどうするの?」
「私の雇用契約は師とバージゼル様の間で交わされた物です。もしバージゼル様が私を解雇するというのなら、私はただ師の元に戻るだけです」
「なら。その時は私が改めてあなたを雇用したいと、あなたの師に言えば?」
「それは師によります。その時は師が貴女の元に赴くでしょう。バージゼル様にも師の方から接したみたいですし」
「…あなたはずっとその師の方と二人だったの?」
「そんな事は無いです。周りには『マザー』の方々が多くいらっしゃいましたので」
「『マザー』?」
「師の助手で、私に色々な事を教えてくださった方々です」
「その方々があなたの母親代わりって事なのかしら?」
「まあ。そうかもしれません」
「…」
「申しわけありません。どうやら急用が入ったようです」
気が付けば、いつの間にか元通りの活動的な服装に戻っているビオラ。まるで狩人のように。
「それでは。少し出掛けてまいります」
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