ハーレムバスタード 第六章 庶子の時代へ U F |
- 日時: 2023/01/01 14:19
- 名前: 陣
- 「これは…」
思わず強く奥歯を噛み締めるネメシス。それを傍目から心配げに見詰めるカディア。
「バイバルスめ…一体なんのつもりだ…」
さっきから何度と繰り返される台詞。
辺りにたちこめる都市貴族たちの威容ぶり。横紙破りで傍若無人の代名詞なネメシスも、この荘厳の空間の中では、逆に不釣り合いで浮いた感じ。それがますますもって苛立ちを高める。
「これでは我がレナス家が奴らに飲み込まれたみたいではないか…父上や母上たちは何を考えているのか…」
「ネメシス様…」
やがて照明が暗くなる。そして始まる荘厳な音楽。
本式の前の前奏曲。大聖堂所属の名誉聖楽隊が奏でる一大セレモニー。
その真ん中に位置する、最高栄誉の役は…
「ま、まさか…!?」
思わず大声を挙げ掛かるネメシス。慌ててその口を押えつつ、同じく目を見張るカディア。
その目に映るのは。完璧なまでにノーブル調のドレスアップをされ、まさに女神としか言いようの無い…
(…ビオラ…)
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