ハーレムバスタード 第六章 庶子の時代へ U D |
- 日時: 2023/01/01 14:18
- 名前: 陣
- 「大したもんだな」
豪勢な席に身を沈め、思い切り嘆息するライシュ。
「エルヴィーラ家がゴットリープの大聖堂でレナス家と同等の席とはね」
その装束もバイバルス家より贈呈された物で、同家から派遣の専門のメイク担当によって完璧にコーディネイトされている。エルヴィーラの同僚たちが見たら間違いなく目と肝を潰す事だろう。
「当然でしょう」
同じく桁違いにドレスアップされたジュスチーヌが答える。
「新郎は既に我が家の新郎でもあるんだから。それにレナス家と言っても、新郎の母は三姉妹じゃないし養子でもない」
それについていささか不安げなリージャ。こちらは侍女式だが、並の貴婦人よりも遥かに豪奢。
「大丈夫でしょうか。レナス家は」
「あっちの機嫌を損ねないかって事? 大丈夫。あちらがこっちに求めているのはネメシスとクリエートの緩衝地帯よ。緩衝が強くなって困る事は何も無いわ」
あくまで自信ありげなジュスチーヌ。それに対し、いささか不安気なリージャ。
「はあ」
その意を察しながら、オペラグラスでバイバルス家の席を眺めるジュスチーヌ。
(ま。バイバルス家としては、エルヴィーラをレナス家の牽制役に育成したい所なんでしょうけどね。かつて山麓朝がレナス家をそうしたみたいに)
彼女たちからいささか離れつつ、メイン舞台を見詰めるジュリエット。
こちらも二十代に相応しい装いで、胸にはネメシスから贈呈(?)されたブローチが輝いている。
「…」
「どうされました。ジュリエット様?」
飲み物を持ってくる特別仕様のエミリー。そちら方も眺めつつ改めて溜め息のジュリエット。
(…良いわねえ…若いって)
参列の少女たちが嫌でも目に映る。
(あたしだけ大きく年上でバツイチ…)
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