ハーレムバスタード 第六章 庶子の時代へ U @ |
- 日時: 2023/01/01 14:15
- 名前: 陣
- 「凄いな。まさに噂に聞くバイバルスだ」
数日後。ゴットリープの仙樹教大聖堂で行われる、ルキオラとルキエラの(公式には)従姉妹とマックリィの結婚式。
もちろん仙樹教の総本山はバーミアだが、両朝が分裂した時、ゴットリープ大司教座も分離し、独自の活動を続けている。その後援を代々務めてきた一つがバイバルス家。そして過去においてバイバルス家が危急に陥った時にも大聖堂は大いに尽力しており、いわば持ちつ持たれつの関係にもある。
一応は主賓の扱いだが、エルヴィーラでのそれなど比べ物にならない,実に荘厳な儀式。都市貴族の多くがほとんど詰め掛け、まさにゴットリープを挙げての一大集会の様相。
当然にレナス家の多くも集っており、今回は父のバージゼルをはじめ、家督権者の三姉妹、そしてエルヴィーラにも列席したネメシスとクリエートだけでなく、マックリィの同母兄のサハウエイに、カンタータのウェルキンなども加わっている。バーミアのケーニアスは相変わらずの不帰参だが、その代理はやはりパールパティが務める。
「凄いですね。パティ様」
初めてゴットリープに足を踏み入れ、辺りをキョロキョロ見回すセルシウス。その御上り様子に苦笑を禁じ得ないパールパティ。
「これだけの催し物は先の戦が始まって以来ですからね。それは力が入るでしょう」
その目に映る多くの人々の動き。
「それにしても驚きだな。ここにおいてバイバルス家とレナス家の縁組とは」
「ああ。もっと早かったら、ミラージュ戦役も無かったかもな」
「いやいやそんな素振りを見せていたら、当時のシリウス王が即座に討伐を叫んだかもしれんぞ」
「とにかくこれでゴットリープの安定は確実か」
「バーミアもあちらの『女帝』が自分の周りを固めるのを優先らしいからな。あちらから仕掛ける事は当分ないだろうし」
「それにしてもこれでレナス家も万々歳だな。歴代の山麓朝の国王が縁組できなかった、バイバルス家にそっちから縁組を申し入れさせるとは」
「そんな単純な物じゃないぞ。未だ未婚のクリエートならともかく、わざわざ指名してきた相手は三姉妹の子ではない、末子のマックリィだ。それもエルヴィーラ家との縁組の後でだぞ」
「マックリィには都市貴族の贔屓が多いし、その側付は『ヴラッドヴェインの子女』って噂もある。場合によってはレナス家内部のパワーバランスを根底から引っ繰り返す可能性も無くはないしな」
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