ハーレムバスタード 第六章 庶子の時代へ I |
- 日時: 2022/12/17 08:33
- 名前: 陣
- 「やれやれ。やっと帰ってくれたか」
顔のあちこちに絆創膏を張り付け、思い切り愚痴りまくるライシュ。
「全く。聞きしに勝る天然魔物だぜ。あれが次のバイバルス家の当主で『ゴットリープの女帝』様? 全く。考えただけでも恐ろしいじゃねえか」
それに対して苦笑を浮かべるジュリエット。
「全くよねえ」
「おい。その割にはずいぶん楽しそうだな。妹でも出来たつもりか」
「まあ。確かに妹よね。少なくとも棒の方の」
「おまえ。ずいぶんと変わったな。あのガキに思い切りやられちまってからか。あたいまで…」
「リージャやルシアラさんが助けてくれたでしょ。それとも余計な事だったかしら」
「け。それにしてもあの鳴らし屋。あたいを手玉に取るなんて、一体どこまで引き出しがあるんだよ。あれは魔法じゃないぜ」
「そう言えばルドヴィカ殿。妙にビオラを連れ帰りたがってたわよね」
「そう。あのガキのついでというより、むしろ鳴らし屋の方に用があるという感じだったな。まああれほどの手練れ。バイバルス家としても抱え込みたいんだろうけどよ」
「それはこのエルヴィーラもレナス家も同じじゃない?」
「け。それに。確か帰り際に『ルビオラ』とか言ってたな。ありゃどういう意味だ?」
「…」
別室。裸身のエミリーを抱いて寝ているマックリィ。
その近くで、静かに弦を鳴らしながら目を閉じているビオラ。
「…」
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