ハーレムバスタード 第六章 庶子の時代へ H |
- 日時: 2022/12/16 13:08
- 名前: 陣
- 「あなたと二人で話すのは初めてね。ビオラ」
ドタバタの乱行を鎮め、帰り支度に入るバイバルス一行。
その合間にさりげなく、二人だけの場をジュスチーヌに用意してもらうルドヴィカ。
「…」
「あなたと最初に会ったのは結構前だけど、今までは正直眼に入らなかった。あくまでマックリィの従者としてね。まずそれを詫びるわ」
「…」
「最初に聞きたいの。あなたの母親の名は、ルメリアじゃない?」
少し考え込むような顔をして答えるビオラ。
「いえ。そういう名ではありません。少なくとも『リベラ』と呼ばせていました」
「!」
激しく表情を変えるルドヴィカ。それを知ってか知らずかあくまで無表情のビオラ。
「…」
「で。お母様は今?」
「とうに亡くなりました。私を師に預けて」
肩を落とすルドヴィカ。
「…あなたのお父様は?」
「父は分かりません。多くの男の方々が出入りしていたので、その誰かとは思いますが。あるいは師だったかもしれません」
あくまで淡々とした口調のビオラ。
「…で、その師という方は?」
「師には様々な事を教わりました。母から教わったのは音楽だけですが、師はそれにも様々な事を加えてくださいました」
「その師の方の名は?」
「分かりません。ただ『マスター』と呼ばされていただけです」
「…で、なぜマックリィに?」
「バージゼル様がやって来て、マックリィ様の介護の人間を師に頼んだからです。『方法は一切任す』『場合によっては死んでも構わない』。それが唯一の条件でした」
「…あなたのお母様は何か言い残しましたか」
「『いつかバイバルス家のルドヴィカに会え』。ただそれだけでした。だからこうしてお会いしております」
あくまで事務的な口調。しかし次第に感極まって。
「ルメリアー!!」
抱き着いて泣き出すルドヴィカ。
「わ、わたしの可哀想な娘! この勝手で無情な母を赦しておくれ! ビオラ! わ、わたしがお前の御祖母様だよー!!」
激しく抱き着くルドヴィカ。あくまで無表情だが、それをかわす事も撥ね付ける事も無く、ただされるがままにしているビオラ。
「…」
「ルビオラ! ルビオラー!!」
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